タフネス設計の武骨なスマートウォッチとして人気のガーミン「Instinct」シリーズから、最新モデル「Instinct 3」の2機種が登場。“使ってもほとんど減らない”バッテリー性能などの特徴をレビューします。
左:ガーミン「Instinct 3 Dual Power」、右:「Instinct 3 AMORED」
ガーミンのスマートウォッチ「Instinct」シリーズは、自衛隊員にも愛用者が多いという、タフさの代名詞のような製品です。最新モデルの第3世代から、ソーラーチャージ機能が付いた「Instinct 3 Dual Power」(以下、「Dual Power」)と、カラー表示の有機ELディスプレイを採用して視認性がアップした「Instinct 3 AMOLED」(以下、「AMOLED」)の2モデルが登場しました。
「Dual Power」は、公式サイト価格(以下同)71,800円〜(税込。以下同)、2025年1月23日発売。「Instinct 3 AMORED」、価格79,800円〜、2025年1月30日発売。いずれも、厳しいアウトドア環境での使用を想定したタフな製品ゆえに、決して安くはありません。
「AMOLED」はカラー表示(左)。いっぽうの「Dual Power」はモノクロ表示(右)
「Dual Power」と「AMOLED」で共通しているのは、米国国防総省の軍用製品調達規格「MIL-STD-810」に準拠していること。耐熱、耐衝撃、耐水性などの項目において軍用品としての品質基準を満たしたタフな製品であることが証明されています。すなわちプロのお墨付きってことですね。
さらに、GPSのほか4種類の衛星システムに対応した位置情報取得システムに対応しています。山岳部の谷間など位置情報が捕捉しにくい場所では、GPSより高精度な「マルチバンドモード」、位置情報が取得しやすい開けている場所では「GPSモード」に自動で切り替えることで、バッテリーの消費を抑えます。
また、どちらのモデルも、睡眠スコアや睡眠コーチ、ボディバッテリー、トレーニングレディネスなど、近ごろのガーミンのデバイスに搭載されている健康管理機能をしっかり搭載しています。これらの情報は、毎朝「モーニングリポート」として通知してくれるので、コンディションの確認に役立てることが可能です。
LEDフラッシュライトも搭載。夜のキャンプ場はもちろん、家にいるときでもなにかと便利です。
フラッシュライトは白色と赤色の2種類。白色の明るさは4段階に調節できます
ベゼルは、繊維強化プラスチックの下にアルミ(オレンジの部分)で補強がなされています
なお、両モデルとも、昨今のスマートウォッチにしては珍しくタッチパネルに対応していません。操作は、すべて本体左右にある5つのボタンを使用して行います。アウトドアでの使用を前提としているからこそ、日常での直感的な操作性よりも、誤動作を防ぐことを優先したプロ向きな仕様です。
操作は、本体の右に2つ、左に3つの物理ボタンで行います
ここからは、それぞれのモデルの特徴を確認します。まずは、「Dual Power」です。
ディスプレイは「Instinct」シリーズではおなじみのモノクロ表示。黒のバックパネルを採用しており、視認性は良好です。サイズは45mmと50mmの展開。今回50mmモデルを使用しましたが、画面が大きくて見やすい印象です。
モノクロ表示の武骨さが人気の「Dual Power」
ディスプレイの右上に「小窓」があり、心拍数や天気、ソーラー強度などのアイコンが表示され、モノクロながら数値が見やすい仕様になっています。個人的に「Instinct」シリーズのすごく好きなポイントです。
右上の小窓がアクセントになっています
一般的に、本体サイズが大きくなると重くなるものですが、「Dual Power 50mmモデル」の重量は58g。前世代モデルの「Instinct 2x」よりも9gも軽くなっています。前世代モデルでもそこまで重い印象はありませんでしたが、最新モデルは手に取った瞬間に「軽い!」と感じました。これはランニングにもおすすめしたくなる軽さですね。
ここからは、気になる「Dual Power」のソーラーチャージ機能について確認します。メーカー公称値によると、バッテリーの持続時間は以下のようになっています。
・スマートウォッチモード:約40日間+無制限
・GPSモード:約60時間+200時間
“バッテリーが減らない”というか、使用状況によってはほぼ無限に使えるスペックになっています。
最新世代のソーラーパネルを搭載することで、充電効率がアップしています
実際に冬(2月中旬)の太陽の下に1時間ほど放置してみると、3%チャージされていました。GPSを起動して外のランニングを1時間行うと、約4%消費していたので、まさにほぼ減らないという印象です。太陽光が強い夏だと、減らないどころか増えていくかもしれないですね!
赤丸の部分がバッテリー残量
もういっぽうの「AMOLED」についても解説します。特徴としては、「Instinct」シリーズ初搭載のカラー有機EL(AMOLED)ディスプレイになるでしょう。モノクロ表示の「Dual Power」に対して、「AMOLED」はカラー表示なので、細かい数字もかなり見やすいです。日中でも太陽の反射が気にならず見やすいディスプレイだと感じました。
カラー有機ELディスプレイに進化しながら、「Instinct」シリーズらしい小窓デザインは継承されています
解像度は416×416ピクセルで、グラフの表示も精細です
操作は物理ボタンのみ。タッチでの操作はできません
有機ELディスプレイを採用すると、液晶ディスプレイに比べてバッテリーの駆動時間が短くなるモデルもありますが、「AMOLED」はスマートウォッチモードで約24日間 (常時表示にすると9日間)、GPSモードで約40時間と十分すぎるロングバッテリーを実現しています。
実際に、スマートウォッチモードで、GPSを使用したアクティビティーを行いながら2週間のテストを行ったところ、バッテリーは4日分残っていました。バッテリーの減り方に関しては、液晶モデルとの違いをそれほど気にする必要がないのかもしれないですね。
「AMOLED」には、暗闇で明るさを抑えられるように赤色のみで表示する「レッドシフトモード」が搭載されています
モノクロ液晶の「Dual Power」とカラー有機ELの「AMOLED」を着けてランニングしてみました。
どちらのモデルもランニング中の使い勝手は良好。装着感も快適でした。日中、夜に関わらずランニング中の数値を把握しやすく、モノクロとカラーによる視認性の優劣はあまり感じません。
晴天時の視認性は、カラー有機ELの「AMOLED」(左)よりも、モノクロ液晶の「Dual Power」(右)のほうが上回りますが、どちらも十分見やすいです
「Dual Power」で取得したデータを公式スマホアプリ「Garmin Connect」で表示。心拍数のほか、細かいペースの上げ下げもしっかり記録されています
「Dual Power」と「AMOLED」は、どちらも機能が充実し、ロングバッテリーなうえ軽量に仕上がっています。特にトレイルランニングなど、長時間GPSを駆動する競技に最適だと感じました。価格は高いので、日常使いだけではオーバースペックかもしませんが、何日も山に入って活動する人にとっては、バッテリーの心配をせずに使用できる貴重な一台です。