ニュース
街乗りからツーリングまで幅広く使える「XU1」の新型登場

東京2020オリンピックのケイリン先導車の技術を応用したクロスバイクタイプのe-Bikeを見てきた!

東京2020オリンピックの自転車トラック競技「ケイリン」の先導車としてe-Bikeを納入したパナソニックが、そのケイリン先導車の技術を応用した、クロスバイクタイプのe-Bike「XU1」を発表。時速50kmを超えるハイスピードでも安定して走行できるケイリン先導車のノウハウを反映することで、前モデルよりも公道での乗りやすさが大きく向上した新型「XU1」を発表会で見てきた!

時速50kmが出せるe-Bikeがケイリン先導車に!

新型「XU1」を紹介する前に、東京2020オリンピックのケイリン先導車として採用されたe-Bikeを見ておこう。

ケイリンは日本発祥の五輪種目で、オリンピックでは最大7人の選手が1周250mのトラックを6周して順位を競う自転車競技。選手たちはスタートから本気で走り出すのではなく、レース序盤は選手の風除けとして先導するペースメーカー(先導車)のあとにつき、ポジション争いを繰り広げる。段階的に時速50kmまでペースを上げていき、残り3周のタイミングでペースメーカーが離脱。選手だけとなってからは、さらに高速のレースが展開される。そんな競技のペースメーカーを勤めるのが、パナソニックのe-Bikeだ。これまではエンジンを搭載したバイク(オートバイ)が用いられていたが、もともと環境負荷の軽減に取り組んでいたパナソニックは、その観点から先導車として対応できるe-Bikeを開発したのだという。

2021年8月4日〜8日に開催される東京2020オリンピックの自転車トラック競技「ケイリン」で、ペースメーカーとして選手を先導するのが、このe-Bikeだ

2021年8月4日〜8日に開催される東京2020オリンピックの自転車トラック競技「ケイリン」で、ペースメーカーとして選手を先導するのが、このe-Bikeだ

e-Bikeは電動アシスト自転車なので、日本国内の公道を走る場合、アシストの上限は人力の2倍までと規定されている。時速10kmを超えるとアシストを少しずつ下げていき、時速24kmでゼロになるという制御だ。しかし、競技用のトラックを走るケイリンの先導車には、この規定は関係ない。最終的に時速50kmで競争車両を先導できるように、時速約60kmまでアシストができる作りとなっている。実は、このケイリン先導車は、2018年に発売された同社のe-Bike「XU1」(BE-EXU44)をベースとして開発されたという。ハイスピードを実現するため、市販のe-Bikeよりもモーターを約1.4倍高速化し、最高出力も約3倍にアップ。それに合わせてバッテリーから供給される電力量を約1.4倍に増やし、電圧もベースの36Vから高められている。とはいえ、モーターのハードウェア部分はベース車から大きく変更されていないというから驚きだ。

市販のe-Bikeのモーター(ドライブユニット)部と外見は大きく違わないものの、1.4倍まで高速化されている

市販のe-Bikeのモーター(ドライブユニット)部と外見は大きく違わないものの、1.4倍まで高速化されている

バッテリーも外観は、市販のe-Bikeのものと変わらない。容量は大きく変更されていないが、供給できる電力量は市販車の約1.4倍にも達する

バッテリーも外観は、市販のe-Bikeのものと変わらない。容量は大きく変更されていないが、供給できる電力量は市販車の約1.4倍にも達する

ただし、スピードを出せるだけでは、ケイリン先導車としては成立しない。トラックのコーナーにつけられている「バンク」と呼ばれる傾斜を、時速50kmでも安定して走行できるようにしなければならないのだ。そのために、フレーム設計を変更。ベース車より重心位置を67mm下げ、ヘッド角(フロントフォークの路面に対する角度)を寝かせることにより、高い直進安定性を実現した。

「XU-1」のフレームをベースとしているが、ケイリン先導車は高速域での安定性を重視した設計に大きく改良されている。フレームの素材はベース車と同じ、アルミだ

「XU-1」のフレームをベースとしているが、ケイリン先導車は高速域での安定性を重視した設計に大きく改良されている。フレームの素材はベース車と同じ、アルミだ

ハンドルはベース車から110mm低い位置に設定。ハンドル幅が狭く、やや手前にベンド(湾曲)した形状となっている

ハンドルはベース車から110mm低い位置に設定。ハンドル幅が狭く、やや手前にベンド(湾曲)した形状となっている

高速からのブレーキングに対応するため、ブレーキは前後とも油圧式ディスクを装備

高速からのブレーキングに対応するため、ブレーキは前後とも油圧式ディスクを装備

ギアは変速のないシングルスピード。チェーンを張るためのテンショナーが装備されている。フロントギアは41T、リアは12Tで、ギア比は3.42と高速走行寄りだ

ギアは変速のないシングルスピード。チェーンを張るためのテンショナーが装備されている。フロントギアは41T、リアは12Tで、ギア比は3.42と高速走行寄りだ

前述のとおり、ケイリン先導車のアシスト制御は市販のe-Bikeとは異なる。発進時のアシスト力がもっとも強く、スピードが出るに従って徐々に下がっていき、時速24kmでゼロになる設定の市販車に対し、ケイリン先導車はスタート時のアシスト力を抑え、スピードが上がってくるにつれ強くなる設定を採用。これは、半周ごとに指定の速度まで段階的にスピードを上げていくペースメーカーとしての役割を的確に行うために、乗り手がコントロールしやすい制御なのだそう。この制御を導き出すまでに、競技場などで100パターン以上のパラメーターをテストしたそうだ。

市販のe-Bikeと同じディスプレイを装備しているが、アシストモードを切り替えるスイッチなどは廃され、モードは「HIGH」で固定。ステムには半周ごとに設定された速度が記されている

市販のe-Bikeと同じディスプレイを装備しているが、アシストモードを切り替えるスイッチなどは廃され、モードは「HIGH」で固定。ステムには半周ごとに設定された速度が記されている

ベース車と同じ700cのホイールサイズ

ベース車と同じ700cのホイールサイズ

タイヤは700×32cと細め。タイヤやホールにブランドなどの表記がないところに、オリンピック競技らしさを感じる

タイヤは700×32cと細め。タイヤやホールにブランドなどの表記がないところに、オリンピック競技らしさを感じる

サドルも競技向けの車両らしく、ペダリングしやすい形状となっている

サドルも競技向けの車両らしく、ペダリングしやすい形状となっている

発表会会場では、このケイリン先導車に試乗することができた。ローラー台に固定した状態での試乗だったが、実際の走行時と同程度の抵抗がペダルにかかるようになっている。

このようなスタイルで試乗。ハンドルに装備されているディスプレイで、速度が確認できる

このようなスタイルで試乗。ハンドルに装備されているディスプレイで、速度が確認できる

ペダルを踏んで漕ぎ出してみると、スタート時のアシスト力を抑えた制御であることを実感できるほど、穏やか。シングルスピードで高速寄りのギア比なため、ペダルは重めだが、スピードが乗ってくるとアシストが強くなってくる。そして、市販のe-Bikeではアシストがゼロになる領域(時速24kmオーバー)を超えると、一気にアシストがパワフルに。時速50kmまでは、あっという間に到達した印象だ。そこからさらに力を込めてペダルを回し、アシストがゼロになる時速60kmを超え、最高79kmまでスピードを出すことができた。このケイリン先導車は時速60kmまでアシストされる設計となっているというが、今回試乗してみた限り、時速50kmを維持して走行するのはなかなか難しい。e-Bikeとしての性能の高さだけでなく、実際に先導車に乗るライダーの技術の高さも実感させられた。

がんばってペダルを回していると、市販のe-Bikeでは見ることのない異次元のスピードがディスプレイに表示された。ただ、これ以上の加速は難しく、時速80kmには到達できず……

がんばってペダルを回していると、市販のe-Bikeでは見ることのない異次元のスピードがディスプレイに表示された。ただ、これ以上の加速は難しく、時速80kmには到達できず……

ケイリン先導車の技術をフィードバックして改良された新型「XU1」

ここからは、新型「XU1」へと移る。前述の通り、ケイリン先導車のベースとなったのは2018年に発売されたXU1(BE-EXU44)。今回登場した新型のひとつ前のモデルだ。このベース車のフレーム設計やハンドリングを見直し、高速域でも安定性の高い走行ができるように開発されたケイリン先導車のノウハウを応用することで、新型「XU1」は、より安定した走行と乗りやすさを実現したという。前モデルからの大きな変更点は、フレーム。スタンドオーバーハイト(フレームをまたぐ部分の高さ)を前モデルのXU1よりも40mm低くし、背の低い人でもまたぎやすくしたほか、低重心となることで安定性も向上した。さらに、フロントフォークの角度を寝かせ、直進安定性を高めたという。

新型「XU1」(BE-EXU244)のサイズは1840(全長)×590(全幅)mmで、重量は24.5kg。マットロイヤルブルー(手前)、シャインパールホワイト(奥)の2色が用意されており、メーカー希望小売価格は251,000円(税込)となっている

新型「XU1」(BE-EXU244)のサイズは1840(全長)×590(全幅)mmで、重量は24.5kg。マットロイヤルブルー(手前)、シャインパールホワイト(奥)の2色が用意されており、メーカー希望小売価格は251,000円(税込)となっている

ややクイックな傾向だったハンドリングの設定がゆるやかになり、スタンドオーバーハイトが低くなったジオメトリー(フレームの形状)に変更された

ややクイックな傾向だったハンドリングの設定がゆるやかになり、スタンドオーバーハイトが低くなったジオメトリー(フレームの形状)に変更された

以前から定評のある、半分がフレームと一体化したセミインテグレーテッドタイプのバッテリーを搭載。容量は36V/8Ahで、最大約82kmのアシスト走行が可能だ。なお、バッテリー残量ゼロの状態から満充電まで約3時間かかる

以前から定評のある、半分がフレームと一体化したセミインテグレーテッドタイプのバッテリーを搭載。容量は36V/8Ahで、最大約82kmのアシスト走行が可能だ。なお、バッテリー残量ゼロの状態から満充電まで約3時間かかる

ドライブユニットはパナソニック製。「パワーモード」「オートマチックモード」「ロングモード」の3つの走行モードが用意されている

ドライブユニットはパナソニック製。「パワーモード」「オートマチックモード」「ロングモード」の3つの走行モードが用意されている

前モデル同様に700×50Cという太いタイヤを装着しているので、走行時の安定性が高く、段差などでもハンドルをとられにくい。フェンダーも継承されている

前モデル同様に700×50Cという太いタイヤを装着しているので、走行時の安定性が高く、段差などでもハンドルをとられにくい。フェンダーも継承されている

ブレーキは、ケイリン先導車と同じく油圧式のディスクブレーキ。重量のある車体を安心して止められる

ブレーキは、ケイリン先導車と同じく油圧式のディスクブレーキ。重量のある車体を安心して止められる

ストレートタイプのハンドルの幅は580mmで、初心者でも握りやすく、車体を抑えやすい。左手側にモード切り替えやライトのスイッチなどを装備

ストレートタイプのハンドルの幅は580mmで、初心者でも握りやすく、車体を抑えやすい。左手側にモード切り替えやライトのスイッチなどを装備

もともとXU1は、街乗りをメインに、週末は少し長い距離のツーリングにも出かけられる仕様とされており、泥はねを防ぐフェンダーや荷物を積載できるキャリアを備えている。さらに、タイヤを太めにすることで走行の安定性を高めているのも特徴だ。筆者は前モデルに試乗したことがあるが、路面からの突き上げなどを太いタイヤがやわらげてくれるおかげもあり、55kmの距離を走行しても疲れは少なかった。このような装備はそのままに、フレームを低重心化することで、さらに安定した走行性能を磨き上げた新型は、スポーツタイプの自転車に乗ったことがない人でも安心して選べる。ライトやサイドスタンド、キャリアも標準装備されているので、自転車通勤やツーリングに使いたい人にもうってつけだ。

バッテリーから給電されるタイプのライトを標準装備

バッテリーから給電されるタイプのライトを標準装備

サイドスタンドも標準装備されているので、気軽に停められる

サイドスタンドも標準装備されているので、気軽に停められる

リアには、荷物をくくりつけられるキャリアを標準装備

リアには、荷物をくくりつけられるキャリアを標準装備

クッションの効いたコンフォートタイプのサドルは、長時間走ってもお尻が痛くなりにくい

クッションの効いたコンフォートタイプのサドルは、長時間走ってもお尻が痛くなりにくい

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
自転車のその他のカテゴリー
ページトップへ戻る