レビュー

大進化した「Pixel 9 Pro Fold」を「Pixel Fold」と徹底比較レビュー

2024年9月4日、Googleの折りたたみAndroidスマートフォン「Pixel 9 Pro Fold」が、au、ソフトバンク、ドコモ、直販サイトで発売されました。本製品は、Googleの2世代目になる折りたたみスマートフォン。今回は従来機の「Pixel Fold」と比較し、どのような点が進化したのかにスポットを当ててレビューします。

左が「Pixel 9 Pro Fold」、右が「Pixel Fold」

左が「Pixel 9 Pro Fold」、右が「Pixel Fold」

性能、画面サイズ、カメラの使い勝手などが大幅に進化

「Pixel 9 Pro Fold」が「Pixel Fold」からどのように進化したのか下記にまとめました。

・OS
 Android 13→Android 14
・プロセッサー
 Google Tensor G2→Google Tensor G4
・メモリー
 12GB→16GB
・メインディスプレイ
 7.6インチ有機EL(2208×1840、1450nits【ピーク輝度】)→8インチLTPO 有機EL(2076×2152、2700nits【ピーク輝度】)
・カバーディスプレイ
 5.8インチ有機EL(2092×1080、1550nits【ピーク輝度】)→ 6.3インチ有機EL(2424×1080、2700nits【ピーク輝度】)
・背面カメラ
 4800万画素広角(F1.7)→4800万画素広角(F1.7)
 1080万画素超広角(F2.2)→1050万画素超広角(F2.2)
 1080万画素望遠(F3.05)→1080万画素望遠(F3.1)
・フロントカメラ
 800万画素(F2.0)→1000万画素(F2.2)
・カバーディスプレイカメラ
 950万画素(F2.2)→1000万画素(F2.2)
・無線通信
 Wi-Fi 6E/Bluetooth 5.2→Wi-Fi 7/Bluetooth 5.3
・サイズ(オープン時)
 158.7(幅)×139.7(奥行き)×5.8(厚さ)mm→150.2(幅)×155.2(奥行き)×5.1(厚さ)mm
・サイズ(クローズ時)
 79.5(幅)×139.7(奥行き)×12.1(厚さ)mm→77.1(幅)×155.2(奥行き)×10.5(厚さ)mm
・重量
 283g→257g

性能面では、プロセッサーを自社開発の「Google Tensor G2」から「Google Tensor G4」に変更。ストレージは256GB/512GBと据え置きですが、メモリーは12GBから16GBに増量されました。よりリッチなアプリを快適に動作させられることが期待できます。

折りたたみスマートフォンと言えば、大画面を活用できること。そして、その大画面をコンパクトに持ち運べるのが売りです。「Pixel 9 Pro Fold」は、メインディスプレイが7.6インチから8インチ、カバーディスプレイが5.8インチから6.3インチへと大型化。また、画面比率がメインは約1:1、カバーが20:9に変更されました。

カバーディスプレイの画面比率が一般的なスマートフォンに寄せられたことで、機種変更時などに違和感なく利用できるようになったわけです。メイン、カバーともに輝度が向上しているのも見逃せないポイントです。

左が「Pixel 9 Pro Fold」、右が「Pixel Fold」(以下同)。「Pixel 9 Pro Fold」のほうが縦の表示領域が広くなっています

左が「Pixel 9 Pro Fold」、右が「Pixel Fold」(以下同)。「Pixel 9 Pro Fold」のほうが縦の表示領域が広くなっています

「Pixel 9 Pro Fold」を開いたときの画面は約1:1。縦向き、横向きのどちらでも比率がほとんど変わりません

「Pixel 9 Pro Fold」を開いたときの画面は約1:1。縦向き、横向きのどちらでも比率がほとんど変わりません

クローズ時は「Pixel 9 Pro Fold」のほうがスリムで縦長です

クローズ時は「Pixel 9 Pro Fold」のほうがスリムで縦長です

実測重量(nanoSIMカードを含む)は「Pixel 9 Pro Fold」が256.5g(上)、「Pixel Fold」が281g(下)

実測重量(nanoSIMカードを含む)は「Pixel 9 Pro Fold」が256.5g(上)、「Pixel Fold」が281g(下)

折りたたみ時の幅、厚みともにコンパクトになった「Pixel 9 Pro Fold」(上)はホールド時の収まりがよくなりました

折りたたみ時の幅、厚みともにコンパクトになった「Pixel 9 Pro Fold」(上)はホールド時の収まりがよくなりました

折りたたみスマートフォンとしての最大の進化点は、新たに開発されたステンレススチール製のヒンジ機構。単に薄型化に貢献しただけでなく、ディスプレイをフラットに開けるようになりました。「Pixel Fold」ではわずかに折り曲がっているのが弱点でしたが、2世代目でしっかりと解消してきたわけです。

「Pixel 9 Pro Fold」(左)のステンレススチール製の新型ヒンジ機構はぱっと見で細くなっています

「Pixel 9 Pro Fold」(左)のステンレススチール製の新型ヒンジ機構はぱっと見で細くなっています

ディスプレイを最大まで開いても「Pixel Fold」(上)はわずかに曲がっていますが、「Pixel 9 Pro Fold」(下)はほぼフラットになります

ディスプレイを最大まで開いても「Pixel Fold」(上)はわずかに曲がっていますが、「Pixel 9 Pro Fold」(下)はほぼフラットになります

メインディスプレイ中央の折り目も「Pixel 9 Pro Fold」(上)のほうが目立ちにくいですね

メインディスプレイ中央の折り目も「Pixel 9 Pro Fold」(上)のほうが目立ちにくいですね

「Pixel 9 Pro Fold」のカメラは、背面に4800万画素広角(F1.7、82度)、1050万画素超広角(F2.2、127度、オートフォーカス)、1080万画素望遠(F3.1、23度、光学5倍)、メインディスプレイに1000万画素(F2.2、87度)、カバーディスプレイに1000万画素(F2.2、87度)を装備します。

画素数、絞り、画角に細かな変更はありますが、カメラの構成は「Pixel Fold」から変わっていません。しかし、超広角カメラがオートフォーカス対応となったことで、マクロフォーカスを使って手軽に接写できるようになりました。

「Pixel Fold」のカメラは横一列に並んでいましたが、「Pixel 9 Pro Fold」は縦二列で配置

「Pixel Fold」のカメラは横一列に並んでいましたが、「Pixel 9 Pro Fold」は縦二列で配置

カバーディスプレイ(上)のカメラはどちらもパンチホール仕様。しかし、メインディスプレイ(下)のカメラはベゼル内蔵からパンチホール仕様に変更されました。これにより狭額縁化と大画面化を実現できたわけです

カバーディスプレイ(上)のカメラはどちらもパンチホール仕様。しかし、メインディスプレイ(下)のカメラはベゼル内蔵からパンチホール仕様に変更されました。これにより狭額縁化と大画面化を実現できたわけです

1050万画素超広角カメラはオートフォーカス対応。マクロフォーカス撮影が可能となりました

1050万画素超広角カメラはオートフォーカス対応。マクロフォーカス撮影が可能となりました

「Pixel 9 Pro Fold」は、このほかにもカメラ機能が細かく強化。合成により集合写真を生成する「一緒に写る」、カバーディスプレイにアニメを表示してカメラ目線の笑顔を撮影する「こっちを見て」、動画品質改善機能「動画ブースト」、暗闇で鮮やかな動画を撮影する「ビデオ夜景モード」、動画から音声ノイズを消去する「音声消しゴムマジック」、近接動画を撮影できる「マクロフォーカス動画」などが実装されています。

このうちのいくつかは、今後「Pixel Fold」でもアップデートにより利用可能となる可能性があります。しかし、「マクロフォーカス動画」についてはオートフォーカス対応超広角カメラが必要。「Pixel Fold」での対応は不可能です。

「こっちを見て」で表示するアニメは4種類から選べます

「こっちを見て」で表示するアニメは4種類から選べます

「Pixel 9 Pro Fold」は「Pixel Fold」に対して最大170%相当のAIベンチマークスコアを記録

「Pixel 9 Pro Fold」は「Google Tensor G4」、「Pixel Fold」は「Google Tensor G2」をプロセッサーに採用しています。

定番のベンチマークテストを実施したところ、「Pixel 9 Pro Fold」は「Pixel Fold」に対して、CPUベンチマーク「Geekbench 6.3.0」のマルチコアで116%相当、AIベンチマーク「Geekbench AI」で111〜170%相当、3Dベンチマーク「3DMark Wild Life」で133%相当、「AnTuTu Benchmark V10.3.3」で132%相当のスコアを記録しました。

ちなみに記事執筆時点のAnTuTu Benchmarkのランキング1位は、「Snapdragon 8 Gen3」(オーバークロック版)を搭載する「RedMagic 9S Pro+」で、スコアは2182401です。最新3Dゲームで極限の性能を求める人は、クアルコム製プロセッサー搭載機を選択したほうがよいのは間違いありません。

「Geekbench 6.3.0」

「Geekbench 6.3.0」

「Geekbench AI」

「Geekbench AI」

「3DMark Wild Life」

「3DMark Wild Life」

「AnTuTu Benchmark V10.3.」

「AnTuTu Benchmark V10.3.」

基本的な画質はほぼ同等、20倍超解像ズームの画質が向上

両機種でカメラのテストを実施しましたが、画質については両機種で明確な違いはほとんどありません。EXIF情報などを見ないと、どちらで撮影したのかはわからないはずです。ただし、画角が変更されているため、同じ場所で撮影しても構図が変わります。

また、望遠カメラの20倍超解像ズームで撮影した写真は、「Pixel 9 Pro Fold」のほうがディテールがよりくっきりと記録されていました。ソフトウェアのバージョンが異なっていたので、今後Pixel Foldの20倍超解像ズームでも画質が向上する可能性があります。

ただし前述のとおり、「Pixel 9 Pro Fold」のほうが現時点でカメラ機能が充実しており、マクロフォーカスなどは「Pixel Fold」に提供されないという点には留意してください。

超広角カメラ

「Pixel 9 Pro Fold」(上)、「Pixel Fold」(下)

「Pixel 9 Pro Fold」(上)、「Pixel Fold」(下)

広角カメラ

「Pixel 9 Pro Fold」(上)、「Pixel Fold」(下)

「Pixel 9 Pro Fold」(上)、「Pixel Fold」(下)

「Pixel 9 Pro Fold」(上)、「Pixel Fold」(下)

「Pixel 9 Pro Fold」(上)、「Pixel Fold」(下)

望遠カメラ

光学5倍ズーム。「Pixel 9 Pro Fold」(上)、「Pixel Fold」(下)

光学5倍ズーム。「Pixel 9 Pro Fold」(上)、「Pixel Fold」(下)

超解像ズーム20倍。「Pixel 9 Pro Fold」(上)、「Pixel Fold」(下)

超解像ズーム20倍。「Pixel 9 Pro Fold」(上)、「Pixel Fold」(下)

夜景モード(広角カメラ)

「Pixel 9 Pro Fold」(上)、「Pixel Fold」(下)

「Pixel 9 Pro Fold」(上)、「Pixel Fold」(下)

「Pixel 9 Pro Fold」はGoogleのAI機能をフル活用できる折りたたみスマートフォン

「Pixel 9 Pro Fold」は、折りたたみスマートフォン市場を牽引してきたサムスンの「Galaxy Z Fold6」と比べると、メインディスプレイのフロントカメラがアンダーディスプレイカメラになっていないこと、ペンに対応していないこと、Snapdragon搭載機よりゲーム性能で見劣りすることなどは物足りなく感じます。

しかし、「Pixel 9 Pro Fold」は折りたたみスマートフォンとして大きく進化したことは間違いありません。また、今回は主にハードウェアにスポットを当てていますが、Googleの最新AI機能を利用できる折りたたみスマートフォンであることも、本製品の大きな魅力です。

GoogleのAI機能をフル活用できる折りたたみスマートフォンが欲しいのであれば「Pixel 9 Pro Fold」、全画面ディスプレイやペン対応に魅力を感じるのであれば「Galaxy Z Fold6」をおすすめします。

ジャイアン鈴木
Writer
ジャイアン鈴木
レビューした製品を高確率で買ってしまう物欲系ITライター。守備範囲はPC、スマホ、VRがメイン。ゲーム、デジタルトイも大好き。最近サバゲにはまっています。愛車はスイフトスポーツで、断然マニュアル派です。
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水川悠士(編集部)
Editor
水川悠士(編集部)
デジタル系メディアから価格.comへ。スマホ、スマートウォッチなどのガジェット周り、ゲーム関連を担当。触ってきた製品は数えきれないほど多いです。価格.comマガジンのYouTubeにも出演中。
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