アナログ時計のバンド部分に電子マネー機能などの厳選した3つの機能を搭載!

ありそうでなかった! アナログ時計にデジタル機能を融合したソニー「wena wrist」を使ってみた

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ソニーの新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program」から生まれた「wena wrist (ウェナ リスト)」。見た目はアナログ時計ながら、バンド部にバッテリーや電子マネー機能を搭載し、スマートフォンと連携して使える腕時計型のウェアラブル端末だ。同社の運営するクラウドファンディング&Eコマースサイト「First Flight(ファースト・フライト)」でクラウドファンディングを実施し、瞬く間に目標金額を達成。クラウドファンディングで大きな成功を収めたことで、6月30日からは待望の一般販売がスタートし、大きな注目を集めている新ジャンルのガジェットだ。さっそく試用する機会を得たので、使い勝手などをチェックしてみた。

見た目はシンプルなアナログ時計そのもの。バンド部分に時計以外の機能をすべて集約

wena wristは、ソニーの新規事業創出プログラムから生まれたこれまでにないまったく新しい腕時計型のウェアラブル端末だ。近年、アップル「Apple Watch」やソニー「SmartWatch」、ASUS「ZenWatch」など、スマートウォッチと呼ばれる液晶ディスプレイを備えたウェアラブル端末が人気を博しているが、wena wristがこれらスマートウォッチと大きく異なるのが、時計のヘッド部は時計として機能し、ベルト部にウェアラブル端末としての機能を備えていること。腕時計の伝統的なスタイルはそのままに、スマートフォンと連携してウェアラブル端末としても機能するというのが大きな特徴となっている。

wena wristの見た目はアナログ腕時計そのもの。アナログ時計を強く意識した製品ということで、高級腕時計のようなシンプルで高級感のあるパッケージに収められている。ちなみに、“wena”というブランド名は最先端の技術をより自然に身に着けてほしいという “wear electronics naturally”からきている。シンプルな見た目のアナログ時計に、スマートフォンと連携する最先端の技術を詰め込んだwena wristのコンセプトにまさにぴったりなブランド名だ

wena wrist には、シンプルな文字盤を採用した3針タイプの「Three Hands(スリーハンズ)」と、ストップウォッチ機能を備えた「Chronograph(クロノグラフ)」の2タイプがあり、それぞれSilverとBlackの2色のカラーバリエーションが用意されている。今回試用したのは、Silver カラーのChronographタイプ「Chronograph WN-WC01S」だ

スマートウォッチにはないアナログ腕時計ならではの伝統的なスタイルこだわったということもあり、時計の顔となるヘッド部を含め、本体デザインは実際に腕時計のデザイン実績のある社内デザイナーが担当。クオーツ時計を使用したヘッド部はシチズンが設計・製造を担当しており、見た目はシンプルなアナログ時計そのものだ。

ヘッド部は、シチズンが設計・製造を担当。シックでシンプルなデザインは、どんなファションにも合わせやすい

いっぽうで、wena wristは「FeliCa(フェリカ)」を活用した電子マネー機能、内蔵LEDとバイブを使った通知機能、内蔵センサーを使ったログ機能の3つのウェアラブル機能を備えている。一般的なスマートウォッチの場合、こういった機能を時計のヘッド部にあたる小型液晶ディスプレイに集約しているわけだが、wena wristはアナログ腕時計としての佇まいを損なわずにこれらの機能を実現するため、ベルト部にメイン基盤やバッテリーなどのすべてを集約する形を採用している。これまでのスマートウォッチとはまったく逆の発想で、これがwena wristの面白いところでもある。

バンド部に時計以外の機能を集約。ヘッド部に機能を集約しているスマートウォッチとは正反対の設計で非常に面白い

時計のヘッド部とバンド部が別々になっているおかげで、万が一バンド部のバッテリーが切れても時計としてしっかりと機能してくれるし、将来的にはヘッド部をそのままにバンド部のみを交換して機能を最新にしながら使い続けたり、逆にヘッド部を交換することでデザインを変えて楽しむといったことができるというわけだ。

しかもwena wristがすごいのが、これだけのウェアラブル機能を腕時計の一般的なバンド部と同等サイズに収めたということだ。一般的な腕時計の場合、電気的な仕組みがバンドに搭載されることはないため、バンド部に防水対策が必要になることもなく、バンドの厚みも特に気にすることはないのだが、wena wristの場合はメイン基板やバッテリーをこの限られたスペースに配置するため、バックル部分にメイン基板や通信装置を、バックルにつながる2つのパーツにバッテリーを分散配置するなど、かなり緻密に設計されている。

3Dプリンターによる試作を繰り返し行い、現在の製品の形に徐々に詰めていったという

3Dプリンターによる試作を繰り返し行い、現在の製品の形に徐々に詰めていったという

wena wristのバンド部の分解図。独自の特許技術で部品を分散配置している

wena wristのバンド部の分解図。独自の特許技術で部品を分散配置している

幅22mmのベルトにウェアラブル端末に必要な機能を無駄なくキレイに配置することで、腕時計として自然な見た目を実現している

ほかにも、時計のヘッド部やバンド部の素材は、高級腕時計にも採用されているステンレス素材「SUS316L」が使用されているのだが、スマートフォンとBluetooth通信で連携するデバイスにとって、ステンレス素材の筐体は電波を妨げる非常にやっかいな存在でしかない。しかしwena wristでは、独自の特許技術でこの問題をクリア。バンドの留め具の一部に樹脂製パーツを設けて絶縁することで、ステンレス素材でも通信に悪影響を及ばせないようにしている。こういった細かな作り込みは、ソニーのこれまでのものづくりで培ってきた技術が大きく役立っているという。

バンドの留め具の一部に樹脂製パーツを設けて絶縁し、バックルそのものをアンテナに見立てることで、ステンレス素材でも安定したBluetooth通信を実現している。腕に取り付けたときに樹脂製パーツが内側に配置されるようになっているので、シンプルな時計のデザインを損なわないのもうれしい

ちなみに、バッテリーの充電はクリップタイプの専用充電器を使用する。一般的なスマートウォッチだと、ケーブルを本体に差し込んで充電するものが多いが、wena wristでは腕時計としての見た目の美しさとバンド部分の防水性を確保するため、バックル部に設けられた接点を専用充電器で挟みこむような形で充電するようになっている。

なお、wena wristにはスマートフォンとの連携機能を使える「通常モード」、スマートフォンと連動せず、wena wrist単体でおサイフ機能やログ機能を使える「単体モード」、おサイフ機能のみ使える「おやすみモード」の3つの動作モードが用意されているが、1日24時間のうちそれぞれ8時間使用した場合で、最長約1週間の連続駆動が可能。おやすみモードだけで運用するのであれば、約1か月程度バッテリー駆動が可能だという。もちろん、時計部分はボタン電池で駆動するアナログ腕時計なので、Three Handsモデルで3年、Chronographモデルで5年動作する。

wenaのバッテリー充電に使用するクリップタイプの専用充電器。充電器にmicroUSBケーブルを挿入し、バンド部に設けられた接点部分を挟み込むように装着することで充電できる

電子マネー機能をすべて使えるのはiOSデバイスのみ(※)。通知機能は主張しすぎないところがさりげなくてGood!

ここからは、wena wristに搭載されている「FeliCa(フェリカ)」を活用した電子マネー機能、内蔵LEDとバイブを使った通知機能、内蔵センサーを使ったログ機能の3つのウェアラブル機能を順番にみていこう。なお、wena wristでは、スマートフォンとの連携に専用のiOS/Androidアプリ「wenaアプリ」を利用するが、電子マネー機能のみ、フェリカネットワーク社の提供するiOS アプリの「おサイフリンクアプリ」が別途必要となる。
※ソニー「First Flight」のオンラインショップでは、「楽天Edy初期設定代行サービス(有料)付き商品」と呼ばれる製品が用意され、楽天Edy初期設定済みのwena wristを入手できる

スマートフォンとの連携にはwenaアプリを使用。バンド部に刻印されているシリアルナンバーを使ってペアリングする形だ

電子マネー機能

まずは、wena wristの目玉機能ともいえる電子マネー機能だ。バンド部のハードウェアの解説でも軽くふれたが、wena wristのバンド部にはFeliCaが内蔵されており、手首をかざすだけでおサイフケータイ対応サービスを利用できる。この機能を実現するのが、フェリカネットワークス社が提供するiOSアプリ「おサイフリンクアプリ」だ。おサイフリンクアプリと聞いてピンときた人もいるかと思うが、wena wristではNTTドコモがiPhoneユーザー向けに販売している「おサイフケータイ ジャケット01」とまったく同じ仕組みを利用している。

現在、おサイフリンクアプリではプリペイド型電子マネーの「楽天Edy」、ポストペイ型の電子マネー「iD」「QUICPay」、ANAの飛行機搭乗で使う「スマートフォンSKiPサービス」、ヨドバシカメラのポイントサービスを利用できる「ヨドバシカメラ ゴールドポイントカード」、dポイントを貯めたり使ったりできる「dポイントカード」の6つのサービスを利用できる。事前にチャージする形の楽天Edyのみ、iOSデバイスにインストールしたおサイフリンクアプリに事前に紐付けさえしておけば、iOSデバイスを一緒に持ち歩かなくても、現金でのチャージやレジでの支払いを利用できる。

wena wristでは、iOS向けに配信されているおサイフリンクアプリを活用し、電子マネー機能を実現している。実際にiPhoneにおサイフリンクアプリをインストールして楽天Edyを登録してみたが、登録自体は指示通り行えばできるので非常に簡単だ。なお、クレジットカードからの楽天Edyチャージは、クレジットカードを登録した翌日正午から使用可能となっており、登録直後には使用できないので、使う場合は早めに登録しておこう

なお、wenaのオンラインショップでは、「楽天Edy初期設定代行サービス(有料)付き商品」と呼ばれる製品が用意されている。こちらは、出荷前のwena wristにあらかじめ楽天Edyの初期設定を行い、Androidデバイスしか所有していないユーザーでも楽天Edyを利用できるというものだ。iOSデバイスを所有していないが、電子マネー機能を使いたいというユーザーは、こちらを利用してみるのもいいだろう。

Androidデバイスしか所有していないユーザーで楽天Edyを使いたいなら、公式サイトから購入できる「楽天Edy初期設定代行サービス(有料)付き商品」を選択しよう

腕をかざすだけで決済できるというのはこれまでのウェアラブル端末にないまったく新しい体験で、シンプルながらその着眼点は非常に素晴らしく、まさに近未来を感じさせてくれる。いっぽうで、現状でもいくつか課題がある。たとえば、iOSデバイスユーザーでしかおサイフケータイサービスの登録や解除が行えない点だ。Androidデバイスでも、、「楽天Edy初期設定代行サービス(有料)付き商品」などを利用し、iOS端末で設定さえしてしまえば、Edy、iD、quicpayの3つとも使用することはできるが、やはりAndroid端末のみでおサイフケータイサービスの登録や解除が完結するようになってほしいところではある。また、wenaアプリ自体がおサイフケータイで一番メジャーなSuicaに対応していない点も残念だ。いずれも、ソニー側というよりかは、おサイフリンクアプリを提供するフェリカネットワークス社側での対応が追いついていないというのが問題なので、致し方ない部分ではあるのだが、ぜひこの2つに付いては今後の課題として解決していって欲しいところだ。

楽天Edy はプリペイドタイプの電子マネーのため、初期登録さえしておけば、iOSデバイスがなくても使える。コンビニや自販機でお財布を出さす、腕だけかざして決済できるというのはかなりカッコイイ

通知機能

wena wristには、スマートフォンに届いた通知をLEDとバイブを使って知らせてくれる通知機能が用意されている。通知機能はwenaアプリで設定でき、通知する色や通知のON/OFFをアプリ単位で設定することが可能だ。

通知機能はwenaアプリで設定可能。7色のLEDにどのアプリの通知を紐付けるかや、アプリごとの通知のON/OFFをカスタマイズ可能だ

実際に通知機能を使ってみたが、通知を受けるとほんのりとLEDが光りだし、あれだけコンパクトなバンドにも関わらず、バイブもしっかりと感じ取れる程度に震えてくれる。ほかのスマートウォッチのように表示用のディスプレイを搭載していないため、誰から電話や通知が来たのかなどはわからず、正直派手さはまったくないが、腕時計として自然に溶け込みつつ、ライフスタイルを邪魔しない程度にさりげなく通知してくれるのはやはりうれしい。

バイブ用のモ-ターもバックルに内蔵している。モーターの向きを変え、震える方向を水平に変えてやることで、腕に付けた状態でもしっかりと震えを感じられるようになっている

ログ機能

最後にログ機能だ。こちらも通知機能同様、wenaアプリを通じて利用できる。最近のリストバンドタイプの活動量計の中には多数のセンサーを内蔵し、アクティビティ中の心拍数や睡眠時間まで計測できるものまであるが、wena wristのログ機能は歩数、消費カロリー、移動距離の3種類と非常にシンプルだ。

なかにはシンプルすぎるというという意見もあるだろうが、むやみやたらにセンサーを搭載せず、厳選した機能に絞ったことで、ログ機能を搭載したリストバンドタイプの製品の中でもトップクラスの約1週間というバッテリー駆動を実現しているわけで、アナログ腕時計として使うことを考えても、これくらいの機能で必要十分な気がする。

また、wenaはできるだけ持ち物を減らしてシンプルにしたいという思想に基づいて設計されたというが、ログ機能が腕時計と一体化したことで、これまでのように腕時計とリストバンドタイプの活動量計の2つのデバイスを身に付ける必要がなくなったという点も地味にうれしいポイントといえる。

ログ機能は、wenaアプリで設定や確認可能だ。計測できる機能が歩数、消費カロリー、移動距離の3つしかない分、アプリも非常にシンプルで見やすい。ちなみに、消費カロリーについては、wenaアプリで最初に登録する身長と体重から計算される仕組みだ

まとめ

スマートフォンが1人1台当たり前になった現代においても、腕時計というデバイスは、スタイルをまったく変えずに存在している。それくらい人々の生活に密着している腕時計というデバイスに最先端の技術を融合し、“シンプルだけど便利”を実現したwena wristは、これまでにありそうでなかったまったく新しいウェアラブル端末といえるだろう。

おサイフケータイ機能の初期設定にiOSデバイスが必要であったり、モバイルSuicaが現時点で使えないなど、機能面の改良の余地は多少残ってはいるものの、時計としてのシンプルなデザインや、さりげなく通知してくれるスマートフォン連携機能など、ライフスタイルに寄り添ったプロダクトデザインは、これまでのスマートウォッチになかったwena wristならではの魅力だ。今後は、より小さくて薄いバンドの開発やwenaアプリの機能改善、さまざまなメーカーとのコラボしたラインアップの拡大などに取り組んでいきたいということなので、今後の製品展開にも目が離せなさそうだ。

遠山俊介(編集部)

遠山俊介(編集部)

PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。最近はもっぱらカスタムIEMに散財してます。

製品 価格.com最安価格 備考
wena wrist Chronograph WN-WC01B [プレミアムブラック] 75,373 アナログ時計にデジタル機能を融合した腕時計型ウェアラブル端末(Chronograph/Black)
wena wrist Chronograph WN-WC01S [シルバー] 64,573 アナログ時計にデジタル機能を融合した腕時計型ウェアラブル端末(Chronograph/Silver)
wena wrist Three Hands WN-WT01B [プレミアムブラック] 53,773 アナログ時計にデジタル機能を融合した腕時計型ウェアラブル端末(Three Hands/Black)
wena wrist Three Hands WN-WT01S [シルバー] 46,213 アナログ時計にデジタル機能を融合した腕時計型ウェアラブル端末(Three Hands/Silver)
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2017.2.28 更新
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