自分に合ったランニングシューズを見つけるべく、東京・神田にある「エスポートミズノ」へ!
“鉄人レース”とも呼ばれるトライアスロンは、過酷なスポーツというイメージが強い。そんな競技に今、ひとりの男がチャレンジしようとしている。「価格.comマガジン」編集者、牧野(37歳)だ。トライアスロンを趣味にしているライターの私からその魅力について吹き込まれ、ちょっと興味があるそぶりをしていたら、いつの間にかチャレンジすることに……。準備期間は1年間。果たして、超初心者の牧野は完走し、トライアスロンの魅力と感動をお届けできるのか?
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「膝前十字靭帯断裂」――。
3年前、趣味のフットサル中に“トップアスリートらしいケガ”をしてしまった牧野。それ以来、古傷を抱える左ヒザをかばって走るようになってしまった。スイム、バイクをこなしたうえで最後に10kmを走るトライアスロン。「ヒザに不安があるなら、不安がなくなるようなシューズを選んでもらえばいいじゃん!」と思い立って訪れたのが、東京・神田にある「エスポートミズノ」だ。日本を代表するスポーツブランド「ミズノ」から、自分に最適なシューズを教えてもらった。
今回お話をうかがったミズノの内野雅貴さん。ランニングフォーム診断システム「F.O.R.M.」の結果からランナーに最適なアドバイスをしてくれる、ランニングフォーム解析のスペシャリストだ
牧野:すみません! トライアスロンの最後の10kmを走り切れるか、不安なんです!
内野雅貴さん(以下、内野さん):とにかく落ち着いてください(笑)。何が不安なんですか?
牧野:実は以前ヒザをケガしてしまって、そんな状態でも走り切れるシューズが必要なんです!
内野さん:なるほど。ケガしたヒザに負担がかからないシューズが欲しいんですね。わかりました。ミズノでは、ランニングフォームを解析して、シューズ選びやフォーム改善に生かせる「F.O.R.M.」という診断システムをご用意しています。それを使って、牧野さんに最適なシューズを選びましょう!
牧野:その「F.O.R.M.」はどんなものなんですか?
内野さん:複数のランニング専門家のノウハウを投入して、ミズノが開発したランニング用の診断システムです。ランニングフォームを解析することで、効率がよいフォームのアドバイスやその人に最適なシューズを選ぶことができます。まずはこの「お客様シート」に記入をお願いします。
「お客様シート」には、ランニング歴や練習頻度、身体の痛みの部位などを記入する
走る前には上半身、下半身のストレッチを行って身体をほぐしていく
内野さん:記入していただいたら、次は実際にこのトレッドミルで10分ほど走っていただきます。
牧野:その走っているフォームを内野さんがチェックするんですか?
内野さん:チェックするポイントがいくつかあって、私も目で確認はしますが、基本的にはカメラで撮影を行い、それを解析することになります。
ライトを当てると光る、再帰反射素材を使用したマーカーを右半身に取り付ける
マーカーを取り付ける場所は、肩やひじ、太もも、足首など
ライトを当てるとマーカーが光って、各部分がどのような動きをしているのか撮影しやすくなる
撮影に使用するカメラとライト。前後に2セットあり、ランニングフォームをモーションキャプチャーで撮影していく
撮影した動画はすぐにPCに取り込まれて3Dで解析される
ランニングフォームの撮影と同時に解析は行われていて、ランニングが終わったと同時に解析結果がプリントされてランナーに手渡される。
解析結果は3枚の「診断シート」にまとめられる。このシートをベースに、ランニングフォームなどのアドバイスがランナーに伝えられる
シートの1枚目には、総合的なランニングフォームの結果が記載されている
内野さん:まずは1枚目のシートを見ていきましょう。下のほうに書かれた総合評価ですが、73.1点です。平均が70点なので、なかなかいいフォームで走っていると考えられます。特にすぐれている点は「Posture(姿勢)」の項目ですね。いい姿勢です。リラックスして走れています。
2枚目はより詳細なフォームの傾向がわかる
内野さん:ただ問題をあげるとすれば、「Ride」と「Swing」の項目です。モーションキャプチャーに注目してもらうとわかりやすいんですが、右ヒザが着地したあとにわずかに外側に逃げるように動いています。このような動きがあると、しっかりと地面を蹴ることができず、力が入りません。あと古傷がある左足も気になりますね。
牧野:どんな風に見えますか?
内野さん:左足は、ちょっと着地するのを怖がっているように見えますね? やはりヒザのケガが気になりますか?
牧野:着地する際にはちょっと気になりますね。しっかりと踏み込んで着地できていない感覚はあります。
内野さん:足の太さについても左足は細いので、もしかしたら長い距離を走った場合は痛みが出てくるかもしれません。
牧野:そんなこともわかっちゃうんですね!
内野さんいわく、外側に開くヒザの動き以外にも、股関節の動きも少ないという。股関節がもっと動くと、ストライドが広がりダイナミックに走れるようになる。
3枚目は1〜2枚目の診断結果をもとに、自分に最適なシューズやタイツが記載されている
内野さん:以上の解析結果から……、牧野さんに最適なシューズは「ウエーブライダー」シリーズの最新モデル「ウエーブライダー22」が最適だと思います。
シリーズ22作目となるミズノの「ウエーブライダー22」。ソールが厚めのシューズとは思えない、軽やかなライド感が味わえる。写真は、2019年発売の新色「ホワイト×ホワイト×ブラック」(品番:J1GC183701)
内野さん:「ウエーブライダー22」は、クッション性、反発力、安定感の3つを同時に実現するモデルです。初心者用のようなイメージがあると思いますが、どんなレベルの人が履いてもいい感覚で走ることができるシューズです。
「ウエーブシャドウ2」は、フルマラソンで4時間を切るランナーのために作られたシューズ。写真は、「ホワイト×ホワイト×ブラック」(品番:J1GC183016)
内野さん:牧野さんの場合、着地がフォアフット寄り(つま先寄り)のため、ソールが少し薄くて軽量のシューズでも合うかもしれません。その場合は……、「ウエーブシャドウ2」もいいと思います。このシューズは、かかととつま先の落差「ドロップ」が少なく、つま先側で着地しやすいような設計が採用されています。
牧野:なるほど。……これ、実際のところどっちが自分に合っているんですかね?
内野さん:ヒザのことを考えると、クッション性が高い「ウエーブライダー22」かもしれないですが、走り方に合わせるなら「ウエーブシャドウ2」が適している、という状況です。実際のところは履いて試してみるしかないですね。
両方のシューズを履き比べて、どちらにするか迷う牧野
牧野:わかりました! これは即決できないので、両方履いてみてレースの直前に決めることにします。
内野さん:それがいいかもしれないですね。トライアスロンの場合、スイム、バイクとこなした中でのランニングなので、それに近い状態を練習で作り出して、それで決めてみてもいいかもしれません。
結局、どちらか決められず2足のシューズをゲットした牧野。本番レースはどちらで出場するのか?
上が「ウエーブライダー22」で、下が「ウエーブシャドウ2」
【取材協力】
「エスポートミズノ」
住所:東京都千代田区神田小川町3-1
営業時間:11:00〜20:00
ランニングフォーム診断システム「F.O.R.M.」は、東京、大阪など、全国5つの店や施設で体験できる。ちなみに、今回体験したベーシックコースは、30分3,000円(税別)。
ミラソル デポルテ代表。自転車、トライアスロン、アウトドア関連のライターとしても活動中。趣味はロングディスタンスのトライアスロン。