新製品レポート
ボディ内手ブレ補正搭載。AFや動画撮影にもすぐれた超ハイエンドカメラ

1億200万画素センサー搭載! 超高画素ミラーレス「GFX100」特徴レポート

1億画素の超高画素モデルとして開発が進められていたカメラがついに登場! 富士フイルムは2019年5月23日、大型撮像素子搭載のミラーレス「GFX」シリーズの新モデル「GFX100」を発表した(発売は6月下旬)。ここでは新製品発表会で得た情報を交えて詳細な特徴を紹介しよう。

昨年2018年に開発が発表されたGFX100。富士フイルムのファンミーティングイベント「FUJIKINA 2019 東京」の開催にあわせて正式に発表になった

画素数1億オーバーのラージフォーマットセンサーを採用

GFX100の最大の特徴は、「有効約1億200万画素」という超高画素の撮像素子を搭載していること。業務用デジタルカメラの中にはGFX100を超える画素数のものはあるが、富士フイルムは民生用ミラーレスとして現時点で世界最高の画素数としている。

GFX100が搭載する撮像素子は、GFXシリーズの「GFX 50S」「GFX 50R」と同じく、35mmフルサイズの約1.7倍の大きさとなる43.8(横)×32.9(縦)mmのラージフォーマットセンサー。さすがに1億画素を超えているため、画素ピッチはGFX 50SやGFX 50Rの5.3μmよりも小さく3.8μm(6000万画素の35mmフルサイズセンサーと同等)となっているが、高速読み出しが可能な裏面照射型構造を採用することで、高感度ノイズやダイナミックレンジにもすぐれた画質が得られるとしている。

なお、富士フイルムは43.8(横)×32.9(縦)mmのサイズの撮像素子を、35mm判より大きいことからこれまで中判サイズとしてきたが、GFX100ではラージフォーマットにあらためている。

対角長約55mmのラージフォーマットセンサーを採用

対角長約55mmのラージフォーマットセンサーを採用

GFX 50Sとのセンサー性能の比較。ダイナミックレンジは両モデルとも同じで14stopとなっている

GFX 50Sとのセンサー性能の比較。ダイナミックレンジは両モデルとも同じで14stopとなっている

画像処理エンジンは「X-T3」や「X-T30」と同じ最新の「X-Processor 4」。感度は常用でISO100〜ISO12800、拡張でISO50/ISO25600/ISO51200/ISO102400に対応。16bitでのRAW記録が可能になったほか、カメラ内RAW現像で16bit TIFF(※プロセッサーからの出力は10bit)の出力も行える。さらに、肌のレタッチを自動で行う新機能「スムーススキン・エフェクト」も新たに搭載した。

非圧縮、ロスレス圧縮ともに16bit RAW記録が可能

非圧縮、ロスレス圧縮ともに16bit RAW記録が可能

スムーススキン・エフェクトは効果の強弱が選べる

スムーススキン・エフェクトは効果の強弱が選べる

5.5段分の補正効果を持つボディ内手ブレ補正を搭載

GFX100は大型センサーを採用しながら、5軸対応のボディ内手ブレ補正を実現しているのも見逃せない特徴だ。35mmフルサイズと比べておよそ2倍の重さとなるラージフォーマットセンサーを高精度に動かすために、通常の2倍のトルク性能を持つ駆動モーターを採用。3軸加速度センサーと3軸ジャイロセンサーが検出した手ブレを独自の専用デュアルプロセッサーで約10000回/秒の演算を行うことで、最大5.5段分という高い補正効果を実現している。

ラージフォーマットセンサーはセンサーの傾きにもシビアだ。GFX100では、ピント精度を出すために、センサー自体の歪み公差を約20μmに抑えたほか、手ブレ補正ユニットを支えるセラミックボールの製造公差は直径3mmに対して5μmというきわめて高い精度を実現している。

また、1億を超える高画素ということで振動対策もこれまでにないものになっている。大型のシャッターユニットは微細なショックを吸収できるようにユニットの天地・左右にサスペンションを搭載。加えて、マウント、手ぶれ補正ユニット、イメージセンサーという光学部分を一体化して吊るすような構造(インナーフレーム方式)にすることで、センサーとマウント面の平行平面性を確保しつつ、シャッター振動で発生するブレをできる限り抑えるように工夫されている。

富士フイルムが考えるGFX100のボディ内手ブレ補正の効果領域

富士フイルムが考えるGFX100のボディ内手ブレ補正の効果領域

ボディ構造に、マウント、手ぶれ補正ユニット、イメージセンサーを一体化するインナーフレーム方式を新たに採用

第4世代の高性能AFシステムを採用

AFシステムも大幅に進化しており、富士フイルムのラージフォーマット機として初めて像面位相差AFに対応。378万の像面位相差画素をイメージセンサー全面に配置(カバー率約100%)するという豪華な仕様で、GFX 50SやGFX 50Rと比べて最大約2倍(最速0.05秒)の高速AFが可能となっている。低輝度限界は-2EV(絞り値F2.0時)を実現した。

GFX100の位相差画素の配置を示すイメージ。18ラインごとに7776画素を配置しているとのこと

GFX100の位相差画素の配置を示すイメージ。18ラインごとに7776画素を配置しているとのこと

AFアルゴリズムはX-T3やX-T30と同じ第4世代(Gen.4.1)となっており、従来の4倍の情報量を使って検出・演算することで、より正確なAFを実現。顔検出/瞳AFは検出精度・追従性が大幅に向上。位相差画素で常時距離情報をセンシングするノンストップ位相差AFに対応しており、距離差の大きな被写体間のAF動作において最大300%の高速化を達成しているという。

第4世代では、従来の4倍となる240データ(5エリア×8エリア×6パターン)の情報を使ってAFを行う

第4世代では、従来の4倍となる240データ(5エリア×8エリア×6パターン)の情報を使ってAFを行う

シングルポイントAF時は25×17のAFエリアを選択できる

シングルポイントAF時は25×17のAFエリアを選択できる

Gen.4.0と最新のGen.4.1の顔検出ならびに瞳検出の性能を比較したデモ動画。Gen4.1のほうが検出率にすぐれ、追従性も高い

連写は高速連写CHで約5.0コマ/秒、ライブビュー表示可能な低速連写CLで2.0コマ/秒に対応(※電子先幕シャッター使用時はCLのみ対応。CHの電子シャッター時は約2.9コマ秒となる)。CHの連続記録枚数はJPEGが41枚、可逆圧縮RAWが14枚、非圧縮RAWが13枚となっている。

シャッタースピードはメカシャッターで60分〜1/4000秒、電子シャッターで60分〜1/16000秒に対応。電子先幕シャッター時は最速1/1250秒となり、それを上回る高速シャッター時は自動的にメカシャッターに切り替わるようになっている。メカシャッターの耐久は15万回。

シャッター方式別の連写性能を示した資料。なお、ローリング速度は1/6秒なので、GFX100の電子シャッターは素早く動く被写体を撮るのに適していないとのこと

サブモニターを2つ搭載する新しい操作性

GFX100は縦位置グリップ一体構造を採用しており、EVF装着時のサイズは156.2(幅)×163.6(高さ)×102.9(奥行)mmで、重量は約1400g(付属バッテリー2個、 メモリーカード含む)。35mmフルサイズを超えるラージフォーマットセンサーを搭載しながらもフラッグシップ一眼レフ並みのサイズ・重量に抑えられている。マグネシウム合金ボディで剛性にすぐれるうえ、95か所にシーリングを施した高い防塵・防滴性能と耐低温性能も実現した。

操作性ではモニターに特徴があり、背面に、3方向チルト対応の3.2型タッチパネル液晶モニター(約236万ドット)のほか、露出などの撮影情報を表示する2.05型サブモニター(モノクロ有機EL)を新たに採用。さらにユニークなのは上面右側に1.80型サブモニター(モノクロ液晶)を搭載すること。このモニターでも各種情報を表示・確認することが可能で、富士フイルムらしく感度やシャッタースピードをダイヤルデザインで表示する「バーチャルダイヤルモード」も使用できる。

また、上面左側には静止画/動画/マルチショットの3つのモードを切り替えられるドライブダイヤルを配置。それぞれのモードに露出やホワイトバランス、フィルムシミュレーションなどに関する設定の記憶できるので、ワンアクションで最適な設定値を呼び出せるのが便利だ。なお、富士フイルムのハイエンドモデルといえば上面にシャッタースピードダイヤルや露出補正ダイヤル、感度ダイヤルを搭載するのが特徴だが、今回は静止画だけでなく動画のプロユースにも最適化するため、このような操作性にしたとのこと。

背面。ダイヤルやボタン、レバーの配置を必要最小限にすることで、シンプルな操作性を実現したとのこと。GFX 50Rなどと同様、十字ボタンは省略されている。バッテリーはGFX 50S、GFX 50Rと共通の「NP-T125」で2個装着可能。バッテリー2個使用時の撮影可能枚数は約800枚となっている

背面のサブモニターはヒストグラムを含めて4種類の表示を選択できる

背面のサブモニターはヒストグラムを含めて4種類の表示を選択できる

上面右側のサブモニターの表示は3種類。ダイヤル表示がユニークだ

上面右側のサブモニターの表示は3種類。ダイヤル表示がユニークだ

上面右側のサブモニターは電源オフの状態でも情報が表示される

上面右側のサブモニターは電源オフの状態でも情報が表示される

静止画/動画/マルチショットを切り替えられるドライブダイヤル

静止画/動画/マルチショットを切り替えられるドライブダイヤル

EVFは、約576万ドットの高精細な0.5型有機ELパネルと、非球面レンズを含む5枚の光学ガラスを採用した着脱式の「EVF-GFX2」。ファインダー倍率は0.86倍で、アイポイントは約23mm。別売オプションのチルトアダプター「EVF-TL1」を装着することで、さまざまな角度に調整することができる。

EVFは着脱式。別売のチルトアダプターを装着することが可能

EVFは着脱式。別売のチルトアダプターを装着することが可能

UHS-II対応のデュアルSDカードスロットを採用

UHS-II対応のデュアルSDカードスロットを採用

左側面に、USB Type-C(USB3.2 Gen1)、HDMIマイクロ端子(Type D)、マイク入力、ヘッドホン出力を装備。USB PDによる充電・給電に対応している(※充電は電源オフ時に可能)。DC IN 15V端子も搭載する

オーバーサンプリングによる高画質な4K/30p記録が可能

動画撮影は、35mmフルサイズを超える大型センサー搭載ミラーレスとしては初めて4K/30p記録に対応。本体内記録時は10bit 4:2:0、HDMI出力時は10bit 4:2:2での4K記録が可能だ。デジタルシネマアスペクト(17:9)やH.265/H.264の圧縮コーデックにも対応し、最大ビットレートは400Mbpsとなっている。動画撮影時でもボディ内手ぶれ補正や像面位相差AFを利用できるのも特徴だ。

さらに見逃せないのは、4K/フルHD記録ともに、撮像面の幅全体を使って約5050万画素(11604×4352)の情報からオーバーサンプリングを行うこと。超高精細な4K記録が可能なうえ、ラージフォーマット特有の立体感のある映像を記録することができる。また、ログ記録の「F-log」モードを利用できるほか、HLG(ハイブリッドログガンマ)方式での動画撮影にも対応。仕上がり設定の「フィルムシミュレーション」には、映画用フィルムの色・階調を再現した「ETERNA」も追加された。また、これまで29分59秒が上限だった連続記録時間は最大約60分まで拡張。音声記録は24bit/48KHzサンプリングのリニアPCMステレオに対応している。

ビットレート400Mbpsでの4K/30p記録が可能

ビットレート400Mbpsでの4K/30p記録が可能

映画フィルムの色・階調を再現したフィルムシミュレーションETERNAに対応

映画フィルムの色・階調を再現したフィルムシミュレーションETERNAに対応

シネマ用カメラの各種フォーマットとのサイズ比較

シネマ用カメラの各種フォーマットとのサイズ比較

まとめ

最後に、発表会でGFX100のベータ機を触ってみた感想をレポートしておこう。ワンショットでのAFのスピードは、さすがにX-T3とまったく同じというわけではないようだが、少なくともX-T2よりも高速な印象。シャッターボタンのフィーリングは軽く、非常に快適に撮影ができると感じた。さらに、シャッター動作に対するショックも少なく、特に電子先幕シャッター時に振動が少ないのが印象に残った。電子ビューファインダーも非常に高精細で見やすかった。

少ない時間ではあるが使ってみて「ぜひ手に入れたいカメラ」と感じたが、GFX100の市場想定価格は122万5,000円(税別)前後。画像編集用の高性能なパソコンも必要になるので、レンズや周辺機器を含めると少なくとも200万円以上の予算が必要だ。「高くて手が出ない」というのが正直なところだが、Phase Oneやハッセルブラッドから発売になっている1億画素オーバーの製品と比べると格段に安い。ポートレートや自然風景など商業撮影用の高画素カメラとしてはコストパフォーマンスにすぐれた製品となっている。個人的に購入するにはかなりハードルが高いが、商業撮影用のカメラとしては人気を集めそうだ。

なお、2019年5月25日(土)〜26日(日)に開催される、富士フイルムのファンミーティングイベント「FUJIKINA 2019 東京」ではGFX100のタッチ&トライコーナーが用意されている。GFX100で撮影した写真も展示されているので、気になる方はぜひ来場してGFX100の操作性や画質力をチェックしてみてほしい。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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