無線LANを搭載し、スマートフォンと連携する家電製品「コネクテッド家電」を本年度から展開している日立。すでに、冷蔵庫、ロボット掃除機、IHクッキングヒーターがラインアップしていますが、2018年11月17日にドラム式洗濯乾燥機「ヒートリサイクル 風アイロン ビッグドラム BD-NX120C」(市場想定価格36万円前後)がコネクテッド家電として登場します。発表会で見てきた詳細をお伝えしましょう。
「ヒートリサイクル 風アイロン ビッグドラム BD-NX120C」(以下、BD-NX120C)の大きな特徴は、より賢くキレイに洗うためにAIを搭載したことと、スマートフォンと連携させることで使いやすさを向上させたこと。まずは、AI機能でできることを紹介します。
以前から日立のドラム式洗濯乾燥機は、洗濯物の汚れや量、水温などの状況をセンサーで検知し、洗い方や洗濯時間を自動調節する機能を搭載していましたが、BD-NX120Cでは新たに「AIお洗濯」機能が装備されました。AIお洗濯とは、「布量」「布質」「水硬度」「水温」「汚れの量」「洗剤」「布動き」「すすぎ具合」「汚れの量」「脱水具合」といった9つの要素をセンシングし、複合的に調節して最適でムダのない洗濯を行うというもの。たとえば下の写真のように、洗濯開始時点で洗濯物の量や水温、水の硬度を検知して水位や洗剤量を調節し、洗いの工程では洗剤が液体か粉末かを判断して洗い方を変えるほか、汚れの量に応じて洗いの時間を長くするというように、スタートから脱水が完了するまで「AIお洗濯」が適した制御を行います。
工程ごとに適したセンサーで検知し、最適な状況を導き出します
実は、「AIお洗濯」が行っているセンシングや自動調節の機能は従来モデルにも搭載されていましたが(すべてを備えているのは最上位機の一部モデルのみ)、従来は自動調節するための機能がいくつかに分かれており、必要なものをそれぞれ設定しなければなりません。しかも、洗剤量、使用水量、運転時間、すすぎ回数を自動で調節する「ecoセンサーシステム」と、運転時間や洗い方を制御する「洗剤・汚れセンサーシステム」は相反する目的に使われるため、同時に設定することはできませんでした。こうした設定の手間を省き、洗濯機にすべておまかせできるのが「AIお洗濯」。たとえば前述のような相反する内容であっても、情報を収集して制御をかける「AIお洗濯」なら、エコと汚れ落ちのよい洗濯を両立できるといいます。
「AI」ボタンを押せば、「AIお洗濯」がオンに! 1回ですべてのセンシング機能が作動させられるのは便利です
どのようにセンシングされるのか、働きを少し紹介しておきましょう。たとえば、水の硬度が低く、水温が高い場合は投入する洗剤量の表示が少なめになり、洗い時間も短縮。次にドラムを回転させた時の洗濯物の動きを検知し、重い衣類が多い際にはきちんと衣類をドラムの頂点に持ち上げて落とせるようにドラムの回転速度をアップ、軽い衣類が多そうな場合はドラムの側面に衣類が張り付いてしまわないようにドラムの回転速度を落とすというようにコントロールします(下の動画参照)。
目的に合わせてセンサーシステムをオンにしなくても、「AIお洗濯」ならすべてを自動制御!
なお、センシング機能のひとつである「洗剤」については、従来モデルから自動で制御されていた機能。水は電気を通しやすいという特性を利用し、投入された洗剤が液体洗剤か粉末洗剤かを判断します。粉末洗剤の場合は、洗剤がきちんと溶けるようにドラムを左右に反転し、しっかり浸水させてから洗い工程に移行。いっぽう、液体洗剤は粉末洗剤のように溶かす必要がないので、ドラムを一方向にスピーディーに回転させ、素早く衣類に洗剤液を浸透させて洗濯を始めます。
電気が流れやすければ粉末洗剤で、流れにくければ液体洗剤というように種類を検知。近年流行しているジェルボールも正しく判別されるとのこと
続いて、もうひとつの特徴であるスマートフォンとの連携機能について見ていきましょう。専用アプリをインストールしたスマートフォンからは洗濯機の運転状況を確認できるほか、遠隔操作やアプリからしか行えない洗濯コースを使ったりすることが可能に。また、アプリには、生活シーンや衣類の種類を選ぶことで最適な洗濯コースを紹介してくれる「コンシェルジュ機能」も用意されています。ハイクラスな洗濯機にはたくさんの洗濯コースが搭載されていますが、その機能はほとんど使われていないのが実状。もっと手軽にいろいろなコースを使ってもらえるようにという思いからコンシェルジュ機能を開発したといいます。
洗濯機にはパワフルに汚れを落とすコースややさしく洗うコースなどいろいろなコースが搭載されていますが、なかなか使い分けは難しいもの
アプリのコンシェルジュ機能を利用すれば、たとえば、スポーツで汚れた衣類を洗いたい時は「スポーツ」をタップすることで、「泥汚れコース」が推奨されます(下の動画で、シーンの選択から実際に洗濯を始めるまでの一連の動作が確認可能!)
洗濯する衣類の種類から洗濯コース(プログラム)が選出されるコンシェルジュ機能も便利そう!
アプリからダウンロードできる洗濯コースは、現時点では4つ。今後、増えていく予定だとのこと
なお、アプリからダウンロードできる洗濯コースは、洗濯機本体の洗濯コースとしては登録されていません。ただし、たとえば「温水ミスト」で90分を設定するとアプリの「黄ばみ除去コース」と同じ洗濯を行うことができます。つまり、アプリを使うことでわかりにくい設定をわかりやすくしたということだそう
遠隔で運転を開始することもできるBD-NX120Cですが、洗剤や柔軟剤は自動投入機能が装備されていないので、あらかじめ投入しておかねばなりません
日立のドラム式洗濯機といえば、高速風でシワを伸ばしながら乾燥してくれる「風アイロン」が有名ですが、BD-NX120Cは風アイロン時のドラムの回転数が最高60回転/分から100回転/分に向上。遠心力でドラムの中心部に空間が生まれ、より効率よく洗濯物に風が当たるようになったほか、湿度コントロールの適用範囲が4kgから4.5kgまで拡大しました。この湿度コントロールの適用範囲というのは、理想的な仕上がりになる容量と思ってもらってかまいません。BD-NX120Cでは6kgまで乾燥できますが、湿度コントロールの適用範囲を超える洗濯物を乾燥させると、想定しているほどシワが取れないこともあります。風アイロンの効果を忠実に再現するには、湿度コントロールの適用範囲内に洗濯物をおさめるのが望ましいとのこと。
風アイロン時の湿度コントロールの適用範囲が4kgから4.5kgに拡大されたので、従来よりも多めの量の洗濯物を理想的に仕上げられるようになりました
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいます。