シェーバーの3つの主要ブランドからセレクト。パナソニック「ラムダッシュ」(写真中央)、ブラウン「シリーズ3」(写真左)、フィリップス「5000シリーズ」(写真右)から、価格は1万円前後で防水設計(IPX7)の最新モデルを集めた
春は、新生活スタートの季節。新しい環境に慣れることに必死なこの時期、毎朝の身支度にかける時間は短縮したいものだ。なかでも、ヒゲ剃りは毎日のように行うため、短時間で効率よく剃れるモデルを選びたい。選び方に失敗すると、肌トラブルを抱えることになるから注意が必要だ。
たとえば、筆者のようにヒゲがあまり濃くなくまばらに生え、さらに肌が弱めの人とって、4〜5枚刃の上級シェーバーは実はオーバースペック。スピーディーに深剃りはできるものの、やり過ぎて肌を傷つける可能性があるからだ。そういった恒常的な肌への負担は、肌トラブルを引き起こし肌の老化の進行を早め、しまいには“老け顔”の原因にさえなりかねない。
そこで、“毎日のように剃らなくてはならないけれど、ヒゲが薄めの人”に向けて、お手頃価格1万円前後の風呂剃りモデルを主要ブランドからピックアップ。風呂剃りモデルを選んだ理由は、忙しい朝に“朝シャン”ついでに剃れるからだ。また、風呂剃り、いわゆるウェット剃りは、摩擦抵抗を減らすため肌にやさしく、使用後の肌のヒリつきも少ないとされているため、肌が弱い人にももってこいなのだ。ここでは、筆者が実際に3日間伸ばしたヒゲを同じ手法で風呂剃りし、その使い心地や剃り残しの量などを中心にレビューする。
01
パナソニック
「ラムダッシュES-ST2P」
価格.comの売れ筋ランキングNo.1モデル(2017年4月24日時点)の後継機が2017年5月1日に発売。カラバリは白、赤(写真)、黒の3色で展開
02
ブラウン
「ブラウン シリーズ3 3080s-B」
2016年2月に発売されたモデルで、価格.com売れ筋ランキングでも常に上位にランクイン中。現在は、シェービングフォーム付き「ブラウン シリーズ3 3080s-B-P」が発売中。カラバリはブラック/ブルー(写真)、ブラック/グレーがそろう
03
フィリップス
「5000シリーズ S5251/12」
風呂剃りに対応する5000シリーズの最新モデル。上記2モデルが往復式であるのに対し、同モデルは回転式の3点ヘッドを採用するのが特徴
[剃り比べの方法]
3日間伸ばしたヒゲを風呂場で3分間かけて剃る。同じシェービングジェルを使用。
チェックする項目は下記の通り。
・操作性……重量、バッテリーの持ち、ハンドルの形状
・剃り心地……肌への密着感、剃れるスピード
・深剃り具合……剃った後の口やあごの周囲の状態
・肌へのやさしさ……剃った後の肌の状態
・メンテナンス性……洗いやすさ、洗うステップ数
上記5項目を1〜5点の5段階、計25点満点で評価する。
筆者が3日間伸ばしたヒゲの状態。どちらかというと、伸びるスピードは遅いし、くせヒゲは少ないほうだと思う。そして、肌は弱く、T字カミソリや電気シェーバーのタイプによっては、口の周り全体が赤くヒリヒリ状態になることもある。人によっては、1日でここまで伸びる人もいるだろう
「ラムダッシュES-ST2P」は、同社のカミソリシェーバーブランド「ラムダッシュ」の防水設計3枚刃タイプ。シェービングフォームの泡やジェルを肌に届きやすくする「泡スルーヘッド」を採用し、肌にやさしいスムーズな剃り心地を実現する。また、「ヒゲセンサー」により、ヒゲの濃さに合わせて剃る力を自動でコントロールできるのがうれしい。
丸みを帯びた刃面「マルチフィットアーク刃」が肌に無理なく密着。内刃には「30°鋭角ナノエッジ内刃」を採用し、硬いヒゲもスパッとカットする。刃の手前の白い凹凸が「泡スルーヘッド」。逆側にも搭載される
本体背面には、45°の鋭角刃「シャープトリマー」を搭載。モミアゲをそろえたり、長く伸びたヒゲをプレシェービングしたりできる
丸みを帯びた刃面「マルチフィットアーク刃」が肌にやさしくフィットしていると感じられた
「肌にやさしい感触でスムーズに剃り上げられた」というのが使用後の印象。本体が軽いうえに、グリップが持ちやすい形状のため逆手持ちも可能。剃る場所に合わせた持ち替えもスムーズに行えた。T字カミソリのように操作できるという点で言えば、T字から移行したい人でもすぐに使い慣れるだろう。剃った後もつっぱった感じやヒリヒリ感も皆無だった。剃った部分を手で確認すると、口周りや頬はツルツルになったが、耳たぶ近くのあごのラインやあごからのど仏にかけての首にほんの少し剃り残しがあった。
[使用後のメンテナンスのステップ]
(1)ハンドソープ類を濡れた外刃に付ける
(2)電源オンで数秒泡立てる
(3)「洗浄切替シャッター」を下げる
(4)ヘッドを流水に差し入れて十分にすすぐ
(5)電源オフ
(6)タオルなどで水滴を拭き取って自然乾燥
(7)専用オイル(付属)を付ける
朝、自宅の風呂場で3分間剃って、出社後の午前中に撮影。赤みはまったくないが、あごの端に剃り残しが2本見える。写真ではわかりづらいが、あごの下も少しチクチクが残った
操作性や肌へのやさしさは抜群! 掃除に7ステップかかるものの、刃に塗る専用オイルが付属していることからメンテナンス性は4とした
「ブラウン シリーズ3 3080s-B」は、世界で最も売れている往復式シェーバー「ブラウン シリーズ」の風呂剃り対応3枚刃モデル。ヘッド中央の内刃の脇には「マイクロコーム」を搭載し、ヒゲを取り込み、効率的なシェービングが可能だ。しかも、「3連サスペンションヘッド」を採用し、上下に浮き沈みする3つの独立した刃があらゆる曲面にフィットする。
ワンプッシュで片方(写真では右側)の網刃を引っ込ませてロックが可能。ヘッドがスリムになり、下あごや鼻の下など、剃りづらい場所が簡単に剃れるようになる
もみあげやヒゲを整える「キワゾリ刃」を搭載。刃を上に向けてスライドさせるだけで剃れる
刃がまっすぐで、頬に広めに密着する
「しっかり剃れたような感じがする」というのが、使用後の印象。平らな「3連サスペンションヘッド」の端から端までが皮膚にグッと密着してくるので、グイグイ剃れているという感触が気持ちいい。実際、口周りや頬は2〜3往復で、見た目にもほとんど剃り上がっていた。220gと3モデルの中で一番重いのが気になっていたのだが、意外に手にしっくりくる。また、グリップ部が湾曲しているため、手のひらにフィットするのもよかった。剃った後の肌のヒリヒリ感もなし。手で触って確認すると、口周りや頬はツルツルに仕上がっており、気になる剃り残しはなかった。
[使用後のメンテナンスのステップ]
(1)ハンドソープを濡れた外刃に付ける
(2)電源オンで数秒泡立てる
(3)ヘッドを流水に差し入れて十分にすすぐ
(4)数秒作動させたままで水滴を落とす
(5)電源オフ
(6)刃を取り外して自然乾燥
(7)潤滑油(別売)を塗布
口周りや頬はツルツルで、目立つ剃り残しはほぼなし
剃り心地や深剃り具合は、好印象でともに最高点。洗浄に7ステップ必要なうえ、潤滑油が別売だということを踏まえて、メンテナンス性は3に
「5000シリーズ S5251/12」は、5方向に可動する3つのヘッドを搭載した風呂剃りモデル。ダブルカッターによる「スーパーリフト&カット機能」を搭載し、各ヘッドの1 枚目の刃でヒゲを根元から引き上げ、2 枚目の刃で快適に深剃りできる。さらに、ヘッド表面の「マルチプレシジョンブレードシステム」がカットの際にヒゲをすべて起こすため、少ないストロークでシェービングが完了するものうれしい。
ディスプレイには、 1 段階充電残量をはじめ、クリーニング、充電催促、ヘッド交換催促、ロックなどの各種情報が表示されてわかりやすい
トリミング用に着脱式のトリマーが付属。口ヒゲやもみあげをお手入れできる
3つのヘッドが、顔の形に合わせて角度を変えるのが実感できた。あごにもしっかりフィット
ラムダッシュとブラウンが往復式であるのに対して、「5000シリーズ S5251/12」は回転式。ヘッド部分が小さな円を書くように本体を動かしながら皮膚の上を滑らせて剃る。T字カミソリや往復式シェーバーを使っていた人は最初とまどうかもしれないが、一度使えばすぐに慣れるはずだ。そして何より、3点のヘッドが立体的に皮膚に接地するため、肌へのフィット感が抜群で、やさしく、でもまんべんなく剃れている印象があった。グリップ部も持ちやすい形状で文句なし。しかし使用後、見た目にはほとんどわからないのだが、手で触ってみると全体的に剃り残しが若干気になった。
(1)シェービングユニットをぬるま湯で約30秒洗う
(2)シェービングユニットを開く
(3)シェービングユニットの内部をぬるま湯で約30秒洗う
(4)自然乾燥
頬に若干、短い剃り残しが点在している。とはいえ、近距離でないと見えない程度。あご周りはきれいに剃れている
深剃り具合は3にしているが、他の2モデルとは僅差
始めに結論から言うと、しっかり剃りたい人は「ブラウン シリーズ3 3080s-B」、とにかく肌にやさしいモデルがいい人は「5000シリーズ S5251/12」、その2つの特徴のバランスがほどよく取れているのが「ラムダッシュES-ST2P」だ。とはいえ、個人差はあると思うが、3モデルとも風呂剃りで使えば、肌が弱めの人でも問題なく使えることがわかった。となると、あと3モデルを分けるのは細かいスペック。たとえば、「ブラウン シリーズ3 3080s-B」と「5000シリーズ S5251/12」には、携帯ケースが付属する。充電器は入らないものの、1泊程度の出張などであれば本体だけケースに入れて持っていける。バッテリーに関しては、使用日数(1日1回3分として)は「ラムダッシュES-ST2P」が約14日間(1日1回3分)、「ブラウン シリーズ3 3080s-B」が約15日間、「5000シリーズ S5251/12」が約13日間とほとんど差はなし。あと留意しておきたいのが、「5000シリーズ S5251/12」は、メーカー保証が2年間(ほか2モデルは1年間)あるということだろう。
月刊アイテム情報誌の編集者を経て価格.comマガジンへ。家電のほか、ホビーやフード、文房具、スポーツアパレル、ゲーム(アナログも含む)へのアンテナは常に張り巡らしています。映画が好きで、どのジャンルもまんべんなく鑑賞するタイプです。