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3万円超えでも売れまくるヘアドライヤー「ナノケア」に対抗する他メーカーの必死の策とは?

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長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。

第47回は、8月末〜9月初旬にかけて、気になる新製品が発売されているヘアドライヤーについて、その最新トレンドを解説しよう。

圧倒的な強さを見せるパナソニック「ナノケア」シリーズ

【図1】価格.com「ヘアドライヤー」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3年)

【図1】価格.com「ヘアドライヤー」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3年)

ヘアドライヤーという製品は、比較的季節性がなく、一年中コンスタントに売れる製品だ。図1は、過去3年間における価格.com「ヘアドライヤー」カテゴリーの閲覧者数推移を示したもの。年末年始にかけての時期には需要もピークを迎えるが、これは一般的な家電製品に共通する特徴と見てよく、いわゆる年末年始のボーナス商戦でヘアドライヤーも売れやすい傾向にある。特に最近では、パナソニックの「ナノケア」シリーズに代表される高級ドライヤーが人気で、3万〜4万円程度する製品も多いため、ある程度お金に余裕のある時期に購入する人が多そうだ。

【図2】価格.com「ヘアドライヤー」カテゴリーの主要メーカーごと閲覧者数推移(過去半年)

【図2】価格.com「ヘアドライヤー」カテゴリーの主要メーカーごと閲覧者数推移(過去半年)

図2は、価格.com「ヘアドライヤー」カテゴリーにおける、主要メーカーごとの閲覧者数推移を示したものだ。これを見ると、上述の「ナノケア」シリーズが大人気のパナソニックが、他社を大きく引き離して一強状態を作っていることがわかる。この状況はここ数年続いているもので、この分野におけるパナソニックの牙城はそうそう崩せそうにない。

パナソニック以外では、シャープテスコムダイソンMTG(ReFa)コイズミといったメーカーが2位グループを形成しており、なかでもシャープとテスコムの2社が直近ではやや抜け出てきている。9月23日週にダイソンのアクセスが急上昇しているのは、某テレビ通販会社がこの時期にキャンペーン販売をしていた影響で、今では元に戻っている。

【図3】価格.com「ヘアドライヤー」カテゴリーにおける人気モデルの閲覧者数推移(過去半年)

【図3】価格.com「ヘアドライヤー」カテゴリーにおける人気モデルの閲覧者数推移(過去半年)

これをさらに人気モデルレベルに拡大して見たのが図3だ。価格.comでの人気モデル5製品の中では、パナソニックの「ナノケア EH-NA0J」の人気が安定して高く、2位以下を大きく引き離している。これに対して7月くらいからやや人気を上げてきているのが同社の低価格シリーズ「イオニティ EH-NE7L」と、2021年モデルの「ナノケア EH-NA0G」。MTGの「ReFa BEAUTECH DRYER SMART」は一時期やや人気を落としていたが、最近になって人気を戻している状況だ。

そしてやはりここでも注目すべきは、ダイソンの「Dyson Supersonic Originヘアドライヤー HD08 ULF BBN ENT」の急上昇だろう。前述のとおり、9月23日に行われた某テレビ通販会社のキャンペーン販売の影響。最安価格もこの日を境に31,000円台から27,000円台へと一気に下がり、一気に注目度が上がった形だが、これは一時的なもので、直近のアクセスではまた通常どおりに戻っている。

8月末〜9月初旬にパナソニックとシャープから発売された最新モデルの動向は?

ヘアドライヤーのモデルチェンジの時期はメーカーによってさまざまだが、価格.comでいちばん人気のパナソニックをはじめ、いくつかのメーカーは秋口に新モデルを発売し、1年間販売するというのが一般的だ。というわけで、今年も8月末から9月初旬にかけて、いくつかの気になる新モデルが発売された。それらの状況について見てみよう。

【図4】価格.com「ヘアドライヤー」カテゴリーにおける最新発売モデルの閲覧者数推移(過去2か月)

【図4】価格.com「ヘアドライヤー」カテゴリーにおける最新発売モデルの閲覧者数推移(過去2か月)

図4は、価格.com「ヘアドライヤー」カテゴリーにおける最新モデルの閲覧者数推移を示したものだ。パナソニックから4製品、シャープから2製品が新たに発売されているが、なかでも注目度が高い製品と言えば、パナソニックが9月1日に発売した「ナノケア アルティメイト」シリーズ2機種だろう。元々「ナノケア」シリーズは3万円を超えるような高額製品ながら指名買いが相次ぐという人気製品であったが、今回新たに発売された「ナノケア アルティメイト」シリーズは、その上を行く上級製品。価格帯も、上位モデルの「EH-NC80-T」が8万円超え、下位モデルの「EH-NC50-K」でも5万円超えという、家庭向けのヘアドライヤーとしては、かなり高額な製品となる。もちろんその分、機能・性能は高い。水分量が約10倍にアップした新開発の「高浸透ナノイー(第2世代)」を搭載し、髪への潤いは従来機の1.2倍程度にアップしているほか、新搭載の高回転モーターと新速乾ノズルにより、従来機に比べ1.5倍の速乾性能を実現したという。

いっぽうのシャープ「Plasmacluster Beauty」シリーズからは「プラズマクラスター ドレープフロードライヤー IB-WX902」が9月上旬に発売された。昨年発売され、ユーザーから一定の評価を得た従来モデル「IB-WX901」の改良版となる新型だが、パナソニックの「ナノイー」に相当する「プラズマクラスター」で髪をいたわりつつ、潤いのある髪に導くところが特徴。また、最大約7.4m3/分の大風量と、吹出口から出る4つの速く強い風が髪を押し分けて、広範囲に風を当てて素早く乾かすため、速乾性能では「ナノケア」シリーズを凌駕する。

これらの注目モデルはそれなりに値段も高いだけに、発売直後はなかなか動きが鈍いことも予想されたが、実際はどうだったのだろうか。図4を見ると、7月24日の製品発表時点では、やはり「ナノケア アルティメイト」シリーズ2モデルの注目度が高く、その後もしばらくは高い注目度のまま推移したが、実際に発売された9月1日には、下位モデルの「EH-NC50-K」が頭ひとつ抜けた形でリード。上位モデルの「EH-NC80-T」はやや伸び悩んだ。このあたりは、両モデルの販売価格の差が3万円近く開いているのが大きかったと見られる。いっぽうのシャープ「IB-WX902」だが、さほど大きな動きではないものの、9月末時点では、パナソニックのほかの「ナノケア」シリーズ新モデルと同等の注目度となっており、これは比較的健闘していると言ってよさそうだ。

なお、9月1日には、従来タイプの「ナノケア」シリーズからも数製品がモデルチェンジしているのだが、現状ではそこまで爆発的に人気になっているとは言いがたい。これについては、2022年発売の「ナノケア EH-NA0J」が大人気で、今も同シリーズでは最上位モデルとして販売継続されているため、下位モデルがあまり話題になりにくいといった状況なのだろう。図3でも見たが、それだけ「ナノケア EH-NA0J」が人気ということでもある。

ヘアドライヤーの売れ筋価格帯は3万円前後の高価格帯と、1万円以下の低価格帯

【図5】価格.com「ヘアドライヤー」カテゴリーにおける人気モデルの最安価格推移

【図5】価格.com「ヘアドライヤー」カテゴリーにおける人気モデルの最安価格推移

最後に、価格.comにおけるヘアドライヤーの売れ筋価格帯について見てみたい。図5は、価格.com「ヘアドライヤー」カテゴリーにおける人気5モデルの最安価格推移を示したものだが、大きく2つの価格帯に分けられることが見て取れる。

まずひとつめは、3万円を挟んで上下5,000円くらいの25,000〜35,000円くらいの価格帯。ここには、上述のパナソニック「ナノケア EH-NA0J」をはじめ、瞬発的な人気を得たダイソン「Dyson Supersonic Originヘアドライヤー HD08 ULF BBN ENT」などが入ってくる。なお、「ナノケア EH-NA0G」については、2021年発売の旧型モデルだが、それでもなおこれくらいの高価格帯にとどまって売れている。

注目すべきは、「Dyson Supersonic Originヘアドライヤー HD08 ULF BBN ENT」の価格推移だろう。こちらは従来モデルより価格が高めで、最安価格も4万円前後と、人気の「ナノケア EH-NA0J」よりもさらに上の価格設定となっていた。それが今年5月くらいから値下がりをはじめ、7月に入ったくらいには「ナノケア EH-NA0J」と同等レベルの31,000円台まで落ちた。その後9月に入ると、3万円を割り込む程度まで落ち、そこに某テレビショッピングのセールが行われたため、一気に注目度が上がり、なおかつ割安という理由から売れたのではないかと推察できる。逆に言えば、人気の「ナノケア EH-NA0J」と互角に勝負するためには、それ以下の価格をつけなければ難しいということなのかもしれない。なお、最近人気のMTG「ReFa BEAUTECH DRYER SMART」や、8月末に発売されたシャープの最新モデル「Plasmacluster Beauty IB-WX902」などはいずれも2.7万〜3万円くらいの価格設定で、そこそこ好調な状況にある。

もうひとつの人気価格帯は、約1万円以下のクラスだ。ここには、パナソニックの「ナノケア」シリーズのエントリーモデル「ナノケア EH-NA2K」や、同社の普及価格帯シリーズの「イオニティ EH-NE7L」などが入ってくる。それほど多くの機能はいらないから、手軽に使えるヘアドライヤーをというユーザーには、このあたりの安めの価格帯の製品も人気だ。上級クラスの製品との大きな違いは、搭載されるモードの数や風量コントロ−ルの細かさなどが主だが、機能が少ない分、コンパクトで収納しやすいというメリットもある

このあたりは、使う人の用途やお財布と相談しながら選んでいただければと思う。

コレ買っときゃ間違いない! 価格.com編集長が今注目するヘアドライヤー5選

※最安価格とユーザー満足度・評価は、いずれも2024年10月1日 時点のものです。

パナソニック「ナノケア EH-NA0J」

EH-NA0J

価格.com最安価格:31,795円
発売日:2022年9月1日発売
ユーザー満足度・評価:★4.57(169人)

2022年発売の「ナノケア」最上位モデルで、2年経った今もラインアップ現役モデル。2022年の「価格.comプロダクトアワード」では金賞を受賞しているほどの高評価を得た。それまでのデザインから一新されボディが小型化されたいっぽうで、シリーズ史上最大となる1.6m3/分の風量を実現。加えて、水分発生量18倍の高浸透ナノイーを採用し、頭皮や髪への潤いもアップした。このほか、2つのセンサーで、環境や使い方を検知するスマートセンシングを搭載し、自動で風温をコントロールすることも可能だ。発売当初は4万円近い高額だったが、現在では3万円台前半で購入できる。

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2022/12/18 09:00

MTG「ReFa BEAUTECH DRYER SMART」

ReFa BEAUTECH DRYER SMART

価格.com最安価格:30,300円
発売日:2023年1月25日発売
ユーザー満足度・評価:★4.62(20人)

シャワーヘッドなどで最近何かと話題の「ReFa」から2023年に登場したヘアドライヤー。モーターメーカーNidecと共同開発した小型でパワフルな「HPDモーター」を搭載し、スリムなボディからは想像できない風量・風速を実現した。また、内蔵センサーと新開発のセンシングプログラムによって、頭皮は50度以下、髪先は60度以下をキープするよう自動的に制御している。ハイドロイオンの発生装置も搭載し、髪をいたわりながら、速乾を実現した製品に仕上がっている。

シャープ「Plasmacluster Beauty IB-WX902」

IB-WX902

価格.com最安価格:27,500円
発売日:2024年9月上旬発売
ユーザー満足度・評価:★--(0人)

9月上旬に発売されたばかりのシャープの最新モデル。昨年発売された前モデル「IB-WX901」が一定の評価を受け、その改良版として登場した。ネーミングにもあるように、プラズマクラスターイオンで髪をいたわりつつ、潤いのある髪に導くところが特徴だが、注目はその大風量。最大約7.4m3/分の風量と、吹出口から出る4つの速く強い風が、髪をドレープ状に押し分けて、広範囲に風を当てて素早く乾かすため、速乾性能では「ナノケア」シリーズを凌駕する。髪をなるべく短時間で乾かしたいというニーズにはかなり適した製品だろう。

コイズミ「ハイスピードイオンバランスドライヤー Salon Sense KHD-9970」

KHD-9970

価格.com最安価格:16,800円
発売日:2023年11月上旬発売
ユーザー満足度・評価:★5.00(4人)

昨年11月に発売されたコイズミ「Salon Sense」ブランドのヘアドライヤー。ネーミングにもある「ハイスピードイオンバランス」というのは、プラスとマイナスの電極を高速に変化させ、マイナスイオンだけではなく、プラスイオンも同時に送り出すという機能を指す。これにより、髪全体の静電気を中和し、広がりを抑えてまとまりよく、滑らかな髪へ導くとしている。最大風速は約50m/秒で、髪を素早く乾かすことが可能。前モデル比で60%も乾燥時間を短縮できたという。価格も比較的手ごろだ。

パナソニック「ナノケア EH-NA2K」

EH-NA2K

価格.com最安価格:11,799円
発売日:2023年9月1日発売
ユーザー満足度・評価:★4.55(8人)

パナソニックの「ナノケア」シリーズのボトムを担うベーシックモデル。「ナノケア」と言うと高いというイメージがあるが、本機なら1万円台前半で購入可能。上位モデルにはある「スカルプ」などの各種の運転モードなどは搭載されておらず、基本的には3段階の運転切り替えのみとはなるが、ナノイーを含む基本性能は上位モデルとほぼ同等。ひとまずナノイー効果を実感したいが、初期投資は抑えたいという人に最適な製品となっている。

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鎌田 剛(編集部)
Writer
鎌田 剛(編集部)
1996年にソフトバンクにて複数のパソコン情報誌の編集・立ち上げに携わった後、2002年にカカクコム入社。2006年「価格.comマガジン」を創刊。以降、編集長としてメディア運営に携わる。日経MJにてコラム連載、ラジオ出演なども幅広く行う。家電製品アドバイザー資格保持者。
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北島圭介(編集部)
Editor
北島圭介(編集部)
出版社で10数年、編集者として経験を積み、2022年にカカクコム入社。家電製品から文房具など、さまざまな商品を検証するモノ雑誌の編集経験を生かし、価格.comマガジンで生活家電を中心に気になる製品をレビューしている。
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