ライフスタイルの変化にあわせ、近年の日本市場でますます注目度が高まっている家電のひとつが“ロボット掃除機”でしょう。その草分け的存在と言えば、iRobotの「ルンバ」です。そんなルンバから、これまでと少し毛色の違う“新世代モデル”「e5」が発表されました。発売日は2018年10月26日で、アイロボットストア価格49,880円(税別)で販売予定です。
独自テクノロジーによる高い掃除性能は従来のままに、税別5万円以下という価格帯を実現した“新世代のルンバ”をご紹介します。
まずは、これまでのルンバ各種シリーズをおさらいしましょう。ルンバは2018年10月時点の現行機種として、グレード別に「900シリーズ」「800シリーズ」「600シリーズ」の3ラインを展開しています(そのほか、過去モデルとして「700シリーズ」「500シリーズ」もあり)。
製品の型番は、900シリーズだったら「980」「960」、800シリーズだったら「890」といった具合に、これまでは3ケタの数字が付けられていました。しかし、今回発表された新モデルの名称は「e5」。従来とは異なっています。“新世代のルンバ”として、ラインアップを新たにする意味が込められているのです。
改めて並べてみると一目瞭然。本体の基本サイズなどは従来モデルと同等ですが、型番が完全に新しくなりました
……とは言っても、この分野の開拓者だけあって、すでにルンバシリーズの性能はかなり高いレベルにあります。e5でもそれは引き継がれていて、ロボット掃除機としての基本性能に大きな変更があるわけではありません。
では何が“新世代”なのかというと、「これまでの高い機能性を維持しつつ、低価格を実現したこと」に尽きます。つまり、これまで7〜8万円クラスだったルンバのスタンダードラインの価格帯が、新しいe5からは5万円前後にグッと下がったのです。
丸形形状や基本デザインなどは従来のルンバシリーズを踏襲するe5。高い機能性と低価格化を両立したその魅力を、以下にご紹介していきます!
ルンバと言えば、本体に搭載するカメラや高精度センサーを使った自動走行システムが最大の特徴。ルンバ自身が掃除をしながら室内の状況を検知して、掃除ルートをスムーズに走っていきます。
新しいe5も、既存モデルと同じ高速応答プロセス「iAdapt」を搭載しました。本体前面に備えるセンサーによって室内の状況を判断する仕組みで、その検知結果にあわせて、40以上の行動パターンの中から最適な動作を選択して清掃を行います。
以下の動画は、e5の運転テスト。室内の状況を判断し、効率的なルートを動いてゴミを除去している様子がおわかりいただけると思います。
ちなみにカメラは非搭載なので、最上位の900シリーズのような「マッピング機能」はありません。機能的には、従来のミドルクラスにあたる800シリーズと同等と考えるとよいでしょう。実際、e5は現行機種「890」に置き換わる後継機として位置づけられています。
つまりものすごく簡単に言ってしまうと、新モデルのe5は、これまでのミドルクラスだった800シリーズと同等の機能性を備えながら、価格帯は下位モデルの600シリーズ並みを実現したと言えるのです。ただ価格帯を下げただけではなく、機能性はちゃんと受け継いでいるのがポイントです。
本体フロント部に搭載するセンサーで、室内環境を検知。段差もちゃんと感知して、自動的に落下を回避できます
もちろん、高いゴミ除去性能も引き継がれています。本体には、e5専用に開発された新しいエッジクリーニングブラシを搭載。上述の「iAdapt」によって室内環境を判断しながら、家具の脚まわりや壁ぎわにしっかりエッジクリーニングブラシが沿うように動きます。
エッジクリーニングブラシが新開発されました。これで壁ぎわの細かいゴミもしっかりかき出します
さらに、上位モデルに搭載されてきた特許技術「AeroForceクリーニングシステム」が採用されているのも特徴。これは特殊素材のローラーでゴミを浮き上がらせ、ハイパワーモーターによる気流でルンバ内部に真空状態を作り出して吸い取るシステムです。ローラー部分もe5専用に新開発されており、カーペット上の髪の毛やハウスダストなどの細かいゴミまで吸い取れるように工夫されています。そのイメージは、以下の動画をご覧ください。
e5では、ヒダの長さが異なる2本の新開発ローラーを採用することで、ゴミをより効率的にかき出せるようにしています
しかも、800シリーズから進化したポイントが2つあります。ひとつは、バッテリーの持ち時間が長くなったこと。e5は、内部パーツの配置や設計を見直して省エネ性能を向上させているのだそうです。これにより、従来と同等のバッテリー容量で、従来比1.5倍となる最大90分の連続運転に対応しました。
もうひとつは、ダストボックスが洗えるようになったことです。これは、特に日本のユーザーニーズにあわせて考案された仕様だそう。と言うのも、ルンバの従来機種は、ダストボックス部にモーターを内蔵していたため、水洗いすることが不可能でした。e5は、モーターを本体側に搭載する新設計になっており、ダストボックスを水洗いして清潔に保てるようになったのです。
「ルンバはダストボックスを洗えない」というのがネックだった方もいるかもしれませんが、ついに日本ユーザーのニーズに合わせて水洗い可能になりました
800シリーズ(左)ではダストボックス側に搭載されていたモーターが、e5(右)では本体側に搭載される設計に
最近のルンバのもうひとつの特徴は、Wi-Fi接続に対応すること。いわゆる“IoT家電”としての側面です。もちろん、e5もWi-Fiに対応しています。スマートフォン向けの専用アプリ「iRobot HOME」を使用すると、外出先からでもe5に清掃を指示することができます。また、清掃時間のスケジュール設定や、清掃履歴の確認なども行えます。
さらに、ホームネットワーク経由で「Google Home」や「Amazon Echo」などのスマートスピーカーと連携することも可能。スマートスピーカーに「ルンバで掃除して」と話しかけることで操作できます。
もちろん、スマホアプリやスマートスピーカーからのコントロールにも対応。IoT家電としての先進性も備えています
ルンバを手がけるiRobotは現在、ルンバと床拭きロボット「ブラーバ」をあわせて、日本のロボット掃除機市場のシェア60%を獲得しています。ちなみにルンバが日本に上陸したのは2002年でしたが、それから16年目となる今年、日本市場におけるルンバとブラーバの累計出荷台数はついに300万台を突破したそうです。
ルンバとブラーバをあわせた国内累計出荷台数が、2018年9月末までで300万台を突破。200万台を突破したときよりも、速いスピードで伸びているとのこと
アイロボットジャパン合同会社 代表取締役社長 挽野元氏は、「家庭の中でも働き方改革が起こっている」とし、共働き家庭を中心に、日本で年々ロボット掃除機の注目度が高まっていることをアピール。
同社では、2023年までに日本市場における一般家庭のロボット掃除機普及率を10%にすることを目標としています。その第一歩として市場投入されるのが、5万円前後の“新世代ルンバ”e5というわけ。比較的「高級家電」と見られているロボット掃除機の購入ハードルを下げ、ゆくゆくは「一家に1台ロボット掃除機」の時代をめざすそうです。
オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。