おめでたい席の定番高級魚も、今のシーズンなら船を使わずに狙える手軽なターゲットに!
魚の王様「真鯛」は、昔から縁起のよい魚とされ、さまざまなお祝いや祭事に使われてきた。「エビでタイを釣る」のことわざ通り、ひと昔前まではエビを使ってでもタイが釣れれば大収穫とされるほどの高級魚だ。
魚群探知機の発達した現在は、釣り船で沖合に行けば釣果も十分に期待でき、年間を通して釣りが楽しめるターゲットとなった。そのため縁起のよい正月などは、釣り船で真鯛を狙うファンは多い。だがそんな真鯛を、船に乗らずに陸(おか)っぱり(磯や堤防などの岸辺)から狙うことができるのが、5〜7月(暖かい地方ほど早い)にかけてのシーズンだ。
以前紹介した「クロダイ」と同様、春から初夏は産卵期を迎えた真鯛が栄養を蓄えに陸地へ近づく「ノッコミ」と呼ばれる時期。刺身にしても煮ても焼いてもおいしく、捨てる部位のない真鯛を、船に乗らずに陸っぱりから釣ることができるのだ。
そこで今回は、真鯛を陸っぱりから狙う2種類の方法を紹介したい。
お祝いの定番、姿焼き
釣りたては刺身も鮮度抜群
切り身を出汁で炊けば豪華な鯛飯に
さばいた身を、刺身や鯛飯で使った場合、骨やあらは出汁をとって潮汁に。また頭は兜焼きにと、すべての部位をムダなくおいしくいただける
磯や堤防から真鯛を狙う、ポピュラーな釣り方が「遠投カゴ釣り」だ。
栄養を蓄えに陸っぱりへ寄ってくると言っても、クロダイのように足元への落とし込みで真鯛が釣れた話はあまり聞かない。そこで数十mほど先の沖合を狙って、オキアミなどのコマセを入れたカゴ仕かけを投げ入れる「遠投カゴ釣り」が重宝される。
「遠投カゴ釣り」は今や確立された釣り方。専用ロッドやリール、遠投カゴ用のカゴ仕かけもラインアップが豊富に用意されている。ポイントとしては、真鯛はヒキが強力なので、太めのラインに加えて、クッションゴムを使うようにしておこう。
コマセや針餌は、手ごろなオキアミ(正確にはエビではないが)でよいが、投げ入れる際、針に付けた餌はカゴ内からコマセ用オキアミと一緒に出てくるようにセッティングしておくことが重要だ。
硬めのロッドと遠投用のジェットカゴとカゴウキ、クッションゴムなどの装備をそろえておきたい
3号は5.7mと6m、4号は5.3m、5.7m、6mがラインアップされている
カーボン繊維の密度を高めた高強度な「HVFカーボン」を、ナノメートルレベルで混合した「HVFナノプラス」を採用したロッド。高強度のパワーと張りに加え、軽量化を実現している。さらに1番節には太径チューブラー穂先を採用し、餌を充填した重たいカゴの遠投もしっかりと振り切れる安定感がある。
ロッド本体にも、ダイワ独自の斜行させたカーボン巻き技術を採用。ネジレを防ぎつつ、パワー、操作性、感度を飛躍的に向上させている。さらに、ロッド継部に採用したバイアス構造のカーボンシートとのつながりによって、大物をもバラさず浮かべる理想的な調子を生み出している。
【SPEC/4-57B遠投・Y】
全長:5.70m
継数:5本
仕舞寸法:131cm
自重:385g
先径/元径:2.1mm/26.1mm
オモリ負荷:10〜20号
カーボン含有率:99%
4500、5000、5500、6000、の4タイプをラインアップ。写真は5000
カゴ遠投リールの王道である35oストロークモデル。大物真鯛や青物狙いを想定した、パワーと遠投性能に重きを置いたリールだ。
海水や異物の侵入をブロックし、滑らかな回転性能を長時間維持する「マグシールド」や、特異な形状の最適リム構造で負荷を分散する「エアローター」など、高性能メタルボディにダイワの技術がふんだんに詰め込まれている。
【SPEC:5500】
標準糸巻き量:ナイロン10号=200m
自重:595g
ギヤー比:3.5:1
最大ドラグ力:15kg
ベアリング:5/1
ハンドル長さ:90o
超遠投に対応したしなやかなナイロンライン。5、6、7、8、10号の5通りをラインアップ
左がSサイズで右がMサイズ。どちらも、6、8、10、12、15号の5通りの重さをラインアップ。ほかに天秤に取り付けるタイプも発売されている
カゴの上にある「清流ウイング」の上げ下げで、コマセが出る量を調整できる。針餌は、図右のようにカゴの中に入れて投げると、コマセのオキアミと一緒に針餌が流れ出るのでより効果的に魚に食わせられる
遠投用の遊動ウキ。オモリ負荷はジェットカゴのオモリと同じく、6、8、10、12、15号の5通りをラインアップ。左下の写真は羽根が折れた際などの交換用の羽根
遊動ウキは、上側に「D-ウキ止め糸(写真上)」でウキ止めを作り、ウキの下側は「D-ストッパーセット(写真下)」でウキ止めをして動くようにしておく。上側のウキ止めは、狙うタナ(水深)に合わせてセット。下側のウキ止めは、ウキとジェットカゴがからまない位置に合わせてセットする
長さは10〜200cmまで多彩にそろう。20cm前後のものを選ぼう
ハリス3号で針9号、ハリス4号で針10号、ハリス5号で針11号の3通りをラインアップした2本針仕かけ
まき餌には解凍したオキアミブロックを使用。まき餌のオキアミと一緒に針餌がカゴから流れ出ることで、オキアミに寄せられた真鯛に針餌を食わせるのだ
まき餌にするオキアミと混ぜることで、真鯛の寄りと食いをよくすることができる
写真左は、視認性の高いイエローに加工したLサイズのくわせオキアミ。写真右は、平均55mmの本物の大型エビを加工した真鯛狙いの針餌
真鯛は肉食で、小魚やエビなどの甲殻類のほか、回遊ルートとなる海底の岩礁や砂に潜むイソメ類も好んで食する。従って、キスやカレイを狙った「投げ釣り」の竿に、真鯛がヒットしたというケースは珍しくない。つまり、餌を求めて近場によってくるこのシーズンの真鯛は、「投げ釣り」ファンにも狙うことができるということだ。
ここでは、そんな「投げ釣り」で真鯛を狙うためのフィッシングギアを紹介しよう。ポイントとしては、基本的な考え方はキス釣りと同じ。ただターゲットがはるかにヒキが強く大型なので、相応に強度のあるタックルが必要になる。
キス釣り同様、遠投して待つ釣りなので、可能なら複数本のロッドを投げ置いて挑みたい。その際、リールのドラグはゆるめておくこと。大型の真鯛がヒットした場合、急激なヒキでタックルごと海に持って行かれてしまうからだ。そんなケースを防ぐために、リールはドラグフリー状態にしておこう。
「投げ釣り」に使う餌は、やはり生きた虫餌を使いたい。真鯛投げ釣りに最高と言われる「タイムシ」、身が丈夫で餌持ちがよく、大物狙いに最適な「ユムシ」、青イソメや赤イソメよりもニオイが強く身が太い「イワイソメ(マムシ)」、キス釣りの定番「スナムシ(チロリ)」などが代表的だ。
スピンパワーシリーズは、AX-T、BX-T、CX-T、DX-Tの4種類が、それぞれ長さ違いの4.05と4.25でラインアップされている。写真は「4.25CX-T」
遠投沖釣り竿に適したチューニングを施した振り出し投げ竿。投げやすく飛距離も狙え、大物がヒットしてもしっかりと曲がってから強力に反発するロッドの粘りとパワーで、獲物を素早く浮かすことができる。
構造には、ロッドの縦繊維の内装と外装にカーボンテープを斜め密巻きした三層構造の「スパイラルX」や、ネジレを抑制してロッドの曲がりを正確に伝える「ハイパワーX」を採用。また、投げる際のロッドのしなりが直線軌道に近くなる「進化型新生代型先調子」により、初速MAXでオモリを弾き出し、より飛距離が得られる構造になっている。
【SPEC/4.25CX-T】
全長:4.26m
継数:4本
仕舞寸法:135.5cm
自重:430g
先径/元径:2.8mm/ 22.4mm
オモリ負荷:25~35号
カーボン含有率:99.8%
「フリーゲン」は35極細仕様、35細糸仕様、 SD35標準仕様をラインアップ。真鯛にはSD35標準仕様で挑みたい
ラインローラーに防水性能を高める「Xプロテクト」を搭載し、スムーズなライン巻き上げが持続するモデル。ボディには、十分な剛性と耐久性を持つ「HAGANEボディ」を採用し、ローターは軽量カーボン素材をさらに進化させた「CI4+」を使って小型軽量化を実現させている。
【SPEC:SD35標準仕様】
標準糸巻き量:ナイロン2号=300m 3号=200m 4号=150m/PE1.5号=250m 2号=200m 13号=130m
自重:490g
ギヤー比:3.5:1
最大ドラグ力:20kg
ベアリング数(SA-RB/ローラー):8/1
ハンドル長さ:80o
投げ用のオモリは、遊動式の天秤がベスト。針金部分をL字型に曲げて、輪の小さいほうから大きいほうへと道糸(ライン)を通し、針仕かけを付けよう
根元のスナズリ部分(糸をより合わせた部分)50cm、スナズリを含めた全長170cmの1本針仕かけ。針6号のSS、8号のS、10号のM、12号のLをラインアップ。1袋2セット入り
真鯛狙いの「遠投カゴ釣り」と「投げ釣り」ともに、主だったフィッシングギアは先述の通り。だがそのほかにも、あると便利なグッズは押さえておきたい。特に相手が大物だけに、玉網(タモ)の準備は必須だ。
小継ランディングポールと玉網のセット。ポールは約5mと約6mの2種類があり、網サイズも45cmと60cmの2種類、計4タイプがラインアップされている
カゴ釣りでまき餌を作る際に便利なのが、大型のバッカンだ。行き帰りは荷物入れに使い、釣行中はまき餌作りとして使うのが便利。フタは日光を浴びても暑くなりにくく、大型ファスナーは塩ガミしにくい。サイドにタオルハンガーが付けいている点も便利
「投げ釣り」を行う場合は、竿立てが必需品。管理釣り場などで、竿置きに使える柵がある場所なら不要だが、通常の磯や堤防ではとても重宝する。注意点として、真鯛はアタリが強烈なので竿置きに立てたとしても、リールのドラグはゆるめておくこと
春から初夏までのノッコミシーズンを逃した場合も、真夏を過ぎて秋口に入れば、産卵を終えた真鯛が体力を回復させるために浅瀬に近づく。この秋口の9〜11月も「落ち鯛」と呼ばれる真鯛のハイシーズンなのだ。今のノッコミシーズンで釣果が得られなかった人も、秋口に再びトライするチャンスが訪れるので忘れずに。