Googleは9月10日、同社のスマートウォッチの第3世代モデルである「Pixel Watch 3」を発売した。同ウォッチは、Google ストアで販売されるほか、NTTドコモや、au、ソフトバンクでも取り扱われる。
今回は限られた時間ではあるが「Pixel Watch 3」の実機を試用できたので、その使用感についてお届けする。
Google「Pixel Watch 3」、41mmモデル(左)の公式サイト販売価格52,800円〜(税込、以下同)、45mm モデル(右)は59,800円〜、2024年9月10日発売
Googleのスマートウォッチ「Pixel Watch」シリーズの第3世代となる「Pixel Watch 3」の注目トピックは、新たにケースサイズの大きい45mmモデルが追加され、従来の41mmモデルと合わせて2サイズから選択が可能となったことだ。
同梱のストラップバンドを装着した41mmモデル(左)と45mmモデル(右)
画面サイズがひと回り異なる
Googleストアの表記によれば、45mm モデルは、手首周りが150〜215mmの人向け、41mmモデルは手首周りが130〜210mm の人向け、となっている。
試しに、中肉中背の男性である筆者が45mmモデルを装着してみると、ウォッチのケースが腕の幅よりもひと回り内側にある程度。ゴツすぎて浮くようなことはない。
45mmモデルを装着した様子
従来モデルと同じ大きさの41mmモデルを装着した様子
なお、ケースサイズ以外のデザインに関して、既存の「Pixel Watch 2」から目立った変更はなさそうだ。
「Pixel Watch 3」の41mmモデルと45mmモデルのディスプレイ表示を比べてみると、UIによっては若干の差を確認できた。たとえば、デフォルトの文字盤デザインでは、45mmモデルのみ、ベゼルに近い箇所に追加のコンプリケーションが表示されている。
デフォルトの文字盤を比べると45mm(右)の円周に沿ってコンプリケーションが追加されている
また、通知に表示されるテキストの行数や、ワークアウトを開始する際に選択できるアイコンの数が多いなどの差もあった。ただし、どれもわずかな差なので、使用感に大きく影響しないレベルではある。
ワークアウトのクイックスタートの画面も、45mmモデル(右)のほうが、表示されるアイコンが多い
ワークアウトの選択画面など、縦にスクロールする画面でも若干の違いがあるが、差は気にならない
通知画面の表示も多少の違いはあったが、使用感への影響はわずか
ディスプレイの仕様は、ケースサイズを問わず、同社の最新スマホ「Pixel 9」にも使われている「Actuaディスプレイ」を採用。最大輝度が従来の1000nitsから2000nitsへと大幅に向上したことも見逃せない。これによって屋外の直射日光下などでの視認性が格段によくなっている。
真夏のジリジリした直射日光下でも、表示内容をしっかり確認できる
いっぽうで、バッテリー持ちが気になるところだが、最小輝度が1nitまで下がっており、さらに画面表示の滑らかさを表すリフレッシュレートも、1〜60Hzでの可変に対応した。つまり、シーンに応じて、画面の明るさやリフレッシュレートを抑えられる。たとえば、常時表示中にはリフレッシュレートが1Hz まで下がる仕組みだ。関連したところでは、就寝時にデバイスが自動で睡眠を検知し、常時表示が自動でオフになる機能も備わっている。
こうした改良によって、余計なバッテリー消費が抑えられるようになったことはうれしいポイントである。実際のテスト結果は、記事後半でレポートする。
今回のレビューでは、試用期間が限られるため十分に検証できなかったが、健康管理関連の新機能として、「今日のエナジー」と「有酸素運動負荷」という2つの項目に注目だ。
「今日のエナジー」は、安静時心拍数、心拍変動(HRV)、睡眠などの状況をもとに、ユーザーの身体の回復状況を1〜100のスコア、および「低(1〜29)」「良好(30〜64)」「非常に良好(65〜100)」の評価で表す機能だ。これらの指標は、その日のワークアウトの強度を決めるのに役立つ。なお、この機能を使うには7日間の装着が必要となる。
いっぽうの「有酸素運動負荷」は、ワークアウトや日常的な身体活動にかかる運動の強度を測定したもの。こちらは1日ごとに数値が算出され、7日間の活動状況を基に適切な「目標負荷」の範囲が設定される。
スマートフォン側の「Fitbit」アプリの画面。「今日」タブに「今日のエナジー」と「有酸素運動負荷」の項目がある
データを計測するだけでなく、過去数週間の活動状況と比較し、「トレーニング不足です」や「トレーニング不足の恐れがあります」「維持しています」「改善しています」「オーバートレーニングです」のようにも評価・指摘してくれるという。なお、過去の運動習慣と直近7日間の運動習慣を比較するために、14日間の継続的なデバイス装着が必要だとあった。また、継続的な計測によって、目標負荷とワークアウトプランの設計を行ってくれるようだ。
ウォッチで「Fitbit」アプリを開いた画面。ここからでも数値を確認できる
アプリ関連では、純正の「レコーダー」アプリが標準搭載されたこともトピックだ。同アプリを利用すれば、スマートフォンの「Pixel」シリーズに搭載されている「レコーダー」アプリと同様の感覚で、音声メモの記録を行える。
「レコーダー」アプリのアイコン
中央の赤いボタンをタップすると録音をスタートできる
なお、記録した内容は、スマートフォンの「Pixel」側へ自動同期でき、文字起こし機能も利用できる……とされているが、今回のタイミングで筆者が検証した範囲では、スマートフォン側への同期を確認できなかった。ヘルプページには、「国または言語によっては Google Pixel レコーダーと一部の関連機能を利用できない場合があります」との表記もあったので、気になる場合は、対応状況について継続して注視してほしい。
さて、バッテリー関連のテコ入れも多かった「Pixel Watch 3」について、実際に装着した際のバッテリーの減り具合の目安を紹介しておきたい。今回は45mmモデルで、常時表示をオンにし、明るさの自動調整をオンにして使った場合の実際の数値変化を紹介する。
具体的には、1日目の17:52にバッテリーが100%の状態で装着をスタートした。同日の21:34にバッテリー残量を確認すると95%あった。その後、装着したまま深夜01:00〜01:30頃に就寝した。
2日目に起床し、10:10にバッテリー残量を確認すると64%まで減っていた。当然、就寝している時間(画面が消えている)にもよって値は変わってくるが、このケースではひと晩で31%ほどのバッテリーを消費したことになる。
その後、11:30には60%になる。12:00ごろに10分ほど「レコーダー」アプリのテストを行い、12:37には54%であることを確認した。13:30から15分ほど屋外でランニングのワークアウトを実施し、13:52にはバッテリー残量は48%になっていた。その後、15:21に43%、17:54に35%であることを確認した。
記録を始めたのが1日目の17:52だったので、丸一日使用したうえで、35%のバッテリーが残っていたことがわかる。また、ひと晩で31%減ったので、もうひと晩を充電なしで使うのは厳しいとも言える。
Pixel Watch 3のバッテリー消費のイメージ(グラフは筆者作成)
まとめると、常時表示をオンにし、明るさの自動調整をオンにした状態で、「Pixel Watch 3」の45mmモデルは十分に丸一日運用できた。もちろん、実施するワークアウトの時間によっても変動はするだろうが、標準的な使用を想定した場合、1日に1回の充電で利用できるだろう。入浴や家事のタイミングなどに充電時間のルーティンを組み込むことで、継続的に装着できるはずだ。
また、仕様表の公称値を見る限り、「バッテリーセーバー」機能をオンにすれば最大36時間の使用が可能とある。同機能によって、バッテリー消費を低減するタイミングを挟めば、より快適な着用が可能だろう。
4本のピンで接続する充電ケーブルは、充電できる向きが決まっている
「Pixel Watch 3」は、バッテリー消費の改善によって、第1世代・第2世代モデルが気になりつつも見送っていた人にとって、検討する価値のある仕上がりに整っていると感じる。またサイズによる使い勝手の大きな違いは見られないので、好みで選んで問題なさそうだ。
また、カラーバリエーションは以下のとおり。比較検討時の参考にしてほしい。
41mm
・Polished Silver アルミケース/Porcelain アクティブ バンド(白系)
・Champagne Gold アルミケース/Hazel アクティブ バンド(グレー系)
・Matte Black アルミケース/Obsidian アクティブ バンド(黒系)
・Polished Silver アルミケース/Rose Quartz アクティブ バンド(ピンク系)
45mm
・Polished Silver アルミケース/Porcelain アクティブ バンド(白系)
・Matte Black アルミケース/Obsidian アクティブ バンド(黒系)
・Matte Hazel アルミケース/Hazel アクティブ バンド(グレー系)