特別企画
注目のIoT製品から事前確認すべきポイントまで

IoT家電でQoLはどう上がる? 自宅のスマートホーム化で知っておくべき基本を解説

すべてのモノがインターネットにつながる「IoT」(Internet of things)が話題になってはや数年。元々インターネットに接続していたパソコンやスマホなどの情報端末以外にも、AV家電の分野では、テレビやレコーダーで「Netflix」などの映像配信サービス、オーディオ機器で「Spotify」などの音楽配信サービスが手軽に楽しめるようになっている。

そしてここからが本題だ。「白物家電」とも呼ばれる生活家電の領域でも、近年カタログではIoTの文字が躍り、なんだか便利で快適そうな雰囲気を醸し出している。ところがスマホやスマートスピーカーを使って家電を操作するにとどまっているケースも多く、実際に始めても、結局自分で操作しなくてはならないことが面倒で諦めてしまった人も多いかもしれない。

しかしネットにつながる白物IoT家電の可能性は無限と言え、実際の家電製品、ひいてはメーカーの考え方もどんどん進化している。最近は、単なるリモコンの置き換えとしてのIoT家電ではなく、AI技術やクラウドと連携し、QoL(Quality of Life/生活の質)を向上する切り札としても期待できるようになってきたのだ。

単にスマホやスマートスピーカーから操作ができるというだけではなく、家電同士がIoT連携したり、AIによって便利な提案をしてくれる製品が増えてきている

単にスマホやスマートスピーカーから操作ができるというだけではなく、家電同士がIoT連携したり、AIによって便利な提案をしてくれる製品が増えてきている

筆者の自宅をスマートホーム化! QoL向上効果をリアルに検証

QoLについては、幅広い分野でそれぞれの解釈がされるが、家電においてはおおむね「快適さ」や「健康」が指標で、それが「生活の質」や「幸福度」につながるという理解でいいだろう。であるから、今後、家電を購入するなら、将来性も含めてIoTを意識しておくのは非常に有意義と言える。

そこで本企画では、新居に引っ越したばかりの筆者・鴻池宅を実際にスマートホーム化! 自宅をモデルケースとして、最新のIoT家電がもたらすQoLの向上効果を、筆者の実際の生活を通じて、複数回にわたって検証していきたい。IoT家電がもたらすメリット、デメリットとは? そして未来とは?

主役はAI! IoT家電のポイントをシャープに聞いてみた

少々前置きが長くなったが、第1回となる今回は、鴻池宅をIoT家電でスマートホーム化するにあたり、IoT家電の本質とは何か、QoLの観点でどのようなメリットが期待できるのか、また、IoT家電の導入にあたっての考え方や、事前に確認しておきたいポイントを整理する。

そこでまずは、「スマートホーム」「IoT家電」の基本を把握すべく、「AIoT(AI+IoT)」というコンセプトを掲げ、この分野で先進的な取り組みを見せるシャープに取材をさせていただいた。場所は、同社のモデルハウス風IoT家電研究開発拠点。AIoT事業推進部長の中田尋経氏に、現在の同社のIoTについての考えや、発売中のIoT家電について詳細をうかがったので、その内容を交えながら紹介しよう。

シャープ八尾事業所敷地内にあるIoT家電実証実験施設。実際の住宅に、同社のIoT家電のほか、太陽光発電システムや電動シャッターなどのHEMS系機器を装備したスマートハウスとなっている

シャープ八尾事業所敷地内にあるIoT家電実証実験施設。実際の住宅に、同社のIoT家電のほか、太陽光発電システムや電動シャッターなどのHEMS系機器を装備したスマートハウスとなっている

今回取材にご対応いただいた、シャープ AIoT事業推進部長の中田尋経氏

今回取材にご対応いただいた、シャープ AIoT事業推進部長の中田尋経氏

▼AIとIoTを組み合わせて実現する、快適な暮らし

身近なところでは、スマホからのリモート操作やスマートスピーカーでの音声操作など、すでに家電のIoT機能を体験済みの読者も多いことだろう。しかし、これらはリモコンの延長線上でしかなく、人間が主体になって操作することに変わりはない。確かにLANやインターネットにつながり、宅外から操作したり、スマホアプリで動作状況や消費電力も確認できるといった点では進化を感じるが、メリットは限定的と言わざるを得ない。これでは、せっかくコストをかけて家電にWi-Fi機能を搭載しても、接続しないユーザーが多いのもうなずける。

こうしたIoT家電黎明期とも呼べる現在、AI技術を応用して先進的な取り組みを見せているメーカーのひとつが、シャープなのだ。

たとえば「COCORO AIR」というコンセプトを掲げる同社のエアコン。気象情報をインターネット経由(通信)で取得して先回り運転することで、急激な冷暖房運転を避け、快適さと省エネの両立を狙う。また、利用者の操作状況から学習し、パーソナライズされた快適さと省エネ性を高めるAI(思考)機能も注目に値する。

シャープのプラズマクラスター搭載エアコン「Airest」。気象予報を活用したクラウドAI制御によってリアルタイムの天気や気候を把握し、睡眠時と日中それぞれで最適運転を行う機能を搭載

シャープのプラズマクラスター搭載エアコン「Airest」。気象予報を活用したクラウドAI制御によってリアルタイムの天気や気候を把握し、睡眠時と日中それぞれで最適運転を行う機能を搭載


余談だが、「IoT」(通信)と「AI」(思考)が別物であることを頭の片隅に置いておくと、以降を読み進めるうえで理解しやすいだろう。両者は別の要素だが、組み合わせることで無限の可能性が見えてくる。また今後家電関連で「IoT」と記載があれば、多くが「AI」も含む、あるいは「AI」が主体である、と考えると頭に入りやすいはずだ。

なお、上述のように「COCORO AIR」が本当に狙いどおりに動作するのかどうかは、実際の住環境で一定の期間体験してみないと評価できない部分ではある。しかし、シャープでは机上だけでなく、このモデルハウス風施設に開発担当者が詰めて実証実験を行っているというから、かなり期待できそうだ。

また中田氏によると、すでに販売済みの製品が多くの家庭で稼働しており、それらからフィードバックされるデータも研究し、製品の改善に反映しているという。ユーザーから得たデータは原則それぞれのユーザーにのみ反映される仕組みだそうだが、多くの家庭が実証実験の場となり得る考え方も、IoT家電ならではの可能性と言えよう。

つまり、シャープのエアコンにおける「IoT家電は何ができるのか?」という問いに対しては、「ユーザーが何もしなくても、省エネを考慮しつつ快適な生活ができる」が答えのひとつとなりそうだ。

シャープでは「人に寄り添うIoT=AIoT」のコンセプトを掲げている

シャープでは「人に寄り添うIoT=AIoT」のコンセプトを掲げている

▼リモコンを押されたら負け! IoT家電のめざすモノ

少し細かくなるが、せっかくなので、エアコン「COCORO AIR」の学習について、いくつか「なるほどIoT」と思えるポイントがあったので紹介しておこう。

実際の家庭で使われているエアコン製品のリモコンが操作されたとき、シャープでは、ユーザーが自動運転に満足していないととらえて、その情報を学習する仕組みにしているそうだ。確かに、実際の気温・湿度・日照時間・家の断熱性・家族構成・行動の時間帯などは家庭によって千差万別で、これを一定のアルゴリズムで自動制御して誰しもが満足のいく運転になるとは考えにくい。一般的なエアコンの自動運転が、筆者のフィーリングに合わなかった理由がわかった気がした。

また、「COCORO AIR」はスマホアプリを通じて、AI自動運転の結果についてユーザーに満足したかどうかをたずねる仕組みも設けている。「COCORO AIR」のクラウドAIが各家庭で学習して賢くなっていき、究極的には、ユーザーが一切操作しなくてもよい状態にするのが、シャープのゴールだそうだ。

この取材で中田氏が語った「リモコンを押されたら負け」という言葉が実に印象的だった。これこそが、従来の家電と理想的なIoT家電の境界線ではないだろうか?

IoT家電のメリットは? QoLアップの効果は?

続いては、今回取材させていただいたシャープ製品を例に、特に「これぞIoT」と思えるQoLをアップしてくれそうな家電製品と、その魅力的な機能を端的に紹介していこう。

▼1. エアコン

上述の通り、気象情報を用いた先回り運転はエアコンの便利なIoT機能だ。たとえば冬場の暖房時、曇りから晴天に代わって気温上昇すると予測したときは、先回りして運転を弱めることで消費電力の低減が期待できる。住宅環境の理想は、「暑い」や「寒い」がないこと。今までどおりの光熱費で快適さがアップすれば、ストレスが低減して家族の笑顔も増えるだろう。完璧に機能すれば、最大のQoL向上と言える。

アプリから、AIoTによる節電効果も確認できる

アプリから、AIoTによる節電効果も確認できる

▼2. 加湿空気清浄機

IoT連携で、地域に応じた屋外の空気情報(PM2.5など)を取得する加湿空気清浄機。室内の空気情報と運転パターンを学習し、運転を生活シーンに最適化してくれるので、ユーザーは手間なく節電しつつキレイな空気が手に入るというわけ。このほか、対応エアコンの暖房運転が始まると、連携して加湿運転を開始するといった機能も。

また、明るさセンサーを内蔵しており、消灯状態が続くと就寝と判定してエアコンへ通知を行い、そのエアコンも連携して睡眠に適した「お休み」モードになる機能も興味深い。自動運転により空気清浄機の存在を意識することなく、部屋がキレイな空気に満たされていれば、睡眠の質が向上したり、在宅ワークの生産性向上にもつながりそうだ。

加湿空気清浄機は低消電力でセンサーも豊富に搭載していて、「見張り番」に適任。自動で運転を開始する際は声で知らせてくれるなど、ユーザーの「安心感」にも気を配っているという

加湿空気清浄機は低消電力でセンサーも豊富に搭載していて、「見張り番」に適任。自動で運転を開始する際は声で知らせてくれるなど、ユーザーの「安心感」にも気を配っているという

▼3. 洗濯乾燥機

シャープのIoT洗濯乾燥機は気象予報情報を把握し、洗濯完了時に晴天が予想される場合は天日干しを、雨天の場合は乾燥機能の利用を提案してくれる。機器自体の省エネ性能アップも重要だが、使いこなしによる節電効果は大いに期待できる。節電で電気代の低減はもちろん、エコで気分も晴れ晴れ。幸福度がアップしそうだ。

乾燥機能を搭載しつつも、天候を把握して天日干しをすすめてくれるのが親切!

乾燥機能を搭載しつつも、天候を把握して天日干しをすすめてくれるのが親切!

▼4. 冷蔵庫

事前に登録しておいたスーパーの特売情報をお知らせしてくれるというIoT冷蔵庫。献立の提案は食材だけでなく、冷蔵庫と連携している調理家電(オーブンレンジと無水調理鍋)や、各家庭の好みも考慮するので、的を射る確率が高い。「献立」は、主婦の方などにとっては毎日の大きな課題と言ってもよいだろう。その悩みから解放されれば、夕方前の憂鬱を解消し、毎日気楽に楽しく暮らせそうだ。

右奥に映っているのが、シャープのプラズマクラスター搭載冷蔵庫。手前に映っている調理家電を連携することが可能で、そのほかに伝言板や洗濯完了を知らせる機能もある

右奥に映っているのが、シャープのプラズマクラスター搭載冷蔵庫。手前に映っている調理家電を連携することが可能で、そのほかに伝言板や洗濯完了を知らせる機能もある

▼5. 調理家電

シャープではIoT連携する調理家電として、オーブンレンジ「ヘルシオ」と自動調理鍋「ホットクック」をラインアップしている。冷蔵庫と同様に、「夕食は何にしよう?」という家庭の大事な悩みごとに、AIがレシピ提案で答えてくれる。レシピ決定後は、各調理家電に、レシピに合った設定をダウンロードしてから調理を開始できるので、迷ったり失敗することなく、完成度の高い仕上がりが期待できる。食は生活の基本中の基本で健康や幸福度に直結する。食生活の改善はQoL改善そのものと考えることもでき、空調と2大柱で注目したいジャンルである。

オーブンレンジ「ヘルシオ」(上)と無水調理ができる自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」(下)

オーブンレンジ「ヘルシオ」(上)と無水調理ができる自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」(下)

ここで紹介した内容は、あくまでもシャープの製品でのIoT活用例だが、すでにほかのメーカーでもこのような活用例は増えてきており、今後こうしたIoT家電の動きが家電分野全体に広がっていくのは間違いないだろう。また、各機器の消耗部品、洗剤や食材の購入など、さまざまなサービスとの連携も視野に入ってくる。今後、家電製品を選ぶ際は、性能やデザインに加え、「IoT力」に注目すべきだろう。メーカーにとっては、技術力に加え、想像力やビジネス構築力の競争ともなりそうだ。

どの家電からIoT化すべきか? 製品選択の考え方

しかしIoT家電を導入するといっても、まだ使える家電製品を廃棄してまで買い替えるのは考えもの。予算配分の観点からも、普段からどの家電を先にIoT化するか優先度を考えておくといいと思う。

個人的にまず注目すべきは、エアコン。理由はQoLを考えるうえで、「暑い」「寒い」をなくすことが、よりよい住環境の基本と言えるからだ。また、動作の無駄をなくすことは光熱費にも直結する。「節電」と「快適さ」をIoTで両立できれば、QoLの向上幅は大きいというわけ。

次に、今回取材したシャープ製品で筆者が気になったのは、自動調理鍋の「ホットクック」だった。好みと状況に応じた最適なレシピを調理器側が提案してくれるのは、自分の能力をも超えている感がある。それに、他ユーザーが多く利用していて自分が利用していないメニューを教えてくれるというのも、新たな発見につながる。もちろん、ホットクックの特性として、材料を切って投入するだけで調理が作れるというわかりやすさも魅力だ。

ホットクックは時折品切れのモデルが出てくるほどの人気製品であるが、中田氏によればユーザーのネット接続率も6割強以上で、直近では7割に達するなど、ほかの家電を遥かに上回るという。実際に、IoT化のメリットが大きいであろうことが推察される。

鴻池家スマート化計画スタート!

さて、それでは実際に筆者の自宅で、リアルなスマートホーム化の準備をしていこう。鴻池家は、大阪市内の都会型マンション。60m2弱と広くはないが、基本設備として1Gbpsのネット接続が利用でき、ガス給湯器+床暖房が導入されていてWi-Fiにも対応している。共用施設として荷受けと出荷が可能な宅配ボックスがあり、インターホンとも連携しているほか、各窓には防犯センサーが備えられていて、有事の際は警備会社に連絡が行くようになっているなど、すでに多少IoT化されている。

また、インターホンにはWeb接続機能があり、管理組合が合意して契約すれば、災害時の安否確認やシェアカーの予約サービスなどもできるようになるとのことで、IoT化の素地は整っている。

▼まずはエアコンを選ぶ!

さて、ここからがスタートだ。まず、引っ越ししたばかりなのでエアコンは必須。地域や建物の構造から、寒暖は比較的穏やかと言え、必要とされる光熱費は少ない部類と言えるだろう。しかし50歳を超えた夫婦暮らしなので、体への負担はできる限り減らしたい。

もはやIoT仕様が当たり前になっているシャープの「COCORO AIR」対応エアコン「AY-N40X2」

もはやIoT仕様が当たり前になっているシャープの「COCORO AIR」対応エアコン「AY-N40X2」

そう考えると、室温を快適に保ちつつ節電効果の高いエアコンは優先度が高く、シャープの「COCORO AIR」は興味深い。中田氏によると、シャープではハイエンドタイプからお手軽モデルまで、ほぼすべての機種にWi-Fi機能を内蔵し、COCORO AIRに対応しているという。そんな「IoT当たり前」の姿勢が頼もしい。つまり、地域・住宅の形態・設置する部屋に応じて、どのエアコンを選んでも「COCORO AIR」の恩恵を受けられるというわけだ。

近年はLDKを広く取る間取りが多いようで、鴻池宅の条件(14畳/南向き/最上階/200Vコンセント)と照らし合わせた結果、暖房5kW/冷房4kWクラスで、APFが7.1と省エネ性能が非常に高い「AY-N40X2」がよさそうである。おそらく、電気代を気にせず365日24時間、室温を快適に保てそうだ。なお、価格.comで調べると、本記事執筆時点で新型のAY-N40X2に対し、前年(2020年)モデルの「AY-L40X2」はAPFが同じで約半額とお買い得になっていた。このあたりも大いに考慮すべきポイントである。

▼気になっているホットクックも検討!

次の鴻池宅IoT家電購入候補は、やはり例のホットクックである。レシピを教えてくれるのに加え、かき混ぜ操作や火加減も自動でコントロールしてくれるというおまかせ調理が魅力。新しい料理との出会いも楽しみだ。

無水調理もできる自動調理鍋として大ヒットしている「ヘルシオ ホットクック」シリーズ

無水調理もできる自動調理鍋として大ヒットしている「ヘルシオ ホットクック」シリーズ

ちなみに過熱水蒸気で調理するオーブンレンジ「ヘルシオ」も気になるが、ものぐさな筆者は「材料を切って放り込むだけ」のホットクックにより魅力を感じる。もうこうなったら焼き料理を捨て、煮込み料理ひと筋で生きていくのも悪くないだろう。

ホットクックは、2〜6人向けという大容量2.4Lの「KN-HW24F」、2〜4人向け1.6Lの「KN-HW16F」、1〜2人コンパクトな1.0Lの「KN-HW10E」と3モデルがあり、もう食べ盛りではない夫婦2人暮らしにはKN-HW10Eがよさそうだ。KN-HW10Eはホワイトとブラックの2色展開で、都会型生活の筆者宅ならどちらも魅力的。

なお、ほかの一緒に引っ越ししてきた家電達は今も元気に動いているので買い換えに急を要さない。とはいえ、すべて購入から10年以上経過しているものばかりなので、買い替えてもいい状況ではある。ただ予算の都合もあるので、冷蔵庫と洗濯機は壊れた順でもいいだろう。このあたり、育ち盛りのお子さんがいる家庭だと、冷蔵庫と洗濯機が優先になるかもしれない。

鴻池家で実際に導入するIoT家電とそのQoL向上効果については、実際の生活で使い込み、十分に吟味してからレポートしたいと思っている。こうご期待!

自宅のスマート化で事前確認すべきこと&注意点

今回はシャープに取材することができたので、同社製品の特性も含めつつ、IoT家電を導入するに先立ち、事前に確認しておくべきポイントと注意点を整理した。

▼インターネット環境

まず当たり前ながら、インターネット常時接続とWi-Fi環境は必須。Wi-Fiアクセスポイント(ルーター)は、家電側で自動的にSSIDとパスワードが設定できるWPS機能に対応しているのが望ましい。IoT家電の中には、WPSを必須とするものがあるからだ。実際、筆者宅の給湯器はWPS以外の設定方法がない。

ちなみにシャープ製品の場合、新型のヘルシオや音声対話可能な冷蔵庫などはBluetoothに対応し、Androidスマホがあれば簡単に接続設定を共有できるようになっている。それ以外も原則的にはWPSの利用を主眼に置いているが、最近のモデルはスマホと家電製品を接続し、スマホからSSIDとパスワードを送り込めるようになっているので、ルーターとの相性など、予期せぬトラブルが生じた際の対応力は高そうだ。

とは言え、接続するIoT家電の数が増えてくると、接続設定は面倒なもの。WPSに頼るのが得策で、やはり基本と考えるべきだろう。また、将来ルーターを買い替える際、接続している多くの家電を再設定するのは大変なので、SSIDとパスワードが引っ越しできる製品を選んでおきたい。詳しい設定方法や注意点は、次回記事で紹介する予定だ。

▼メーカーの縛りは?

家電選びの点では「メーカー縛り」も気になるところ。たとえば、エアコンと加湿空気清浄機の連携は、現状、同じメーカー同士の製品である必要がある。なお現時点では、シャープ、パナソニック、ダイキンが、エアコンと加湿空気清浄機の連携をアピールしている。

また今回の取材を通じて重要と気が付いたのが、クラウドデータの引き継ぎだ。たとえば、シャープの「COCORO AIR」は、将来エアコンが寿命を迎えて新機種に買い替える際も、クラウド上にある学習済みのデータが引き継がれるという。便利であると同時に、裏を返せば、違うメーカーから魅力的な製品が登場していても乗り換えにくい。現時点で答えはないが、頭の隅に置いておきたいIoT家電の特性と言える。

ユーザーとして願わくは、学習データの規格統一、あるいは互換や変換を可能にしてほしいところだが、家電製品の詳細機能が複雑で各社の特色が競争ポイントであることや、「ユーザー囲い込み」の思惑から、ひと筋縄では行かないだろう。大袈裟かもしれないが、IoT家電は、最初の1台が、その後の生活や人生をも左右するかもしれない。

最後に・次回予告

というわけで、今回はIoT家電の基本情報や必須の確認ポイントを、このあとスマートホーム化する筆者宅の環境とともにご紹介させていただいた。

そして次回は、IoT家電で必須かつ心配になりがちなWi-Fiの設定方法や、そこで起こりがちな問題および解決のノウハウを紹介する予定である。また、「Googleアシスタント」や「Amazon Alexa」といった音声操作デバイス、ネット非対応家電のスマートリモコンを介した接続にも触れたい。

鴻池賢三

鴻池賢三

オーディオ・ビジュアル評論家として活躍する傍ら、スマート家電グランプリ(KGP)審査員、家電製品総合アドバイザーの肩書きを持ち、家電の賢い選び方&使いこなし術を発信中。

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