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20万円以下で買えるパナソニックのe-Bike「XEALT S3F」の乗り味は? 国産初の子ども向けモデルも登場

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パナソニックが展開するe-Bike(スポーツタイプの電動アシスト自転車)のブランド「XEALT(ゼオルト)」に、メーカー希望小売価格(税込)が20万円を切るクロスバイクタイプの「XEALT S3F」が登場。2023年に発売された「XEALT L3」と同じ価格なので、手ごろな価格で購入できるラインアップが増えた感じだ。

今回は、2024年6月3日に発売されたばかりの「XEALT S3F」に試乗してみて、その乗り味をレポートする。また、「XEALT S3F」と同時に発表された、国産メーカー初の子ども向けe-Bike「XEALT SJF」の詳細も紹介しよう。

2軸タイプのドライブユニットを搭載したe-Bike

「e-Bike」と呼ばれる電動アシスト自転車に搭載されているスポーツタイプのドライブユニットは「1軸タイプ」が多い。一般的な電動アシスト自転車のドライブユニットは、アシストの力をチェーンに伝える軸と、ペダルを踏んだ力を伝えるクランク軸を装備した「2軸タイプ」が主流。違いとしては、クランク軸のみの「1軸タイプ」のほうがひとつの軸にペダルの踏力とアシスト力が伝わるため、より自然なアシストフィーリングが得られる。

2軸タイプと1軸タイプ
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2024/02/01 07:00

ただ、1軸タイプのスポーツタイプのドライブユニットを搭載したe-Bikeは高価。フレームやパーツのグレードなど、ドライブユニット以外の部分も関係するが、パナソニックの「XEALT」シリーズの場合、いちばん安いモデルでもメーカー希望小売価格は368,000円(税込)だ。

1軸タイプのドライブユニットを搭載した「XEALT」の中で、メーカー希望小売価格が最も高い「XEALT S5」

1軸タイプのドライブユニットを搭載した「XEALT」の中で、メーカー希望小売価格が最も高い「XEALT S5

そんななか、新モデルの「XEALT S3F」は、2軸タイプの「カルパワードライブユニット」を採用して価格を抑えている。このドライブユニットは、既存の「XEALT L3」と同じだ。一般的な電動アシスト自転車に採用されているものと同じ2軸タイプだが、パナソニック独自の「XEALTチューニング」を施すことで、e-Bikeらしいアシストフィーリングを実現。踏み込む力に応じてメリハリのあるアシストを行うほか、高いケイデンス(ペダルの回転数)にも対応している。

「XEALT S3F」にはフレームサイズが390mmの「BE-RS3F1S」(適用身長148〜170cm)と440mmの「BE-RS3F1M」(適用身長159〜180cm)の2車種を用意。メーカー希望小売価格は195,000円(税込)

「XEALT S3F」にはフレームサイズが390mmの「BE-RS3F1S」(適用身長148〜170cm)と440mmの「BE-RS3F1M」(適用身長159〜180cm)の2車種を用意。メーカー希望小売価格は195,000円(税込)

2車種とも、メタリックダークグレー、シャインパールホワイト、ジェイドパールグリーン、スカーレットパールの4色展開

2車種とも、メタリックダークグレー、シャインパールホワイト、ジェイドパールグリーン、スカーレットパールの4色展開

「カルパワードライブユニット」は、その名のとおり、軽量・コンパクトでパワフル

「カルパワードライブユニット」は、その名のとおり、軽量・コンパクトでパワフル

バッテリー容量は25.2V/12Ah(約302Wh)。近年のe-Bikeでは一般的なフレーム内蔵のインチューブ式ではなく、一般的な電動アシスト自転車と同じ外付けタイプだ。アシスト走行可能な最大距離は約90km

バッテリー容量は25.2V/12Ah(約302Wh)。近年のe-Bikeでは一般的なフレーム内蔵のインチューブ式ではなく、一般的な電動アシスト自転車と同じ外付けタイプだ。アシスト走行可能な最大距離は約90km

走行モードは3段階。コントローラーの下側にある自転車マークのボタンを押すと最もパワフルな走行モードに切り替わる

走行モードは3段階。コントローラーの下側にある自転車マークのボタンを押すと最もパワフルな走行モードに切り替わる

太めタイヤとフロントサスペンションを装備した街乗り仕様

ドライブユニットやバッテリー、ブレーキは既存の「XEALT L3」と同じだが、フレーム設計やパーツなどが細かい部分は異なる。そのなかでも大きな相違点は、タイヤサイズとサスペンションの有無。「XEALT L3」はタイヤが700×38C(29インチ相当)なのに対し、「XEALT S3F」は27.5×2.0インチと、「XEALT L3」より小さく、太めだ。また、「XEALT L3」にはなかったフロントサスペンションを装備。こうした装備から、「XEALT S3F」のほうが、荒れた路面での安定性や、段差などを乗り越えた際のショックの吸収性が高いと言える。

27.5×2.0インチの太いタイヤにフロントサスペンションを組み合わせているが、フェンダーを装備していることから街乗り向けのセッティングだということがわかる

27.5×2.0インチの太いタイヤにフロントサスペンションを組み合わせているが、フェンダーを装備していることから街乗り向けのセッティングだということがわかる

「XEALT L3」と同じ、シマノ製の「Vブレーキ」を装備。上位グレードのe-Bikeではディスクブレーキを採用することが多いが、Vブレーキにすることでコストを抑えている

「XEALT L3」と同じ、シマノ製の「Vブレーキ」を装備。上位グレードのe-Bikeではディスクブレーキを採用することが多いが、Vブレーキにすることでコストを抑えている

変速がリアのみなのは「XEALT L3」と同じだが、「XEALT L3」はシマノ製「CLARIS」で8段なのに対し、「XEALT S3F」は「ALTUS」で7段。フロント側にはチェーンカバーが装着されている

変速がリアのみなのは「XEALT L3」と同じだが、「XEALT L3」はシマノ製「CLARIS」で8段なのに対し、「XEALT S3F」は「ALTUS」で7段。フロント側にはチェーンカバーが装着されている

リアにも、フロントと同じく泥はねなどを防ぐフェンダーを装備。荷物などを積むためのキャリアも備えている

リアにも、フロントと同じく泥はねなどを防ぐフェンダーを装備。荷物などを積むためのキャリアも備えている

フェンダーやキャリアのほかにも、給電式のフロントライトやスタンドなど、街乗りで役立つ装備を備えている。

フラットタイプのハンドルの幅は580mm。歩道を走行できるように普通自転車の枠に収まるサイズを採用している

フラットタイプのハンドルの幅は580mm。歩道を走行できるように普通自転車の枠に収まるサイズを採用している

フロントライトはバッテリーから給電されるタイプ

フロントライトはバッテリーから給電されるタイプ

ある程度肉厚のあるサドルは、スポーティー過ぎず、快適性を両立している

ある程度肉厚のあるサドルは、スポーティー過ぎず、快適性を両立している

サイドスタンドも標準装備

サイドスタンドも標準装備

新モデル「XEALT S3F」に試乗

既存の「XEALT L3」と比べ、タイヤ径は小さくなったものの太さが増し、フロントサスペンションを装備したことで、車体の重量は「XEALT L3」より4kg重い24kg(BE-RS3F1M)となった。車体の重さ自体は、アシスト機能があるので走行には支障がないが、フロントサスペンションがあることでハンドリングへの影響が懸念される。今回の試乗会には「XEALT L3」も用意されていたので、乗り味の違いを確かめてみよう。

まずは、新モデル「XEALT S3F」に試乗。

タイル舗装もある道で試乗した

タイル舗装もある道で試乗した

太めのタイヤにフロントサスペンション、そして、ホイールベースが長めとされていることもあり、かなり安定感が高い。重量は重めだが、その重さも安定性につながっている印象だ。アシストのフィーリングは漕ぎ出しからアシストが強力で、重い車体をしっかりと押し出してくれる。とはいえ、一般の電動アシスト自転車に比べるとアシストの唐突感はない。「XEALTチューニング」の効果が感じられるポイントのひとつだ。2軸タイプのドライブユニットを搭載したモデルをe-Bikeと呼ぶことに抵抗を覚える人もいるかもしれないが、「XEALT S3F」のアシストフィーリングはe-Bikeと言っていい完成度と言える。

軽い登り坂での乗り味もe-Bikeらしいもの

軽い登り坂での乗り味もe-Bikeらしいもの

ディスプレイにはケイデンス(ペダルの回転数)が表示できるので、高ケイデンスの走行も試してみた。スポーツタイプのドライブユニットは高ケイデンスに対応しているため、ハイスピードで巡航したり、軽いギアでペダルを速く回転させて坂を登ったりできる。2軸タイプながら「カルパワードライブユニット」はどのくらいの高ケイデンスに対応しているのかを、軽めのギアでペダルをひたすら速く回して確かめてみたところ、車速がアシストが可能な24km/h以下ではアシストが抜けたり、不自然になったりすることはなかった。「XEALT S3F」は、高いケイデンスを維持する走り方もできそうだ。

ケイデンスが120を超えるくらいペダルを回してみたが、それでもアシストの抜けなどはなかった

ケイデンスが120を超えるくらいペダルを回してみたが、それでもアシストの抜けなどはなかった

続いて、「XEALT S3F」と同じ「カルパワードライブユニット」を搭載した「XEALT L3」に試乗。

2023年発売の「XEALT L3」。サスペンションは装備せず、タイヤが700×38Cと細身。重量は20kgと、「XEALT S3F」より4kg軽い

2023年発売の「XEALT L3」。サスペンションは装備せず、タイヤが700×38Cと細身。重量は20kgと、「XEALT S3F」より4kg軽い

「XEALT S3F」に試乗した後に「XEALT L3」に乗ると、予想以上に大きな差を感じた。「XEALT S3F」は安定感を強く感じたのに対し、「XEALT L3」は軽快感が強い。アシストのフィーリングにも違いがあるように感じたのだが、メーカーの担当者に確認したところ、ドライブユニットやバッテリーなどはセッティングも含めて同じだという。タイヤの太さとフロントサスペンションの有無が2車種の大きな相違点だが、そうした車体側の違いが、ここまでアシストの印象に影響するのは驚きだった。具体的には、タイヤの細い「XEALT L3」のほうが、速度が乗った後の再加速などがスムーズで高ケイデンスでのフィーリングもよかったが、発進時のアシストは「XEALT S3F」のほうが強い印象。

荒れた道での振動吸収性や快適性も「XEALT S3F」のほうがすぐれているので、段差などが多い道を走る場合や、走行速度が低めな場合は「XEALT S3F」を、もう少し速い速度で舗装のいい路面を巡航する使い方が多いなら「XEALT L3」を選ぶといいだろう。

国産メーカー初の子ども向けe-Bike

最後に、「XEALT S3F」と同日に発売された、国産メーカー初の子ども向けe-Bike「XEALT SJF」を紹介しよう。

「XEALT SJF」(BE-RSJF1S)のフレームサイズは350mmで、タイヤサイズは24×1.9インチ。適用身長は135〜150cmなので、大人でも小柄な人は本製品を選ぶという手もある(大人が乗っても問題ない)。重量は22kg。メーカー希望小売価格は172,000(税込)だ

「XEALT SJF」(BE-RSJF1S)のフレームサイズは350mmで、タイヤサイズは24×1.9インチ。適用身長は135〜150cmなので、大人でも小柄な人は本製品を選ぶという手もある(大人が乗っても問題ない)。重量は22kg。メーカー希望小売価格は172,000(税込)だ

ジェイドパールグリーンとマットブラウニッシュブラックの2色を用意

ジェイドパールグリーンとマットブラウニッシュブラックの2色を用意

見た目は、「XEALT S3F」と非常によく似ている。ドライブユニットやバッテリー容量、変速段数やフロントサスペンションなども同じ。まさに、「XEALT S3F」を小さくしたようなe-Bikeだが、「XEALT SJF」には、子どもが自転車の操作に集中できるように走行モードの切り替えをあえて搭載しなかったのが特徴だ。

奥側が「XEALT S3F」で、手前が「XEALT SJF」。パッと見ただけでは、違いがわからないくらいよく似たシルエットに仕上げられている

奥側が「XEALT S3F」で、手前が「XEALT SJF」。パッと見ただけでは、違いがわからないくらいよく似たシルエットに仕上げられている

走行モードの切り替え機能は非搭載。ディスプレイも装備していない。電源のオン/オフのみのスイッチは、フレーム上部に設けられている。アシスト走行可能な最大距離は約54km

走行モードの切り替え機能は非搭載。ディスプレイも装備していない。電源のオン/オフのみのスイッチは、フレーム上部に設けられている。アシスト走行可能な最大距離は約54km

変速段数は「XEALT S3F」と同じ7段だが、操作しやすいようにシフトレバーはグリップ部を回すタイプを採用

変速段数は「XEALT S3F」と同じ7段だが、操作しやすいようにシフトレバーはグリップ部を回すタイプを採用

増谷茂樹
Writer
増谷茂樹
カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。
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中村真由美(編集部)
Editor
中村真由美(編集部)
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。気づけば15年以上、生活家電の情報を追い、さまざまな製品に触れています。
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