レビュー

充実のアクセサリーでビジネスにも使えるオールマイティなタブレット「Redmi Pad Pro」を試す

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シャオミの「Redmi Pad Pro」は、12.1インチの大きく高精細なディスプレイと10000mAhの大容量バッテリー、クアルコム製のSoC「Snapdragon 7s Gen 2」を搭載しつつ、41,800円(税込直販価格)の手に取りやすい価格設定のタブレットです。スマホでいうところの、いわゆる“ミドルレンジ”に該当する製品ですが、“ミドルレンジ”タブレットはどうなのか、試してみました。

シャオミ「Redmi Pad Pro」、価格.com最安価格35,238円(2024年7月12日時点)、2024年6月7日発売

シャオミ「Redmi Pad Pro」、価格.com最安価格35,238円(2024年7月12日時点)、2024年6月7日発売

※本記事中の価格は税込で統一している。

コスパ重視の「Redmi」ブランドから登場した“ミドルレンジ”12インチタブレット

最初に、シャオミのブランド構成について、おさらいしておきましょう。シャオミではスマホでもタブレットでも、Xiaomi、Redmi、POCOの3ブランドを展開しています。このうちPOCOはオンライン専売のブランド。Xiaomiが上位モデルで、Redmiはその下です。同時期に「Redmi Pad Pro」とほぼ同スペックの「POCO Pad」が発売されたため少々ややこしいのですが、このブランドのポジションを頭に入れておくとわかりやすいかと思います。

12.1インチWQXGAの液晶ディスプレイを搭載

12.1インチWQXGAの液晶ディスプレイを搭載

「Redmi Pad Pro」はProと付けられているように、Redmiブランドの中では上位モデル。WQXGA(2560×1600)対応の12.1インチ液晶ディスプレイを採用していることでも、10インチタブレット「Redmi Pad SE」よりひとつ上のクラスと見なせます。そんな、本機のディスプレイはアスペクト比16:10で、映画視聴に向くワイドな画面で、Dolby社の高画質化技術「Dolby Vision」にも対応。額縁の幅も広すぎずそこそこで、画面占有率は83.6%です。

背面にはさらっとした触感で指紋が付きにくい、マットな塗装を採用

背面にはさらっとした触感で指紋が付きにくい、マットな塗装を採用

性能は十分でボディーカラーも3色を用意する

通信はWi-Fi 6をサポート。OSはAndroid 14ベースの「Xiaomi HyperOS」で、本体サイズは181.85(幅)×280(高さ)7.52(厚さ)mm、重さ571g。シンプルかつスリムな一枚板といった感じですが、金属製のユニボディを採用していて、手にしてみると薄型、軽量ながら、片手でラフに持ってもしっかりとした剛性が感じられます。お手ごろ価格のタブレットでは色が選べないことも多いですが、シャオミのタブレットは多色展開されているのも特徴のひとつ。本機も写真のグラファイトグレーのほか、ミントグリーン、オーシャンブルーの3色から選ぶことができます。

ディスプレイは、最大120Hzの可変リフレッシュレートに対応。光が強い環境で対応できる最大輝度(HBM輝度)は600nitです。真夏のギラギラの太陽光下だとさすがに見づらいですが、ディスプレイの設定には、明るい場所で明るさやコントラストを調整してくれる「サンライトモード」も用意されています。逆に、暗い場所で画面を見る際に、ブルーライトを抑える「読書モード」もあり、ドイツの認証機関「テュフ ラインランド」から、低ブルーライトなどの認証も受けています。

読書モードでは、画面がやや暖色となって暗い場所でのまぶしさを低下

読書モードでは、画面がやや暖色となって暗い場所でのまぶしさを低下

スピーカーは左右に4つあり、「Dolby Atmos」にも対応。横画面では広がりのあるサウンドが楽しめ、映画などでは音による没入感も感じられます。また、3.5mmイヤホンジャックを使えば有線のヘッドホンを利用できるほか、Bluetoothは使用する環境に応じて転送速度や音質を最適化する「aptx-adaptive」もサポートしています。

横位置、右側面にUSB type-Cポートと3.5mmイヤホンジャックがある

横位置、右側面にUSB type-Cポートと3.5mmイヤホンジャックがある

横位置、上側の側面に音量キー、マイク、micro SDメモリーカードスロットがある

横位置、上側の側面に音量キー、マイク、micro SDメモリーカードスロットがある

横位置、左側面には「Dolby Vision Atmos」のプリントもある

横位置、左側面には「Dolby Vision Atmos」のプリントもある

4万円台のタブレットとしては高い処理性能

チップセット(SoC)には、ミドルレンジ向けのクアルコム製「Snapdragon 7s Gen 2」を採用。同じチップセットは、シャオミのミドルレンジ向けスマートフォン「Redmi Note 13 Pro 5G」にも採用されています。メモリーは6GB、ストレージは128GBですが、最大1.5TBのmicroSDXCメモリーカードに対応するスロットを備えます。これを使って保存容量を拡張すれば、かさばる電子書籍の保存に困ることもないでしょう。

ベンチマークの結果は以下となります。

AnTuTuベンチマーク(バージョン10.X)

AnTuTuベンチマークの結果。左は本機で4万円台の製品で60万点台の総合スコアはかなり良好な部類。右はシャオミの10インチハイエンドタブレット「Xiaomi Pad 6」のもの。比較すると「CPU」性能はほぼ互角だが、グラフィック性能を示す「GPU」で差がついた。(なお、GPUのテストに「Redmi Pad Pro」はAnTuTu 3D Liteを、「Xiaomi Pad 6」はスタンダード版AnTuTu 3Dを使用しているがスコアに違いはないとされている)

AnTuTuベンチマークの結果。左は本機で4万円台の製品で60万点台の総合スコアはかなり良好な部類。右はシャオミの10インチハイエンドタブレット「Xiaomi Pad 6」のもの。比較すると「CPU」性能はほぼ互角だが、グラフィック性能を示す「GPU」で差がついた。(なお、GPUのテストに「Redmi Pad Pro」はAnTuTu 3D Liteを、「Xiaomi Pad 6」はスタンダード版AnTuTu 3Dを使用しているがスコアに違いはないとされている)

Geekbench 6

「Geekbench 6」の結果左がCPUの性能で、シングルコアが1029、マルチコアが2963。右はGPUの結果でスコアは1800。4万円台としてはこちらも上々

「Geekbench 6」の結果左がCPUの性能で、シングルコアが1029、マルチコアが2963。右はGPUの結果でスコアは1800。4万円台としてはこちらも上々

4万円台のタブレットとしては処理性能は良好。コスパが魅力のシャオミ製品の期待を裏切らない結果です。

Web会議用の「会議ツール」が便利

背面にはカメラが2つあるように見えますが、実は片方はフラッシュライト。カメラは背面とフロントともに約800万画素です。12インチサイズの本機をカメラとして使う機会はあまりなさそうですが、カメラに標準でドキュメントスキャン用のモードがあり、紙の書類などをさっと取り込む用途ならこのカメラでも十分でしょう。

下側(写真右)はカメラではなくフラッシュライト

下側(写真右)はカメラではなくフラッシュライト

カメラにはドキュメント、ビデオ、写真、夜景、ショートムービーの各モードがある

カメラにはドキュメント、ビデオ、写真、夜景、ショートムービーの各モードがある

約800万画素のフロントカメラもビデオ会議には十分な画質。ビデオ会議の際には、独自の「会議ツール」を利用することもできます。「Zoom Workplace」で試したところ、会議中に表示可能な専用メニューから、ディスプレイの枠付近を発光させて顔を明るくできる機能や、多少動いても顔を追随してセンターに止めてくれる、自動フレーム機能が利用できました。

Zoomのビデオ会議では、画面の淵に白い枠を表示する」「フィルライト」や自動フレームの「Focus Frame」が利用できた

Zoomのビデオ会議では、画面の淵に白い枠を表示する」「フィルライト」や自動フレームの「Focus Frame」が利用できた

10000mAhの大容量バッテリーだが充電時間はそこそこ速い

バッテリーは10000mAhと大容量で、フル充電後のスタンバイ時間、最大33.9日間をうたっています。これはもちろん、ディスプレイが点灯している頻度や長さ、明るさなどの設定にもよりますが、実際に使ったところ、電池持ちはよい印象を受けました。なお、画面の明るさがMAXの状態で実施した「PCMark for Android(Work3.0 Battery Life)」のバッテリーテストは、5時間19分でした。実際の使用状況ならもっと時間は伸びるでしょう。

33Wの急速充電にも対応していて、同梱のACアダプターを用いて試したところ、バッテリー残量1%から、約1時間で55%、約1時間30分で85%まで回復。約1時間50分でフル充電になりました。バッテリー容量の大きさを考えれば、そこそこに速い充電速度だと思います。

33Wの専用ACアダプター&ケーブルが同梱されている

33Wの専用ACアダプター&ケーブルが同梱されている

安価なキーボードカバーは魅力だが注意点もある

アクセサリーとして、専用のキーボードカバー「Redmi Pad Pro Keyboard」(8,980円)や、デジタルペンの「Redmi Smart Pen」(6,980円)も用意されています。いずれもマグネットなどの接点はなく、USB type-Cで充電、Bluetoothで接続するしくみ。いずれも1万円以下に抑えられているのはかなりの魅力でしょう。

キーボードカバーはキーピッチ19mm、キーサイズ16×16mm、キーストロークも1.3mmと十分な深さがあって、打鍵感もなかなか良好。スタンドの角度は調整不可ですが、外出先での長文入力も苦になりませんでした。

はめ込むだけで装着できる「Redmi Pad Pro Keyboard」

はめ込むだけで装着できる「Redmi Pad Pro Keyboard」

右側面にUSB type-C端子と電源スイッチがある

右側面にUSB type-C端子と電源スイッチがある

210mAhのバッテリーを内蔵していて、59時間の連続使用が可能。約1週間の試用期間中、一度充電しただけでずっと使えました。

上部に「Redmi Smart Pen」用のペンホルダーがセットできるようになっており、スペアも含めて2つが同梱されている

上部に「Redmi Smart Pen」用のペンホルダーがセットできるようになっており、スペアも含めて2つが同梱されている

ペンホルダーはタブレットを取り付けるカバー部分にシールで貼り付けるしくみ。ホルダーにペンを通す簡単な仕組みだが、長く使っていると緩んでくるかもしれない。ボディに直接密着できないのは少し残念だ

キーボードはとても使いやすいのですが、タブレットから給電するのではなくバッテリーを内蔵している分、重さもそれなりにあります。手持ちのスケールで計測したところ「Redmi Pad Pro」と「Redmi Pad Pro Keyboard」で1kgオーバー、ペンも合わせた重量は1037g。「PCを持ち歩くよりは多少軽いものの、毎日持ち歩くのは躊躇する重さ」だと感じました。

手持ちのスケールでは、全部で1037gだった。かなりずっしりくる重さだ

手持ちのスケールでは、全部で1037gだった。かなりずっしりくる重さだ

「Redmi Smart Pen」には、2つのボタンがあり、ペン先の替えも同梱されている

「Redmi Smart Pen」には、2つのボタンがあり、ペン先の替えも同梱されている

「Redmi Smart Pen」の接続時には、「Redmi Pad Pro」のタッチサンプリングレートが240Hzをサポートするなど、専用ペンだけあって書き心地はとても滑らか。追従性もよく遅延はまったく感じられません。2つのボタンがあり、消しゴムと選択ツールなど切り替えが可能。標準アプリの「Miキャンバス」でスケッチが楽しめます。なお、「Xiaomi Pad 6s Pro」で利用可能な、スケッチをもとに生成AIが成形してくれる「AIアート」は、本機の「Miキャンバス」では利用できません。

遅延などはまったく感じられず、書き心地は滑らか

遅延などはまったく感じられず、書き心地は滑らか

大画面を生かした2画面表示やフローティングウィンドウ表示が可能なのも、ビジネスユース向き

大画面を生かした2画面表示やフローティングウィンドウ表示が可能なのも、ビジネスユース向き

周辺機器を含めてありそうでなかった安価でオールマイティな12インチタブレット

「Redmi Pad Pro」はミドルレンジモデルではあるものの、大画面で見やすく目にやさしいディスプレイ、迫力のあるサウンド、ストレスのない操作性に、電池持ちのよい大容量バッテリー、加えて、ハイエンドタブレットの特徴だったキーボードやペンといったアクセサリーが安価に用意されているなど、多くの人がタブレットに求めるものが不足なく揃っています。

映像を見たりゲームをプレイするだけでなく、マルチタスクやビデオ会議も可能で、ビジネスにも活用しやすいオールマイティなタブレットでしょう。いっぽう、12インチクラスのタブレットは長時間の手持ちは厳しく、携帯性にやはり限界があります。持ち運んで使う前提なら、サイズを含めて再考したほうがよいでしょう。

また、すぐれた基本性能を活用してあれもこれもやろうとすると、6GBのメモリーと128GBのストレージが、やや物足りなく感じられるかもしれません。ほぼ同スペックですが8GBのメモリーと256GBのストレージを備える「POCO Pad」も睨みつつ、検討したいところです。

太田百合子
Writer
太田百合子
インターネット黎明期よりWebディレクションやインターネット関連のフリーペーパー、情報誌の立ち上げに携わる。以降パソコン、携帯電話、スマートフォンからウェアラブルデバイス、IoT機器まで、身近なデジタルガジェットと、それら通じて利用できる様々なサービス、アプリケーション、および関連ビジネスを中心に取材・執筆活動を続けている。
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田中 巧(編集部)
Editor
田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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