かねてから噂されていた、スマートフォン「iPhone」の新モデルが登場。米アップルは2015年9月9日(現地時間)、米国・サンフランシスコで新製品発表会を開催し、大画面タブレット「iPad Pro」とあわせて、iPhoneの新モデル「iPhone 6s」「同 6s Plus」を発表した。その特徴をくわしく見ていこう。
「iPhone 6s」
新しいiPhoneは、iPhone 6シリーズの後継モデルとなる、4.7型のiPhone 6sと5.5型のiPhone 6s Plusの2モデル。デザインはiPhone 6シリーズからほとんど変わっていないが、画面に加えた圧力を感知して、操作に反映できる新機能「3D Touch」を搭載するなど、中身が大幅に進化している。新色の「ローズゴールド」も加わった。発売は9月25日で、オンライストア「Apple Store」では9月12日の午後4時1分から予約を受け付ける。価格はiPhone 6sが86,800円から、iPhone 6s Plusが98,800円から(いずれも税別)。
3D Touchは、センサーで圧力を認識したことを、「Apple Watch」にも搭載されていた「Taptic Engine」による細かい振動で伝えてくれる。タップ、スワイプ、ピンチといったこれまでの横方向の操作に加えて、奥行き方向の操作が加わることで、iPhoneの操作の幅がぐっと広がることが予想される。この3D Touchを活かした操作が「Peek」(ちらっと見るという意味)と「Pop」だ。たとえば、メールボックスのリストから、見たいメールを選んで軽くプレスすると、ポップアップでメールの中身を見られる。もう少し深めにプレスすると、タップして開くのと同じように表示される。Webサイトへのリンクの中身をPeekでチェックすることも可能だ。
「クイックアクション」も3D Touchを使った新しい操作方法だ。電話アイコンやメッセージアイコンをプレスすると、よくやり取りする相手が表示される。マップアイコンなら、自宅への経路や周辺検索といった良く使うメニューが表示される。このほか、キーボードをプレスすると、トラックパッドに切り替わり、カーソルが使えるようになるなど、さまざまなシーンで3D Touchによる新しい操作が可能となる。どんな使い勝手なのか気になるところだ。
3D Touchを利用したクイックアクション。「Safari」ではリーディングリストやブックマークなどに素早くアクセスできるようだ
新色のローズゴールド
デザインはiPhone 6シリーズとほとんど変わっていないが、宇宙船に使われているものと同じグレードの7000シリーズアルミニウムを使うことで、iPhone 6s Plusで言われていた強度不足を解消した。本体サイズはiPhone 6シリーズから少しだけ大きく、重くなっている。iPhone 6sは67.1(幅)×138.3(奥行)×7.1(高さ)mm、重量が143g。iPhone 6s Plusは77.9(幅)×158.2(奥行)×7.3(高さ)mm、重量が192g。ディスプレイの解像度はiPhone 6シリーズと同じで、iPhone 6sが1334×750、iPhone 6s Plusが1920×1080。
カメラ機能も大きく進化している。「iSightカメラ」の画素数が800万画素から1200万画素へアップし、3840×2160/30fpsの4Kビデオの撮影も可能となった。また、写真を撮影した前後を動画で保存する「Live Photos」機能も搭載。撮った写真の好きな部分をプレスすると動画を再生できる仕組みも用意した。iPhone 6s Plusには、光学式の手ブレ補正を引き続き搭載する。インカメラの「FaceTime HDカメラ」も画素数が120万画素から500万画素にアップ。流行りのセルフィー(自分撮り)をより高画質で楽しめるようになった。さらに、ディスプレイを通常より3倍明るく発光させて、フラッシュとして利用する「Retina Flash」機能も追加されている。
プロセッサーには、第3世代となる64ビットアーキテクチャ「A9チップ」を採用。iPhone 6/6 Plusに搭載する「A8チップ」に比べて、CPUパフォーマンスが最大70%向上、描画性能は最大90%高速化した。センサーからの情報を処理する「M9モーションコプロセッサ」も引き続き搭載するが、A9チップに直接組み込むことで、パフォーマンスとバッテリー駆動時間を向上させている。バッテリー駆動時間は、iPhone 6シリーズから変わっていない。指紋認証機能の「Touch ID」は、第2世代となり、センサーの強化により、指紋を検知するスピードが最大2倍速くなった。
通信機能は、iPhoneシリーズでは初めて「4G LTE-Advanced」に対応。最大300Mbpsの通信速度を実現する。LTEは23ものLTE周波数帯をサポートする。Wi-Fiについては、MIMOテクノロジーを搭載することで、通信速度が従来モデルの2倍となる最大866Mbpsとなった。国内ではソフトバンク、KDDI(au)、NTTドコモの3社から発売される。米国では1年ごとに新しいiPhoneに乗り換えられる「iPhone Upgrade Program」をスタートするほか、競合のAndroidスマートフォンからの乗り換え時のデータ移行サービスを用意した。
なお、iPhone 6s/6s Plusには最新の「iOS 9」が搭載される。同OSは「iPhone 4s」など、古いデバイスでも利用できる。リリースは9月16日の予定だ。
iPhone 6s(左)、iPhone 6s Plus(右)