価格.com 家電トレンド研究所

夏のボーナス商戦で注目の4Kテレビは人気でお得な「型落ち×高画質液晶×大型」が狙い目

長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。

第16回は、夏のボーナス商戦でも盛り上がりそうな、薄型テレビの最新トレンドについて解説する。

技術的進化の幅が小さくなったことで、買い替え需要が下がってきたテレビ市場

一時期よりはその勢いが衰えてきたとはいえ、今でも家電製品の王様と言ってよい存在が「テレビ」である。価格.comの家電関連カテゴリーの中でも「液晶テレビ・有機ELテレビ」カテゴリーは圧倒的な閲覧者数を維持しており、消費者の関心の高さを物語っている。とはいえ、その人気が年々下がってきているのも確かで、ここ3年間の同カテゴリーの閲覧者数を見ると、全体的に右肩下がりになってきていることがわかる(図1)。これにはいくつかの理由が考えられる。

【図1】価格.com「液晶テレビ・有機ELテレビ」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3年間)

【図1】価格.com「液晶テレビ・有機ELテレビ」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3年間)

液晶や有機ELなどのパネルを採用した薄型テレビが最も売れたのは、それまでの地上アナログ放送が停波となり、地上デジタル放送へのシフトがすぐ前に迫っていた2010年あたりのこと。このときは、テレビ地上波のフォーマット自体が変わり、テレビ受像機自体も買い替えが要求されたため、かなり大きな需要増を生み出した。この時期にテレビを買い替えた人も少なくないだろう。

それからの10数年の間、テレビ受像機側も大きく変化してきており、フルHD(2K)から4Kへと解像度が大幅にアップするとともに、テレビ自体の価格も下がってきたことから、画面サイズアップも顕著になった。2010年当時の人気サイズは32V型であったが、現時点での人気サイズは55V型であり、テレビの画面サイズがかなり大きくなっていることがわかる。販売価格についても、今や55V型の液晶テレビが5万円台くらいから買えるという状況で、決して価格面がネックとなっているわけではない。ほぼすべての消費者が、最初の地デジ対応テレビの購入からすでに10年は経っているわけで、一度のみならず、二度三度と買い替えを行っている人も多いはずだ。

ただ、その買い替え需要も、約3年間続いたコロナ禍で一服した感がある。コロナ禍が始まった2020年頃には、外出制限のため在宅時間を楽しく過ごそうと、テレビを買い替えた人が多かった。これが買い替え需要の先食いとなった感は否めない。また、テレビの技術的進化も2020年頃までにはかなり進んでいたこともあって、ここ数年の技術的進化は、小ぶりなものが多かったように思う。「ミニLED」や「量子ドット技術」のような比較的大きめの技術進化も出てきてはいるが、こうした最新技術を採用するとテレビ本体の価格がグンと上がってしまうため、なかなかブレイクスルーにいたっていない状況だ。そのため価格が抑えられて、機能面でもそこまで大きな差異がないコスパの高い型落ちモデルが狙い目だが、さまざまな状況が重なって、ここ数年のテレビ市場はやや縮小しているのだろうと考察する。

人気の中心は高画質の液晶テレビ。サイズは55V型を中心に大型モデルが人気

【図2】価格.com「液晶テレビ・有機ELテレビ」カテゴリーにおけるタイプ別売れ筋トレンド(2023年5月時点)

【図2】価格.com「液晶テレビ・有機ELテレビ」カテゴリーにおけるタイプ別売れ筋トレンド(2023年5月時点)

では、現時点での、薄型テレビのトレンドを見てみよう。まず、薄型テレビには大きく分けて、液晶テレビと有機ELテレビの2種類があるが、この2種類の人気はどのような状況になっているだろうか。図2は、2023年5月時点での、価格.com「液晶テレビ・有機ELテレビ」カテゴリーにおけるタイプ別の売れ筋トレンドを示したものだが、これを見ると、今も液晶テレビが8割程度の人気シェアを持っていることがわかる。比較的新しく登場した有機ELテレビは、液晶テレビよりも画質面ですぐれているため、画質にこだわるマニア層を中心に、液晶テレビからのシフトが進んでいくのではないかと思われていたが、実際、そこまで大きなシフトは起こっていない。一時期は両者の価格差が2倍ほども開いていたので、主に価格面での優位性が強い液晶テレビが選ばれているのだろうと思われていたが、今はそこまでの価格差はなく、むしろ買いやすくなっているのに、依然として人気シェアは圧倒的に液晶テレビが高い。

この理由としては、ここ数年、液晶テレビ自体の高画質化が進んでいることがある。以前ほど黒浮きや白飛びといった問題も起こりづらくなっていることや、応答速度なども速くなっていること、有機ELテレビと比較して全体的に明るく見やすいことなどが、液晶テレビの再評価につながっており、価格も手ごろなことから、むしろ高画質な液晶テレビが選ばれているという状況だ。

【図3】価格.com「液晶テレビ・有機ELテレビ」カテゴリーにおける画面サイズ別売れ筋トレンド(2023年5月時点)

【図3】価格.com「液晶テレビ・有機ELテレビ」カテゴリーにおける画面サイズ別売れ筋トレンド(2023年5月時点)

次に、売れ筋の画面サイズについて見てみよう。図3は、2023年5月時点での、価格.com「液晶テレビ・有機ELテレビ」カテゴリーにおける画面サイズ別の売れ筋トレンドを示したもの。これを見ると、人気の画面サイズは比較的大きめで、売れ筋の55V型を含む「52〜56インチ」がいちばん人気で、次いでそれよりもワンランクサイズの大きな「57インチ以上」が続く。その次は「46〜51インチ」、「42〜45インチ」となっており、55V型を中心に、上は65V型や75V型、下は50V型(48V/49V型)や、43V型といったサイズが人気になっていると言えそうだ。

【図4】価格.com「液晶テレビ・有機ELテレビ」カテゴリーにおける主要メーカー別閲覧者数推移(過去1年間)

【図4】価格.com「液晶テレビ・有機ELテレビ」カテゴリーにおける主要メーカー別閲覧者数推移(過去1年間)

メーカー別に見ると(図4)、TVS REGZAと、その旧ブランドである東芝を合算したものがダントツで、次いでソニー、パナソニック、シャープといった順に人気となっている。もちろんこの順位は価格.com上における人気なので、実際のメーカー別の販売シェアとは異なるが、全体的には、機能性や画質性能で人気のTVS REGZA(東芝)とソニーの2大ブランドが、価格.comにおける人気の中心をなしてきた。ただし最近は、2位のソニーがやや人気を落としてきているのに対して、3位のパナソニックが比較的安定した人気で迫ってきており、これにシャープも加えた3社の差があまりなくなってきており、2位争いはやや混沌とした状況を呈してきている。

コレ買っときゃ間違いない! 価格.com編集長が今注目する薄型テレビ、6選

※最安価格とユーザー評価は、いずれも2023年6月20日 時点のものです

◆液晶テレビ

TVS REGZA「REGZA 55Z770L」

REGZA 55Z770L

価格.com最安価格:132,111円
発売日:2022年8月発売
ユーザー評価:★4.65(14人)

価格.com上でも根強い人気を誇る「REGZA」シリーズの中核モデル。旧東芝時代から「Z」型番の付くモデルは代々高画質・高機能のプレミアム液晶モデルと位置づけられており、本製品はその2022年モデルとなる。

画質面では、部分駆動対応の直下型LEDバックライトを搭載し、量子ドット技術を応用した鮮やかなカラー表現にも対応。搭載する高画質映像処理エンジン 「レグザエンジンZRII」の高い処理性能も手伝って、非常に高コントラストかつ滑らかな映像を実現する。
機能面では、全録対応の「タイムシフトマシン」を搭載する。地デジに関しては、外付けのUSB HDDを接続することで、最大6チャンネル分の自動録画が可能。見たい番組を逃さず見ることができるようになる。このほか、4K/120p入力に対応し、約0.83m/秒という低表示遅延を実現したゲームモードも備える。

これだけの機能性を備えながら、55V型で13万円台から購入できる価格設定は、実にお買い得だ。なお、上位モデルで、ミニLEDを搭載した「REGZA 55Z870L」も合わせてチェックしてほしい。

ソニー「BRAVIA XRJ-55X90K」

BRAVIA XRJ-55X90K

価格.com最安価格:159,800円
発売日:2022年8月6日発売
ユーザー評価:★4.33(3人)

2022年8月に発売された、ソニーのプレミアム4K液晶テレビ。液晶テレビの最上位モデルは「X95」シリーズとなるが、55V型としてはこちらが最上位モデルで、2023年6月20日時点では後継の「X90L」シリーズで55V型は出ていないので、こちらが現行機となる。

ソニーが誇る認知特性プロセッサー「XR」を搭載し、人間の記憶に近い印象的な色合いの映像を再現。部分駆動対応の直下型LEDバックライトの高精度な制御とも相まって、コントラストの高い鮮やかな映像が楽しめる。また、サウンド面では、音の定位感にすぐれた独自技術「アコースティック マルチ オーディオ」を採用。画面から直接音が響いてくるような自然で迫力のあるサウンドが楽しめる。このほか、最新ゲーム機「PlayStation 5」との連動機能も搭載し、ゲームとの相性も抜群。OSに「Google TV」を採用しており、ネット動画との親和性も高く、さまざまな動画配信サービスのコンテンツを直感的に楽しむことが可能だ。

価格.comでの人気も常に高い人気製品だが、発売から1年ほどを経て、流通在庫が少なくなってきたためか、販売価格が若干上昇気味。購入するなら早めがよいだろう。

ハイセンス「55U7H」

55U7H

価格.com最安価格:83,261円
発売日:2022年6月下旬発売
ユーザー評価:★4.86(10人)

東芝からテレビ事業を引き継いだハイセンスが、自社ブランドで発売する55V型の液晶テレビ。上記のTVS REGZAはハイセンス傘下の別ブランドではあるが、多くの部分で東芝からの技術を取り入れており、海外ブランドとはいえ、基本性能の高さでは定評がある。

本モデルは、昨年2022年6月に発売された製品だが、独自の映像エンジン「NEOエンジンPro」を搭載し、滑らかできめ細かな映像を実現。倍速駆動の高品質液晶パネルを搭載し、「REGZA 55Z770L」ばりの、4K/120p入力対応、約0.83m/秒という低表示遅延ゲームモードも搭載するなど、映像面の機能では抜かりがない。サウンド面でも、サブウーハーを内蔵し、実用最大出力は40wを実現するなど、迫力十分。これだけの内容を備えつつも、8万円台で購入できる驚愕のプライスは、まさに高コスパの極みと言っても過言ではないだろう。

◆有機ELテレビ

ソニー「BRAVIA XRJ-55A80J」

BRAVIA XRJ-55A80J

価格.com最安価格:171,518円
発売日:2021年6月12日発売
ユーザー評価:★4.45(22人)

ソニーが2021年6月に発売した有機ELテレビのスタンダードモデル。2年前の製品にはなるが、性能面では今でも十分に通用することから、現在でも人気が高い。18万円を切るプライスも大きな魅力だ。

映像面では、ソニーが誇る認知特性プロセッサー「XR」を搭載し、人間の記憶に近い印象的な色合いの映像を再現。高コントラストな有機ELパネルを駆使することで、非常に鮮やかで美しい映像を実現する。また、サウンド面では、パネルの表面を震わせることで、スピーカーとして利用する独自の音響技術「アコースティックサーフェス オーディオ プラス」を採用。画面正面からサウンドが響くため、定位感がよく、自然で迫力のあるサウンド体験ができる。OSには「Google TV」を採用しており、ネット動画との親和性も高い。

なお、本モデルの改良版の2022年モデル「XRJ-55A80K」、2023年モデルの「XRJ-55A80L」も存在するが、本モデルとの価格差がかなりあるので、機能・性能的によほどのこだわりがなければ、コスパにすぐれた本モデルがお買い得だ。

TVS REGZA「REGZA 55X8900L」

REGZA 55X8900L

価格.com最安価格:153,800円
発売日:2022年7月下旬発売
ユーザー評価:★4.48(16人)

TVS REGZAが2022年に発売した有機ELテレビのスタンダードモデル。「X8900」シリーズとしては今のところ最新の現行機となる。

REGZA用に専用開発された有機ELパネルを採用し、高コントラストかつ低反射を実現。搭載する高画質映像処理エンジン「レグザエンジンZRII」の高い処理性能もあり、非常に高コントラストかつ滑らかな映像を実現する。サウンド面では、合計出力72Wのマルチアンプと、計6基のスピーカーが、包み込むようなサラウンドサウンドを実現。4K/120p入力に対応し、約0.83m/秒という低表示遅延を実現したゲームモードも備える。

これだけの性能を持ちつつも、15万円台で購入可能という高コスパにも注目。そこそこ高画質で安心できる有機ELテレビをなるべく安く手に入れたいという向きには注目の1台と言える。

パナソニック「VIERA TH-55LZ1800」

VIERA TH-55LZ1800

価格.com最安価格:181,462円
発売日:2022年6月17日発売
ユーザー評価:★4.33(16人)

かつてプラズマテレビを製造していたパナソニックが、独自に設計開発した有機ELパネルを搭載した有機ELテレビ。2022年6月発売のモデルだが、18万円台から購入可能という価格の安さもあって、今も人気が高い。

独自パネルの搭載と、それに最適なチューニングを施したことで、高コントラストで明るく、美しい映像を実現。また、映画などの暗めのシーンで特に効果を発揮する、光の反射を抑え、黒のしまりをよくするブラックフィルターを採用するなど、画質に関しては評価が高い。また、サウンド面では、画面上部に上向きのイネーブルドスピーカーを搭載し、天井反射を利用した立体音響を実現。Dolby Atmosなどの立体音響をリアルに表現する。

同時期発売の上位モデル「TH-55LZ2000」や、2023年発売の後継機の「TH-55MZ1800」も存在するが、8万〜10万円の価格差があることを考えると、本モデルがお買い得。

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鎌田 剛(編集部)

鎌田 剛(編集部)

価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。

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