上の写真、一見、掃除機がけをしているようには見えませんが、実は、バルミューダから新たに登場したコードレススティック掃除機「BALMUDA The Cleaner」は、こんな動かし方でもきちんと掃除機がけできるのです。「片手で持ち、前後に動かす」ことが常識だった掃除機の概念をくつがえす本製品を発表会で見てきました!
掃除機の主流はキャニスター型からスティック型に変わったものの、ヘッドを前後に動かすという使い方は昔からずっと変わっていません。バルミューダの代表取締役社長 寺尾さんは、このように動かし方に制限がある掃除機に不便さを感じていたといいます。実は、寺尾さんは普段掃除機をあまり使っていないのだそう。仕上がりは断然掃除機のほうがいいことはわかっていても、サッと手に取れ、軽い力で自由に動かして使えるフローリングワイパーをつい使ってしまうのだとか。そんな中、着手することになったバルミューダ初となる掃除機の開発。寺尾さんがエンジニアにオーダーしたのは、「掃除を始める前の心理的な距離を最短にし、運動エネルギーも最小に。それでいて自在に動かせる掃除機」でした。
掃除機の操作性のわずらわしさなどを総合すると、どうしてもフローリングワイパーに手が伸びてしまうというバルミューダ代表取締役社長 寺尾玄さん
開発を続けること約2年。完成したのが、前後だけでなく左右、斜めなど、方向を問わずヘッドを動かしながら掃除機がけできる「BALMUDA The Cleaner」です。まず、その動きを下の動画でご覧ください!
上の動画では、軽い力ですべらせるように動かしているように見えます。男性だからこのように軽々動かせたのでは? と思われるかもしれませんが、小柄な女性でもスルスルと動かすことが可能(下の動画参照)。毛足がそれほど長くないカーペットや絨毯も、フローリングと同じくらいの力で掃除機がけできるそうです。
このような“すべらせるような”掃除機がけを実現した大きな鍵となるのは、ヘッドに搭載された2本のブラシです。それぞれを内側に回転させることで床面との摩擦を低減し、偏軸二輪式のキャスターが全方向へのスムーズな動きをサポート。掃除機の重量は約3.1kgなので軽くはありませんが、稼働させるとまるで掃除機が浮いているかのような軽い操作性を得られるといいます。
普通の掃除機に搭載されている回転ブラシは1本ですが、BALMUDA The Cleanerは2本装備。2つのブラシを内側に回転させることで、床面との摩擦が相殺されるのだそう。ヘッドの両端に配置されたキャスターは全方向に可動し、常に床面と接しているので、前後左右どの向きにもなめらかにヘッドを動かせます
ブラシの両サイドに少し大きなブラシを装備し、メインのブラシが少し浮くようにしてあるのも、浮いたような操作性を実現するための重要なポイントなのだそう
そして、本体とヘッドの接続部を全方向に動く「360°スワイプ構造」とすることで、あらゆる方向への移動を実現しました。
ヘッドが前後左右に動かせる構造なので、パイプの接続部はセンターに配置。ジョイント部分は下の動画のように360°可動します。操作時に軽い体感となるように、ヘッドと本体の距離をなるべく近くし、低重心としているのだそう
そして、ヘッドが自由自在に動く掃除機には決められた持ち方も不要。どの位置でも握れるように、ハンドルはスティック型とされました。また、片手でも両手でも、使いやすい持ち方で使うことができます。前後に動かす掃除機がけに慣れている人は最初はとまどうかもしれませんが、使い始めると両手持ちが意外と便利だと感じるはず。ほうきではいたり、モップで拭くような感じで動かすと、よりラクに掃除できるように思いました。
サイズは300(幅)×165(奥行)×1,240(高さ)mm
一般的な掃除機は握る部分が見た目からもわかるハンドルが装備されていますが、BALMUDA The Cleanerにはそうしたハンドルがありません。少し細身のスティック型のハンドルはどこを握ってもいいので、身長を問わず、持ちやすい位置で握ることができます
なお、バルミューダといえば製品のデザイン性の高さに定評がありますが、BALMUDA The Cleanerは美しい見た目ではなく、部屋の片隅に置いてあっても自然なたたずまいのデザインを目指したといいます。
主張しすぎないシンプルなフォルムとカラーリングで、使わない時に違和感のない自然さを追求。軽い操作性に寄与する低重心設計も、充電台に置いておいた時に倒れるかもしれないという心理的不安を感じさせない、自然さにつながる欠かせない要素なのだといいます
写真は充電台にセットした状態。ホワイト(C01A-WH)とブラック(C01A-BK)の2色がラインアップされており、価格は54,000円(税別)
充電台は傾斜を設け、掃除機を立てかけた際にスティック型のハンドルの先端が壁に触れるか触れないかくらいの位置になるように設計されています。これが、もっとも自然だと感じる状態なのだそう。ちなみに、バッテリー残量ゼロの状態から満充電まで約4時間かかります
使い勝手がよくても、掃除性能がいまいちでは掃除機としての意味がありません。BALMUDA The Cleanerはサイクロン式を採用しており、遠心分離で空気とゴミを分離。ダストボックスから排気する空気はフィルターを通り、微細塵も逃さない仕組みとなっています。また、ブラシのかき取り性能も高く、すぐれた掃除性能を発揮するとのこと。
毎分400Lのゴミを含んだ空気を処理できるそうです
論より証拠! ということで、フローリングで掃除機がけしてみましょう。
運転のオン/オフは、ハンドル上部にあるボタンで操作。長押しすると「強」モードに切り替えることができます。なお、運転時間は「標準」モードが30分で、「強」モードが10分
疑似ゴミを撒き、掃除スタート(下の動画参照)
上の動画を見ていただくとわかりますが、拭き取るようにゴミが消えていきました。ヘッドを往復させなくても1回通過しただけで疑似ゴミが吸い取れたので、掃除性能はなかなか高いようです。
続いて、壁際のゴミの取れ具合も確認しておきましょう。2辺の壁際に疑似ゴミを撒き、一気に掃除します(下の動画参照)。
壁際の掃除では、前後左右に動かせるヘッドの有用性が実感できます。壁際を進み、コーナーにぶつかったところで、そのまま右にスライド。体の方向を変えなくても、掃除機がけができてしまいます。
壁際に接した状態でヘッドを動かすのは一般的には動かしづらくなるのですが、BALMUDA The Cleanerはヘッドの四隅にローラーが装備されており、これが壁際でスムーズに動くように作用します
壁際のゴミ取れ性能に関しては、上の動画のとおり、壁際のゴミは1回で除去可能。しかし、コーナーのゴミは何度か掃除機がけしないと取り切れませんでした。とはいえ、数回でキレイに吸い取れたので十分と言えるかもしれません。
壁際のゴミを効率よく集じんできるよう、ヘッド両サイドにスリットが設けられています
ただし、本体は80°までしか倒れないため、20数センチの高さがないとヘッドを入れて掃除することはできません。
脚の短い家具の下などは、奥まで掃除機がけするのは難しそう
溜まったゴミは、ダストボックスを本体から取り外し、フタを取って捨てる仕様。ダストボックスの容量は0.13Lです
もちろん、ダストボックスは分解して水洗い可能
スティック型掃除機として床面を掃除するだけでなく、付属のアタッチメントを使用すればハンディ型掃除機として使うこともできます。
ハンディタイプにするには、付属のハンディハンドル(上)に付け替えなければなりません。ヘッドを外し、すきま用ノズル(下)を装着すれば、ヘッドでは掃除しきれない細い隙間も掃除できます
すきま用ノズルを付けたハンディスタイル。ソファーの隙間を掃除するにも最適
ハンディハンドルとヘッドという組み合わせで使うことも、もちろん可能です
もっといろいろなところを掃除できるように、ノズルセットも開発中。2021年春頃に発売する予定だそうです
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいます。