自堕落王(ジダラキング)こと筆者はとにかく食べるのが好きで、ちょっと前までは「オナカ、イッパイ。オデ、シアワセ」という、プリミティブな原始の価値観で生きてきました。オマエ、マルカジリ。
ところがさすがに50歳を超えた昨今、一度胃にデバフがかかると、なかなか解除されないんですよね。下手すると2日ぐらいずっと胃が重い。結果的に食事への興味も、従来の「ガンガンいこうぜ」から、「イイものをちょっと食べるの、いいよねー」という方向へと徐々にシフトしてくるわけです。年寄り臭いけど、マジでそうなります。
そんな中で今、自分の中で流行っているのが、「自宅でイイ肉をちょっと焼くひとり焼肉」です。これまで1人で肉が食いたいときは、食べ放題焼肉に行って3,000円ほどでとにかく肉をガツガツ食っていたんですが……いや待って。もしかして精肉店で3,000円も払えば、少量だけどもっとイイ肉が食べられるんじゃね? と。そうなると次に欲するのは、自宅で快適に肉を焼きたい、ということです。
「快適に肉が焼ける」の解釈は人それぞれであるとは思いますが、こと自宅焼肉という環境下においては、油煙を出さない、という部分に尽きるはず。ホットプレートの上でバチバチはねた油がいつの間にか壁紙や床に付着してヌルッとしたり、カーテンから先週の焼肉の臭いがまだ漂っていたりするのは、どう考えても快適とは言いづらい。消臭スプレーに頼るにも限度ってものがありますし。
そこであれこれ探してみた結果、これがよいのでは!? と辿り着いたのが、山善のホットプレート「XGRILL STORM」です。
ソロ〜2人ぐらいのご家庭焼肉を快適にする山善「XGRILL STORM」
山善の「XGRILL」シリーズといえば、グリル裏面の特殊加工で煙が出にくい家庭用ホットプレートとしてこれまでも人気だったのですが、進化した「XGRILL STORM」はさらに本体内にファンを備えることで、焼いているときに発生する煙を約85%、油はねも約70%までカットできるようになりました。
一応、従来にも家庭用ホットプレートで吸煙ファンが搭載されたものはあったのですが、そのほとんどは4人以上のファミリーサイズ。個人的には、そこまで大きいプレートは要らないんですよね。我が家は夫婦2人暮らしなので、1〜2人サイズで十分。そこに吸煙ファンを付けてくれたら、それが最高なんです。
ちなみに4人以上サイズのファン付きには、同シリーズの「XGRILL PREMIUM」があるので、そちらをどうぞ。
こちらが内蔵の吸煙ファン。かなり強力に油煙を排除します
本体は395mm×275mmと、A3サイズよりちょっと小さいぐらい。小型のリビングデスクでも問題なく設置できるであろうコンパクトさです。
上面はヒーター一体型のグリルプレートで、その両側面にはファンで煙を吸い込むスリットが並んでいます。で、コントローラー兼用の電源ユニットをガチャッと挿し込むと、ヒーターとファンに同時給電されるという仕組み。
グリルプレートを裏返すと、ゴツいヒーターユニットがぐるりと通っているのがわかります
コントローラー兼用の電源ユニットはかなりゴツめ
吸煙ファンに加えて、 グリルプレートの裏側にも煙を減らす工夫があります。プレートを裏返すと、全体的にX型にカットされた立体構造が並んでいるのが見て取れます。表側で肉を焼いたときに溢れた油は、このXカット構造を伝ってスムーズに下の遮熱板に溜められた水面へ流れ落ちていくという仕組み。
油がプレートに残ると油はねになったり、焦げて煙を発生させる元になったりするため、できるだけ早く加熱部から引き離すのが重要です。実際、ファンが止まっている状態でも普通のホットプレートより煙を抑制できるとのこと。
プレート裏面の中央は、肉から出た油が焦げる前に素早く下へ落とすXカットが施されています
プレートからXカット構造を伝って落ちた油は、水を張った遮熱板ピットへ
とはいえ、能書きを確認しているだけでは意味はありません。やっぱりね、ほら、肉をね? 焼いてみないことにはね?
ということで、デパ地下の精肉店で普段よりちょっと(うそ。ものすごく)イイお肉を買ってきました。焼肉用の切り落とし、ランプ、タンを50gずつで計150g。焼肉屋のランチ焼肉が大体1人前でこれぐらいの量です。
見ただけで「わー、いい肉」って感じでテンション上がります!
今回は肉だけでお値段約2,000円+野菜やらタレやらドリンク1,000円で合計3,000円。肉が100gあたり約1,300円と考えるとやや怖じ気づきますが、しかし冷静に考えたら、1回飲みに行ったと思えば問題ない金額とも言えます。
むしろ、雑な唐揚げなどの居酒屋メニューで腹を膨らませるよりは、1人でのんびりとイイ肉を突きつつ宅飲みする“自宅セルフ焼肉”のほうが、コスパもよいのでは?
初老の焼肉はガツガツいかない。飲みながらぼんやり焼いてのんびり食うのが基本です
ということで食材の用意ができたら、さっそく「XGRILL STORM」の電源をオン。ダイヤルで最大の230度まで加熱していきましょう。
ファミリーサイズのホットプレートだと、室温から焼肉用の温度帯まで上げるのに7〜8分はかかるのですが、さすがコンパクトなだけあって、余熱完了まで3分ちょい。これはめちゃ速。
もちろん焼いているうちに温度は下がりますが、しかしこの加熱の速さなら、ちょっと放っておけばすぐ元の温度に戻ります。一気にガツガツ焼く必要のないひとり焼肉にもありがたいパワーと言えそう。
コントローラー左下の電源ボタンが緑色に点灯すると予熱完了。右下はファンの「オン/オフ」ボタンです
脂多めの焼肉用切り落としをプレートに載せると、ジャワーッとテンションの上がるいい音がします。で、肉が焼けて油分が落ち始めるとすぐに煙が上がりだした(それでも、この時点で普通より煙は少ないのはわかる)ので、ここですかさずファンボタンをタッチ。
すると……おー、吸った、吸った。一瞬でプレート上の煙がスワッと側面の穴に吸い込まれて消えました。
ファンを起動すると、肉からの煙が一瞬でクリア
このまま焼き続けても煙はほぼ見えません。換気扇を全開で回したり、部屋中の窓を開け放して煙を逃がしたり……、なんて必要もなし。非常に快適!
ちなみに吸い込んだ煙は本体内で一度メッシュフィルターを通過して排気しているため、家具に付着してベタつく油煙は、ほぼクリアされていると思われます。焼いた後のベタベタを気にしなくていいだけでも十分にうれしいし、何より視界がクリアなので、テレビを見ながらのんびり肉を食べられます。
煙が立ち上らないので、肉がいい感じに焼けている写真も撮りやすかった!
部屋の中が煙らず視界もクリア。配信で気になっていた映画を観ながらじっくり肉を焼く、みたいな極楽プレイも可能でした
油はねの少なさも圧倒的。プレートを設置した周囲にもほとんど油が飛ばず、せいぜいプレートの縁にちょっとはねているかな? ぐらい
ただ、臭いの粒子まではフィルターでも取り切れないようで、おなじみの焼肉臭は部屋に残ってしまいました。この撮影は妻の外出中にこっそり行ったのですが、帰宅するなり「えっ、もしかして焼肉してた!? 1人で!?」と即バレ。
とはいえ煙の臭い(=油の焦げる臭い)は発生していなかったので、その分だけでも従来のホットプレートよりは優秀と言えそうです。
さて、片付けに関してですが、やはりファンがある分だけ洗い物は多くなってしまいます。使用後に洗浄が必要なパーツは、グリルプレート・ファンユニット・遮熱板・送風ガイド板A・送風ガイド板B・フィルターの6点。さらに本体フレームはウェットティッシュなどで拭く必要があります。
また、プレートとファンは洗浄する前にそれぞれのコネクタやモーターをビニール袋で包んで濡れないようにせねばならず……。構造上どうしても仕方ないとはいえ、やはりメンテナンスの手間が多いのは残念なポイントでした。
使用後に洗浄が必要なパーツ群。洗い物、多いな!
ファンとプレートは電源周りをビニール袋で包んでから洗浄します。これもちょっと面倒かな
とはいえ、それでも「自宅で煙と油はねを気にせずに焼肉ができる」というのは、思っていた以上に快適! 自宅で煙を気にせずダラダラとセルフで肉を焼いて飲んで過ごすのは、かなりリッチな体験でした。
またこれからの季節は、換気のために窓を開けると花粉が大量に部屋に入ってくる恐れも。その点でも煙のないスモークレスグリルの優位性はありそうです。