サムスンが2024年1月18日にグローバルで発表した「Galaxy S24」シリーズ。現時点では国内向けに正式アナウンスされていませんが、すでにサムスンの日本向けサイトに製品情報が掲載。2月中にはなんらかの発表がある見込みです。今回は、その中でスタンダードモデルとなる「Galaxy S24」の実機を試用したので、レビューをお届けいたします。
「Galaxy S24」のグローバルでの販売価格は799米ドル
「Galaxy S24」はOSにAndroid 14をベースにした「One UI 6.1」、プロセッサー(SoC)にクアルコム「Snapdragon 8 Gen 3 Mobile Platform for Galaxy」を採用。メモリーは8GB、ストレージは128GB/256GB/512GBが用意されています。
ディスプレイは約6.2インチのフルHD+有機ELディスプレイ(2340×1080、2600nit、1〜120Hz駆動、Gorilla Glass Victus 2)を装備。従来モデル「Galaxy S23」からディスプレイのベゼルをスリム化、均等化することで、より大きな表示領域が確保されています。
カメラは、背面に約5000万画素の広角カメラ(F1.8)、約1200万画素の超広角カメラ(F2.2)、約1000万画素の望遠カメラ(F2.4、光学最大3倍ズーム)を、前面に約1200万画素のフロントカメラ(F2.2)を搭載。従来モデルから画素数、絞り値、画角などに変更はありませんが、後述するAI技術「Galaxy AI」により、画質向上、編集機能の強化が図られています。
通信機能は5G、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3、eSIMに対応。最上位モデルの「Galaxy S24 Ultra」がサポートするWi-Fi 7は見送られています。
従来モデルからの主な変更点は下記のとおりです。
OS:Android 13 → Android 14
SoC:Snapdragon 8 Gen 2 for Galaxy → Snapdragon 8 Gen 3 for Galaxy
画面サイズ:約6.1インチ → 約6.2インチ
ピーク輝度:1750nit → 2600 nit
リフレッシュレート:48〜120Hz → 1〜120Hz
バッテリー容量:3900mAh → 4000mAh
連続ビデオ再生時間:22時間 → 29時間
連続音楽再生時間:71時間 → 78時間
ボディ材質:アーマーアルミニウムフレーム → アーマーアルミニウムフレーム(軽量宇宙グレード)
Galaxy AI:未搭載 → 搭載
ハードウェアのスペック的にはSoCの刷新など小幅な進化にとどまっていますが、最も大きなアップグレードは「Galaxy AI」の採用です。双方向音声翻訳、テキスト翻訳機能「リアルタイム翻訳」、画像検索機能「かこって検索(Circle to Search)」、メモ内容を要約する「ノートアシスト機能」、生成AIによる高度な画像編集を可能にした「ジェネレーティブ編集機能」などが実装されています。
今回はカメラテストの際に「ジェネレーティブ編集機能」を試してみたので、その効果をぜひご確認ください。
ディスプレイが狭額縁化されたことにより、画面サイズは「Galaxy S23」から約0.1インチアップ
ディスプレイの色域は100% DCI-P3対応。コントラスト比は5,000,000:1をサポート。正確かつ、階調豊かにグラフィックを表示できます
「Netflix」のHDR再生、空間オーディオ再生に対応しています
セキュリティー機能は、画面下指紋認証センサーと顔認証に対応
今回試用したグローバル版は、デュアルnanoSIMカードに対応。nanoSIM+nanoSIM、nanoSIMカード+eSIM、デュアルeSIMの3通りで運用可能です
「Galaxy S24」シリーズは、すべてのモデルに「Snapdragon 8 Gen 3 Mobile Platform for Galaxy」が搭載されています。今回、定番ベンチマークアプリでテストを実施したところ、「Galaxy S24」は「AnTuTu Benchmark V10」の総合スコアが1745823、「Geekbench 6」のMulti-Core Scoreが6710、Single-Core Scoreが2125、「3DMark」のWild Life Extremeが4364、「Geekbench ML」のTensorFlow Lite NNAPI Scoreが511となりました。
「Galaxy S24 Ultra」のレビューで同じベンチマークを実施しているので、スコアを比較。その結果、「Galaxy S24」のスコアは「Galaxy S24 Ultra」比で以下のようになりました。
「AnTuTu Benchmark V10」総合スコア: 84%相当
「Geekbench 6」Multi-Core Score:92%相当
「Geekbench 6」Single-Core Score:92%相当
「3DMark」Wild Life Extreme:85%相当
「Geekbench ML」TensorFlow Lite NNAPI Score:72%相当
同じSoCを搭載する「Galaxy S24 Ultra」よりスコアはかなり低めです。ボディサイズの違いなどから起因する冷却効率の違い、もしくはシリーズの差別化のために、異なるクロック周波数が設定されているのだと思われます。
なお、ベンチマークは「Game Booster設定」のゲームの最適化を「パフォーマンス」に設定して実施しました。
各種ベンチマークのテスト結果
「AnTuTu Benchmark V10」実行中のディスプレイの表面最大温度は実測46.1度(室温24度で測定)
背面の最大温度は実測46.2度でした
ベンチマークスコアは「Galaxy S24 Ultra」には及びませんが、記事執筆時点の「AnTuTu Benchmark V10」のランキングでは14位に入ります。「原神」などの3Dゲームも快適にプレイ可能です
「Galaxy S24」シリーズの目玉機能である「Galaxy AI」。そのなかの「ジェネレーティブ編集機能」を「Galaxy S24」でも試したところ、非常に良好な結果を得られました。
木の枝の影が落ちる地面の上の遊具を消してみたのですが、対象物の周囲をなぞるだけで影も一緒に瞬時に選択でき、削除を実行したところ、木の枝の影が自然に補完されました。単体で見たらAI生成とは気づかない仕上がりです。
「Galaxy S24 Ultra」で試したときには背景に人工物が含まれていたので違和感がありましたが、今回のような自然物であれば仕事にも使えるぐらい実用的ですね。
対象物の周囲をくるりとなぞるだけで、影も含めてきれいに選択されます
「ジェネレーティブ編集機能」適用前の画像
「ジェネレーティブ編集機能」適用後の画像。左下にはAI生成されたことを示す可視型電子透かしが自動的に入ることがあります
さて最後にカメラ画質を見てみましょう。「Galaxy S24」は広角カメラと望遠カメラについては、「Galaxy S24 Ultra」よりも画素数が少なく、光学倍率も低いです。しかし、実際に撮影した写真を見てみると、フラッグシップにふさわしいクオリティーを備えています。
特に驚かされたのが30倍デジタルズーム。リスの毛並みはちょっと解像感が物足りなかったですが、風車の時計については小さな文字までクッキリと見えます。これは「Galaxy AI」の恩恵ですね。
また「50Mモード」(5000万画素モード)では、「12Mモード」よりも格段に高精細にディテールを記録可能。今回の例では、ファイルサイズが3.42倍に増えましたが、後でトリミングしたい写真は「50Mモード」を積極的に活用したいところです。
ただし、「ナイトモード」についてはちょっと不満があります。筆者が現在使用している「Galaxy Z Fold 4」よりも、強い光源が白飛びしていると感じました。もちろん、まだ発売前なのでチューニングの途中である可能性があります。「Galaxy」シリーズは発売後にも精力的にカメラ画質がアップデートされるので、今後のファームウェアアップデートで改善されることを期待したいところです。
1倍
「12Mモード」
「50Mモード」
「12Mモード」(左)、「50Mモード」で撮影した写真の時計をトリミング。画質の差は明らかですね
光学3倍ズーム
デジタルズーム30倍
光学3倍ズーム
光学30倍ズーム
「ナイトモード」は白飛びが少し気になる結果に
「Galaxy S24」と「Galaxy S24+」は画面サイズ、メモリー容量が異なりますが、カメラ構成は同じです。「Galaxy S24 Ultra」は2億画素の広角カメラに、光学最大5倍ズームと光学最大3倍ズームの望遠カメラを搭載するうえに、「Sペン」を内蔵。さらに、ボディはチタニウムフレームが採用され、Wi-Fi 7にも対応しています。
カメラや細かなスペックは「Galaxy S24 Ultra」に劣りますが、「Galaxy S24」の片手で不安なく握れるコンパクトボディは、操作性、携帯性において大きな魅力です。片手での撮影も「Galaxy S24 Ultra」より断然不安が少ないです。
最高のカメラ機能と、「Sペン」を使い倒したいという人には「Galaxy S24 Ultra」を推奨しますが、日常使いにおいて快適なAndroidスマホがほしいという人は、まずは「Galaxy S24」から検討することを強くおすすめします。