筆者は、定期的にランニングにいそしみ、趣味の柔術を含めればそこそこの頻度と時間で運動しているほうだと思う。しかし、原稿執筆やリモートでの取材、打ち合わせに追われていると、気がつけば家から1歩も出ていないなんてこともしばしば……。そして、そんな日があると、やはり心身のコンディションがイマイチになってしまう。そこで、運動不足な日を減らすために、そして気持ちをまぎらわすために何かないものかと検討した結果、MTG「シックスパッド フットフィット 3(SIXPAD Foot Fit 3)」を試してみることにした。
MTG「シックスパッド フットフィット 3 ヒート」(以下「フットフィット 3 ヒート」)の公式サイト価格は74,800円(税込)。いっぽう、ヒーター機能やウォーキング・プログラムが非搭載のスタンダードタイプ「シックスパッド フットフィット 3」(以下「フットフィット 3」)は43,780円(税込)
「シックスパッド フットフィット 3」は、スタンダードモデルと天然木を利用したプレミアムモデル「シックスパッド フットフィット 3 ヒート」が展開されている。今回選択したのは後者で、値は少し張るが、ヒーター機能搭載、充電式(スタンダードは乾電池式)、ウォーキング・プログラム搭載という特徴がある。個人的に充電式か乾電池式かにそれほどこだわりはなかったものの、季節的に室内とはいえ裸足になると寒いかもしれないとの思いからチョイスした。
本体を置く専用マットが付属
2023年11月に発売された「フットフィット 3」は、その名からわかるとおり、シリーズ3代目。初代モデルが登場した2018年10月から2023年9月までで、シリーズ累計出荷台数が100万台を突破している大ヒット商品の最新モデルなのだ。
従来モデルは、ブラックを基調としたスポーティーなデザインだったが、今作ではホワイトを基調にしたクリーンでヘルシーな印象のデザインに。「フットフィット 3 ヒート」ではさらに、一部に天然の樺材が採用されており、リビングや寝室になじみやすい雰囲気に仕上がっている。
「フットフィット」シリーズ(初代「フットフィット」「フットフィット ライト」「フットフィット 3」)は、EMSの刺激を利用して、ふくらはぎ・すね・足裏の筋肉を効率的に鍛えられるギアで、「日本ホームヘルス機器協会」による「健康増進機器」(人の健康・美容の増進、QOL(生活の質)の向上を目的とする機械器具)の認定を受けている。
EMSとはElectrical Muscle Stimulationの略で、電気刺激によって筋肉を動かすというもの。通常の運動では、脳からの指令が脊髄を経由して運動神経に伝わり、筋肉を動かしている。いっぽう、EMSは外部から電気的な刺激を与えることで、狙った部位の筋肉を動かすという仕組みだ。また、EMSには通常では高重量のウエイトトレーニングなどを行わなければアプローチしづらい速筋を、低負荷で刺激できるというメリットもある。「フットフィット」シリーズは、医療施設や介護施設にも導入されており、信頼度も高いのだ。
フットパッド(黒い部分)にアプローチ部位(足裏、ふくらはぎ)を置いて使用
デスクワークをしながら、読書をしながら、テレビを観ながら、手軽にトレーニングできる。ヒーター機能はじんわり温かい
「フットフィット 3 ヒート」には、トレーニング・プログラム、コンディショニング・プログラム、ウォーキング・プログラムという3つのプログラムが搭載されている。そのうちコンディショニング・プログラムは、足裏だけでなく、ふくらはぎに電極部を当てて使用することもできる。
トレーニング・プログラムの総時間は15分。従来モデルでは23分だったが、より短い時間で効率的な運動が可能になったとのこと。ウォームアップとクールダウンがそれぞれ30秒あり、4分のトレーニング3セットの間に1分のコンディショニングが挟まれる。刺激のレベルは1(弱)〜25(強)の25段階で選択可能。筆者は8〜10程度の刺激で十分だったが、もちろん個人差はあるだろう。
デスクワークをしながらの15分間は正直あっという間。朝イチにメールの送信・返信をしている間に終わってしまう。活動を始めたばかりの身体にスイッチを入れるのにもよさそうだ。
ウォーキング・プログラムは20分間。トレーニング・プログラムとの大きな違いは、左右交互に足が刺激されること。刺激も途中で何度か変化する。トレーニング・プログラムとウォーキング・プログラムを併用することで“飽き”を防げそうだ。
そして、従来モデルのユーザーからのリクエストによって採用されたというヒーター機能の存在がありがたかった。冬以外に出番はないかもしれないが、筆者は「フットフィット 3 ヒート」を使う際、基本的にヒーター機能をオンにしていた。ほんのり温かい程度なのだが、オンとオフでは足を置いたときの気持ちよさに大きな差があった。ちなみに、足を置く電極部分には導電性ゴムが採用されており、ジェルシートなどは不要。ランニングコストが抑えられている点もうれしいポイントだ。
本体での操作はもちろん、リモコン操作も可能
天然木が使われているのも「フットフィット 3 ヒート」の特徴
細かな点だが、持ち運ぶときに便利なグリップ付き
「フットフィット 3 ヒート」には充電クレードルが付属。専用ACアダプターのみで充電することも可能だ
充電クレードルに本体を設置するとこんな感じに
コンディショニング・プログラムの総時間は12分。2〜50Hzの周波数を組み合わせたリズミカルな刺激によりコンディションを整えてくれるという。コンディショニング・プログラムにおいては、ふくらはぎに電極部を直接当ててもOKだ。
コンディショニング・プログラムをふくらはぎに。運動後の疲れた脚にかなり気持ちいい!
コンディショニング・プログラムにおいても、筆者は8〜10程度の刺激が適度だと感じた。デスクワーク中にも試してみたが、よりコンディショニング・プログラムが適していると感じたのが運動後。ランニングを終えてシャワーを浴びたあとや、1日取材で歩き回った帰宅後、足裏かふくらはぎの疲労感を感じているほうに、コンディショニング・プログラムをやっておくと、翌日にすっきりしている感覚があった。ストレッチをするのが面倒だなというときでも、足をのせておくだけなら頑張れる(実質、頑張ってはいない)!
この原稿を書くまでに1か月弱「フットフィット 3 ヒート」を使っているが、とても気に入っている。以前テストして継続して使っている「パワースーツ コアベルト」同様、“ながらトレ”にとても向いているし、効いている感覚も得られる。デスクの下に置きっぱなしにしても邪魔にならないし、準備に時間がかかることもないので、気軽にトレーニングできる。運動不足解消の手段になるのはもちろん、よく運動をする人にとってはコンディショニングやケアのためのギアとしても活躍してくれるはずだ。
実は、「フットフィット」シリーズを展開するMTGと金沢大学との共同研究から、足のふくらはぎの筋肉に電気的な刺激を与えることで、認知症の進行を防ぐ効果などが期待される「BDNF」というタンパク質が合成されるという研究報告がなされている。高齢で運動不足な両親(コロナ禍以降、引きこもりがちになったという人も多いかもしれない)へのプレゼントにも最適なギアと言えるだろう。