交換レンズ図鑑
Zマウントのメリットを生かし、小型・軽量と高画質を両立

期待以上の写り! ニコンの標準マイクロレンズ「NIKKOR Z MC 50mm f/2.8」レビュー

ニコン「NIKKOR Z MC 50mm f/2.8」は、等倍撮影に対応する標準マイクロレンズ。中望遠マイクロレンズ「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S」と同じく、2021年6月25日に発売になった、「Zマウントレンズ」初のマイクロレンズで、小型・軽量ながら確かな描写力を持っているのが見どころです。今回試した限りでは、期待を超える写りを実感できました。実写作例を掲載し、特徴をレビューします。

幅広いシーンで活用できる標準マイクロレンズNIKKOR Z MC 50mm f/2.8(カメラボディは「Z 7II」)

幅広いシーンで活用できる標準マイクロレンズNIKKOR Z MC 50mm f/2.8(カメラボディは「Z 7II」)

全長約66mm/重量約260gの小型・軽量な鏡筒に高い光学性能を搭載

NIKKOR Z MC 50mm f/2.8の主な特徴
・Zマウント用の、焦点距離50mmのマイクロレンズ
・最短撮影距離:0.16m(16cm)、最大撮影倍率:1倍(等倍)
・絞り開放値:F2.8(※撮影距離0.16m時の有効開放F値はF5.6)
・7群10枚のレンズ構成(EDレンズ1枚、非球面レンズ1枚)
・絞り羽根枚数:9枚(円形絞り)
・フォーカシング方式:前群繰り出し
・AFモーター:STM(ステッピングモーター)
・防塵・防滴に配慮した設計、レンズ最前面にフッ素コート
・フィルター径:46mm
・約74.5(最大径)×66mm(全長)/約260gの小型・軽量設計
・価格.com最安価格76,180円(2021年7月13日時点)

NIKKOR Z MC 50mm f/2.8は、大口径・ショートフランジバックの「Zマウント」が実現した設計自由度の高さを生かすことで、大幅な小型・軽量化と光学性能の向上を両立したのが最大の特徴です。

そのサイズは約74.5(最大径)×66(全長)mmで、重量は約260g。Fマウント用のマイクロレンズ「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」と比べると、全長は約23mm短く、重量は約165g軽くなっています。本レンズ用にカスタマイズしたSTM(ステッピングモーター)、前群繰り出しのフォーカシング方式、効果的なレンズ配置を採用するなどの工夫により、ここまでの小型・軽量化を達成したとのこと。

全長約66mm/重量約260gの小型・軽量設計で持ち運びやすいレンズです

全長約66mm/重量約260gの小型・軽量設計で持ち運びやすいレンズです

前群繰り出し方式を採用。繰り出した鏡筒部には「1/2倍(1:2)」「1/1.4倍(1:1.4)」「等倍(1:1)」の撮影倍率の位置が記されています。あらかじめ撮影倍率を決めて撮影したい場合に便利です

前群繰り出し方式を採用。繰り出した鏡筒部には「1/2倍(1:2)」「1/1.4倍(1:1.4)」「等倍(1:1)」の撮影倍率の位置が記されています。あらかじめ撮影倍率を決めて撮影したい場合に便利です

レンズ構成は、EDレンズ(1枚)と非球面レンズ(1枚)を最適な位置に配置した7群10枚。EDレンズは軸上色収差を補正し、ピント面前後での色付きを抑制するのに、非球面レンズは像面湾曲を補正し、画像周辺部まで高い解像力を発揮するのに効果を発揮。AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDを超える光学性能で、至近から無限遠まで高い解像力を実現しているとのこと。逆光耐性についても、従来よりも向上しているとのことです。

最短撮影距離は16cmと短く、最短撮影距離時のワーキングディスタンスは約5cm。被写体との距離が短いテーブルフォトでも使いやすいレンズです

最短撮影距離は16cmと短く、最短撮影距離時のワーキングディスタンスは約5cm。被写体との距離が短いテーブルフォトでも使いやすいレンズです

コンパクトな鏡筒に、コントロールリング、フォーカスモード切り替えスイッチ、フォーカス制限切り替えスイッチを搭載。コントロールリングはMF時にフォーカスリングとして機能し、AF時にはM/Aモードのほか、感度、絞り値、露出補正の機能を割り当てることもできます

コンパクトな鏡筒に、コントロールリング、フォーカスモード切り替えスイッチ、フォーカス制限切り替えスイッチを搭載。コントロールリングはMF時にフォーカスリングとして機能し、AF時にはM/Aモードのほか、感度、絞り値、露出補正の機能を割り当てることもできます

なお、ニコンは、撮影距離が短くなって撮影倍率が上がると実質的な絞り値が大きくなるマイクロレンズ(マクロレンズ)の特性を重視し、同社のマイクロレンズでは、実質的な明るさを意味する「有効F値」で撮影時の絞り値を表示するようにしています。NIKKOR Z MC 50mm f/2.8の有効開放F値は、無限遠を含めて撮影距離が長い時はF2.8で、近接撮影時は段階的に大きくなり、最短撮影距離ではF5.6になります。

付属のネジ込み式レンズフード「HN-41」(46mm径)を装着したイメージ。なお、46mm径の外側に62mm径のネジ切りもあり、アクセサリーを装着できるようになっています

付属のネジ込み式レンズフード「HN-41」(46mm径)を装着したイメージ。なお、46mm径の外側に62mm径のネジ切りもあり、アクセサリーを装着できるようになっています

実写作例&レビュー

※以下に掲載する作例は、Z 7IIにNIKKOR Z MC 50mm f/2.8を組み合わせてJPEG形式の最高画質で撮影したもの(JPEG撮って出し)になります。すべての作例で、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、の設定になっています。

※サムネイル画像をクリックすると、撮影写真を長辺900ピクセルに縮小した画像が開きます。リサイズを行っていない撮影写真は、サムネイル画像下のテキストリンクをクリックすると開きます。なお、撮影写真は開くのに時間がかかる場合があります。

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F3.3、1/30秒、ISO64、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG撮影写真(8256×5504、20.7MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F3.3、1/30秒、ISO64、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG
撮影写真(8256×5504、20.7MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F3、1/60秒、ISO640、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG撮影写真(8256×5504、20.8MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F3、1/60秒、ISO640、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG
撮影写真(8256×5504、20.8MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F3、1/30秒、ISO400、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG撮影写真(8256×5504、22.1MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F3、1/30秒、ISO400、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG
撮影写真(8256×5504、22.1MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F3.2、1/30秒、ISO800、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG撮影写真(8256×5504、21.1MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F3.2、1/30秒、ISO800、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG
撮影写真(8256×5504、21.1MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F3、1/80秒、ISO64、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG撮影写真(8256×5504、20.4MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F3、1/80秒、ISO64、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG
撮影写真(8256×5504、20.4MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F3.3、1/500秒、ISO64、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG撮影写真(8256×5504、15.2MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F3.3、1/500秒、ISO64、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG
撮影写真(8256×5504、15.2MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F3.3、1/80秒、ISO64、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG撮影写真(8256×5504、15.7MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F3.3、1/80秒、ISO64、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG
撮影写真(8256×5504、15.7MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F5.6、1/800秒、ISO64、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG撮影写真(8256×5504、19.2MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F5.6、1/800秒、ISO64、WB:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG
撮影写真(8256×5504、19.2MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F8、1/160秒、ISO64、WB:晴天日陰、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG撮影写真(8256×5504、15.2MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F8、1/160秒、ISO64、WB:晴天日陰、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG
撮影写真(8256×5504、15.2MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F3.3、1/320秒、ISO64、WB:オート0、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG撮影写真(8256×5504、16.3MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F3.3、1/320秒、ISO64、WB:オート0、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG
撮影写真(8256×5504、16.3MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F11、1/30秒、ISO64、WB:オート0、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG撮影写真(8256×5504、25.9MB)

Z 7II、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8、F11、1/30秒、ISO64、WB:オート0、ピクチャーコントロール:スタンダード、JPEG
撮影写真(8256×5504、25.9MB)

NIKKOR Z MC 50mm f/2.8は、Zマウントレンズの中でも特に高性能な「S-Line」ではなく鏡筒もコンパクトなため、正直なところ、画質についてはそれほど期待していませんでした。しかし、さすがはZマウントレンズです。使ってみて、期待を上回るすばらしい描写を実現していると感じました。マイクロレンズらしく近接でも遠景でも高解像・高コントラストなのが特徴ですが、Zマウントになって、そのレベルがさらに向上している印象です。

近接時の色収差を抑えたシャープな写りも印象的ですが、今回の試用では被写体まで1〜2mの距離感で撮った時の物体がそこに存在しているかのような実在感の高い描写がとても気に入りました。像面湾曲を抑えることで画面全体で均一性の高い画質を実現しているうえ、絞り開放F2.8というスペック以上のボケ感が得られる、マイクロレンズならではのやわらかいボケ味も特徴。こうした特徴が組み合わさることで実在感のある描写を生んでいるのだと思います。絞り開放付近だと周辺の光量落ちが目立ちますが、なだらかに落ちていくのでそれほど気になりませんし、むしろレンズの味として楽しめるのではないでしょうか。

AFについては、決して高速な動作ではないものの、静音性と精度が高く、前群繰り出し方式の標準マイクロレンズとしては十分な性能です。遠景を撮っていて近接に切り替えた時など、レンズの動く範囲が大きくなると、さすがにピント合わせに時間がかかりますので、近接撮影時はフォーカス制限切り替えスイッチを「0.3m〜0.16m」にセットして使いたいところ。より緻密なピント合わせを行う場合は、AF中でもコントロールリングでMF操作が可能なM/Aモードを活用するといいでしょう。

まとめ マクロだけでなくスナップでも使いたくなる優秀な標準マイクロレンズ

NIKKOR Z MC 50mm f/2.8のMTF曲線を見て、「高解像・高コントラストではあるが、Zマウントの単焦点レンズの中では驚くような性能ではない」と判断している人もいるかもしれませんが、今回試用してみて、MTF曲線では表現できないところでの写りのよさを実感しました。高解像・高コントラストなのはもちろんのこと、実在感の高い描写はとても印象的。小型・軽量で持ち運びやすいので、マクロ撮影だけでなく、スナップ撮影でも使いたくなるレンズだと感じました。

希望小売価格は94,160円で、2021年7月2日時点での価格.com最安価格は76,230円(いずれも税込)。この価格の価値があるすばらしい描写を実現していいます。注目度という点では中望遠マイクロレンズNIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR Sほどではないかもしれませんが、FマウントのAF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDのユーザーにとって買い替える価値のある製品なのは間違いありません。標準レンズが好きな人にとっても注目に値する1本です。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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