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一瞬でロック解除! 「ARROWS NX F-04G」の虹彩認証の実力に迫る

スマートフォンやパソコンのセキュリティの重要性が高まっている。不正アクセスやアカウントの乗っ取りなど、セキュリティ問題が報道されない日はないほど、セキュリティは身近な問題となっている。スマートフォンに関しては、画面ロックをかけるのがセキュリティの初歩だが、パスワードを入力するのが面倒で、ロックをかけないで利用している人が少なくないのが現状だ。少し古いデータだが、2014年12月のMMD研究所の調査によると、スマートフォンにパスワードや指紋認証などによる画面ロックを設定している人は46.2%で、半数以上は画面ロックをかけていない状態で使っていた。

「面倒でなければ画面ロックをしたい」という人に注目してほしいのがNTTドコモの「ARROWS NX F-04G」だ。画面を見るだけで、ロック解除できる虹彩認証「Iris Passport(アイリス・パスポート)」を搭載した富士通製のスマートフォンだ。虹彩認証は、パスワードを覚える必要がなく、指紋センサーのように指を使う必要もない画期的な認証方式だ。今回は虹彩認証の使い勝手をくわしくチェックしたい。なお、本モデルの概要に関しては以下の記事を参照してもらいたい。

ARROWS NX F-04G

ARROWS NX F-04G

認証システムの部品を小型化して虹彩認証の搭載を実現

虹彩認証とは、指紋と同じ生体認証方式の1つ。瞳孔の外側にある虹彩と呼ばれる環状の部分の模様を読み取り、本人確認を行う技術だ。本モデルでは、赤外線LED照明で赤外線を照射し、赤外線カメラで眼球部分を撮影して、虹彩パターンを取得し、登録・照合する。他者受入率(他人の虹彩で認証を通過する確率)は10万分の1と、個人用の認証システムとしては信頼性が非常に高いのが特徴だ。富士通では、虹彩認証システムを構成する部品を小型化することで、スマートフォンへの搭載を実現した。赤外線を目に当てることを不安に感じる人もいるだろうが、光生物学的安全性試験(IEC 62471)を実施することで、目の安全に配慮している。

虹彩認証のメリットは、パターンやパスワードを覚える必要がないこと。パスワードをのぞき見される心配もない。富士通の携帯電話やスマートフォンに搭載されてきた指紋センサーに比べると、手袋をした状態でも使えるのがメリットだ。後述する「タッチでON」と併用することで、通勤電車の中につり革につかまったままで、片手でロック解除ができるのも便利な点だ。

本体正面の上部に虹彩認証用の赤外線LED照明と赤外線カメラを搭載する

本体正面の上部に虹彩認証用の赤外線LED照明と赤外線カメラを搭載する

パスワードや指紋センサーを利用するには、設定作業が欠かせない。一度設定すればいいことだが、意外とこの設定作業が面倒だったりする。本モデルの場合、虹彩認証という聞きなれない認証方式なので、どのような設定が必要になるのか気になるところだ。

本モデルには、虹彩認証がどのようなものかを体験できる「虹彩認証体験」アプリが搭載されているので、まずはこのアプリを使ってみるといいだろう。虹彩を登録の際の注意点は、(1)室内で登録すること、(2)メガネを着用している人はメガネをはずして登録することの2点だけ。赤外線LED照明が赤く光り、画面に表示される2つの丸に目が収まる距離に顔を近付ければ、虹彩の読み取りがはじまる。端末と目の距離は25cm前後が適正で、近すぎると目を離すように促される。

虹彩認証体験アプリ。登録が上手くいかない場合は、目を大きくあけたり、距離や角度を調節したりするとよい

虹彩認証体験アプリ。登録が上手くいかない場合は、目を大きくあけたり、距離や角度を調節したりするとよい

画面に表示された2つの丸の中に目が写るようにして登録する。読み取りには6秒ほどかかった

画面に表示された2つの丸の中に目が写るようにして登録する。読み取りには6秒ほどかかった

メガネやサングラスをかけていても使える?

実際にロック解除に虹彩認証を使ってみたい。「設定」から「ロック・セキュリティ」を選び、「セキュリティ解除方法」を選択し、「虹彩認証」をタップ。ここで虹彩を登録する。登録方法は虹彩認証体験アプリと同じだ。登録が完了したら虹彩と併用する解除方法(パターン、暗証番号、パスワード)を選んで設定する。虹彩認証が利用できない場合に必要になるので、忘れないようにしよう。

ARROWS NX F-04Gは、画面をタッチするとディスプレイが点灯する「タッチでON」機能を搭載する。これを併用すると、片手でロックを解除できる。ディスプレイが点灯すると、画面上部に目を合わせる位置が表示されるので、そこに目を映せば虹彩認証がスタートする。室内で試したところ、1秒もかからずにロック解除できた。そのスピードは以下の動画を見てもらいたい。

虹彩認証を利用するには、併用する解除方法が必須となる。虹彩認証ができない場合に必要となるので、パターンやパスワードは忘れないようにしよう

ARROWS NX F-04Gの虹彩認証を使ったロック解除。まさに一瞬で解除できた

メガネをはずして登録するのが推奨されているが、認証時はメガネをつけたままでも問題ない。試しに度入りのメガネをかけて試したが問題なく認証された。虹彩が隠れるため、認証できないとされているサングラスでも試してみたが、多少時間がかかったものの認証できた。登録時は両目を使うが、片目でも認証できたので眼帯を付けても問題はなさそうだ。赤外線LEDを照射するので、暗い所でも認証はできる。

いっぽう、認証しにくかったシーンは、明るい屋外。特に直射日光が目や端末に入っている場合は、上手く認証できなかった。その場合は、太陽に背を向けるか、自分の手でひさしを作るなど、端末と目の周りを暗くする工夫が必要となる。

メガネをかけても認証はできた

メガネをかけても認証はできた

サングラスの種類にもよるだろうが、手持ちのサングラスでは認証できた

サングラスの種類にもよるだろうが、手持ちのサングラスでは認証できた

スマホで撮影した写真と動画で認証できるか試してみたが、もちろん、どちらもダメだった

スマホで撮影した写真と動画で認証できるか試してみたが、もちろん、どちらもダメだった

「パスワードマネージャー」との連携で目がID・パスワード代わりに

虹彩認証はロック解除以外にも利用できる。便利なのは「パスワードマネージャー」との連携だ。ショッピングサイトやオンラインサービスのログインIDとパスワードの代わりに虹彩認証を利用できる。IDとパスワードをブラウザーに記憶させている人もいるだろうが、それではセキュリティが万全とは言えない。虹彩認証を使うことで、より安全にオンラインサービスなどを利用できるのだ。今は何をするにもIDとパスワードが必要となるケースが多いので、いくつもパスワードを覚える必要がないのはありがたい。

パスワードマネージャーに、ショッピングサイトやオンラインサービスのID(アカウント)とパスワードを登録しておけば、虹彩認証でログインできる(左)。docomo IDログインも虹彩認証で、画面を見るだけでログインできる(右)

ARROWS NX F-04Gの虹彩認証を試してみたが、非常に実用度が高いと感じた。虹彩は2歳までにパターンが決まり、その後は変わらないとされており、個人用の認証システムとしては信頼性が非常に高い。また、画面を見るだけで、一瞬でロックが解除できるスピードも特筆すべき点だ。最近は指紋センサーも指を滑らせる必要がなく、すばやくロックを解除できるが、画面を見るだけの虹彩認証のほうが、ロックを解除するために“何かをする”という行為がない分、自然にロックを解除できる。パスワードを入力するのが面倒というユーザーでも、虹彩認証なら不満なく使えるのではないだろうか。複数のショッピングサイトやオンラインサービスを利用している人にとっては、複数のIDとパスワードを覚えなくてもよいのもうれしいところだ。

なお、ARROWS NX F-04Gは、ハードウェアの一部不具合で一時販売を停止していたが、すでに不具合は解消済みで販売を再開している。虹彩認証が気になる人は、ドコモショップなどでぜひ体験してみてほしい。

三浦善弘(編集部)
Writer / Editor
三浦善弘(編集部)
出版社で月刊誌やWebメディアの編集・記者を経験し、2013年にカカクコム入社。「価格.comマガジン」にて、PCやスマートフォン分野を担当。取材歴は20年以上。現在は「価格.comマガジン」全体を統括する。
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