レビュー

5万円台の2in1パソコン「HP Pavilion x2」 USB Type-Cを採用した低価格モデルの実力は?

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日本HPの「HP Pavilion x2 10-n000」は、デタッチャブル型のWindowsタブレットだ。いわゆる“2in1タイプ”のモデルで、専用キーボードを装着すればノートパソコンとしても利用できる。価格.com最安価格は53,784円(2015年9月14日時点)。5万円台で購入できる手ごろなモデルではあるが、今後多くの機器への採用が見込まれるUSB Type-Cを採用するなど、安いだけのWindowsタブレットとは一線を画した意欲的なモデルだ。

日本HPのHP Pavilion x2 10-n000。着脱式の専用キーボードが付属し、ノートパソコンとしても、タブレットとしても利用できる。価格.com最安価格は53,784円(2015年9月14日時点)

プラスチックだがボディは価格以上の仕上がり

HP Pavilion x2 10-n000は、タブレット本体と専用キーボードを合体させることで、ノートパソコンのように利用できる10.1型のWindowsタブレットだ。同社は昨年2014年11月に同じ2in1タイプの「HP Pavilion x2 10-j000」を発売しており、こちらはカバータイプの簡易キーボードが付属していた(2015年7月で販売終了)。それに対して、本モデルはノートパソコンと同じような、しっかりしたキーボードが付属しており、よりノートパソコンに近いスタイルで使える。

タブレット本体は、ビビッドな赤色で若々しい印象だ。最近は黒、白、シルバーという定番色に加えて赤色のモデルをラインアップするメーカーが多く、色自体は珍しくない。プラスチック素材のきょう体は、金属ボディのような高級感はないが、安っぽくは見えない。額縁(ベゼル)は厚いものの、外側の赤色の部分が細く、スマートに見える。左右の額縁にスピーカーが搭載されているのも個性的だ。外観は価格以上の仕上がりだ。カラーは、今回試したサンセットレッドとブリザードホワイトの2色。どちらもタブレットの背面にはメタリックなHPロゴが付いている。

重量は約600gで、10型クラスのWindowsタブレットとしては少々重い。厚さは10.0mmだ。角張って見えるが、実際は持ちやすく、重量のバランスも悪くない。ソファやベッドの上でリラックスしながら使うのにはよさそうだ。バッテリー駆動時間は約10時間45分(連続動画再生時、無線LANオフ、輝度80%設定)。実際に試した体感では7時間は使えそうだ。

10.1型の液晶ディスプレイを搭載。額縁は厚いが、赤色の部分が細いため、スマートに見える。両手で持って使うのに適したサイズ感だが、スピーカーを塞いでしまうのが難点

重量は実測で598g。カタログ値よりも2g軽かった

重量は実測で598g。カタログ値よりも2g軽かった

背面にはHPロゴのバッジが付いている。ここだけは金属のような質感だ

背面にはHPロゴのバッジが付いている。ここだけは金属のような質感だ

右側面に搭載するWindowsボタンは小さくて押しにくい。ディスプレイ下部のHPロゴがWindowsボタンだったら、使いやすかっただろう

最新規格のUSB Type-Cを搭載

ディスプレイは10.1型のIPSパネルで、解像度は1280×800だ。このクラスでは一般的なスペックだが、IPSパネルを採用していることで、視野角が広く、縦向きでも、横向きでも色が変化することがなく鮮やかな色味で利用できる。ただ、AndroidタブレットやiPadに比べると、解像度は低い。価格を考えれば十分だが、高精細なディスプレイを見慣れていると、粗さが気になるかもしれない。

基本スペックはこのクラスでは標準的だ。CPUは「Atom Z3736F」(1.33GHz-最大2.16GHz)、メモリーはオンボードの2GB。ストレージには64GBのeMMCを採用する。OSは「Windows 8.1 Update(32ビット版)」だが、Windows 10への無償アップグレードの対象モデルとなっている。動作はキビキビしており、ブラウザーも軽快に動作する。スペック面での見どころは、ストレージ容量が多いこと。この価格帯のWindowsタブレットのほとんどが32GBのストレージを搭載しているので、64GBは大容量と言える。Windows 10へのアップグレードを考えるとありがたい。

ハードウェアおよびソフトウェアの性能をスコア化した「winsat formal」(Windows 8以前に「Windowsエクスペリエンスインデックス」と呼ばれていたもの)の結果。総合(SystemScore)は4で、このクラスとしては標準的なスコアだ

外部インターフェイスには、最新規格のUSB type-Cを搭載する。アップルの「MacBook」に搭載されたことで一気に注目度が高まっている端子だ。裏表どちらでも挿せてコンパクトなのが特徴だ。データ転送に利用できるのに加え、MacBookと同じように、充電用としても使う。データ転送速度はUSB2.0規格だが、microUSBポートと違い、裏表関係なく挿せるだけでも、なかなか便利だ。フルサイズのUSB2.0ポートも搭載しており、変換アダプターなしでUSB機器を利用できる。このほか、microSDカードスロットとMicro HDMI出力ポートなどを搭載しており、外部インターフェイスは充実している。

サウンド面では、B&O Playのスピーカーを搭載。B&O Playは、Bang&Olufsenのカジュアルブランドとして2012年に誕生し、スピーカーやヘッドホンなどを手がける。最近は空港などでもよく目にする。スピーカーは本体の左右に配置されており、横向きで使った場合にステレオで楽しめる。実際の音はバランスはとれているが、ボリュームを最大にしてもそれほど大きな音が鳴らない。バランスをとるためだと思われるが、もう少し大きな音が鳴ってほしかった。

右側面にUSB Type-C、フルサイズのUSB2.0、Micro HDMI出力ポート、microSDカードスロットを搭載する。左側面にはヘッドホン出力を備える。キーボード側には外部インターフェイスは一切ない

USB Type-CのACアダプター。microUSBと違い、裏表どちらでも接続できる。ちょっとしたことだが、ACアダプターは何度も抜き差しするものなので、なかなか挿せなくてイライラすることが減るのはありがたい

キーボードを含めると重量は約1.19kg

タブレット本体と専用キーボードはマグネットで合体する仕組みだ。強力なマグネットで、タブレット側を持ってもキーボードは外れない。また、ガイドが設けられているので、迷わず挿しこめるのもうれしい。Bluetoothタイプのようなペアリングの作業や充電の手間がないのも助かる。ただし、キーボードを装着した状態の重量は約1.19kgと少々重い。

ほかの2in1と同じように、テントなどさまざまなスタイルで利用できる。タブレット本体を表裏逆にしてキーボードに装着すれば、動画を見たり、テレビ電話をしたりするのに適したテントモードやスタンドモードで使える。

キーボードはコンパクトだが、17.3mmのキーピッチと1.5mmのキーストロークを確保。周囲の一部のキーはさすがに小さいが、メール程度であれば問題なく入力できる。気になる点は、カーソルキーの下に衝撃吸収用のゴムがあり、よく指に触れてしまこと。無意識に指が触れてしまうことがよくあった。

キーボードのキーピッチは17.3mm、キーストロークは1.5mm。さすがに窮屈だが、キーボードが傾斜する仕組みがあり、自然な姿勢でタイピングできる

最大傾斜時。これより奥に倒すと、タブレット本体が外れてしまうので注意したい

最大傾斜時。これより奥に倒すと、タブレット本体が外れてしまうので注意したい

タブレット本体とキーボードは強力なマグネットで固定される。タブレット本体を前後を入れ替えて固定すると、スタンドモード(左下)やテントモード(右下)で利用できる

キーボードを含めた重量は約1.19kg。実測では1.15kgだった

キーボードを含めた重量は約1.19kg。実測では1.15kgだった

まとめ

2in1タイプは、タブレットとしても、ノートパソコンとしても使えるのが魅力だが、モデルによってどちらかの色が強い。HP Pavilion x2 10-j000はタブレット色が強いのに対し、本モデルはノートパソコン色が強い。ノートパソコンとしての利用がメインで、ときどきタブレットとして使いたい人に注目してほしいモデルだ。Windows 10を試すために、手ごろなパソコンを探している人にとっても本モデルは適しているだろう。

このクラスの製品は競合が多く、スペックは横並びという状態だ。日本エイサーやASUS、マウスコンピューターなどから、同じような製品が発売されている。低価格なモデルはコストを重視するためにデザインが二の次になっているモデルが多い。そんな中、HP Pavilion x2 10-j000は、若々しいカラーリングとスマートなデザインが目を引く。金属を使った今風のデザインではないが、クオリティは価格以上だ。USB Type-Cをいち早く採用したのも見逃せない。今のところ、大きな恩恵はないが、対応機器が増えてくれば、便利に使えるはずだ。なお、Officeを搭載したモデルもラインアップするので、仕事や勉強にOfficeソフトが必要な人はOfficeモデルを検討するといいだろう。

三浦善弘(編集部)
Writer / Editor
三浦善弘(編集部)
出版社で月刊誌やWebメディアの編集・記者を経験し、2013年にカカクコム入社。「価格.comマガジン」にて、PCやスマートフォン分野を担当。取材歴は20年以上。現在は「価格.comマガジン」全体を統括する。
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