バリエーション豊かなモデルを用意する、ガーミンのスマートウォッチ。その中でも、ヘルスケアやフィットネス機能に特徴を持つのが「Venu」シリーズです。同シリーズの最新作「Venu 3」(ヴェニュー 3)は、睡眠やボディバッテリー(体の残りエネルギー)に関する機能が強化され、自分の健康のことをより深く知ることができます。
正確な睡眠トラッキングのほか、通話機能を新しく搭載した最新モデル「Venu 3」
「Venu」シリーズは、同社のハイエンドモデルに匹敵するくらいヘルスケア機能やフィットネス機能に力を入れて作られています。ランニングなどに真剣に取り組む人にも使いやすいモデルですが、そのいっぽうで、見た目はガチガチのスポーツモデルではなく、普段着でも使いやすいデザインを採用するのが魅力的です。
まずは、「Venu 3」の基本スペックから紹介します。従来モデル「Venu 2」から本体の直径が0.4mm小さくなったにも関わらず、ディスプレイの直径は33.0mmから35.4mm(1.4インチ)にサイズアップ。重量は2gの軽量化を実現しています。
従来モデルの有機ELはそのままにディスプレイの解像度がアップしており、細かい文字やグラフの視認性は格段の進歩が見られます。
ディスプレイの周囲には金属製のフレームを備え、見た目がオシャレ。1.4インチの大きなディスプレイも見やすいです
バッテリーの駆動時間も従来モデルから大幅にアップ。日常的に使用するスマートウォッチモードで約14日間、運動時に使用するGPSモードでも約26時間使用可能。今回のレビューでは丸3日間使用し、その間にGPSを3時間ほど駆動しましたが、バッテリーの減少は約30%にとどまっていました。昨今のスマートウォッチの中でも、かなりのロングバッテリー仕様と言えるでしょう。
約14日間のロングバッテリーはガーミンらしさを感じる部分です
また、スマートウォッチ本体にスピーカーとマイクが内蔵されており、スマートフォンとBluetoothで接続することで通話ができます。地味ですが、作業などで手が離せないとき、歩いているときにスマートフォンを取り出したくないときなどに便利です。
スマートフォンに登録されている連絡先から電話をかけるほか、ウォッチ上で番号を入力することもできます
「Venu 3」には、ほかのガーミンのスマートウォッチには搭載されていない新機能が追加されています。そのひとつが「睡眠コーチ」です。これは、日々の生活状況を分析してどれくらいの睡眠時間が必要かを提示してくれる機能です。
コンディションに合わせた推奨睡眠時間を教えてくれる「睡眠コーチ」
ここ数日間の睡眠時間や睡眠の質から、最適な睡眠をとるためのアドバイスもしてくれる
運動量が増えて疲労が溜まると、睡眠時間を長くするようにうながされます
ユニークなのは、夜の睡眠だけでなく昼寝や仮眠も検出できるようになったこと。「睡眠コーチ」では、夜の睡眠と昼寝を合わせた睡眠の総量でコンディションをチェックし、夜の睡眠が足りていないときは、仮眠(昼寝)で補うように、などのアドバイスをしてくれます。
本機はフィットネスの中でも睡眠に力が入れられていることは間違いありません。健康管理のために、睡眠習慣を改善したいと考えている人にはピッタリでしょう。
「Venu 3」は、ウォッチ本体に搭載する心拍数計測センサーが第5世代に進化しています。そのためか、使用していると睡眠やボディバッテリーのスコアがより厳しめになったと感じました。これまでと同じような睡眠時間でも、覚醒時間が増えていたり、深い睡眠が減っていたり、スコアが従来機よりも若干辛めになった印象です。
また、体のエネルギー残量を示す「ボディバッテリー」に関しても、スコアが従来モデルよりも低く出ます。あくまでも使った印象ですが、「ボディバッテリー」は睡眠時間に大きな影響を受けるので、これにともない「ボディバッテリー」のスコアも厳しく採点される感じです。いずれにせよ、睡眠スコアと「ボディバッテリー」のスコアを毎日チェックしていると、生活習慣により気をつけようと思わせてくれます。
新しい心拍数センサーにより睡眠の質がより厳しく(正確)になった気がします
「ボディバッテリー」は自分の体の状態を知るのに本当に便利な機能です。「あんまり寝てないけど元気」と思っていても、「ボディバッテリー」を見ると「今日は早めに寝よう」「今日の運動は明日にしよう」などと体を気遣うことができます
「Venu 3」には新たなアクティビティーとして「瞑想」が追加されています。これまでのガーミンのスマートウォッチには、似たような機能として「呼吸のエクササイズ」が搭載されていましたが、それよりもリラックス効果が高いように感じます。
瞑想時には内蔵のスピーカー、もしくはワイヤレスイヤホンを使用しガイダンスを聞きながら行います
「回復とストレッチ」「マントラに集中」など、瞑想のモードがあらかじめ用意されているほか、自分好みの時間、テーマなどへのカスタマイズも可能。睡眠の導入時や、リラクゼーションなど、ひとりで落ち着く時間にこそ使いたい機能です。
「GPSのガーミン」と言われるほど、位置情報の正確さには定評があるガーミン。今回は、GPSの精度や取得できるデータをチェックすべく趣味のランニングで実際に使用してみました。
「Venu 3」は、ガーミンのハイエンドモデルが採用するマルチGNSSマルチバンドモードには対応していません。今回は特にビル群の間や山岳地帯を走らなかったため、GPSの精度は上々だと感じました。ただし、そういった場所を走る人はマルチGNSSマルチバンドモード搭載モデルでないと、正確なGPSや測位は難しいかもしれません。
ランニングで取得できるデータは、距離やペースなどいつものガーミンのスマートウォッチと同様です。ランニングに日常的に取り組んでいる人でも、十分に参考にできるデータが揃っていると思います。
大きい有機ELディスプレイのおかげで、走っている最中でも数値が確認しやすいですね
アプリ「Garmin Connect」は最新のアップデートによりシンプルで見やすいUIに変わりました。取得したランニングのデータの精度も上々だと感じます
従来モデルの「Venu 2」が発売されてから約2年半を経て発売された「Venu 3」。その間に発売された製品に備わる新機能の多くを盛り込んだのが「Venu 3」です。そのため「Venu 2」とはまるで違うモデルへと進化しています。
メールやSNSの通知、モバイルSuicaへの対応など、普段使いでも非常に使いやすいモデル。さらには、「ハンドサイクル」といった車いすのアクティビティーが新たに追加されています。「一歩先を行くガーミン」という印象が深く感じられたモデルでした。