新しいFire TVを購入して何をしたいか−−というとAVライターの僕としては4K/HDRの作品の視聴だ。
新Fire TVで視聴できる4K/HDR作品は、すべて「ホーム」画面に用意された「prime HDR TV番組」という項目からアクセスできる。実際の配信作品は『高い城の男』『グランド・ツアー』『トランスペアレント』など「プライム・ビデオ」で見放題で配信されているAmazonオリジナルの23作品/シリーズのみ(10月24日時点)。レンタル扱いの作品は、他社で4K/HDR配信している作品もAmazonビデオではHD画質のみなのは残念なところだ。
実際に『高い城の男 シーズン2』を視聴してみたが、光の演出など、HDRの効果をしっかりと確認することができた。再生画質については、HD画質からスタートして回線速度に応じてクオリティがUltraHDまで上がり、光回線の筆者宅では途切れることなく安定した高解像度で観られた。4K/HDRで数時間再生して本体の発熱も確認してみたが温かい程度で問題ナシだ。
4K/HDR対応作品は「prime HDR TV番組」からアクセス
4K/HDR対応作品の『高い城の男 シーズン2』も文句なしの高画質だった
Fire TVシリーズでは、マイク付きリモコンを使った“音声検索”にも対応している。音声認識による検索機能であって”ボイスアシスタント”ではないので、「○○を探して」ではなく、作品名をそのまま発音するのがポイントだ。
実際に試してみると日本語ボイスと英語表記のマッチングはしているようで、「ワイルドスピードアイスブレイク」で、映画『ワイルド・スピード ICE BREAK』もヒット。ほかにも「フェイトステイナイト」でアニメ『Fate/Stay nigth』のような検索も可能と、音声で作品タイトルを入力する専用と考えると予想以上に実用的だ。
いっぽうで、ジャンルへの絞り込みは今ひとつで「ディズニー作品」「アニメ」程度なら有効だが、「1980年代の映画」「海外アニメ」のような条件はアテにならない。また、音声認識は常に検索になるので、作品再生中のシークや字幕・音声切り替え等の機能はない。
検索画面からの音声入力。付属リモコンのリモコンマイクボタンを押せば常時利用可能だ
「ワイルドスピードアイスブレイク」で、映画『ワイルド・スピード ICE BREAK』もヒット
Amazonビデオ以外の映像配信サービスについては、Fire TV向けに用意されたアプリから利用可能だ。日本で利用できるサービスは「YouTube」「Netflix」「dTV」「hulu」「DAZN」「AbemaTV」など、主要サービスはほぼ網羅されており、新Fire TVをSVOD(定額見放題)用プラットフォームとして利用することができる。
実際にSVODアプリをインストールして体験してみたが、Netflixのみは特別に連携機能が作りこまれているようで、新Fire TVの音声検索でNetflixの作品もヒットし、直接作品ページにジャンプできるようになっていた。「Amazonビデオ」にはない作品も多く、実質的に見放題が増えるのはメリット大だ。なお、Netflixでも4KやHDRに対応した作品の配信を開始しているが、新Fire TVでも4K/HDR対応作品を問題なく楽しめることができた。無線LAN接続だったが、再生時の安定感も問題ないレベルだ。
Netflix以外のサービスについてもいろいろと試してみたが、AbemaTVは若干映像の動きがギクシャクする点、dTVは、テレビ向けのユーザーインターフェイスに切り替わるものの、簡易的な操作になる点が少々気になった。画質についても、AVライター目線で見てしまうと、HD画質の作品などではわずかにエンハンスがキツめに見える所があった。とはいえ、テレビに接続するだけで利用できる手軽さなどを考えたら、十分実用レベルと言えるだろう。
アプリという形で他社の映像配信サービスも利用可能
Netflixの作品も4K/HDR画質で視聴できる
Netflixの配信作品も音声検索でヒットする
映像配信以外のアプリも存在するが、なかでも配信数が多いのがゲーム。クラウド版の『ファイナルファンタジー』シリーズや『ラストレムナント』など、メジャータイトルもいくつかラインアップされているが、基本的にはBluetoothのコントローラーを接続する前提。付属リモコンだけで簡単に遊べる純粋なアプリと呼べる日本人向けタイトルは「PACK-MAN256」くらいだろうか。今後のコンテンツ拡大に期待したいところだ。なお、アプリインストールに用いる本体ストレージ容量は8GBのみとなっているが、先述したとおり、容量の大きいタイトルはクラウド版が提供されているので、容量不足についてはそれほど気にすることはないだろう。
実際に「PACK-MAN256」をプレイしてみた
インストールしたアプリはスマホアプリからワンボタンで呼び出せる。かなり便利だ
新Fire TVをいろいろと使ってみたが、4K/HDRはAmazonビデオだけでなく、Netflixもまったく問題なく高画質に視聴できるし、何よりも大画面テレビで「プライム・ビデオ」の見放題に触れるデバイスとして有用だ。
同時期に発売された「Apple TV 4K」も「プライム・ビデオ」への対応を表明しているが、
現時点ではまだ未対応となっており、それだけでも新Fire TVを導入するメリットはありそう。ただし、AI搭載のボイスアシスタントではなく音声認識のみなのは、「Amazon Alexa」対応の期待もあっただけに残念だ。もっとも、Fire TVは旧モデルから3000円値下げされHDR対応になり8,980円で、「Apple TV 4K」は32GBモデルでも1万9800円と比べ半値以下。コスパは新Fire TVの圧勝だ。
新Fire TVのメインターゲットになりそうなのは、やはり”ドンキ4K”のような映像配信に対応していない格安の4Kテレビユーザーや、4K対応PCモニタユーザーだろう。4Kテレビをもっていないという人なら、フルHDまでのFire TV Stickという選択肢もあるが、4Kテレビユーザーなら迷わず新Fire TVを選ぶのが正解。Amazonプライムに加入しているなら、年会費分をお得に活用できるデバイスなので、ぜひ導入したいところだ。