水を噴射して歯間や歯周ポケットの汚れを落とす口腔洗浄器は、水流が強いほど汚れ落ちがいいと考えられがちですが、パナソニック「ジェットウォッシャー ドルツ」シリーズには水流だけに頼らずにしっかり汚れを落とす製品があります。汚れ落ちのいい口腔洗浄器を探している人、歯茎へのダメージが気になる人はチェックしてみて!
「ジェットウォッシャー ドルツ」シリーズ(以下、「ジェットウォッシャー」)は、現在、6モデルをラインアップしています(2024年10月29日時点)。水圧の切り替え数や使用時間、本体の形状(コードレスタイプと据え置きタイプ)など異なる点はいくつかありますが、注目したいのが水流の種類。水の勢いで汚れを落とす「ジェット水流」、水流と気泡で汚れを落とす「超音波水流」、やさしい水流と細かな気泡で汚れを落とす「ナノクレンジング水流」の3種類の水流があります。
「ジェット水流」と「超音波水流」を採用するモデルには、本体にタンクをセットして使うコードレスタイプ(「EW-DJ11」は電池式)と、本体とタンクが分かれた据え置きタイプがあります。今回は割愛しますが、設置しやすさや使いやすさも選ぶうえで確かめておきたい大切なポイント
高圧の水で汚れを落とす「ジェット水流」は、口腔洗浄器では一般的な方式。水圧が強いほど汚れは落ちやすくなるものの歯茎への負担が大きくなるため、歯茎の状態や、同じ場所に長く水流を当てるなどすると歯茎を傷めるリスクがあります。
そうした課題を解消するのが、水流に数多くの小さな気泡を内包させた「超音波水流」と「ナノクレンジング水流」です。給水タンクから水を引き込むと同時にノズルから空気を引き込み、ノズル内の水路の形状を一部分絞ることで空気を圧縮して細かい無数の気泡を生成。この気泡が歯の表面に当たって弾けるときに起こる衝撃波が汚れを除去します。
ポンプを吐出方向と逆流させ、水流の中に大量の空気を引き込む「エアチャージャー」という技術を使っています
ノズルから引き込まれた空気が水路の絞りで圧縮され、空気と水が押しつぶされて微細な気泡となり、大量の気泡が混ざった水が吐出する仕組み
「超音波水流」と「ナノクレンジング水流」は、「エアチャージャー」で引き込む空気の量と、ノズル内にある水路の「絞り」の数が異なります。「ナノクレンジング水流」は「超音波水流」よりも多くの空気を引き込み、「絞り」を2か所設けることで、効率よく、より微細な気泡を生成。水道水のままの「ジェット水流(EW-DJ64)」と比べて「超音波水流(EW-DJ55)」には9.4倍、「ナノクレンジング水流(EW-NJ80)」には15.3倍もの空気が含まれているそうです。
水道水にもわずかに空気は含まれていますが、ほとんどないに等しいレベル。「超音波水流」と「ナノクレンジング水流」の空気の含有量もかなり違います
水の中で噴射してみると、空気をほとんど含まない「ジェット水流」は何も見えませんが、多くの空気を含んだ「ナノクレンジング水流」は細かい気泡が出てくるのが確認できました
気泡が混ざった水流を使う点は同じですが、「超音波水流」よりもサイズが小さい気泡をより多く含む「ナノクレンジング水流」のほうが高い洗浄力を発揮するとともに、やさしい刺激でケア可能。「超音波水流」は気泡が弾ける衝撃波により発生する超音波を使った水流で汚れを落とし、「ナノクレンジング水流」はナノサイズの気泡を含んだ無数の微細な水滴で洗い落とします。
「ジェット水流(EW-DJ64)」と比べ、「超音波水流(EW-DJ55)」と「ナノクレンジング水流(EW-NJ80)」は歯茎への負担が少ないのに、洗浄力は圧倒的に高い!
気泡を使うことで歯茎への負担を減らしつつ洗浄力を高めたのが「超音波水流」と「ナノクレンジング水流」の強みですが、強い水流のほうが汚れがよく落ちるイメージがあるので、正直、やさしい水流でも汚れがしっかり落ちるとは思えない人もいるでしょう。そこで、「ジェット水流」「超音波水流」「ナノクレンジング水流」の3つの水流で、汚れ落ちと水圧を比較してみました。
ジェット水流の「EW-DJ64」、超音波水流の「EW-DJ55」、ナノクレンジング水流の「EW-NJ80」で比較
検証方法は、歯の汚れを擬似的に再現したタンパク質汚れを付着させたシールに向かって、各水流を15秒噴射するというもの。シールを重量計に貼り、水の勢い(水圧)も同時に確認します
噴射をスタートすると、下の動画のように「ナノクレンジング水流」は当たった瞬間と言ってもいい早さで汚れが落ちました。たった15秒でしたが、汚れ落ちの差は一目瞭然。なのに、重量計に表示される水圧は「ジェット水流」が13.5g前後、「超音波水流」が9.6g前後、「ナノクレンジング水流」が6.9g前後と、「ナノクレンジング水流」が最も小さく、やさしい水流ながら強力な洗浄力であることが確認できました。
15秒噴射した結果。同じ時間洗浄するなら、しっかり汚れが落とせるものを選ぶほうが断然いい!
「超音波水流」と「ナノクレンジング水流」は歯間や歯周ポケットの汚れのほか、歯の表面の汚れも落とせるそう。ただし、強い水流だから落とせる汚れもあります。歯列矯正器具と歯の間の汚れには「超音波水流」や「ジェット水流」が最適。歯列矯正器具まわりの頑固な汚れや、歯並びの悪い部分の汚れには、少し強めの水流と気泡で落とす「超音波水流」が向いているなど、効果が異なるので歯茎や歯の状態に合わせて適したものを選びましょう。
歯間ケアだけではなく、歯周ポケットのケアもできる口腔洗浄器は、お口の健康を気にする人にとっては注目のアイテム。かくいう筆者も10年ほど前から「ジェットウォッシャー」を使っており、歯ブラシでは味わえないスッキリ感が味わえるので、もう手放せません。ですが、口腔洗浄器ユーザーのなかには「水圧が強すぎて痛くて続けられなかった」という人もいるそう。そんな人にとって、やさしい水圧で洗浄力が高い「超音波水流」や「ナノクレンジング水流」は大きな味方になるのではないでしょうか?
水流を手に当てて刺激を確かめてみたところ、ナノクレンジング水流の「EW-NJ80」は水流と手の間にベルベットの布を挟んだかのようなやわらかな感触。やさしい刺激だけではなく、水の飛び散りも少なかったです
今回、あまり紹介できていませんでしたが、「超音波水流」の洗浄力も上々。歯(疑似)に詰まった汚れ(粘土)が簡単に落ちました(下の動画参照)。