レース遠征の際に必要とされるギアを中心に紹介!
“鉄人レース”とも呼ばれるトライアスロンは、過酷なスポーツというイメージが強い。そんな競技に今、ひとりの男がチャレンジしようとしている。「価格.comマガジン」編集者、牧野(37歳)だ。トライアスロンを趣味にしているライターの私からその魅力について吹き込まれ、ちょっと興味があるそぶりをしていたら、いつの間にかチャレンジすることに……。準備期間は1年間。果たして、超初心者の牧野は完走し、トライアスロンの魅力と感動をお届けできるのか?
1年間の準備を経て、いよいよ目標のレース出場まであと1週間。トレーニングは十分、とは言えないがレースは否応なしに迫ってくる。今からトレーニングを頑張っても仕方がないが、できることはまだたくさんある。レースを快適にするギアの準備だ。トライアスロンは、自転車やウェットスーツ以外にも、いろいろなギアを必要とするスポーツ。壊すことなく、かつ忘れ物なく、確実にレース会場にギアを持っていくこともトレーニング以上に大切なことだ。そこで今回は、レース直前の最終チェックとして、レース遠征の際に必要とされるギアを中心に紹介していこう。
海や湖の周辺で行われるトライアスロンは、基本的に自然の中で行われるスポーツ。クルマや電車、飛行機で大会会場まで移動するわけだが、問題は自転車などを会場まで運ぶ必要がある点。トライアスロンが旅するスポーツと言われる理由がそこにある。そして、その旅に必要になってくるのが遠征用のケースだ。これまで遠征用の自転車ケースはさまざまラインアップされていたが、ここ最近の航空会社のルール変更によって、ソフトケースは拒否される場合が多くなっている。輪行時に自転車の破損が増えていることが関係しているのだろう。
そんな状況の中、人気になっているのがキュービクルの「バイクポーター」だ。作りはシンプルなモノでありながら、ペダルやサドルを付けたままバイクが収納可能。さらに、ウェットスーツやヘルメット、ランニングシューズなど、必要なものすべてを一緒に入れられるので、自宅からレース会場までこのボックスひとつで移動できる。またJAL以外のほとんどの航空会社に対応しているサイズなので、将来、沖縄などの離島や海外でのレースに挑戦する場合にも、このボックスは役に立つ。
キュービクル「バイクポーター」のスタンダードのサイズは、約116(幅)×80(高さ)×30.5(奥行)cm。肩ひもが付いた外側のバッグは別売で7,000円(税別)。ケースとセットでも購入可能だ
トライアスロンに必要な荷物はこんなにも多い
本連載で以前も紹介したが、必要なものリストがこれ。このほかに、補給食や日焼け止め、空気入れなど、細かいグッズがレースでは必要になってくる
「バイクポーター」にすべての荷物を入れられれば、荷物がバラバラにならず忘れ物もしにくい。スムーズに会場まで行くことができる
キュービクルの「バイクポーター」は、言ってみればプラスチック製の箱で、頑丈で壊れにくく水にも強い。開口部は広く、荷物を入れやすい。自転車を入れたあとに、ウェットスーツなどを間に挟めばそれがクッションになり、自転車も保護される。
まずは自転車の前・後輪を外して、逆さまに入れるのがポイント。そしてそのすき間に荷物を詰め込んでいく
ホイールをフレームの左右に入れて挟むように収納する。梱包材(プチプチ)があれば、さらにバイクのフレームを保護できる
「バイクポーター」のすぐれている点は、「荷物を入れやすい」「中の荷物を保護する」ことだけではなく、使用したあとに折りたたんで保管できるところにある。折りたたみ時には、なんと79(横)×76(縦)cmのサイズになるため、自宅のクローゼットの中でもジャマにならないのがうれしい。
折りたたみ方は少し複雑で最初はとまどったが、取扱説明書も付いているので問題はない
このサイズになれば、自宅で保管しやすい
TYR(ティア)の「APEX TRANSITION BAG」。容量40Lの中に、レース当日に必要なものをすべて収納できる
レース会場まで「バイクポーター」などで荷物を運んだあと、「トランジションエリア」までギアを運んでおく必要がある。ちなみに「トランジションエリア」とは、スイム→バイク、バイク→ランニングのギアを置いておく「着替えエリア」のこと。このエリアまで荷物を運ぶためのバッグが「トランジションバッグ」だ。一見普通のバックパックのように思えるが、ボトルが入るサイドポケットが片側に2つ装備されていたり、小分けのポケットが複数ついていたりと、「トランジションエリア」で使用しやすい仕様になっている。
「APEX TRANSITION BAG」のサイズは、34(幅)×51(高さ)×30(奥行)cmのスクエア形状。開口部が広く、男性サイズのシューズもすんなり入る
バッグの底部には、使用して濡れたウェットスーツを入れるポケット付き。濡らしたくないものと分けて荷物を入れられる
今回、牧野が出場するトライアスロンのレースは、スイム1500m、バイク40km、ランニング10kmの「オリンピックディスタンス」と言われるレース。目標とするタイムは3時間切りだが、3種目を行うと2000〜2500kcalを消費する。3時間のレース中ですべては補給できないが、エネルギー切れを起こさないように走りながら補給していくこともレースの戦略としては必要になる。
レース中に摂取するものは、摂ったあとすぐにエネルギーになる糖質が適している。糖質と言えば、おにぎりやパンを思い浮かべられるが、スポーツ用のものとしては消化・吸収のスピードが速い「エネルギージェル」がトライアスリートには人気だ。人気の理由としては、「小さいパックに入っていて携帯性にすぐれている」「コンパクトなのに高カロリー」ということがあげられる。
それに加え、最近ではアミノ酸やミネラル分などを配合し、エネルギー補給に機能をプラスαしたものもリリースされている。ここで紹介する「Mag-on(マグオン)」もそのひとつだ。
名前にある通り、エネルギーに変わる成分のほかにマグネシウムを配合。この成分により、足がつりにくくなる効果が期待できる。1個41gでカロリーは120kcal。足のトラブルに効果のあるマグネシウムは50mg配合されている。
「Mag-on エナジージェル」のフレーバーは全部で6種類。レモン、グレープフルーツ、梅など、さっぱりとした酸味とキレのある甘味が特徴
「Mag-on」には、足のトラブル防止に特化した、マグネシウム200mg配合のスティックタイプもラインアップされる。顆粒で溶けやすいので、レース前に水と一緒に飲んだり、レース時のボトルに溶かして飲用する
グリコ「パワープロダクション エキストラ ハイポトニック ドリンク クエン酸&BCAA」は、トライアスロン、自転車、ランニングなど、長時間の運動時に適したドリンク。一包を500mlの水に溶かして水分と一緒に補給する
長時間、疲労させずに筋肉を動かすには持久力が大切。トレーニングでもそれは高められるが、摂取する栄養も大事だ。「パワープロダクション」は、筋肉のエネルギーになるアミノ酸(BCAA)と、クエン酸回路に作用してエネルギーを生み出すクエン酸を配合。トライアスロンの場合、自転車のボトルに本製品を入れて、エネルギーと一緒に水分を補給するのが一般的。甘すぎないグレープフルーツ味も飲みやすい。
アグレッシブデザイン「Fighter(ファイター)」は、アスリート向けの強力な日焼け止め
意外と見過ごされがちなのが、レース中の日焼けのダメージ。「肌がヒリヒリして終わり」という風に考えがちだが、ダメージを受けた皮膚を回復させるために、身体全体の機能が使用されている。日焼けをするとなんとなく疲れるのはそのせいだ。
「Fighter」は、トップレースで活躍するサイクリストやトライアスリートにも愛用される日焼け止め。「SPF50+/PA++++」という紫外線A波、B波を防ぐ最高のスペックを持つだけではなく、ベタつかない使用感もポイント。ヌルヌル感がなく、手についた状態でバイクのブレーキ操作をしても問題ない。
1番の特徴は、ウォータープルーフだけではなく、スウェットプルーフという点。汗に含まれる油分にも強く、スイム、バイク、ランの3種目を終えるまで、肌と身体を疲労から守る。レース中の身体の機能は、前に進むため、消化吸収のためだけに使用したい。
水でも汗でも落とせない強力な日焼け止めのため、専用の「クレンジングオイル」をセットで使用したい
ただのゴムひもとあなどることなかれ。ゼッケンをホールドするラボーナの「レースベルト」
細かいアイテムにはなるが、「レースベルト」もトライアスロンレースには必要なギア。大会側から配布されたゼッケンは、通常、前後に1枚ずつ安全ピンなどでウェアに取り付ける。ただ、最近のウェアは薄く、安全ピンによって傷んでしまうことがあるので、レースベルトを使ったほうが安心だ。トライアスロンのほか、マラソン、サイクリングの大会にも使用できる。
ゼッケンの取り付け方法は簡単。ゼッケンの穴に「レースベルト」のドローコードを通して、ストッパーで止めるだけ。ゼッケンに穴がない場合には、自分で穴を開ける
ベルトにはループが付いていて、先述の「Mag-on エナジージェル」といったエネルギージェルを挟めるようになっている
いよいよ次回は最終回。「銚子トライアスロン」にチャレンジする。1年間学んだトライアスロンの知識と、そろえたギアで無事に完走できるのか? お楽しみに!
ミラソル デポルテ代表。自転車、トライアスロン、アウトドア関連のライターとしても活動中。趣味はロングディスタンスのトライアスロン。