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復活したスペック番長!? 話題の「Galaxy S6 edge」レビュー

2015年のスマートフォン夏モデルとして、4月23日に、製品発表会を待たずに登場した「Galaxy S6 edge」(サムスン製)。オクタコアCPUの「EXYNOS 7420」や、1440×2560表示に対応する曲面ディスプレイ、Android 5.0などの最新技術を惜しみなく投入した、注目のハイエンドモデルだ。本レビューでは、auの「Galaxy S6 edge SCV31」を使って、曲面ディスプレイ「エッジスクリーン」を中心に、気になる使い勝手に迫ってみよう。

GALAXY Note edgeに続く、曲面ディスプレイを備えたGalaxy S6 edge。ユニークなボディに機能を満載しているほか、最新鋭のオクタコアCPUも採用した注目の一台だ

質感アップ! 手にした際の薄さが際立つエッジディスプレイ

まずは、Galaxy S6 edgeの特徴的なボディから見てみよう。サイズは、約70(幅)×142(高さ)×7.0mm(厚さ)で、いちばん厚みのあるカメラ部分でも厚さ約8.4mmに抑えられており、重量は約133gとなっている。ボディは表面と裏面の一面に強化ガラスを採用し、側面は金属のフレームで覆われている。ボディ表面に、樹脂パーツが使われている部分はほとんどない。

本機の大きな特徴となるエッジディスプレイは、手にあたる部分が極めて薄くデザインされている。そのため、実機の感触は、カタログ値以上に、薄さ・小ささが強調される。また、約133gという重量のボディは、適度な重量感があり、表面の質感とあいまって高級感も高い。少なくとも、これまでの「GALAXY S」シリーズの樹脂製ボディと比べると、高級感は大きく上回っている。なお、カラーバリエーションは、ブラックサファイア、ホワイトパール、ゴールドプラチナの3色が用意されている。

裏面も一面がガラスパネルで覆われており、感触は滑らか。約1600万画素のメインカメラの脇にあるLEDフラッシュは、脈拍センサーも兼ねている

プッシュ式のホームボタンは、指紋センサーも兼ねている

プッシュ式のホームボタンは、指紋センサーも兼ねている

上面にはSIMカードスロットが備わる。SIMカードはnanoSIMサイズだ

上面にはSIMカードスロットが備わる。SIMカードはnanoSIMサイズだ

下面には、写真の左からヘッドホン端子、microUSBポート、スピーカーホールが備わる

下面には、写真の左からヘッドホン端子、microUSBポート、スピーカーホールが備わる

右側面に備わるのは電源ボタン

右側面に備わるのは電源ボタン

左側面には音量調節ボタンが備わる。やや固めで、しっかりとした押し心地だ

左側面には音量調節ボタンが備わる。やや固めで、しっかりとした押し心地だ

続いて、エッジディスプレイの詳細に迫ろう。本機のディスプレイは1440×2560のWQHD表示に対応するサムスン製の有機EL「Super AMOLED」だ。長辺部分が両方とも曲面となっている。

本機の画面解像度WQHDは、曲面部分を含む値となっており、昨年秋に登場した「GALAXY Note edge」のように、WQHD表示のメインディスプレイにエッジディスプレイを追加する、という形式ではない。また、曲面部分もGALAXY Note edgeと比べて少なめである。

本機の特徴であるエッジディスプレイ。解像度は曲面部分と平面部で合わせて1440×2560となっている

本機の特徴であるエッジディスプレイ。解像度は曲面部分と平面部で合わせて1440×2560となっている

手のひらに触れる部分が薄くなっており、カタログ値以上の薄さを実感できるのがエッジディスプレイの魅力のひとつ

エッジディスプレイの見え方だが、エッジ部分において、光を反射することが屋外では目立った。光の映りこみと言う点では、エッジディスプレイは少々不利な面は否めない。

また、映像のゆがみについては、人によって感じ方に差があるようだ。筆者は敏感なほうなのか、特に画面をスクロールさせた場合に気になった。そのいっぽうで、何人かに試してもらったところ、ほとんど気にならないという人も少なくない。これは、各人の感覚の問題だけでなく、コンテンツによって画面のエッジ部分も凝視することが多いかどうかということも影響していそうだ。できることなら、店頭での実機テストでは、自分が実際に使うコンテンツにできるだけ近いものを選んで試してみたい。

曲面部分は、光の写りこみも起こりやすく、わずかではあるがゆがみもゼロではない。それらの感じ方はユーザーの主観や利用するコンテンツと、その利用スタイルなどにも影響される

画質については、NTTドコモから登場したフラット型有機ELディスプレイを採用する「Galaxy S6」と同じレベルで、有機ELが苦手にしていた白の表現や、文字の輪郭線のにじみなども気にならないレベルである。また、画面輝度の調節幅が、従来の5cd/m3〜500cd/m3から2cd/m3〜600cd/m3に広がっているのもポイントで、従来機種では暗いところで見た場合に輝度が高すぎる場合があったが、輝度を抑えて、より見やすい明るさにできるように改良されている。

なお、QWHDという解像度だが、スペック的な満足度も高く、緻密で文句のつけようのないものの、肉眼の認識力を超えているようにも感じられる。すでに、Galaxy S6などのレビューでも繰り返しているが、QWHD表示は、5インチ後半クラス以上の大型ディスプレイのほうが真価を発揮しやすいだろう。

有機ELパネルの欠点だった明るい場所での輝度も十分確保されているいっぽうで、暗い場所での輝度調節も行いやすくなった

応答速度の速さと深みのある発色が特徴の有機ELパネルは、静止画や動画など、映像コンテンツに適した特徴を備えている

このエッジディスプレイは、エッジ部分をなぞることで表示される独自の機能として5件までの短縮ダイヤルと通知機能「ピープルエッジ」、着信または通知を受信した場合にエッジスクリーンを光らせる「エッジライティング」、小型アプリを表示する「情報ストリーム」、最長で1日12時間だけ、時計を表示する「ナイトクロック」といった機能を備えている。機能面では大筋で、GALAXY Note edgeと共通しているが、定規やアプリランチャーなど、プリインストールされていない機能もいくつか存在する。

エッジ部分に各種の情報を表示させる「情報ストリーム」

エッジ部分に各種の情報を表示させる「情報ストリーム」

エッジ部分に表示させるアプリを追加することでカスタマイズも可能だ

エッジ部分に表示させるアプリを追加することでカスタマイズも可能だ

通知機能「ピープルエッジ」では、5件までの連絡先を登録でき、エッジ部分をフリックすることですぐに呼び出すことができる

ピープルエッジに登録された連絡先からの着信があると、写真のようにエッジ部分が特定の色で表示され、伏せた状態でも着信が確認できる

Android 5.0とオクタコアCPUで動作は極めて滑らか

次に、処理性能の面から本機を見てみよう。処理の要となるCPUは、サムスン製のオクタコアCPU「EXYNOS 7420」が採用されている。このCPUは、処理性能優先の「Cortex-A57(2.1GHz)」コアを4個、電力消費の少ない「Cortex-A53(1.5GHz)」を4個組み合わせた“big.LITTLE”構成となっており、ピーク時の高い処理性能と、待ち受け時の低消費電力を今まで以上の柔軟さで調整できる。また、64ビット対応となっているので、本機に採用される64ビット対応の新OS、Android 5.0(Lollipop)と組み合わせることで、より高速な動作を実現している。Android 5.0の欠点であるメモリー消費の多さも、本機はRAMが3GBなので問題はないだろう。

ROMの容量は、au版の「SCL31」では、32GBモデルと64GBモデルの2機種が用意されているが、NTTドコモ版の「SC-04G」では64GBモデルのみである。なお、いずれの機種も、メモリーカードスロットは備えておらず、ストレージの増設は行えない。ただし、オンラインストレージとして、マイクロソフトの「OneDrive」が2年間100GB増量できる特典がついている。

本機のオクタコアCPU、大容量メモリー、64ビット対応システムという新機軸によって、動作速度はとてもスムーズだ。すでに、通信キャリアから発売されるAndroidスマートフォンの体感速度は完成の域にあり、以前から処理速度では大きさ差がなくなっていた。しかし、本機は、高負荷の3Dゲームや大型アプリの起動などで従来のクアッドコアCPU+Android 4.X世代のAndroidスマートフォンとは、明らかに異なるレスポンスを実現している。このレスポンスは、本機の魅力を高める重要なポイントといえるだろう。

ベンチマークテストアプリ「Antutuベンチマーク 64bit版」の総合スコアは69755となった。ひとつ前の世代に属するGALAXY Note edgeのスコア48000〜49000程度と比較して、大幅に向上していることがわかる

なお、オクタコアCPUで気になる発熱についてだが、2014年冬モデルで数多く採用されていたクアッドコアCPU「Snapdragon 801」搭載スマートフォンよりも、ボディ表面から感じられる熱は高めである。電子書籍の閲覧のような、ほとんど通信が発生しないアプリではさほどではないが、Twitterなどこまめに通信が発生するようなアプリだと温度上昇はやや急で、CPUの温度を見てみると35度前後を行き来する。このCPU自体の発熱のレベルは極端に高いものではないが、本機のガラス&金属という樹脂よりも熱を通しやすい素材のため、表面に現れる熱が高く感じられることも影響しているかもしれない。

次に電源周辺を見てみよう。従来のGALAXYシリーズといえば、簡単に取り外しのできるバッテリーパックを採用し続けていることが大きな特徴だった。しかしこの「Galaxy S edge」は、薄型ボディの採用の影響もあり、小型化に有利な内蔵式バッテリーを使用している。

内蔵バッテリーの容量は2600mAhで、動作時間は、連続通話時間が約1060分、連続待ち受け時間が約420時間(4G LTE/WiMAX2+ともに)で、前モデル「GALAXY S 5 SCL23」の連続通話時間約1170分、連続待ち受け時間約450時間(4GLTE /WiMAX2+)よりも少しバッテリーの持続性が落ちている。いっぽうで、NTTドコモ版の「SC-04G」では、NTTドコモ独自の指標「実使用時間」が72.1時間となっており、こちらは従来機種である「SC-04F」の約65時間よりも1割ほどスコアが向上している。

au版の「SCV31」を使ってみた限り、バッテリーの持続性は、従来機種から大きな変化は感じない。1日のトータルで3時間程度使用すると、フル充電のバッテリーは、2日前後までは持続する。本機は、使えば使うだけバッテリーを消費するという、以前からのスマートフォンの特性そのもので、この点で、使ってもバッテリー消費の緩やかな最近の国内メーカー製スマートフォンとの違いを感じる。

GALAXY S 5にも搭載されていた健康管理アプリ「Sヘルス」を搭載。活動量計、脈拍、睡眠、体重など13項目を管理できる

通信機能も強力で、auのキャリアアグリゲーション(CA)、VoLTE、WiMAX2+といった最新の通信環境に対応。Wi-FiもIEEE802.11 a/b/g/n/acの各規格に対応しているが、ac規格については使用する電波の帯域幅が80MHzのVHT80や、MIMOへの対応もなされており、最新のWi-Fi親機と組み合わせることで、今まで以上の快適な通信環境で利用できる。

なお、LTEの対応バンドを見ると、auでサービス中のB1(2.1GHz)、B18(800MHz帯)、B41(WiMAX2+、2.5GHz帯)に加えて、ローミング用としてB5(850MHz帯)、B3(1.8GHz帯)に対応している。また、こちらもローミング用として、auの3Gネットワークではなく、W-CDMA方式のB1(2.1GHz帯)とB5(850MHz帯)に対応している。なお、auのLTE B11(1.5GHz帯)には対応していないが、WiMAX2+を含む3種類のLTEネットワークに対応しているので、実用には十分な回線性能が確保されているといってよさそうだ。

本機は、auとしては初のSIMロックの解除に対応しているモデルだが、LTEのB1およびB3という、NTTドコモ系、ソフトバンクとワイモバイルでサービス中のB3にも対応していることに加え、W-CDMAに対応しているため、国内の競合他社のSIMカードを使った場合でも、LTEのデータ通信、音声通話やSMSなどが利用可能である。

このように、本機の通信機能は、SIMロック解除にも十分対応したモデルといえるだろう。

高い質感のボディに最新スペックを兼ね備えたモデル

この夏のAndroidスマートフォンは、オクタコアCPU、Android 5.0、SIMロック解除への対応など、技術面が大きく変更されており、これらの新しい要素は、製品を選ぶうえで大きなポイントになる。そうした観点で、このGalaxy S6 edgeを見ると、最新技術をもらさず取り入れており、今夏の高性能スマートフォンとして文句のない仕上がりだ。

さらに、個性的なエッジディスプレイによる手によくなじむボディや、WQHD対応ディスプレイといったアドバンテージもあり、かつてのハードウェアスペックで優位に立つGALAXYシリーズの持ち味が復活したと表現してもいいだろう。

このように、Galaxy S6 edgeは、シリーズの特徴であるハードウェア性能と、洗練されたデザインが融合した魅力的なモデルに仕上がっていると言える。高性能なスマートフォンを手に入れたいのであれば、この夏モデルの中でも「買いの1台」になることは間違いないだろう。

田中 巧(編集部)
Writer / Editor
田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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