超タフなボディに、使いこなせないほどたっぷりの機能を搭載したガーミンのスマートウォッチ「Tactix 8 AMOLED」(以下、「Tactix 8」)。日常生活には不要? とも思える、ガチすぎるミリタリーウォッチを使ってみました。
ガーミン「Tactix 8」、公式サイトの価格238,000円(税込)、2025年2月20日発売
「Tactix 8」の製品名にある「Tactix」は、“戦術”という意味。同シリーズは実際に、自衛隊の基地内にある売店でも販売されていて、現役の隊員にも愛用者が多いという、本物のミリタリーウォッチです。
ガーミンのフラッグシップモデル「fenix 8」と同等の充実した機能に加えて、航空情報の表示や、暗視ゴーグルに対応する「ナイトビジョンモード」といった、日常生活にはなじみのない機能まで搭載された、男心をくすぐる一台です。
ミリタリーウォッチらしい武骨なフォルム
自衛隊員も使用するほど信頼されるスマートウォッチだけあって、本体の耐久性、防護性能も強固です。
強度が求められるベゼルやリアカバーには、チタン素材を採用。DLCコーティングを施すことで、きわめて高い硬度、耐摩耗性、耐腐食性などを獲得。さらに、表面のガラスには、耐久性の高いサファイアクリスタルレンズを採用することで、ミルスペックに準拠する強度を担保しています。
重量はバンド込みで92g。ずっしりと手首に感じる重さが信頼性の証しです
水深40mでのアクティビティーにも対応します
ディスプレイは1.4インチの有機ELを搭載。多くの情報を表示できるうえ、フォントサイズを自由に変更できるので、必要に応じた表示内容にカスタマイズが可能です。
GPSには、精度の高い衛星測位システムGNSSのマルチバンドを採用。さらに、コンパス、ジャイロセンサーなどの各センサーを利用して、現在位置を正確に把握できます。
操作は、タッチパネルと5つの物理ボタン(左に3つ、右に2つ)で行います。誤操作を抑制できるようボタンサイズが大きく、グローブをしたままでもスムーズに操作が可能。付属しているナイロンバンドは、厚手でゴツゴツしている素材のため、やわらかな装着感ではありませんが、見るからに耐久性が高そうです。
写真は高耐久性のナイロンバンド。さらに、装着感のよいシリコンバンドも付属します
バッテリー持続時間のメーカー公称値は以下のとおりです。
・スマートウォッチモード:約29日間(画面の常時表示で約13日間)
・GPSモード:約84時間(スポーツデータの常時表示で約65時間)
スマートウォッチモードで、24時間モニタリングの心拍計測などのヘルスケア機能をオンにして丸一日使ってみたところ、バッテリーの消費量は約2%でした。また、GPSを起動してアクティビティーを行ったところ、1時間の使用でのバッテリー消費量は約2%でした。メーカー公称値よりは駆動時間が短かったものの、丸一日使用して消費量が2%だったので「ほとんど減らない」という印象でした。とにかくバッテリーもタフなようです。
専用の充電ケーブルを使用して充電します
まさに本格的なタクティカル機能だなと感じたのが、航空ポイントへのナビゲートや天候情報などが腕元で確認できるところ。ほかにも、暗視ゴーグルを着用中でもディスプレイの表示内容が確認できる「ナイトビジョンモード」など、日常生活に不要だけど、ワクワクが止まらない機能が満載です。
各空港の情報が表示されるほか、フライトプランなども作成可能とのこと
暗視ゴーグルの着用中に効果を発揮する「ナイトビジョンモード」
フラッシュライトは、通常の白色のほかに、暗視ゴーグルに対応した緑色のLEDも搭載しています
機能を探っていて発見したのが、パラシュート降下作戦に使える「ジャンプマスター」モードです。 「降下高度」「落下ポイント」「風速」などが入力でき、スタートボタンに合わせて降下を開始できるそう。これガチすぎですよね!
「ジャンプマスター」モードは、パラシュート降下に使うそうです
ここまで紹介したように、「Tactix 8」にはほぼ使わないタクティカル機能が多いのですが、いっぽうで、趣味のサポート機能も充実しています。
ランニングやサイクリングなど一般的なスポーツのログを取れるのはもちろん、世界中のゴルフコースがプリインストールされているので、ゴルフのラウンドをサポートしてくれます。
国内外43000以上のゴルフコースのマップが内蔵されています
釣りスポットを選択すると、その場所の“よく釣れる時間”と“釣れにくい時間”を教えてくれます。地図上にスポットをいくつも登録できるので、天気予報や時間帯などと合わせて吟味し、釣果の見込める釣りスポットを選べます。
釣りのおすすめ時間は、朝と晩それぞれの時間帯を教えてくれます
「Tactix 8」には、声で時計を操作できる「音声操作」が搭載されています。たとえば、「タイマーを5分にセット」とか、「ナイトビジョン、オン」などと声で指示を出せば、ボタンやタッチ操作をしなくても、スマートウォッチをコントロールできます。
「Tactix 8」は多機能すぎて、必要な機能にたどり着くのが大変な場合があります。そんなときは、「音声操作」を使用すれば、見つからない機能もすぐに起動できます。
「音声操作」を使えば、複雑な操作が必要だった機能もスムーズに起動できます
「ナイトビジョンモード」も音声で起動できました
ガーミンといえば、GPS精度の高さに定評があります。改めて「Tactix 8」の実力をチェックするべく、ランニングコースを走ってテストしました。
その結果は、走行距離やペースなどが正確に記録されました。特に走行の軌跡がすごいです。スマートウォッチによっては、走ったところからズレて記録される場合も多いのですが、地図を拡大して確認しても、走行の軌跡は、正確に記録されていました。やはりGPSの信頼度はバツグンです。
リアルタイムのスタミナやコンディションなど、ガーミンのハイエンドモデルに搭載されているランニングデータも取得できます
「Tactix 8」は、日常生活には不要な機能が盛り込まれており、正直「使い切れないな」という印象です。ただ、自衛隊員も使用しているという信頼度やタクティカル機能、チタンボディの高級感は、オーバースペック前提の魅力に満ちあふれています。20万円を超える価格ではありますが、モノ好きのための一台としての所有欲を満たしてくれる数少ないスマートウォッチでしょう。