「甘くないプロテイン」って、ないんですかね……?
ダイエットや筋トレ目的でプロテインを飲んでいる人は多いと思います。日々痩せたいと考えている筆者もプロテインは気になっています。しかし、甘いものがそんなに好きではないこともあり、「なぜプロテインは甘ったるい物ばかりなのだろう」と疑問に思っていました。探してみたところ、「甘くない」とうたっているものもあるようですが、圧倒的に少なく、なぜかプロテインには「チョコレート味」「ココア味」が多い印象です。
そこで、オリジナルプロテインやプロテインバーの監修などをしているバズーカ岡田さんにその理由を聞くとともに、プロテインの効果的な飲み方を教えてもらい、実際に1か月間プロテインを飲んでみました。
見事なボディをお持ちの岡田さんに、いろいろ聞いてきました
体育学者として日本体育大学教授を務め、自身もボディビルダー・骨格筋評論家として活躍するバズーカ岡田さん。「ホンマでっか!? TV」(フジテレビ系)に出演されていたのをご存じの人も多いのではないでしょうか。最近では、2023年11月に開催された「WNBF(World Natural Bodybuilding Federation)プロボディビル世界選手権」のマスターズクラスで優勝するほどの実績を残しています。
Youtube「新・バズ―カ岡田チャンネル」
https://www.youtube.com/@bazooka_okada
―― まずはプロテインの基本について教えていただきたいのですが、プロテインには「ホエイ」と「ソイ」がありますよね? 違いがよくわかりません。
たんぱく質を英語で「プロテイン」というのはご存じだと思いますが、「ホエイ」や「ソイ」はたんぱく質の由来がなんなのかを表しています。どちらも栄養素としては同じたんぱく質ではあるものの、効果が異なります。「ホエイ」は牛乳由来、「ソイ」は大豆由来のもので、筋肉をつける効果がより大きいのは、「ホエイ」だと言われています。でも植物性がよいからと「ソイ」を選んでいる人もいます
―― 1日にどのくらい飲むのがよいのでしょうか?
たんぱく質の摂取量は、1日に体重1kg当たり1gを目安にしていただくとよいと思います。体重50sの人だったら、1日50gになります。ただ、筋トレをしている人は筋肉の材料とするためにもう少し必要で、体重50sの人だったら1日100gが目安です。その場合、1回の食事で20gのたんぱく質が摂取できると仮定すると、食事だけでは60gと不足してしまいますので、足りない40gをプロテインで補います
―― プロテインって甘い味のものが多く、「たんぱく質よりも砂糖を摂取しすぎているのでは」と不安になってしまったのですが……。
そうですよね。しかしその前に、体内により多く入ってくるものが体により大きな影響を及ぼすため、プロテインの主原料をチェックしてみるとよいと思います。裏面の原材料の記載をチェックしてみてください。その商品に多く含まれている順に書かれています
原材料名の先頭に書かれているのが最も多く入っている成分
このプロテインだと「乳清たんぱく質」が最も多く入っていますが、この「乳清たんぱく質」の品質が仮に悪ければ、身体に大きな影響が出てしまいます。じゃあこの「乳清たんぱく質」って大丈夫なの? と気になってくるわけですが、残念ながらほとんどのプロテインにおいて、使われている原材料の品質まで説明しているものは少ないのが現状です
岡田さん監修のプロテイン「BAZOOKA WPH」
―― そこまで気にしないといけないのですね!
乳清たんぱく質は牛の乳からできていますが、厳密には「じゃあその牛は大丈夫なのか」までたどりたくなってしまいますね。だってその牛は狭いケージに押し込められてストレスを受けていたり、牧草ではないものを食べていたりして育った牛かもしれない……。そういった牛のものより、自然に近い環境でストレスなく健康に育った牛から出たものを飲みたいじゃないですか
―― 確かに……。そこまですべてパッケージに記載するのも大変そうです。
そのため、私のプロデュースしたプロテインでは、どんな生活環境で育った牛なのかまで確認して記載しています。「BAZOOKA WPH」は牧草飼育(グラスフェッド)の牛の牛乳由来のホエイを使用しています
裏面にはこだわりについてぎっしり記載が。「グラスフェッド」が牛に言及している部分
―― ちゃんと記載されているんですね。そう聞くと安心です!
ただし、これをやろうとするとコストもかかります(笑)。なので「BAZOOKA WPH」は一般的なプロテインよりは少し価格が高いと感じる方も多いかもしれません(※600g入り1袋で税込8445円〜)。さらに、気にする人が多い添加物「人工甘味料」にもこだわりました。個人的には“人工甘味料=悪”とは考えていませんが、不安視する人のために天然甘味料を使用しています。ちなみに、WHOの専門機関が発がん性がある可能性リストに人工甘味料「アスパルテーム」を追加した、というニュースが2023年7月に出ました
―― ちょっとお高くはなるけれど、安心して飲めるものを作ったのですね。ところで、プロテインって甘いタイプが多いイメージなのですが、これは何か理由があるのでしょうか。
プロテインは乳が主成分ですから、どうしても乳臭さが残ってしまう。だから甘味で消そうとしているのではないかと思います。牛乳は柑橘系の果物と混ぜるより、バナナや甘いイチゴのほうが合うというのも同じ現象でしょう。さらに、お菓子を作るメーカーに聞いたのですが、チョコ味のお菓子っていうのは何でも売れるらしいです。だから王道だし、乳とも相性がいい。そういったことが、どのプロテインにもチョコ味が多い理由なのではないでしょうか
―― 確かにプロデュースされた味は「ビターチョコレート味」ですが、もうひとつは甘くなさそうな「サワーレモン味」ですね。
はい。先ほどの理論でいくと、柑橘系の味をプロテインで実現するのはとても難しいのですが、それがペプチドでは可能なのです。プロテインは消化酵素で分解されると最終的にはアミノ酸になるんですけど、その直前にペプチドという段階があります。ペプチドになる過程では苦味が出てくるのですが、苦味と酸味は相性がよい。だから「サワーレモン味」にしたんです
―― なるほど……! ちなみにプロテインって「牛乳か水で割ってください」とパッケージに書かれていますが、どちらがよいのかで悩んでしまうのですが……。
ホエイプロテインは牛乳由来ですから、やはり牛乳との相性は抜群です。しかし、牛乳で割って飲むと牛乳の栄養素も摂ることになります。当然その分のカロリーも上乗せされる。たんぱく質だけを取りたかったら、水で割って飲むのがいちばんだと思いますね。プロテインはそもそも牛乳からたんぱく質成分を純度高く取り出したものなのに、また牛乳で割り戻すというのは、意味がわからないとも言えますね(笑)
―― いつ飲むのが効果的なんでしょうか。
基本的にはトレーニング直後がよいですね。トレーニングをしない人が飲むなら食間がよいと思います。たとえば、朝食が7時で昼食が12時なら、ちょっとお腹がすく10時とか。おやつの代わりにプロテインを飲むのはおすすめです。太りにくいし、定期的なたんぱく質摂取によって筋肉がつきやすくなりますし、髪や肌など美容にもよいです。朝食代わりにプロテインでもよいですね。朝に固形物を食べたくない人には、プロテインによるたんぱく質摂取をおすすめします
バズーカ岡田さんにプロテインのことを教えていただいたので、実際に毎日飲んでみることに。
筆者は職業がライターということもあり、運動量はそこまで多くありません。気が向いたら散歩をしたり、週に1〜2回ピラティスをしたりする程度です。それでもプロテインを飲むだけで何か変わるのでしょうか? 食事や運動量は変えずに「毎日プロテインを飲む」だけ追加して検証してみました。
バズーカ岡田さんからは自身がプロデュースした「BAZOOKA WPH」ともうひとつ、甘くないプロテインとして「FIGHTING ROAD ホエイプロテイン アロエヨーグルト風味」もおすすめしてもらったので、これに個人的に気になった「KOREDE 紫芋スイートプロテインスープ」も加えた3種類を毎日飲んでみることにしました。
岡田さん監修のプロテイン「BAZOOKA WPH」
まずは「BAZOOKA WPH サワーレモン味」です。水150〜200mLに約30g溶かして飲みます。1杯で摂取できるたんぱく質は20g。
150mLなら毎日飲めそう!
驚いたのは、プロテイン特有の溶けづらさやもったり感がないこと! シェイカーでしっかり振れば、ジュースのようにすっきりと溶けやすかったです。水の量は150〜200mLと幅がありますが、150mLでも十分溶けました。これまでに飲んだことがあるプロテインでは「もったりしたものをたくさん飲む」ことに気が重くなってしまっていましたが、150mLでこのすっきり感なら負担なく飲めます。
よい意味でプロテインっぽくなく、まるでレモンサワー感覚で飲める
「サワーレモン味」も、まるでお酒のレモンサワーのような心地よい苦みがおいしい! おいしいということは進んで飲みたいと思えるということで、習慣化しやすいということ。また、お話をうかがったように、原料や添加物が気になる人も安心して飲めるように配慮されているので、ほかのプロテインより高くても、その分付加価値があるので納得できると思いました。
「FIGHTING ROAD ホエイプロテイン アロエヨーグルト風味」
続いては「FIGHTING ROAD ホエイプロテイン アロエヨーグルト風味」です。こちらも水または牛乳150〜200mLに約30g溶かして飲みます。1杯で摂取できるたんぱく質は21.6g。
「アロエヨーグルト風味」がおいしくて飲みやすい!
「アロエヨーグルト風味」って珍しいなぁと思ったのですが、本当に「飲むヨーグルト」のような味わいでとても飲みやすかったです。水で溶かして飲んでいましたが、「BAZOOKA WPH」よりは多少プロテインっぽい、もったり感はあるものの、味わいのせいか比較的すっきりした印象があります。
「KOREDE 紫芋スイートプロテインスープ」
最後は「KOREDE 紫芋スイートプロテインスープ」です。スープということもあり、甘くないのではないか? と気になって購入。水100〜180mLに約20g溶かして飲みます。1杯で摂取できるたんぱく質は10.2g。
おいものスープ! という感じで食事としても普通にめちゃおいしい
プロテイン感はほぼ皆無で、まさに「おいものスープ」といった感じでした。甘さもゼロで、むしろほんのり塩味を感じたのがおいしかったです! ただ、味がスープ風ということもあり、水で溶かして飲むと「冷めたスープを飲んでいる感」がありました。そこでお鍋で牛乳と一緒に加熱して食事時に飲むようにしたので、ほかの2つとは異なり、食事時のメニューのひとつとして楽しめました(ちなみに、プロテインをお湯と一緒にシェイカーに入れて振ると危険なのでやめましょう!)。
これら3種類(主に飲んでいたのは「BAZOOKA WPH」と「FIGHTING ROAD」)を毎日1回1か月間飲み続けました。特に時間は定めず、朝食時に飲むこともあれば夕方に飲むこともありました。
運動量や生活は変えずに、プロテインを毎日飲むようにしただけでなんと……
体重±0s
筋肉量+1s
体脂肪量−1s
基礎代謝+20kcal
という結果に。
やはり、プロテインでたんぱく質を摂取することは、単純に筋肉量のアップ、ひいては脂肪の減少に効果があるようです。筋肉量が増えて基礎代謝が上がることで、痩せやすい身体に近づくのはうれしいもの。甘い物が苦手な人でも、甘くない&飲みやすいプロテインを探せば毎日飲みやすく、そして効果が実感できるはず。これからも健康&ダイエットのために毎日プロテインを続けていきたいと思います!