ソニーから、2018年3月23日に発売開始された「α7 III」。フルサイズミラーレス「α7」シリーズのベーシック機という位置づけながら、III型となって基本性能がかなり底上げされている印象を受けます。カタログデータを見る限りでは、連射速度を除けば上位機種の「α9」と肩を並べるほどの性能の高さに、驚きを禁じ得ません。
ソニー「α7 III」本体
α7 IIIは、フォーカスポイントが大幅に増加しており、位相差AFで693点に加えて、コントラストAFで425点。さらに、位相差フォーカスポイントは撮像面全面に渡って配置されています。
また、α7 IIIのISO感度は常用で51200、拡張で204800と、高感度専用機の「α7SII」には及ばないまでも、ミラーレスや一眼レフを含めた一般的なレンズ交換式デジタルカメラとしては、かなりの高感度機といえるでしょう。さらに、連射速度は秒間10コマ。これだけのスペックを見れば、α7 IIIは価格が手ごろでモータースポーツの撮影に最適なカメラなのではないか?という印象を抱きます。
ソニー「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」レンズと「α7 III」
そんなα7 IIIを試すのに、最適なレースがやってきました。2018年6月2〜3日に富士スピードウェイで開催された「ピレリスーパー耐久シリーズ2018 第3戦 富士SUPER TEC24時間レース」です。日本国内では10年ぶり、そして富士スピードウェイを含めた首都圏近郊での開催は実に50年ぶりという24時間レースです。
α7 IIIの高感度特性やフォーカススピードは、果たして24時間レースのナイトセッションでどれほどの威力を発揮してくれるのでしょうか。ということで、α7 IIIに「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」レンズを組み合わせて、富士スピードウェイへと向かいました。
ソニー「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」レンズと「α7 III」
FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSは「Gマスター」というシリーズで、ソニーが持つ光学技術のすべてを投入して作られたというもの。ソニーレンズには高画質レンズの「Gシリーズ」がありますが、Gマスターはその上を行く超高画質レンズという位置づけです。
まずは昼間の走行を撮影し、α7 IIIに慣れるところから始めてみます。
スーパー耐久富士SUPER TEC24時間レースにて撮影
ISO100、1/125秒
撮影したオリジナル写真(6000×4000 pixel、2.32MB)を見る
ISO感度は100、シャッタースピードは1/125秒のシャッタースピード優先オートで撮影してみました。上記のレース車両はST-TCRクラスの「Racingline PERFORMANCE GOLF TCR」。場所はレクサスコーナーのイン側です。一見、しっかりと撮れているかのように見えるのですが、拡大してみるとピントも合っているし止まるところは止まっているはずなのに、なんとなく車体が流れてしまっています。
シャッタースピードなどを変更しても一向に改善することがないために悩んでいると、ふと「手ブレ補正」のことを思い出しました。本体で5軸、レンズで2軸の手ブレ補正が搭載されている今回の試用機。手ブレ補正がどのようにかかっているのかがわからないので、ためしにレンズ側の手ブレ補正をオフにしてみました。
スーパー耐久富士SUPER TEC24時間レースにて撮影
ISO100、1/125秒
撮影したオリジナル写真(6000×4000 pixel、2.54MB)を見る
すると、なんとなく違和感のあった微妙な被写体の流れ方が解消されたのです。このあたりは、流し撮りをするうえでは試行錯誤してみる必要がありそうです。
スーパー耐久富士SUPER TEC24時間レースにて撮影ISO100、1/125秒
レンズの手ブレ補正をオフにした後は、非常に快調に流し撮りは進みました。ただし、電子ビューファインダーは慣れるまでにかなりの時間を要したことを付け加えておきます。
※次ページでは、α7 IIIを使ってピットウォークのレースクイーンを撮影!