Beijing Roborock TechnologyとSB C&Sは、モップ洗浄と本体への給水、そして本体からのゴミ収集に加え、新たにモップ乾燥を行える全自動ドックが付属したロボット掃除機「Roborock S8 Pro Ultra(ロボロック エスハチ プロ ウルトラ)」(以下、「S8 Pro Ultra」)と、吸引・水拭き掃除を同時に行うスティック型水拭き掃除機「Roborock Dyad Pro(ロボロック ダイアド プロ)」(以下、「Dyad Pro」)を、2023年7月14日に発売した。
価格は「S8 Pro Ultra」が229,900円(税込)、「Dyad Pro」が62,800円(税込)。
右がロボット掃除機「S8 Pro Ultra」で、左がスティック型水拭き掃除機「Dyad Pro」
ここでは、同社の従来の最上級モデル「S7 MaxV Ultra」と比較しながら、「S8 Pro Ultra」の進化ポイントを解説。さらに、同社初のスティック型水拭き掃除機「Dyad Pro」の紹介という2本立てでお送りする。
本体サイズ/重量は35.3(直径)×9.65(高さ)cm/約4.5kgで、「4way全自動ドック」のサイズ/重量は42.6(幅)×51.4(奥行)×45(高さ)cm/約10.1kg
「S8 Pro Ultra」の最大の進化ポイントは、本体に搭載された水拭きモップの洗浄/乾燥/給水から、吸引されたゴミの収集まで、面倒なメンテナンスを全自動化する「4way全自動ドック」が付属すること。全自動ドックに新しくモップの自動乾燥機能が付いたことで、常に清潔な水拭きモップで家の中を掃除できるようになった。
水拭きモップは、掃除中および終了時に本体がドックに戻ってきたときに、毎分745回転するブラシで汚れが洗浄される。掃除中にモップ洗浄を行う時間の間隔は、9段階(10〜50分の5分間隔)から設定でき、常に清潔なモップで掃除できる。洗浄を終えたモップは、熱風で自動乾燥し、臭いやカビの発生を抑えてくれる。乾燥時間は、湿気の多い時期やさまざまな環境などを考慮して3つの時間(2/3/4時間)を設定可能だ。
「4way全自動ドック」のドック深部。モップ洗浄を行うブラシが見える
もちろん、水拭きやモップ洗浄に必要な水は自動給水なので、水拭きのたびにモップを濡らす必要はなし。本体は水拭き掃除中に水量が不足するとドックに自動で戻り、ドックから自動で給水される。
また、本体が吸い上げてきたゴミは自動で収集される。ドック内に装着した2.5Lの紙パックには60日分のゴミが溜められるので、ゴミを捨てる手間は大幅に削減される。さらに、ドックが花粉などの0.3μmまでの微粒子を99.7%吸引して、排気を清浄化してくれるのもうれしいポイントだ。
「4way全自動ドック」の上部に装着した紙パック。紙パック式なので、ゴミを捨てる際にホコリが舞い散りにくい
なお、ドックは約4時間で満充電するため 、掃除の速やかな再開を実現。本体は最大で連続3時間、面積だと300m2(約164畳)の広い範囲を掃除可能だ。
ロボット掃除機の機能でいちばん気になる吸引・水拭き性能もパワーアップしている。
吸引力は、同社のロボット掃除機では最強の6,000Paに向上。また、2本仕様の新開発メインブラシ「デュアルラバーブラシ」により、ラグやカーペットの奥に潜んだ微細なハウスダストや砂、大きめのゴミまで一気にかき出し、吸い上げる。ラバーブラシが1本だった前モデル「S7 MaxV Ultra」と比較すると、カーペットの髪の毛やペットの毛の除去率は30%アップしているという。
それぞれが内側に向かって回転する「デュアルラバーブラシ」を採用
掃除を終えたあと、もう1度カーペットのみを掃除する「カーペット念入りモード」も新搭載。また、フローリングの木目やタイルの目地に沿って掃除を行う機能も新しく搭載され、フローリングやタイルの溝への清掃力や擦れを配慮するなど、きめ細やかな掃除を実現する。
水拭き性能は、最大毎分3,000回動くモップの高速振動エリアが2か所に増えたことで、「S7 MaxV Ultra」と比較して60%拡大。2度の振動でしつこい汚れをより効果的に除去する。また、600gの高加重モップにより、皮脂やコーヒー、花粉などの乾いてこびり付いた頑固な汚れもキレイに拭き上げる。さらに、よりていねいに床を拭き上げる「水拭き超強力モード」を新たに搭載しており、ゆっくりとした速度ときめ細かなルート走行で水拭きのみを念入りに行う。
なお、水拭き掃除中に超音波センサーがカーペットを検知すると、水拭きモップが自動で持ち上がり吸引掃除のみを実施。さらに、稼働音や2次汚染を防ぐため、水拭きのみの掃除やドックに戻る際にはメインブラシが自動で持ち上がる機能も追加されている。
モップを剥がしてみると、2か所の振動部が確認できた。これにより従来モデルより効率的に汚れを拭き上げる。ちなみに、自動検知できるカーペットは毛足が4mm未満のもの。4mm以上の場合は、カーペット回避機能を利用する
次にセンサー周りの進化について。
前モデル「S7 MaxV Ultra」は顔認証技術の原理を活用したストラクチャードライト&カメラとRGBカメラを装備していたが、「S8 Pro Ultra」は高精度の3Dストラクチャードライト&カメラと赤外線イメージングシステムを新搭載。床にある物体をAIが瞬時に分析し、位置や種類を特定することで、暗い部屋でも物体の認識・回避が可能になった。
ちなみに、認識・回避可能な物体は幅5cm、高さ3cm以上の物で、種類は以下の計11種に増えており、見つけたらアプリ上に表示してくれる。
・スリッパなどの履き物
・コード
・電源タップ
・布類
・ペットの排泄物
・扇風機などの台座
・体重計
・ちりとり
・紙くず
・ペット
・挟まりやすい家具
毎分300回転するLDSレーザーセンサーが部屋を掃除しながら360度をスキャン。室内を素早くマッピングする。また、21種29個のセンサーが連携し、カーペットや敷居の有無、障害物などを検知。部屋の隅々へスムーズな移動が可能だ。もちろん落下防止センサーを搭載しているため、玄関などの段差から落下する心配はない
専用アプリもアップグレードされている。
アプリでは従来どおり、掃除ルートがリアルタイムで確認できるほか、部屋全体の掃除が終わるとアプリ上にマップが完成し、進入禁止エリアや掃除したい部屋、エリア、回数などを詳細に設定できる。そして本モデルでは新しく、「掃除中に走行が困難になりやすそうなエリアを自動で検出し、アプリから進入禁止エリアを提案する機能」が搭載された。
また、新開発の「お急ぎ掃除モード」を搭載。部屋の外周の掃除を省略することで、通常よりも30%早く掃除を完了できるようになった。さらに、掃除を行いながらマッピングをする従来方式と比較して、最大6倍の速さで各部屋のマッピングを行う「クイックマッピング」機能も追加されており、初めて掃除を行う部屋の進入禁止エリアや掃除エリアの設定がより便利になった。
前モデル「S7 MaxV Ultra」とのスペック比較表。赤字が本モデルと異なる項目だ。本体機能からドック機能まで全体的に進化していることがわかる
ロボロック初のスティック型水拭き掃除機「Dyad Pro」。本体サイズ/重量は26(幅)×30.3(奥行)×110.9(高さ)cm/4.8kgで、充電ドックのサイズ/重量は32.4(幅)×36(奥行)×20.9(高さ)cm/1.3kg。充電時間は約4時間でフル充電される
いっぽう、「Dyad Pro」は、吸引と水拭き掃除を同時に行い、液体が混ざった食べこぼし汚れにも対応するスティック型水拭き掃除機。壁際1mmまで近接できるローラーブラシや、大容量バッテリー、自動洗剤投入機能、ローラーブラシの自動洗浄・乾燥など、多くの機能を搭載している。掃除を終えて充電ドックに戻すと、ローラーブラシを自動で洗浄・乾燥するため、普段のお手入れはゴミも入った汚水を捨てるのみと簡単だ。それぞれ解説していこう。
まずは掃除力から。
吸引力は17,000Paとなかなかパワフル。同時に、壁際1mmまで接近する3つのローラーブラシが水拭きを行うことで、微細なハウスダストから液体が混ざった床の食べこぼし汚れなどを、2度拭きしたような仕上がりでキレイに拭き上げる。さらに、「スマートダストセンサー」が床の汚れ具合を検知し、吸引力と水拭きの水量を自動的に調整するため、床の状態に合わせた掃除が可能だ。
前輪と後輪のローラーブラシがそれぞれ逆方向に回転することによって、摩擦力を均等に分散。ラクに掃除ができる。前輪のローラーブラシがヘッドの際まで延びていることがわかる。また、ヘッド前部には吸引口調整スイッチが搭載されており、大量のゴミがあるときや吸い込みたくない小物が多いときなど、状況に合わせて吸い込み具合を変えられる。なお、前輪と後輪のローラーブラシの間からゴミが吸引される
上部が清水タンク。モップを濡らしたり洗浄したりするための水だ
下部が汚水タンクで、こちらにすべてのゴミや液体が収集される
「Dyad Pro」は、軽く押すだけで前に進む自走式。充電ドックがなくても自立するため、掃除の途中で手を離せるのはうれしいポイントだ。ヘッドは左右40度まで回転するので取り回しがしやすく、机や椅子などの家具がある部屋もていねいに掃除ができそうだ。また、4,000mAhの大容量バッテリーを搭載しており、1度の掃除で最長43分、最大300m2の掃除が可能。複数の部屋を安心して掃除できる。
本モデルは、視認性にすぐれたLEDパネルでバッテリー残量や掃除モードをひと目で確認でき、音声案内で清水・汚水タンクの交換時期などもお知らせ。また、専用アプリで吸引力から水量、ローラーブラシの回転速度、自動洗浄の開始時間、乾燥時間をお好みで調整でき、掃除履歴の確認も可能だ。
本体中央にはLEDパネルや音声案内を搭載。バッテリー残量や掃除モード、清水/汚水タンクの交換時期などを知らせてくれる。モードの切り替えはハンドルに搭載されたボタンで操作する
「Dyad Pro」は、専用洗剤を利用する機能も搭載。ナチュラルな香りのティーツリーオイルを配合したユニリーバ製の「Roborock」専用洗剤(別売/2023年8月上旬発売)を使用することで、よりキレイな仕上がりを実現する。使い方は簡単で、本体の洗剤用タンクに洗剤を投入するだけで、床の汚れ具合に応じて自動で洗剤を投入しながら掃除を行ってくれる。なお、洗剤用タンクは1度の洗剤追加で最長10時間稼働する。
洗浄用タンクはヘッド部に装着。洗剤を1回満杯にすると。清水タンク約20杯分の掃除ができる
掃除を終えて本体を充電ドックに戻すと、ローラーブラシを自動で洗浄する。洗浄は、標準と強力の2つのモードを備えており、ローラーブラシの汚れ具合によって選択可能。洗浄後は自動で乾燥も行うため、雑菌や異臭の発生を防いでくれる。乾燥は、標準3時間か高速1時間モードの設定が可能で、専用アプリを使用した場合は、2〜6時間の1時間単位で設定できる。
充電ドック。モップの洗浄・乾燥を行う場合は、ハンドルに搭載された「自動洗浄」ボタンを押す必要がある。「自動洗浄」ボタンを2秒間長押しすると、「強力自動洗浄モード」に切り替わる
ロボロックから「S8 Pro Ultra」が登場したことで、モップ乾燥まで自動で行う最上級モデルは、エコバックス「DEEBOT T20 OMNI」と、日本初上陸のドリーミー(dreame)「DreameBot L10s Ultra」を合わせて3機種が出揃った。価格はどれも20万円前後で、細かい機能の違いはあれど、ロボット掃除機としての総合力はほぼ拮抗しているように見える。しかし、ロボロック「S8 Pro Ultra」がほかの2機種と大きく異なるのが「デュアルラバーブラシ」だ。ほかの2機種はラバーブラシが1本なので、ゴミの収集力(収集効率)がどのくらい異なるのかが気になるところだ。
水拭きができるスティック掃除機は、ロボット掃除機最上級モデル以上に多くのメーカーから新製品が登場しているトレンドの家電だ。
「Dyad Pro」を含めた大半のスティック掃除機は、吸引機能と水拭き(乾拭き)を同時に行うモデルで、別々に行うことができない。いっぽうダイソンの「Dyson V12s Detect Slim Submarine」はあくまでも床面のゴミを吸い取るコードレススティック掃除機で、付属の「Submarineウェットローラーヘッド」に付け替えると、水拭き掃除ができるようになる仕様だったりする。また、水拭きしながらゴミも吸うAQUAの「ワイプル」は本体重量が3.4kgと取り回しがしやすいし、同じく水拭きしながらゴミも吸うハイアールの「MIZUKI」は吸引+乾拭きモードを搭載していたりするなど、それぞれわかりやすい特徴で差別化を図っているようだ。
月刊アイテム情報誌の編集者を経て価格.comマガジンへ。家電のほか、ホビーやフード、文房具、スポーツアパレル、ゲーム(アナログも含む)へのアンテナは常に張り巡らしています。映画が好きで、どのジャンルもまんべんなく鑑賞するタイプです。