ランニング初心者の筆者のもとに、「ガーミンのスマートウォッチを使ってイベントに出てみませんか?」というお誘いが届きました。詳細を聞くと面白そうだったので、実際に練習し、大会にチャレンジしてみたレポートをお届けします。
今回、出場したのはガーミン主催のランニングイベント「GARMIN RUN(ガーミン ラン)」です。ガーミンのスマートウォッチを使って、距離やタイムを計測し、完走後には計測データが入った記録証がもらえます。
日本では初開催の「GARMIN RUN」
このイベントのポイントは、10kmコースに加えてランニングを始めたばかりの人でも挑戦しやすい5kmのコースが用意されていることです。ガーミンのスマートウォッチユーザーが、普段の練習の成果を発揮するのにもピッタリなイベントになっています。
そういうわけもあって、イベントへの参加を決めました。筆者のような初心者でも本当に楽しめるのか、見ていきましょう。
前提として、筆者はランニング未経験者ではなく、3年ほど前にダイエットのため半年ほどランニングを行っていました。とはいえ、タイムを測定してパフォーマンスアップを目指すのではなく、あくまでもダイエットのためのランニング、というよりはジョギングを週に3回、30分ほど行っていたという感じ。そこから3年経過しているので、ほぼ初心者と思っていただいて大丈夫です。ガチで走っている人からすれば、初心者ランナーとも言えないレベルだと思います。
初心者が参加しやすい大会とはいえ、もちろん練習は必須です。今回は、ガーミンの「Forerunner 265」を使って練習。ユーザーの間ではランナーの鉄板モデルと言われているモデルです。
「Forerunner 265」は、2023年4月に発売されたミドルクラスのモデル
ただし、初心者なので大会に向けてどのような強度や頻度で練習すればいいのか、まったくわかりません。YouTubeなどで調べてみましたが、ランニングのフォームや準備体操、ストレッチを解説する動画はたくさんあるものの、練習の内容についての動画はあまり多くありません。いろんな動画を見てから走り始めようと思っていたところでさっそく壁に当たっちゃいました。
しかし、そこはランニングに強いと言われているガーミンのスマートウォッチ。ガーミンに相談したところ、すごく便利な機能を教えてくれました。実は、ガーミンのスマートウォッチには練習内容を考えてくれる機能があります。
メニュー大会までの日時から計算して、練習メニューを提示してくれるんです。これは初心者にとってめちゃくちゃ助かる機能でした。ということで、練習メニューについてはスマートウォッチ任せにします。
記念すべき初練習は、大会当日2023年12月10日の約1か月少し前。これより前に、「Forerunner 265」の動作確認のため2回ほど走りましたが、そちらは練習にカウントしておりません。
初練習の内容は「ペース:7分25秒/km 時間:53分」というもの。最長でも30分しか走ったことない筆者にとって53分は未知の長さ。不安を感じながら、初練習を始めました。
「Forerunner 265」が提示してくれる練習メニュー。初日は写真が撮れなかったので、違う日のメニューです
走り始めは、どれくらいの速さで走れば7分25秒/kmなのかまったくわかりませんでしたが、そこは賢いスマートウォッチ。目標のペースから大きくずれ込むと「Forerunner 265」が「ペースが速すぎます/遅すぎます」と教えてくれます。ガーミンによると、初心者ほど速く走ってしまいがちなので、しっかりとペースを確認。走りながら、ちょうどのペースを探ります。
また、ガーミンから「心拍数が上がりすぎないように気を付けてください」と言われていたので、そこも注意します。初心者にありがちなのが、自分の適正ペースよりも速く走ってしまい、心拍数が上がりすぎてすぐにしんどくなり、ランニングのモチベーションが下がって継続できなくなってしまうことだそうです。
じゃあ、どうやって心拍数を見ればいいのかについてですが、「Forerunner 265」は走行中の心拍数の表示のほか、心拍数ゾーンを色で教えてくれます。これが初心者にとっても心拍数の把握がしやすくて、適正な心拍数ゾーンを超えないようにペースを調整するのに役立ちます。でも、7分25秒/kmのペースを守りながら、心拍数が上がりすぎないようにするのはなかなか難しいですね。
ランニングを計測中の画面。これは自分でカスタマイズしたものになり、上部の心拍数の上に表示されている緑やオレンジの部分が心拍数ゾーンになります。ここをちらちら見ながら走るわけです
「7分25秒/kmって結構ゆっくりなんだ」と思いつつ走っていると、4kmを過ぎたあたりから足が痛くなってきました。ようやく53分を走り終えて、総走行距離は約7km。「1時間弱も走り続けるなんて無理!」と思っていましたが、ペースがゆっくりだったためか、死にそうなほど息切れするということはありません。
最終週はテーパーフェーズと呼ばれていて、強度はそのままに時間の短いメニューが提示されます
ちなみに、練習のときの自己ベストは約33分(5km)。これがどんなレベルのものなのか、まったくわかりませんが、まあ遅いのでしょう。みなさんどれくらいで走るのでしょうか。大会が楽しみです。
さあ、いよいよ大会当日。たっぷり8時間寝られたのでコンディションはバッチリです。
会場はパシフィコ横浜の屋外にある臨港パーク。コースは以下画像を参照していただきたいのですが、1周1kmのコースを5周します。10kmに参加の人は10週です。目の前に海が広がっていて、天気もよくめちゃくちゃ気持ちいい! いつも夜間に走っていたため、これはテンションが上がります。夜走るのってちょっと怖いんですよ。
1週1kmを周回するコース
いつも自宅の周辺でトレーニングしていたので、海沿いを走るのはすごく新鮮! 天気もよくて最高です
会場に到着したら、まずはウロウロ見学。アディダスやOnといったシューズメーカーや、味の素のサプリブランド、アミノバイタルなどのブースが出展。ガーミンのスマートウォッチを実際に触れるブースも盛況です。
ガーミンのブースではスマートウォッチをレンタルして、大会に参加することもできます
フォトスポットも用意されていました
競技の時刻は9時〜17時までで、30分おきに合計13回のウェーブスタート。ですので、みんなで一斉にスタートというわけではありません。ちなみに、筆者は9時30分スタートのウェーブに参加です。
参加したランナーは約1000人。子どもさん向けにスタンプラリーが用意されていて、ご家族で和気あいあいと楽しんでいる人もいました。緊張していたのは私だけなのかも。
開始30分前に受付を済ませ、更衣室、というかテントで着替えたら準備完了。スタート地点で待機していたのですが、このときがいちばんドキドキしていましたね。無事に走りきり、自己ベストタイムの32分を切れればいいな。いちおう、私のプランでは最初の3kmは無理をしすぎないペースで、そしてラスト2kmは思いっきり走ろうと。まあ、このプランは崩れるのですが(笑)。
9時30分になると、スタートの合図を皮切りにみなさん一斉に走り始めます。当然ですが、やはりイベントに参加するランナーさんたちはめちゃくちゃ速い! 私の全速力に近いくらいのペースで走っている人も多く、「めっちゃ場違いじゃね?」と焦ります。
スタート時はものすごく笑顔ですね。これがいつまで続くのか……
みなさんのペースに釣られそうになりましたが、そこは冷静にスマートウォッチのペースを確認しながら6分/kmをちゃんと守りながら走ります。周りを見ると、ゆっくり走る人もちらほらいらっしゃり、ホッとしました。勝手に「一緒に頑張ろう!」と仲間意識を持っていました。
また、海沿いを走っていたこともあり気分爽快! スタート当初の焦りも景色を見ながら走っているうちになくなりました。
しかし、2週目に突入すると「なんかもう少し速く走ってもいけそうな気がする」と欲が出始めます。あと4kmだし、練習もしてきたし、多少無理しても大丈夫でしょう!
ということで、6分/kmを5分30秒/kmに上げ、最後の2kmだけを5分/kmでいく作戦に変更。やはり、スマートウォッチを着用しているので、正確なペースを確認できるのは非常にありがたい。ただ、この速度でも競歩の人に抜き去られました。競歩って、実際に見るとめっちゃ速いです。走っていても追いつけません。
ラスト2kmは、おそらくここ数年で最も速く走っていたのではないでしょうか。会社に遅刻しそうなときでもこんなに速く走ったことはありません。応援にきていた家族から「がんばれー!」と言われても反応できず、無我夢中。表情も相当ゆがんでいたと思います。
家族の応援にも反応できないくらいラスト2週は追い込まれていました
そして、ようやくゴール。ゴールというか、スマートウォッチに表示される走行距離が5kmになったら自分で計測を止めてゴール、という感じです。顔真っ赤、息ぜえぜえで、非常に疲れましたが、達成したという喜びで多幸感に包まれます。
しかも、ゴールするとメダルがもらえました! 何かに挑戦してメダルをもらうなんて、おそらく小学生くらいまでさかのぼるでしょう。思った以上にうれしかったです。
完走者にはメダルが贈られます。笑顔ですが、心の中では「早く写真撮って座らせてください」と思っています
さて、完走タイムはというと、27分3秒! 自己ベストを約6分更新です。走っている人からすると超遅いタイムだと思いますが、自分がこんなに走れることにびっくり。とはいえ、ランナーのみなさんはマジで速いですね。しかも、走り終わった後にも関わらず、「なんかありましたっけ?」っていうくらいけろっとしてらっしゃいます。走り続ければ、私もその領域にたどり着けるのでしょうか。
結果はスマートウォッチにも表示されます
記録証とメダルはデジタル(画像)でももらえます。SNSに投稿する勇気はありませんでした
今回チャレンジして思ったことは、私みたいな初心者でも参加できるカジュアルなイベント、大会があるスポーツはすごくいいですね。ダイエット目的で始めた筋トレを4年ほど行っていたのですが、初心者でも参加できるような筋トレ大会とかは、調べる限りありませんでしたし、できるとしてもコミュニティのメンバーとの合同トレーニングくらい。初心者でも出られる大会があると、運動のモチベーションになると思います。仕事とはいえ、筆者も練習に精が出ましたし、イベント後もランニングを継続できています。機会があれば、また挑戦したいですね。
そして、運動習慣をサポートしてくれるスマートウォッチは、ある程度真剣に運動に取り組むならば非常に有用です。特に、運動習慣がない筆者のような初心者の人は、低価格モデルではなく、ミドルクラス以上のモデルを使うほうがいいと感じました。
低価格モデルだと、GPSが付いていないためランニング中にスマートフォンを携帯しなければいけない、データの精度が安定していない、運動習慣をサポートする機能が不足しているなど、ミドルクラス以上のモデルとの違いがかなりあります。
今回の「Forerunner 265」だと、やっぱり練習メニューを考えてくれるのが非常に便利だと思いました。大会などに参加する予定がなくても、身体の状態からメニューを考えてくれます。運動を始めたてのときって、何をどれくらいやればいいのかわからず、それを調べるのに結構な時間がかかります。それを全部スキップしてスマートウォッチ任せにできるのは、上級者ではなく初心者向けの機能だと思います。
みなさんも、スマートウォッチを活用して、運動を始めてみてはいかが?
最後にひとつだけ。大会後に疲れ果てた状態で飲んだビールは失神するかと思うほどおいしかったです。「食ってみな、飛ぶぞ」という名言がありますが、おいしくて飛ぶってこういうことなんですね。
おいしいの向こう側を見せてくれた大会後の1杯