交換レンズ図鑑
Zマウントのポテンシャルを示すフラッグシップレンズ

“開放F0.95”のニコン最高峰レンズ「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」を体験!

開放F0.95の大口径を実現したニコンの超高級レンズ「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」の受注が2019年10月12日よりスタートした(※2019年11月28日時点では、予想を超える多くの注文によって受注が一時休止されている)。Zマウントシステムの頂点に位置するレンズで、その描写力が気になっているという方も多いことだろう。今回、短い時間ではあったがこの注目レンズを試用することができた。

フルサイズミラーレス「Z 7」にNIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctを装着。Zマウントは内径55mmの大口径を採用しているが、この仕様に決定したのは開放F0.95の大口径レンズを実現するため。その点でも、NIKKOR Z 58mm f/0.95 S NoctはZマウントを象徴するレンズと言えよう

究極の光学性能を追求して開発された“新生Noct”

NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctは、NIKKOR史上もっとも明るい開放F0.95を実現した、Zマウント用の大口径・単焦点レンズ。Zマウントの光学性能の高さを象徴する、ニコンのこだわりが詰まった最高峰のレンズだ。開放F0.95という明るさに加えて、フルサイズミラーレス用の最新レンズながらマニュアルフォーカスという大胆な仕様を採用した点でも2018年8月の開発発表時から話題を集めた。受注生産品で希望小売価格は1,265,000円(税込)と非常に高額にもかかわらず、意外と言っては失礼だが、2019年10月12日の受注開始から予想を超える多くの注文があり、11月28日時点では受注が一時休止するほどの人気となっている。

ニコンはNIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctを開発するにあたり、「高い点像再現性で夜間撮影に最適なレンズ」として「Nocturne(夜想曲)」から命名された1977年発売の銘玉「AI Noct Nikkor 58mm F1.2」の設計思想を継承し、究極の光学性能を追求した。レンズ構成は非球面レンズ3枚とEDレンズ4枚を含む10群17枚で、NIKKORレンズとして初めて、高屈折率硝材を使用した大口径の研削非球面レンズを採用するなど、ニコンの光学技術を惜しみなく採用し、あらゆる収差を高いレベルで補正。絞り開放から画面全域で極めて高い解像力と点像再現性を発揮するうえ、滑らかに変化する理想的なボケ表現も両立したとしている。加えて、反射防止コーティングとして、斜めからの入射光に強い「ナノクリスタルコート」と、垂直の入射光に対して高い効果を発揮する「アルネオコート」を併用しており、ゴースト・フレアに対しても強い設計となっている。

サイズは約102(最大径)×153(レンズマウント基準面からレンズ先端まで)mmで、重量は約2000g。長さはそれほどでもないが、光学性能を徹底追求した開放F0.95レンズだけあって、重さは超望遠ズームレンズ並みの重量級だ。鏡筒の可動部分などにシーリングを施し、防塵・防滴に配慮した設計を実現しているほか、レンズ最前面にはすぐれた防汚性能を発揮するフッ素コートを採用している。

標準域の単焦点レンズとしては大きくて重いレンズで、回転式の三脚座が備わっている。絞り値や露出補正などを割り当てられるコントロールリングをマウント付近に装備し、左側面にはL-Fnボタンも搭載する。絞り羽根は11枚円形絞り。フィルター径は82mm

レンズ鏡筒はすべてのパーツが金属切削加工で作られており、非常に高級感のある外観だ。黄色いNoctの刻印がデザインのアクセントになっている。中央には、絞り値や撮影距離、被写界深度などの情報を確認できるレンズ情報パネルを搭載する

フォーカスは前群繰り出し方式で、最短撮影距離0.5mから無限遠までのフォーカスリングの回転角は320°程度(遊びの部分を含めると350°程度)。フォーカスリングの幅が広く、緻密なピント合わせが可能だ

内面にフロック加工が施された専用フード「HN-38」が付属する

内面にフロック加工が施された専用フード「HN-38」が付属する

Noctのロゴがあしらわれた専用のトランクケース「CT-101」が付属するのも見逃せない

Noctのロゴがあしらわれた専用のトランクケース「CT-101」が付属するのも見逃せない

CT-101の内側。レンズ構成図が刻印されたカバーの下にも収納部が設けられている

CT-101の内側。レンズ構成図が刻印されたカバーの下にも収納部が設けられている

NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctの製造は日本で行われている。レンズ本体(上)とフード(下)の両方に「MADE IN JAPAN」の表記がある

開放F0.95で撮影した実写作例

※以下に掲載する作例は、Z 7とNIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctを組み合わせて開放F0.95で撮影しています。すべてJPEG形式の最高画質で撮影したもの(JPEG撮って出し)になります。

Z 7、NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct、F0.95、1/250秒、ISO64、WB:オート1、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(8256×5504、17.1MB)

Z 7、NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct、F0.95、1/500秒、ISO64、WB:オート1、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(8256×5504、15.8MB)

Z 7、NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct、F0.95、1/640秒、ISO64、WB:オート1、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(8256×5504、14.8MB)

Z 7、NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct、F0.95、1/400秒、ISO64、WB:オート1、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(8256×5504、15.5MB)

Z 7、NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct、F0.95、1/100秒、ISO64、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(8256×5504、18.2MB)

Z 7、NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct、F0.95、1/2000秒、ISO64、WB:オート1、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(8256×5504、16.2MB)

Z 7、NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct、F0.95、1/10秒、ISO64、WB:晴天、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(8256×5504、15.1MB)

※以下の2枚の作例は絞りを絞って撮影したものになります。ピント面での解像力の高さに注目してご覧ください。

Z 7、NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct、F5.6、1/60秒、ISO100、WB:オート1、ピクチャーコントロール:ビビッド、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(8256×5504、23.1MB)

Z 7、NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct、F6.3、1/4秒、ISO64、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、RAW(ボディ内RAW現像で露出補正-0.3)
撮影写真(8256×5504、30.7MB)

まとめ 容易に手にいられるものではないが、最高の描写力を持つ1本

マニュアルフォーカスなうえに鏡筒が重いNIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctは、けっして扱いやすいレンズではない。非常に高額な製品なので容易に手に入れられるものでもない。Zマウントのポテンシャルを示す意味合いが強く、実用性だけを見ると評価できるものではないのだが、ニコンの最高峰に位置付けられる最新レンズだけあって、その写りは素晴らしいものがある。短い時間での試用ではあったが、圧倒的な描写力を体験することができた。

今回はあえて絞り開放での撮影を中心に行ったが、小雨が降るあいにくの天候で光量が少ない状況にもかかわらず、開放からピント面の解像力が非常に高く、大口径レンズの開放付近でありがちなソフトな感じにならないのに驚いた。さすがに開放だと周辺光量が落ちるのと、非点収差などの影響なのか周辺でわずかに渦巻き状のボケが発生することがあるのが少し気になったが(※いずれもF1.2まで絞れば一気に解消する)、開放F0.95の大口径ながら開放から緻密で抜けのよい描写が得られ、滑らかなボケ味も両立している。使用感としては、「三次元的ハイファイレンズ」としてその写りが高く評価されているFマウントレンズ「AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G」を進化させたような上質な描写だと感じた。一眼カメラ用の交換レンズとして最高の描写力を持つ1本なのは間違いない。

ニコンは今後、NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctを頂点にして、Zマウントレンズをさらに積極的に展開していくことだろう。ロードマップには、薄型の単焦点レンズやマクロレンズ、超望遠ズームレンズなど数多くのレンズが記載されている。これから登場する新しいZマウントレンズがどういったものになるのか注目していきたい。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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