世の中のライフスタイルにあわせて、家電のトレンドもさまざまに変わる。持っているとステータス感が出る“ドヤ家電”なんかもここ1〜2年話題になっていたが、最近にわかに盛り上がりつつあるのが“おひとりさま家電”だ。家族みんなで使える高性能モデルではなく、ひとり暮らしで無駄なく使えるコンパクトな家電へのニーズが高まっている。
そこに目を付けたのが、株式会社エスキュービズム。ひとり暮らし層にリーチする家電開発を行う同社から、今後発売される新製品をチラ見せしてもらったのでご紹介したい。
こちらが、エスキュービズムが現在開発中の“おひとりさま家電”。かくなる筆者も独身単身世帯でして、“おひとりさま家電”の盛り上がりを実感している
エスキュービズム(S-cubism)ではこれまでに、液晶テレビやDVDプレーヤー、冷蔵庫やカキ氷機まで、幅広い家電を手がけてきた。いずれも、“ROOM(小部屋)”をテーマに、小部屋への設置を前提に開発しているもの。機能性を割り切ることで価格帯を抑え、ネットでも気軽に購入しやすい製品が多い。同社ではそれを“ミノタケ家電”(=身の丈にあった家電)と呼んでいる。
そんなエスキュービズムが8月に発売するロボット掃除機「SCC-R05GM」は、コンパクトなスクエア型が特徴的なモデル。本体サイズ274(幅)×32(高さ)×281(奥行き)mm(エッジブラシ装着時)、重量0.8kgという小型軽量設計で、高さ約3cmという薄型ボディにより、低い椅子の下なども掃除しやすいのがポイントだ。
走行スタイルはランダムナビゲーション型。対応床はフローリングのみで、40m²まで。そのほか、水拭きなどの機能は省略されていて、基本的な集じん機能だけにしぼることでシンプル化し、14,800円程度での販売を見込んでいる。
カラフルな3色をラインアップするロボット掃除機。落下防止機能にも対応する
特徴はその薄さで、狭い隙間もスイスイ掃除できるようになっている
裏面はこんな感じで、集じん機能だけに割り切ったシンプルな仕様であることがわかる
ダストボックスの集じん容量は35ml
掃除モードは、「通常モード」と「家具下重点モード」を装備。本体には、上方向きのセンサーが付いている。「家具下重点モード」のとき、このセンサーが高さ方向を検知し、高さが30cmまでしかない家具下の隙間があると、そこを重点的にキレイにする仕組みになっているのだとか。同社では、ひとり暮らしで“ちょっと手が届きにくくてほったらかしてしまいがちな場所”を、強力に掃除できるモデルとして訴求している。
上方を向いたセンサーを備えており、家具の高さを検知。高さ30cm以内の隙間を重点的に掃除してくれる
充電はACアダプター経由で行う。約3時間の充電で1.5時間の駆動が可能
今回発表されたもうひとつの新製品がポータブルCDプレーヤーだ。「なぜ今?」と思う方も多いかもしれないが、実はポータブルCDプレーヤーはエスキュービズムの売れ筋製品なのだそうだ。手持ちのCDをPCでリッピングするのが面倒で、「CDのまま聴きたい」というニーズがまだかなり多いという。
そこで同社では、カラーなどのデザイン性を刷新した新モデル「AC-P02」を8月に市場投入する。価格は5,000円前後。ピンクやブルーなど、全部で6色のカラバリを揃え、リモコン付きのイヤホンも同梱するなど、ユーザーが好みにあわせて楽しく選べる製品パッケージとしている。
同社の売れ筋商品だというポータブルCDプレーヤー。新製品は6色カラーでメタル調の塗装とするなど、デザイン性にこだわった
ディスクに収録したMP3ファイルの再生にも対応。リモコン付きのイヤホンも同梱されるので、買ってすぐにCDを楽しめる
今後も多くの“おひとりさま家電”を展開予定のエスキュービズムでは、コンパクトなマイコン式の炊飯器も開発中だ。まだ試作機の段階なのでモックしか展示されていなかったが、炊飯容量は少々めずらしい4合炊きになるとのこと。こちらもカラバリが鮮やかで、レッド、ブルー、ブラックの3色を用意する。
基本的な炊飯機能やおかゆ機能などに性能を絞ることで、価格を6,000〜8,000円程度に抑え、2017年10月頃の発売を想定している。
開発中のマイコン式4合炊き炊飯器。操作パネルの配色や質感にもこだわっている。コンパクトなサイズで、ひとり暮らしの部屋に設置しやすいようにした
エスキュービズムでは“ENRICH THE ROOM”を思想として掲げ、ひとり暮らしの部屋が豊かに彩られるような家電開発を目指している。もともとECパッケージの開発を行っていた同社は、ソフトウェア開発の経験が豊富だ。ゆくゆくは、そのノウハウを生かしたIoT家電を展開し、より豊かで便利なライフスタイルの実現に向けて取り組むという。現時点では、まだIoT家電は発表されなかったが、今後に期待したい。