レビュー

Google「Pixel Watch 2」レビュー! バッテリー持ちが大幅改善

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Googleのスマートウォッチ「Pixel Watch 2」が2023年10月12日に発売されました。同社製のスマートウォッチとしては、昨年10月に発売された初代「Pixel Watch」に続く第2世代モデルに相当します。初代モデルはGoogle初のスマートウォッチということもあり、粗削りな部分がありましたが、第2世代でどう変わったのでしょうか。

「Pixel Watch 2」はどれくらい進化した?

「Pixel Watch 2」はどれくらい進化した?

気づきにくい部分だが、デザインが改良されている

「Pixel Watch 2」は、円形のディスプレイを採用したスマートウォッチであり、市場の中では比較的コンパクトな部類です。本体サイズは、初代「Pixel Watch」から変わっていません。

円形ディスプレイを搭載する「Pixel Watch 2」。初代と同様に、ほかのスマートウォッチにはない美しいデザインです

円形ディスプレイを搭載する「Pixel Watch 2」。初代と同様に、ほかのスマートウォッチにはない美しいデザインです

本体サイズが変わらないいっぽうで、ケースの素材がアルミニウムに変わりました。より正確に言えば、「Pixel Watch 2」はケースに100%リサイクルの再生アルミニウムが採用されています。初代「Pixel Watch」では、80%リサイクルのステンレススチールが使われていたので、アルミニウムになったことにともない、ケースの重量は36gから31gへと微減しました。

Sサイズのバンドを装着した状態だと約59g。スマートウォッチでは軽量な部類です

Sサイズのバンドを装着した状態だと約59g。スマートウォッチでは軽量な部類です

なお、「アクティブバンド」の素材に関しては、どちらも「ソフトタッチコーティング加工のフルオロエラストマー」が使われており、後述する色以外について、仕様上の差はないようです。

バックルの構造も初代モデルと同じです

バックルの構造も初代モデルと同じです

また、細かい部分ですが、ケース側面に備わっているリューズの形状が変わっています。「Pixel Watch 2」のリューズは、初代「Pixel Watch」よりも、軸が細くなっています。いっぽうで、リューズ本体のサイズは、「Pixel Watch 2」のほうが直径がわずかに大きくなっています。ただし、この差は1mm程度ですので、ユーザー視点では操作体験に大きな影響はないでしょう。

「Pixel Watch 2」(左)と初代「Pixel Watch」(右)のリューズを比べると、正面からの見た目が微妙に違う

「Pixel Watch 2」(左)と初代「Pixel Watch」(右)のリューズを比べると、正面からの見た目が微妙に違う

こうした改良によって、「Pixel Watch 2」では、正面から見たときにリューズの軸が見えなくなりました。初代「Pixel Watch」ではリューズの軸が見えており、ケースがきれいな円になっていませんでしたが、新モデルではきれいな円形に整っています。元々デザインが洗練されていたシリーズではありますが、いっそう洗練さに磨きがかかった印象です。

「Pixel Watch 2」のケースのカラーバリエーションは、初代「Pixel Watch」と同様、「Matte Black」「Polished Silver」「Champagne Gold」の3色。3色それぞれでアクティブバンドのカラーが異なっていて、「Matte Black」は「Obsidian」、「Polished Silver」は「Bay」もしくは「Porcelain」、「Champagne Gold」が「Hazel」という組み合わせです。

チップが進化し弱点だったバッテリー持ちを克服

目に見えない仕様の変化としては、頭脳であるチップが「Snapdragon Wear 5100」と「Cortex M33 コプロセッサ」という組み合わせに変わったことに注目。初代「Pixel Watch」では「Exynos 9110 SoC」と「Cortex M33 コプロセッサ」でした。処理性能の数値比較などはされていませんが、Googleによると動作が高速化されたとのことです。

チップの一新によるいちばんの恩恵は、初代「Pixel Watch」の弱点だったバッテリー駆動時間が改善されたことです。スペックシートでは初代「Pixel Watch」は常時表示オフで最大24時間と記載されているのに対して、「Pixel Watch 2」は常時表示オンで最大24時間と記されています。これは、バッテリー容量が294mAhから306mAhへと微増したことよりも、チップが強化されたことが大きく影響していると思われます。

実際に筆者が使ってみたところ、確かに常時表示を有効にしたままで24時間以上のバッテリー持ちが確認できました。具体的に、10月21日の21時から満充電の状態で利用を開始し、モバイル通信機能は有効にせず、就寝時のみ「おやすみモード」をオンにして使ったところ、23日の15〜16時頃までバッテリーが持ちました。さすがに2日間は持ちませんでしたが、「おやすみモード」での就寝を挟みつつ、40時間くらいは持ったことになります。

もちろん、モバイル通信やGPSを使ったワークアウトなどを多用するともう少し短くなるでしょうが、初代「Pixel Watch」にあったスタミナの懸念は、「Pixel Watch 2」でほぼ解消されたと言っていいでしょう。

「Pixel Watch 2」は体調や心身のマネジメントが意識できる

「Pixel Watch 2」が搭載するセンサーについては、新たに「皮膚温センサー」と「皮膚コンダクタンスを測定する電気センサー」の2つが追加されています。

「皮膚温センサー」は、健康に関連する睡眠時皮膚温の変動をモニタリングする専用のセンサーのことで、自覚症状のない体調変化の機微を知るための指標にするのが正しい使い方とされています。なお、同機能を利用するには、3日以上、ウォッチを装着したまま就寝する必要があります。

アプリ「Fitbit」の「今日」タブにある「健康指標」をタップ(左)し、「皮膚温」をタップ(中)すると、皮膚温の変動が表示されます(右)

アプリ「Fitbit」の「今日」タブにある「健康指標」をタップ(左)し、「皮膚温」をタップ(中)すると、皮膚温の変動が表示されます(右)

「皮膚コンダクタンスを測定する電気センサー」は、継続的皮膚電気活動(cEDA)を計測して、ストレス値の指標にするためのものです。こうした値がアプリ「Fitbit」において、「身体反応」と呼ばれる項目で表されます。

なお、ストレスが検出されたタイミングでは、「ストレスまたは興奮の兆候を検出しました」という通知が表示されました。画面表示の流れで、そのときの気分を記録できます。

ストレスを検知したタイミングで、通知が表示されます

ストレスを検知したタイミングで、通知が表示されます

通知の流れで「リラックス」や「ウォーキング」などをすすめてくれます

通知の流れで「リラックス」や「ウォーキング」などをすすめてくれます

アプリ「Fitbit」の「今日」タブにある「身体反応」をタップ(左)し、「ストレスマネジメントスコア」をタップ(中)すると、ストレスマネジメントスコアが表示されます(右)

アプリ「Fitbit」の「今日」タブにある「身体反応」をタップ(左)し、「ストレスマネジメントスコア」をタップ(中)すると、ストレスマネジメントスコアが表示されます(右)

新しく搭載されたセンサーは、どちらも「Fitbit」シリーズの上位モデルではおなじみのセンサーですが、改めて「Pixel Watch 2」に搭載されたのはよろこばしいところ。ただし、ユーザーとしては活用するのが難しい機能でもありますので、バッテリー持ちが改善したことに比べたら、さほど強く訴求しないポイントかもしれません。

モバイルSuicaはスムーズに登録できた

「Pixel Watch」シリーズでは、Googleウォレットに決済手段を登録しておくことで、非接触型決済を利用できます。日本向けモデルでは、モバイルSuicaが利用可能です。

実は、1年前に初代の「Pixel Watch」を購入して使い始めたころに、モバイルSuiCaの登録がうまくできずに、かなり苦心しました。そんな記憶もあって、今回の「Pixel Watch 2」のレビューでも「今回はどうなるだろうか」と恐る恐るSuicaの登録にチャレンジしたのですが、昨年の苦労は何だったのだろうかと思うほど、スムーズに完了してしまいました。この1年間で改良が加えられたのでしょう。

初代で苦しんだモバイルSuiCaの登録もスムーズです

初代で苦しんだモバイルSuiCaの登録もスムーズです

初代「Pixel Watch」が発売されたときには、電子決済に関する不具合などを報告するレビューが散見していたので、購入検討時にこのあたりを懸念される人も多かったと思います。しかし、「Pixel Watch 2」の購入に際しては、さほどセンシティブにならなくてもよさそうです(あくまでも筆者が試用した範囲での限られた認識になります)。

なお、今回は試しませんでしたが、「QUICPay」や「iD」にも対応しています。

ワークアウトは測定開始忘れや安全確認のリマインドがポイント

「Pixel Watch 2」では、「ランニング」や「サイクリング」など、7つのエクササイズに関して、ワークアウトの開始・停止を自動検知してくれます。ワークアウトの測定にはアプリ「Fitエクササイズ」や「Fitbitエクササイズ」が使えますが、同機能を利用できるのは後者のほうです。

ワークアウトの測定完了操作を忘れて「ワークアウトは終了しましたか?」と表示された画面。通知が不要な場合にはアプリ「Fitbitエクササイズ」の画面にある設定メニューから変更できます

ワークアウトの測定完了操作を忘れて「ワークアウトは終了しましたか?」と表示された画面。通知が不要な場合にはアプリ「Fitbitエクササイズ」の画面にある設定メニューから変更できます

ワークアウトに関連した仕様としては、心拍数測定センサーが強化されていることもポイント。具体的には、初代「Pixel Watch」では「光学式心拍数センサー」だったのが、「Pixel Watch 2」では「マルチパス光学式心拍数センサー」へと刷新されています。それにともない、ケース裏面のデザインはかなり変わっています。

「Pixel Watch 2」のケース裏面(左)と、初代「Pixel Watch」の裏面(右)

「Pixel Watch 2」のケース裏面(左)と、初代「Pixel Watch」の裏面(右)

GPSの仕様を見比べてみると、「Pixel Watch 2」では新たに「準天頂衛星」(日本の衛星測位システムである「みちびき」など)の表記も加わっています。

また、関連したトピックとしては、緊急時に備えた安全関連の機能がいくつか増えていることは見逃せません。なかでも、ワークアウトに強く関係する部分では、新たに追加された「安全確認機能」に注目。同機能を使って、あらかじめタイマーを設定しておくと、時間を超過した際に、ユーザーに確認の通知が届き、もし応答がない場合には、登録しておいた連絡先に緊急通報が発信されます。ひとりでランニングや登山に出かける際などに、設定しておくと、万が一の事態に備えることができるわけです。

ウォッチの「安全確認機能」内にある「アクティビティ」を選択し、時間を設定して「次へ」をタップ。「タイマーを開始」をタップすると、タイマーがスタートするという流れです

ウォッチの「安全確認機能」内にある「アクティビティ」を選択し、時間を設定して「次へ」をタップ。「タイマーを開始」をタップすると、タイマーがスタートするという流れです

「Pixel Watch 2」の価格と使用できるスマートフォン

「Pixel Watch 2」のGoogleストアでの販売価格は、「Bluetooth/Wi-Fiモデル」が51,800円(税込、以下同)、単体でモバイル通信を利用できる「4G LTE + Bluetooth/Wi-Fiモデル」が59,800円です。初代Pixel Watchのときと同様、「Fitbit Premium」の6か月無料利用特典が付帯します。Googleストアのほかには、auや、ソフトバンクでも取り扱われています。NTTドコモでも11月以降に発売予定です。

スマートウォッチとして決して安くはない価格ですが、バッテリー持ちが改善されたり、新センサーが搭載されていたり、決済機能の不安も解消されていたりと初代「Pixel Watch」で気になったところはひと通りアップデートされています。初代「Pixel Watch」を見送った人や、購入したものの不満点を感じることがある人ならば、購入する価値は大きいと思います。

なお、Googleストアでは、初代「Pixel Watch」(39,800円〜)も併売されています。こちらを選ぶメリットは価格以外なさそうですが、一応頭の片隅に置いておくとよいでしょう。

最後に「Pixel Watch 2」が使えるスマートフォンについて補足します。「Pixel Watch 2」はWear OS 4.0で駆動するスマートウォッチであり、Android OS 9.0以降を搭載するAndroidスマートフォンとペアリングして利用します。iPhoneとはペアリングできません。

ちなみに、筆者は今回、古い端末ではありますが、手持ちの「Pixel 3」(Android 12)を使って、「Pixel Watch 2」を試用しました。使用機種やソフトウェアバージョンによって上述した手順や使用感が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

井上 晃
Writer
井上 晃
スマートフォンや、タブレット、スマートウォッチなどを軸に、最新ガジェットやサービスなどについて取材。Webメディアや雑誌を中心に、速報や製品レビュー、コラムなどを寄稿している。
記事一覧へ
水川悠士(編集部)
Editor
水川悠士(編集部)
デジタル系メディアから価格.comへ。スマホ、スマートウォッチなどのガジェット周り、ゲーム関連を担当。触ってきた製品は数えきれないほど多いです。価格.comマガジンのYouTubeにも出演中。
記事一覧へ
記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
本ページはAmazonアソシエイトプログラムによる収益を得ています
関連記事
SPECIAL
スマートフォン・携帯電話のその他のカテゴリー
ページトップへ戻る
×