2026年3月上旬、アップルの新製品が続々と発表されていくなかで、最も注目すべき新デバイスとなったのが「MacBook Neo」でしょう。ここ数年、MacBookシリーズには、軽量・薄型ボディを特徴とするAir、上位モデルのProしか選択肢がなかったなかで、新たに入門機的な位置付けのモデルとして登場しています。
目を引くのはやはり価格。最小構成で99,800円(税込)と、10万円を切っています。MacBookを含めて初めてノートパソコンを所有する人や、Windows PCからMacへの移行を検討している人をターゲットにした製品と言えるでしょう。
短い期間ではありますが、発売に先駆けて実機を試す機会をいただきましたので、実際の使用感はいかほどなのか、試していきます。
本機のサイズは29.75(幅)×1.27(高さ)×20.64(奥行)cm。13インチディスプレイ搭載モデルということで、ノートパソコンとしては大きすぎず、小さすぎないサイズ感という印象です。ビジネスバッグやリュックなどであれば、すっぽり収まるイメージでしょう。
モバイルノートパソコンとしてほどよいサイズ
重量は1.23kg。実は「M5」チップ搭載「MacBook Air」の13.6インチと同じ重さです。安価なモデルということもあり、移動用のサブ機的なニーズもありそうなので、正直なところもう少し軽いとうれしいなというのが個人的な見解です。見た目以上に、結構“ずっしり”しています。
厚さと重さはやや気になるポイント
「MacBook Neo」の特徴のひとつが、本体のカラーバリエーションでしょう。Air、Proシリーズともに、ビジネスシーンでも違和感のない、シックな色合いが多くなっていますが、「MacBook Neo」にはシルバー、インディゴのほかに、パステルピンク風のブラッシュ、パキッとしたイエローのシトラスが用意されています。
MacBookシリーズでは珍しい、かわいらしいカラーリングも特徴
今回はシトラスを試していますが、いい意味でMacBookシリーズらしくない、かわいらしい印象。金属筐体であるため、安っぽさはさほど感じず、きれいに映える色になっているのが魅力的です。
また、キーボードも本体カラーに寄せた色になっています。印字が見やすいのはもちろんですが、黒いキーボードと比べ、皮脂汚れが目立たないのがうれしいところ。打鍵感はほかのMacBookシリーズとそん色なく、浅くしっとりしている感触です。
白基調のキーボードも本体カラーにマッチしています
ちなみに、キーボードの右上に搭載されている「Touch ID」はSSD容量が512GBのモデルのみの搭載となっていて、最小構成の256GBモデルでは省略されているのが注意点です。パスワードの入力が面倒で、「Touch ID」をひんぱんに利用する人は512GBモデルがおすすめですが、Touch IDは実用上必須というわけではないので、ストレージ容量と合わせて取捨選択する形となります。
「Touch ID」は512GBモデルのみの搭載なので注意
ディスプレイは先に触れたとおり13インチ。AirやProと違いノッチがないため、角は緩くカーブしているものの、ほぼ長方形のデザインとなります。屋外に持ち出すことを考えると、サイズは十分でしょう。
ディスプレイはノッチなしの13インチ
解像度は2408×1506となりますが、上部に各種コントロールをするタブが表示されるUIの関係から、実際にアプリを開ける領域は横に広いイメージとなります。縦幅はあまりありませんが、2つのアプリを並べて表示しやすくなっています。
MacBookシリーズの魅力はさまざまですが、個人的にはトラックパッドの安定した操作性が肝だと感じています。「MacBook Neo」には、カーソルを正確にコントロールでき、ジェスチャーに対応する「Multi-Touchトラックパッド」が搭載されており、AirやProとは若干仕様の違うものが採用されています。
「Multi-Touchトラックパッド」は押し心地こそ違えど、MacBookらしいスムーズな操作が可能
触った感覚として、スワイプやジェスチャー操作は「MacBook Air(M4チップ搭載モデル)」とそん色ない印象です。ただし、押した際の感覚は異なり、「MacBook Neo」のほうが深く、しっかりと“押している”感覚になります。
押し心地が悪い、安定感がないわけではなく、MacBookシリーズらしい直感的なトラックパッド操作が可能ですが、これまでAirやProといった機種を使っている人からすると、感触の違いがやや気になるかもしれません。
本体側面の外部インターフェイスは、左側にUSB-Cポートが2つ、3.5mmオーディオジャックが1つのみの非常にシンプルな構成。USB-Cポートは、奥側がUSB 3(最大10Gb/s)、手前側がUSB 2(最大480Mb/s)となっています。
外部インターフェイスはUSB-Cポート×2とオーディオジャックのみのシンプルな構成
「MacBook Neo」をサブ機のように運用し、充電やマウス接続程度ができればいいという使い方であれば、2ポートでも問題ないでしょうが、ディスプレイと接続したい、有線キーボードやマイクなども使っていきたいとなると、どうしても物足りなさを感じます。
使い方次第ですが、安価なMacBookというコンセプトどおり、最小限の構成というイメージでしょう。そもそも外部ディスプレイ出力には1台しか対応していない点から見ても、多数の周辺デバイスを接続して使うことを前提としたパソコンではないのでしょう。
百歩譲ってUSB-Cが2つのみでも事足りるとして、2つのポートで仕様が違う点は注意が必要。見た目では判別がつかないので、どちらがUSB 3かをしっかりと覚えておく必要があるのも面倒です。慣れていけば気にならなくなるポイントかもしれませんが、初めは気にしながら使うべきところとなります。
搭載SoCは、「iPhone 16 Pro/16 Pro Max」に搭載されている「A18 Pro」で、メモリー容量は8GBとなります。これからパソコンでAIをどんどん使っていく時代と言われているなか、構成的には少々心もとないのも事実でしょう。
数日使ってみた感覚としては、文書作成や動画再生といった作業は特別問題なく動作します。複数のアプリを立ち上げて使っていても、極端に動作性が悪くなるようなシーンは見られません。もちろん、動画編集などのヘビーな作業には不向きでしょうが、一般的な使い方であれば不満に感じるシーンはそこまでないでしょう。少なくとも、文書作成がメインの筆者にとっては、使いにくさを感じることはありません。
アップル独自の生成AIシステム「Apple Intelligence」の機能である作文ツール、Siriとのやりとりなどもスムーズです。そもそも「Apple Intelligence」にそこまで強烈なAI機能がないと言われてしまうとそれまでですが、現状の機能であれば快適に利用できます。
ただし、「MacBook Neo」を数年にわたって使うケース、たとえば大学入学時に購入し、4年間は使いたいといったニーズで考えると、AIの進化に追いつかず、メモリーが8GBでは物足りないと感じるタイミングが来る可能性は大いにあります。レポートを書く程度であれば4年間しっかりと使いきれるでしょうが、AIを使って新しいことにどんどんチャレンジしていきたいという場合は、SoCやメモリーに余裕のあるモデルが適しているでしょう。
搭載バッテリーは36.5Whのリチウムイオンバッテリーで、最大16時間のビデオストリーミング、最大11時間のワイヤレスインターネットに対応しています。
AirやProと比べると稼働時間は短いですが、実際に試してみた感触として、1日外出する際に持ち出す程度であれば、極端にバッテリー切れが心配になるシーンはありません。ここも必要十分というイメージです。
「MacBook Neo」をメインPCとして使う想定で、SoCやメモリー容量、外部インターフェイスなどをチェックすると「人を選ぶデバイス」というのが正直な感想です。特に動画編集などのヘビーな作業をする人、多くのアプリを並行して使っていきたいという人に向けたパソコンではありません。
いっぽうで、自宅にはハイパワーなメイン端末があり、移動先でも軽く作業をしたいといったニーズには“あり”です。パソコンはライトな使い方しかしないという人にとっても、安価な選択肢が出てきたのはありがたいところです。
特に、多数のメーカーからさまざまなスペックのモデルが出ているWindowsと比べると、10万円切りで安定感のある「MacBook Neo」は大きな価値を持ちます。同時期に登場した「iPhone 17e」と同様に、必要要素を最低限搭載したパソコンとして、一定のニーズを満たすデバイスに仕上がっています。