交換レンズ図鑑
Zマウントユーザー注目の1本

開放F1.8シリーズの超広角レンズ、ニコン「NIKKOR Z 20mm f/1.8 S」実写レビュー

「Zマウントレンズ」のラインアップを積極的に拡充するニコン。なかでも力を入れているのが、厳しい設計指針と品質基準を満たす高品位グレード「S-Line」に属する、開放F1.8の単焦点レンズ。今回は、そんな開放F1.8シリーズの最新モデルとなる超広角レンズ「NIKKOR Z 20mm f/1.8 S」の描写をレビューしよう。

2020年3月27日に発売になった、焦点距離20mmの超広角レンズNIKKOR Z 20mm f/1.8 S

2020年3月27日に発売になった、焦点距離20mmの超広角レンズNIKKOR Z 20mm f/1.8 S

長めの鏡筒に開放F1.8シリーズらしい高い光学性能を搭載

NIKKOR Z 20mm f/1.8 Sは、Zマウントレンズの開放F1.8シリーズとして5本目となる、焦点距離20mm/開放F1.8の超広角・単焦点レンズ。Zマウントの単焦点レンズとしては最広角で、S-Lineのレンズらしく光学性能を追求した設計になっている。

レンズ構成は11群14枚。線対称の理想的な光学設計をベースにEDレンズ3枚、非球面レンズ3枚を効果的に配置することにより、至近でも無限遠でも絞り開放から高い解像力を実現しているという。全長108.5mm(レンズマウント基準面からレンズ先端まで)という、超広角の単焦点レンズとしては長めの鏡筒を見ても、ニコンが光学性能にこだわって設計したことが読み取れる。

サイズは約84.5mm(最大径)×108.5mm(レンズマウント基準面からレンズ先端まで)で、重量は約505g。Fマウントレンズ「AF-S NIKKOR 20mm f/1.8G ED」と比べると最大径は2mm、全長は28mm大きく、重量は150g重くなっている

AF駆動は、同じ開放F1.8シリーズの「NIKKOR Z 24mm f/1.8 S」「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」「NIKKOR Z 85mm f/1.8 S」と同様、複数のフォーカスレンズ群を複数の駆動ユニットで高精度に制御するマルチフォーカス方式。NIKKOR Z 20mm f/1.8 Sでのマルチフォーカス方式は、至近でのAF精度とあわせて近距離での光学性能の高さにも貢献しているとのことだ。

このほかのスペックは、最短撮影距離が0.2m。フィルター径が77mm。絞り羽根は9枚(円形絞り)。STM(ステッピングモーター)を採用した静粛かつ高精度なAF機構や、フォーカスブリージングを抑えた動画撮影にも適した設計、ゴースト・フレアを低減する「ナノクリスタルコート」、絞りや感度などを割り当てられるコントロールリング、防塵・防滴に配慮した設計など、他のS-Lineレンズと同様の特徴も備わっている。

付属のバヨネットフード「HB-95」を装着したイメージ

付属のバヨネットフード「HB-95」を装着したイメージ

実写作例

※以下に掲載する作例は、「Z 7」とNIKKOR Z 20mm f/1.8 Sを組み合わせて撮影しています。すべてJPEG形式の最高画質で撮影したもの(JPEG撮って出し)になります。

高コントラスト・高解像力でクリアな描写

NIKKOR Z 20mm f/1.8 Sを試用してもっとも印象に残ったのがコントラストの高さ。1枚目の作例は強いトップ光の中、あおって撮影しているが、鮮烈なコントラストと深い色が得られた。順光下で撮っている2枚目と3枚目の作例を見ても、コントラストが高く、抜けのよいレンズであることが感じられるはずだ。加えて、画面全域で解像力にすぐれるのもこのレンズの押さえておきたい特徴。2枚目と3枚目は絞って撮っているが、画像中央付近の遠景だけでなく、周辺の近景もシャープに写せている。

Z 7、NIKKOR Z 20mm f/1.8 S、F8、1/1600秒、ISO100、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:弱め、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(5504×8256、20.5MB)

Z 7、NIKKOR Z 20mm f/1.8 S、F16、1/40秒、ISO64、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(8256×5504、30.7MB)

Z 7、NIKKOR Z 20mm f/1.8 S、F13、1/50秒、ISO64、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(8256×5504、23.7MB)

よく抑えられた歪曲収差

歪曲収差のテストを兼ねて撮影した1枚。わずかに樽型の歪曲が見られるものの、焦点距離20mmの超広角レンズとしてはよく抑えられている。

Z 7、NIKKOR Z 20mm f/1.8 S、F5.6、1/20秒、ISO64、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(8256×5504、22.5MB)

ボケ質も良好

Zマウントレンズの開放F1.8シリーズは解像力の高さとあわせてボケの質のよさにも定評がある。NIKKOR Z 20mm f/1.8 Sもその特徴を持っており、滑らかなボケを楽しめるレンズだ。焦点距離20mmの超広角レンズということで、状況によって若干かたい感じがしたり、玉ボケの輪郭でわずかに色付きが発生することもあるが、総じて素直なボケ味が楽しめる。また、以下の作例では、ピント位置の画質にも注目してほしい。近接の開放ながら像や色のにじみが少なく、高い解像感が得られている。

Z 7、NIKKOR Z 20mm f/1.8 S、F1.8、1/15秒、ISO200、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(8256×5504、18.3MB)

Z 7、NIKKOR Z 20mm f/1.8 S、F1.8、1/60秒、ISO200、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(8256×5504、18.3MB)

Z 7、NIKKOR Z 20mm f/1.8 S、F1.8、1/160秒、ISO64、WB:オート1、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(5504×8256、15.6MB)

逆光耐性も高い

NIKKOR Z 20mm f/1.8 Sは逆光にも強く、Z 7との組み合わせでは、強い光源が画面内にあってもゴースト・フレアが発生しにくかった。以下の作例は逆光耐性をテストしたもので、画面内に太陽を入れてF16まで絞って撮っている。F16まで絞っているためさすがに光源近くでわずかなゴーストが見られるものの、気になるようなレベルではない。なお、絞り羽根は開放F1.8シリーズの他モデルと同じく9枚で、強い光源では18本の光芒が発生する。

Z 7、NIKKOR Z 20mm f/1.8 S、F16、1/400秒、ISO64、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:弱め、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(8256×5504、16.5MB)

開放での点光源の再現性をチェック

点光源の再現性の確認するために夜景を開放で撮影してみた。ピントは画像中央部で合わせている。この作例では画面全域で像の流れがよく抑えられていることがわかるはずだ。さすがに画像の隅では色のにじみ・ずれが見られるものの、焦点距離20mmの超広角レンズとしては十分な性能だ。星景写真用として威力を発揮するレンズと言っていいだろう。

Z 7、NIKKOR Z 20mm f/1.8 S、F1.8、1/1.6秒、ISO64、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(8256×5504、21.6MB)

上の作例の等倍切り出し画像。オリジナル画像はコチラ

上の作例の等倍切り出し画像。オリジナル画像はコチラ

まとめ 価格に見合う性能。風景や星景に威力を発揮する超広角レンズ

NIKKOR Z 20mm f/1.8 Sは高コントラスト・高解像で逆光耐性にすぐれ、描写面ではこれといった欠点の見当たらない超広角レンズだ。コマ収差が少ないのも特筆すべき点で、12万円台(2020年6月19日時点の価格.com最安価格)とけっして手ごろな価格の製品ではないものの、それに見合う性能を実現していると思う。使い勝手では全長108.5mm(レンズマウント基準面からレンズ先端まで)という長さが気になるかもしれないが、細長い形状なので比較的取り回しがよく、手持ち撮影時のフィーリングは悪くなかった。

NIKKOR Z 20mm f/1.8 Sが追加されたことで、Zマウントレンズの開放F1.8シリーズは、超広角から中望遠までを20mm、24mm、35mm、50mm、85mmの5本でカバーするという、さらに充実のラインアップになった。広角レンズとしてNIKKOR Z 20mm f/1.8 S とNIKKOR Z 24mm f/1.8 Sのどちらを選ぶか悩ましいところだが、この焦点距離域での4mmの画角の違いは大きい。焦点距離20mmは超広角の領域に入るためカメラの傾きによる歪みが目立ちやすく、気軽なスナップ撮影では使いこなしが難しいところがある。風景、星景、建築物などの撮影がメインになるNIKKOR Z 20mm f/1.8 Sを、スナップを含めてより幅広いシーンで使いたいならNIKKOR Z 24mm f/1.8 Sをファーストチョイスにしてみてはどうだろうか。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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