東芝は2015年10月13日、新型タブレット端末「dynaPad N72」を12月中旬に発売すると発表した。12型の液晶ディスプレイを搭載したWindowsタブレットで、厚さが6.9mm、重量が約569gと薄型・軽量なのが特徴だ。同社によると、12型クラスのWindowsタブレットとしては世界最薄・最軽量という。ワコム製のアクティブ静電結合方式ペンと自社製のノートアプリを搭載するほか、専用キーボードが付属しており、ノートパソコンとしても利用できる。市場想定価格は13万円前後の見込み。
重量が約569gのdynaPad N72
dynaPad N72の一番の特徴は、12型のタブレット端末としては非常に軽いことだ。重量は約569gで、アップルが11月に発売する12.9型の「iPad Pro」(Wi-Fiモデル713g)や、マイクロソフトが10月26日に米国で発売する12.3型の「Surface Pro 4」(Core m3モデル766g)よりも軽い。画面サイズや搭載するOSおよびCPUに違いはあるが、主要な12型クラスのタブレット端末と比べると断トツで軽い。
この軽さの理由は、カーボン素材と樹脂による一体成型構造にある。東芝のパソコンといえばマグネシウム合金を使ったモデルが多いが、今回は軽くて丈夫なカーボン素材と樹脂を一体成型構造にすることで、軽量化と高い強度を両立。一体成型構造を用いることで、一般的な構造に比べて4倍の剛性を実現しているという。薄型ボディだが、microUSBポートを2基備えるなど、外部インターフェイスが充実しているのも見逃せない。
ディスプレイは、B5ファイルサイズのいわゆる大学ノートと同等サイズとなる12型。縦横比は3:2で、解像度は1920×1280。表面には、照明などの映りこみを軽減するアンチリフレクションコーティングと耐指紋コーティングを施している。手書きにもこだわっており、ペン先が直径1.0mmのワコム製アクティブ静電結合方式(AES)ペンを採用することで、小さな文字も書けるようにした。
dynaPad N72
薄さ2mmの新型の薄型液晶を採用。液晶とガラスの隙間がほとんどないダイレクトボンディングを用いることで、手書き時の視差を抑えている
基盤は片面実装で1.9mmの薄さを実現
カーボン素材と樹脂の一体成型構造を用いることで、薄型、軽量、堅牢なボディを実現した
アクティブ静電結合方式のペンだけでなく、画面に特殊コーティングを施すことで、紙のような書き味を実現している。筆圧は2048段階
dynaPad N72で描かれたイラスト
付属のペンは本体の側面に取り付けられる
dynaPad N72には専用キーボードが付属しており、ノートパソコンとしても利用できる。キーボード装着時の重量は約996gで、1kgを切る軽さを実現。19mmのキーピッチと1.5mmのストロークを確保しているほか、パームリジェクション機能付きのクリックパッドを搭載するなど、ノートパソコンとしての使い勝手にもこだわった。タブレット端末との接続は専用のピンで接続する仕組みで、Windows 10の「Continuum(コンティニュアム)」をサポートする。
主な仕様は、CPUが「Atom x5-Z8300」(1.44GHz-最大1.84GHz)、メモリーが4GB、ストレージが128GBのSSD。OSは「Windows 10 Home 64ビット」を採用する。無線通信には、IEEE802.11ac/a/b/g/n準拠の無線LAN、Bluetooth、TransferJetを備える。外部インターフェイスは、microUSB×2、microHDMI、microSDカードスロットを搭載。バッテリー駆動時間は約7時間。本体サイズと重量は、タブレット端末が約299.4(幅)×203(奥行)×6.9(高さ)mm、約569g。キーボードドック装着時が約299.4(幅)×203(奥行)×14.9(高さ)mm、約996g。
キーボードと合わせても重量は約996g。キーボード側には、バッテリーや外部インターフェイスは搭載しない
タブレット端末とキーボードはマグネットで付いており、スライドすると外れる
純正アプリとしては、「TruNote」「TruNote Clip」「TrueCapture」「TruRecorder」「TruNote Share」「TruNote Viewer」の6つを用意した。ノートアプリのTruNoteは、付属のペンで書く、消す、移動の基本操作が可能。最大1000冊、各1000ページのノートをとれる。手書き文字を手書きで検索したり、手書き文字をテキスト変換したりできるなど、多機能なノートアプリだ。新開発のTruNote Clipは、付属のペンのサイドボタンをダブルクリックして画面をキャプチャできるアプリだ。
カメラアプリのTrueCaptureとボイスレコーダーアプリのTruRecorderは、同社のタブレット端末に搭載済みのアプリだ。新開発のTruNote Shareは、手書きのノートを複数メンバーで共有できるアプリで、アクセスポイントを使用した場合は最大40人まで同時に接続できる。TruNote Viewerは、TruNoteの内容をスマートフォン(スマホ)で確認できるスマホ用のアプリ。スマホで撮影した写真や録音した音声データを、マイクロソフトのオンラインストレージ「OneDrive」を経由して、TruNoteに取り込める。
このほか、マイクロソフトの「Office Home and Business Premium+Office 365」も搭載する。
TruNote Share
TruNote Viewer
10月13日に開催された発表会では、東芝パーソナル&クライアントソリューション社の統括技師長の柏木和彦氏(左)がdynaPad N72の技術的な特徴をくわしく説明した。右は、ゲストとして登壇したマイクロソフトのエグゼクティブバイスプレジデントのテリー・マイヤーソン氏