Googleの最新スマートフォン「Pixel 6」シリーズと合わせて2021年10月に発表された第2世代の完全ワイヤレス充電器「Pixel Stand」。最大23Wの急速充電、冷却用のファン搭載、「Pixel 6」シリーズの充電時にのみ利用できる便利機能などがセールスポイントとして押し出されていましたが、急速充電時の出力が最大23Wに到達しない不具合が発覚し、2022年1月のアップデートを適用するまで急速充電はお預け状態でした。
最大23W急速充電や冷却用ファン、スマートディスプレイ的な機能など、ワイヤレス充電器として多彩な機能を備える「Pixel Stand」
というわけで、ようやく、急速充電の不具合を修正するアップデートが配布されたので、「Pixel Stand」のレビューをお届けします。公式サイトでの販売価格が9,570円(税込)と、ワイヤレス充電器としては高価な部類に入りますが、その実力はいかほどなものなのでしょうか。
「Pixel Stand」は、これまでのGoogle製品のデザインと同様に、インテリアになじみやすい白をベースとした外観です。冷却ファンを内蔵しているため、本体が太く、円柱を斜めに切ったようなデザインになっています。
白と曲線を取り入れたデザインでやわらかい印象を与える「Pixel Stand」
横から見るとボックスのような形状をしており、一般的なスタンドタイプのワイヤレス充電器と比べると、本体の分厚さが目立ちます
「Pixel Stand」の売りのひとつである急速充電についてチェックしましょう。「Pixel Stand」は、「Pixel 6」の利用時に最大21W、「Pixel 6 Pro」の利用時に最大23Wの急速充電が可能です。それら以外のデバイスについては、最大15Wの急速充電になります。なお、「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」以外のデバイスでは、ワイヤレス充電の規格「Qi(チー)」に対応している製品が使用できます。
今回は「Pixel 6 Pro」を使い、最大23Wの急速充電がどれくらい早いのかを調べてみました。なお、アプリがバックグラウンドで実行される場合などを考慮し、「Pixel 6 Pro」の電源をオフにした状態で検証を行いました。
充電モードは使用状況に基づいて最適化する「最適化」と、可能な限り早く充電を行う「最大」、ファンの騒音を抑える「静音」という3つのモードがあり、今回は「最適化」で検証
バッテリー残量0%で検証スタート
約30分後。バッテリー残量は50%
約1時間後。バッテリー残量は75%
満充電のタイミングを見逃したくなかったので、約1時間20分後の94%で検証終了
結果は上記の写真の通りです。ワイヤレス充電としては高速で、有線での充電にも対抗できるくらいの速度ではないでしょうか。気になったのは、最初の30分で50%まで充電できたものの、次の30分では75%までと、差し引き25%しか充電できなかったこと。最後の20分間で充電できたバッテリー容量も約21%にとどまりました。
Googleによると、バッテリーの経年劣化を抑えるため、バッテリー残量が100%に近づくほど充電速度が低下する仕様になっているとのことです。つまり、最大23Wと言っても常時最大出力で充電されるわけではありません。
次は、冷却ファンの駆動音について検証してみました。冷却ファンは、先ほどの3つの充電モードにより駆動音の大きさが異なります。「最大」のときに最も大きな音がしましたが、それでも本体に耳を近づけないと聞こえない程度。「最適化」の場合は、より音が小さくなり、「静音」の場合、ファンは動作しません。駆動音については、ほとんど気にならないレベルです。
土台の部分にすき間がもうけられており、ここから冷却用ファンの風が排出されます
冷却ファンの性能については、サーモグラフィーなどで計測したわけではないので、ハッキリとは言えませんが、急速充電によるバッテリーの温度上昇を防ぐくらいで、充電しながらゲームを遊べるといったレベルの冷却性能はないと思われます。あくまでも、充電中の温度上昇によるバッテリーの劣化を抑えるための機能ということです。
なお、「Pixel Stand」の冷却ファンは、「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」の利用時にしか動作しません。その点はご注意ください。
「Pixel Stand」は、ほかのワイヤレス充電器にはない特徴を備えます。それが、充電中の「Pixel 6」や「Pixel 6 Pro」をスマートディスプレイ代わりに使える機能です。ひとつは、「スマートホーム機能」で、これをオンにすると、充電中でもアンロックすることなく、スマートホーム製品の操作が行えます。
もうひとつは、充電を始めると自動でスマートフォンがサイレントモードになる機能。そして、Googleフォトで指定したアルバムを再生する「フォトフレーム」機能、アラームが鳴る少し前からディスプレイのライトを徐々に明るくする「めざましディスプレイ」も用意されています。
正直なところ、「スマートホーム機能」については、Googleアシスタントの音声入力でスマートホーム製品を操作することがほとんどなので、個人的にはあまり実用的とは感じませんでした。
サイレントモードになる機能や「めざましディスプレイ」についても、ある意味オプション的な機能です。「超絶便利で絶対必須!」というわけではないものの、「必要な人には刺さる」的な機能と考えていただいて大丈夫です。
その中でも、個人的には「フォトフレーム」機能がよかったです。「Pixel Stand」に立てかけるだけで写真を映してくれるため、在宅勤務でつかの間のリフレッシュ、みたいな感じで使っています。
個人的にお気に入りの「フォトフレーム」。在宅勤務中に利用しています
「Pixel Stand」の主要機能の多くは、「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」の利用時にしか使えないものがほとんどです。そのため、ほかのスマートフォンを使用している人は、機能以外の部分、たとえばデザインなどに魅力を感じない限り、購入しても宝の持ち腐れとなりそうです。
「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」のユーザーにとっては、「Pixel Stand」の能力をフルに解放できるのは魅力です。急速充電や冷却ファン、追加機能に価値を見いだせるなら、ぜひチェックしてみてください。
最新ガジェットとゲームに目がない雑食系ライター。最近メタボ気味になってきたので健康管理グッズにも興味あり。休日はゲームをしたり映画を見たりしています。