アップルの「iPhone 8/8 Plus」と「iPhone X」が対応したことで、注目度が高まっているワイヤレス充電。アップルの認証を取得したワイヤレス充電器をいちはやく発売したのが老舗の周辺機器メーカーであるベルキンだ。そんなベルキンが2017年10月12日に事業戦略説明会を開催し、創業者であるチェット・ピプキンCEOが同社の安全性へのこだわりや今年度の注力分野などを語った。
アップルの認証を取得しているベルキンのワイヤレス充電器。左が最大7.5Wの充電が可能な「Boost↑Up Wireless Charging Pad」(価格は税別7,000円前後)、右が5Wタイプの「Boost↑Up Qi Wireless Charging Pad(5W)」(価格は税別3,500円前後)
ベルキンは1983年に米国で設立された老舗の周辺機器メーカー。アップルの「Apple II」とプリンターをつなぐ1本のケーブルから事業をスタートし、「iPhone」「iPad」「Mac」など多くのアップル製品の周辺機器を開発・販売してきた。ピプキン氏は「我々のビジョンは、人々と技術をつなぐこと。消費者の洞察からはじめて、いかにして人がやりたいことと、技術のギャップを埋めるかに注力してきた」と説明。
同社の製品は、アップルの製品とマッチする、すぐれたデザイン性が魅力だが、実は安全性にもかなり力を入れている。すべての製品は自社で開発・製造しており、デザインから設計、パッケージ、製品写真の撮影まで一貫して行うことで、高い品質と安全性を確保しているのだ。粗悪なケーブルやモバイルバッテリーの発火事故など昨今、周辺機器が何かと話題になることが多いが、ベルキンでは各国で定められた基準よりも厳しい基準を設けることで、安全性に配慮しているという。
安全性に関して、ベルキンジャパンの石井靖人氏は、「我々のシガーソケットチャージャーは、格安のものと比べて、中身に多くコンポーネントが入っている。これは電気的なノイズや温度対策などがハイレベルに組み込まれているため」とシガーソケットチャージャーを例に説明した。
左から2番目がベルキンの創業者であるチェット・ピプキンCEO、一番左がベルキンジャパンの石井氏
ベルキンが1983年に発売したApple IIとプリンターを接続するケーブル。同社は、このケーブルをきっかけに、アップル製品の周辺機器を手がけるようになった
同社が今年度注力する分野は、「ワイヤレス充電」「USB-C」「True Clear Pro」「オンリーワン」の4つ。
ワイヤレス充電は、iPhoneの対応により今後成長が見込める分野で、先月、最大7.5Wの充電が可能な「Boost↑Up Wireless Charging Pad」と、5Wタイプの「Boost↑Up Qi Wireless Charging Pad(5W)」を発売。どちらもコンパクトなサイズで、厚さ3mmまでのケースを装着したままで使用できるのが特徴だ。アップルの認証を取得しているのも、ユーザーとしては安心感がある。
5Wタイプの「Boost↑Up Qi Wireless Charging Pad(5W)」
USB-Cも対応機器の増加により、今後ますます成長すると見られる分野だ。ケーブル、アダプター、ドッキングステーションなどラインアップを増やすとともに、USB-IF認証を獲得することで安全性にもこだわっていくという。
True Clear Proは、保護フィルムをきれいに貼るための専用キットで、主にケータイショップなどに置かれている。導入店舗数は今年2月時点で24店舗だったが、現在は60数店舗まで増加。年度末までには200店舗まで増やす計画だ。最新モデルはガラスフィルムに対応したほか、日本市場で人気のある「Xperia」など、iPhone以外の機種への対応を進める。
True Clear Proはフィルムを貼るための専用キット。ケータイショップなどに導入されている
オンリーワンは、ほかにはない独自のアイテムのこと。その代表として紹介されたのが、二股のLightningアダプター「3.5mm Audio + Charge RockStar」だ。ヘッドホン端子が廃止された「iPhone 7」などで、ヘッドホンをつないで音楽を聴きながら、充電もできるというもの。他社からも同様のアダプターが販売されているが、データの同期ができなかったり、ヘッドホンのマイクとコントローラーが使えなかったりするものが多いのに対し、本製品はどちらも可能となっている。
ヘッドホ端子が廃止されたiPhoneで、充電しながらヘッドホンで音楽を楽しめる「3.5mm Audio + Charge RockStar」。価格は4,300円(税別)前後でアップルストアなどで販売されている
ベルキンは、「Linksys」「WeMo」「Phyn」とい3つのブランドを海外市場で展開している。Linksysは家庭用の無線LANルーターを展開するブランドで、Wi-Fiだけでなく、Bluetoothや近接無線通信のZigBeeに対応し、家全体をカバーできるのが特徴だ。
WeMoはアップルの「Siri」、グーグルの「Googleアシスタント」、Amazon.comの「Alexa」などを使って、家中の家電をコントロールするIoT機器。音声で部屋の温度や照明の明るさなどを調節できる。Phynは、家庭でどれくらい水が使われているかを見える化する“水ソリューション”。詳細は不明だが、年明けに商品を発表する予定だ。
残念ながら3ブランドとも日本国内では展開されていないが、WeMoは話題のスマートスピーカーとの相性がよさそうなので、日本国内での発売にも期待したい。
Linksysの無線LANルーター「VELOP」
WeMoはスマートスピーカーなどを使って家電をコントロールするIoT機器。SiriやGoogleアシスタント、Alexaといった主要なサービスに対応する
家庭でどれほど水が使われているかを見える化するPhyn