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AIユニット搭載でAFが劇的進化! ソニー「α7R V」は“隙のない”高画素フルサイズミラーレスだ

ソニーは2022年10月26日、「αシリーズ」の公式情報サイト「α Universe」上のティザーで予告していた新製品を正式に発表。登場したのは、高画素センサーを採用するフルサイズミラーレスカメラ「α7Rシリーズ」の第5世代機「α7R V」だ。従来モデル「α7R IV」から約3年ぶりのフルリニューアルで、まさに「次世代」と呼ぶにふさわしいハイスペックなカメラに仕上がっている。本記事では、細かい点を含めて進化点をまとめた。

※本記事で使用した「α7R V」は開発中のベータ機です。製品版とは仕様が異なる場合がありますのでご了承ください。

「αシリーズ」の次世代を担う注目モデル「α7R V」

「αシリーズ」の次世代を担う注目モデル「α7R V」

「αシリーズ」史上最高の解像性能を実現。ロスレス圧縮RAWにも対応

まずは、「α7Rシリーズ」の最大の特徴である解像性能を見ていこう。

「α7R V」は、撮像素子に、従来モデル「α7R IV」から継承した有効約6100万画素の35mmフルサイズ裏面照射型「Exmor R」CMOSセンサーを採用。このセンサーに、従来比で最大約8倍の処理能力を持つ最新の画像処理エンジン「BIONZ XR」を組み合わせることで、「α7R IV」を超える「αシリーズ史上最高の解像性能」を実現している。

対応する感度は静止画撮影・動画撮影ともに常用でISO100〜32000。静止画撮影時は拡張設定でISO102400相当まで選択できる。低感度時のダイナミックレンジは約15ストップ。このあたりのスペックは「α7R IV」と同等だ。

うれしいのは、RAWの記録方式に、画質劣化がなく圧縮率が高いロスレス圧縮RAWが加わったこと。ロスレス圧縮RAW はL/M/Sの3サイズが用意されている。高圧縮率のHEIF形式での記録も可能だ。

RAW記録は、非圧縮RAW、ロスレス圧縮RAW、圧縮RAWの3種類から選べる

RAW記録は、非圧縮RAW、ロスレス圧縮RAW、圧縮RAWの3種類から選べる

このほか、より柔軟な調整が可能な仕上がり設定「クリエイティブルック」に対応。従来以上に安定した露出制御も可能になった。さらに、後述する「AIプロセッシングユニット」と「可視光+IRセンサー」の活用によって、より正確なオートホワイトバランスも実現。フリッカーを抑えるシャッター速度を調整できる「フリッカーレスTv調整」と高分解シャッター機能も搭載する。

「αシリーズ」の最新モデルが搭載する「クリエイティブルック」に対応

「αシリーズ」の最新モデルが搭載する「クリエイティブルック」に対応

「AIプロセッシングユニット」で被写体認識が進化。像面位相差AFの点数/カバー率も向上

AF関連では、AI技術を活用して新たに開発した「AIプロセッシングユニット」を搭載し、これまで以上の機能性を実現したのがトピック。特に注目なのが被写体認識で、静止画・動画の両方で「人物」「動物/鳥」「動物」「鳥」「昆虫」「車/列車」「飛行機」の計7種類の認識に対応。この機能強化によって、従来の「リアルタイム瞳AF」は「リアルタイム認識AF」という名称に変更されている。

新開発の「AIプロセッシングユニット」を搭載

新開発の「AIプロセッシングユニット」を搭載

計7種類の多彩な被写体認識を実現

計7種類の多彩な被写体認識を実現

「リアルタイム認識AF」の細かい機能性をチェックすると、「人物」は、瞳だけでなく、胴体や頭部などの位置にも対応。高度な姿勢推定技術を搭載することで、人物が複雑な姿勢でいたり、後を向いていたりしても高精度に追尾できる。画面内で人物のサイズが小さい場合の認識率も向上しており、瞳の認識精度は「α7R IV」比で60%アップ。細かいところでは、瞳へのピント合わせは、まつ毛やまぶたではなく、瞳の表面にピントが来るようにチューニングしているとのことだ。

このほか、複数人が認識された場合にマルチセレクターで人物を選択できるようになった。

瞳の認識・追尾率が大きく向上しており、瞳が見えなくなるギリギリまで追ってくれる

瞳の認識・追尾率が大きく向上しており、瞳が見えなくなるギリギリまで追ってくれる

姿勢推定技術によって、帽子をかぶった状態の後ろ姿でも頭部を認識する

姿勢推定技術によって、帽子をかぶった状態の後ろ姿でも頭部を認識する

「動物(犬や猫など)」の被写体認識では、瞳に加えて、頭と体の認識を追加。「α7R IV」と比べて認識性能は約40%向上しており、一部の草食動物や小動物の瞳も検出しやすくなった。「鳥」は、瞳を認識できる種類や姿勢が拡大し、首が長い鳥の追尾も可能に。「昆虫」は、被写体全体もしくは先頭部や頭部を、「車/列車」と「飛行機」は先頭部/機首や被写体全体を認識する。

「動物/鳥」の設定メニュー。認識部位として「瞳/頭/体」を選択した状態だ

「動物/鳥」の設定メニュー。認識部位として「瞳/頭/体」を選択した状態だ

「動物」を撮る場合でも高精度に瞳を捕捉。後ろ姿の頭部も認識できる

「動物」を撮る場合でも高精度に瞳を捕捉。後ろ姿の頭部も認識できる

さらに、「AIプロセッシングユニット」の搭載によって「リアルタイムトラッキング」の性能も向上。「BIONZ XR」と新開発アルゴリズムの搭載によって、「α7R IV」で567点/約74%だった静止画撮影時の像面位相差AF点数/カバー率は、最大693点/79%にスペックアップしている。また、AFの低輝度限界は「α7R IV」から1段性能が向上し、EV-4に達した。

ちなみに、先にも紹介したように、撮像素子自体は「α7R IV」から継承しており、センサーのスキャン速度(読み出し速度)などのスペックは変わらないとのこと。

連写性能は、「α7R IV」と同等で最高約10コマ/秒。高速なCFexpress Type Aメモリーカードに対応したことで、「α7R IV」と比べて連写の持続性が大幅に強化されている。連続撮影可能枚数は以下のとおり。

「α7R V」の連続撮影可能枚数(カッコ内は「α7R IV」のスペック)
圧縮RAW:583枚(約68枚)
圧縮RAW+JPEG:184枚(約68枚)
ロスレス圧縮RAW:547枚
ロスレス圧縮RAW+JPEG:159枚
非圧縮RAW:135枚(約30枚)
非圧縮RAW+JPEG:88枚(約30枚)
JPEG(Lサイズ エクストラファイン):1000枚以上(約68枚)

このほか、フォーカスリングの操作で一時的にMFに切り替えられる「フルタイムDMF」をカメラの機能として追加。1回の撮影で最大299枚の連続撮影に対応するフォーカスブラケット機能も新たに搭載している。

フォーカスブラケット機能を新搭載

フォーカスブラケット機能を新搭載

「α7R V」で撮影した作例

α7R V、FE 135mm F1.8 GM、F1.8、1/200秒、ISO160、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG(ファイン)撮影写真(6336×9504、14.2MB)

α7R V、FE 135mm F1.8 GM、F1.8、1/200秒、ISO160、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG(ファイン)
撮影写真(6336×9504、14.2MB)

α7R V、FE 135mm F1.8 GM、F1.8、1/200秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG(エクストラファイン)撮影写真(9504×6336、30.1MB)

α7R V、FE 135mm F1.8 GM、F1.8、1/200秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG(エクストラファイン)
撮影写真(9504×6336、30.1MB)

「α7R V」と大口径レンズ「FE 135mm F1.8 GM」の組み合わせで、ゆっくりと移動する人物を撮影した。人物が横を向いた状態でも瞳を正確にとらえてくれたほか、眼鏡をかけたり、帽子をかぶったりした状態でも瞳の認識率は高かかった。眼鏡越しの撮影でも、きっちりと瞳にピントが合っている。

ボディ内手ブレ補正は8段に性能が向上。「ピクセルシフトマルチ撮影」は微細な動き補正に対応

「α7R V」のボディ内5軸手ブレ補正は、高精度な手ブレ補正ユニットとジャイロセンサーを採用し、アルゴリズムを最適化することで、1画素レベルの微細なブレ量を検出・補正するように進化。「αシリーズ」の最高性能を塗り替える、8段という高い補正効果を実現している。対応する手ブレ補正搭載レンズと組み合わせた際は、ボディ側との協調制御によって、より安定した補正効果が得られる。

さらに、ボディ内手ブレ補正を活用して複数枚の画像を撮影し、PC用ソフト「Imaging Edge Desktop」で合成することで、高い解像感の画像を生成できる「ピクセルシフトマルチ撮影」は、被写体の動きに対応。最新(Ver.3.5以降)の「Imaging Edge Desktop」を使用して合成した際に、画像に含まれる人物や木の葉など、数ピクセル単位のわずかな動きを自動で検出・補正してくれる。この進化によって、美術品や建築物など静止物だけでなく、屋外での風景の撮影でも「ピクセルシフトマルチ撮影」を活用できるようになった。なお、最新の「Imaging Edge Desktop」での「ピクセルシフトマルチ撮影」の動き検出・補正は、「α1」でも対応するとのこと。

「α7R V」の「ピクセルシフトマルチ撮影」で合成できる画像は、「α7R IV」と同じく、4枚撮影時で6020万画素(9504×6336)、16枚撮影時で約2億4080万画素(19008×12672)。

「ピクセルシフトマルチ撮影」を搭載。微細な動きを補正できるようになった

「ピクセルシフトマルチ撮影」を搭載。微細な動きを補正できるようになった

動画撮影は8K/24p記録に対応。手ブレ補正「アクティブモード」も搭載

「α7R V」は動画撮影機能も進化しており、約1.2倍相当の画角での8K/24p記録を実現。ボディの放熱構造に配慮することで、4:2:0 10bitで約30分の8K/24p撮影が可能だ。

また、4K動画は、約1.2倍相当の画角での4K/60p記録に対応。4:2:2 10bitのサンプリングにも対応している。さらに、Super 35mm時は、全画素読み出しでの6.2Kオーバーサンプリングによる高画質な4K /30p 24p記録を実現。最大120pのハイフレームレート動画はフルHD記録で対応している。

8K/24pの動画撮影に対応

8K/24pの動画撮影に対応

機能面では、豊かな中間色と自然なトーンを再現できるルック「S-Cinetone」やS-Log3/S-Gamut3に対応。S-Log3設定時には、14+ストップの広いラチチュードで階調豊かな映像を記録できる。

さらに、動画撮影時の手持ち撮影をサポートする手ブレ補正「アクティブモード」を搭載。対応する手ブレ補正搭載レンズと組み合わせることで、より効果的に手ブレを抑制し、安定したフレーミングを実現する。

このほか、16bit RAWのHDMI出力(ガンマカーブはS-Log3に固定)に対応。動画撮影時の「リアルタイムトラッキング」は、タッチトラッキングに加えて、カスタムキーに割り当てた「押す間トラッキング」や「再押しトラッキング」でも操作できるようになった。被写界深度を可視化するフォーカスマップや、フォーカス移動による画角変動を最小化するブリージング補正といった機能も備わっている。

独自の4軸マルチアングル液晶を採用。デュアルスロットは両スロットがCFexpress Type A/SDカードに対応

操作性では、チルト方式とバリアングル方式の使い勝手を両立した独自構造の4軸マルチアングル液晶モニター(3.2型、約210万ドット、タッチパネル対応)を採用した点に注目。上方向に約98度、下方向に約40度を動かせるうえ、横方向に180度開いて270度回転することもできる。横位置でも縦位置でも見やすい角度に調整しやすいモニターだ。

独自構造の4軸マルチアングル液晶モニターを採用。チルト方向は、上方向約98度、下方向約40度まで動かせる

独自構造の4軸マルチアングル液晶モニターを採用。チルト方向は、上方向約98度、下方向約40度まで動かせる

モニターを横に開いてバリアングル液晶としても利用可能。ヒンジ部は厚みを抑えながら高い堅牢性を確保している

モニターを横に開いてバリアングル液晶としても利用可能。ヒンジ部は厚みを抑えながら高い堅牢性を確保している

ボディ上面の操作系も見直されており、モードダイヤルの下部に、静止画/動画/S&Qモードを切り替えられるダイヤルを新搭載。静止画/動画/S&Qモードと露出モードを別々に設定できるようになった。後ダイヤルは好みの機能を割り当てられるLとRの2つで、Rにはロックボタンが備わっている。

電子ビューファインダーは、「α7S III」と同等となる、約944万ドット/倍率0.90倍の高性能な有機ELファインダーを採用。アイポイントは約25mmと長く、フレームレートは120fpsに対応する。

静止画/動画/S&Qモードの切り替えダイヤルを搭載。ファインダーは約944万ドット/倍率0.90倍の高性能タイプだ

静止画/動画/S&Qモードの切り替えダイヤルを搭載。ファインダーは約944万ドット/倍率0.90倍の高性能タイプだ

メモリーカードスロットはデュアル仕様で、スロット1(上)、スロット2(下)ともに、CFexpress Type AカードとSDカード(UHS-II対応)の利用が可能だ。

両スロットがCFexpress Type Aカード/SDカード(UHS-II対応)に対応するデュアルスロットを採用

両スロットがCFexpress Type Aカード/SDカード(UHS-II対応)に対応するデュアルスロットを採用

ボディは、防塵防滴に配慮した設計やマグネシウム合金を採用し、フラッグシップモデル「α1」と同等の堅牢性を実現。ネットワーク機能では、IEEE802.11ac 2×2 MIMOに対応し、「α7R IV」比で2倍以上の高速データ転送が可能だ。USB Type-C端子(USB 3.2 Gen2対応)に接続したUSB-Ether有線LANアダプターケーブルを介することで、高速有線LAN通信を使ったFTP転送も行える。

HDMI端子(タイプA)、シンクロターミナル、マイク端子、ヘッドホン端子、USB Type-C端子、マルチ/マイクロUSB端子を搭載

HDMI端子(タイプA)、シンクロターミナル、マイク端子、ヘッドホン端子、USB Type-C端子、マルチ/マイクロUSB端子を搭載

左が「α7 V」で、右が「α7R IV」。「α7 V」のサイズは約131.3(幅)×96.9(高さ)×82.4(奥行)mmで、重量は約723g(バッテリーとメモリーカードを含む)。「α7R IV」と比べると、4軸マルチアングル液晶モニターを搭載した分、若干厚みが増し、重量も約58g増加している

左が「α7 V」で、右が「α7R IV」。「α7 V」のサイズは約131.3(幅)×96.9(高さ)×82.4(奥行)mmで、重量は約723g(バッテリーとメモリーカードを含む)。「α7R IV」と比べると、4軸マルチアングル液晶モニターを搭載した分、若干厚みが増し、重量も約58g増加している

正面からのシルエットは新旧モデルでよく似ている。左の「α7R V」は、ボディ正面に可視光+IRセンサーが搭載されている

正面からのシルエットは新旧モデルでよく似ている。左の「α7R V」は、ボディ正面に可視光+IRセンサーが搭載されている

まとめ 「ミラーレスカメラのターニングポイントになるモデル」に位置付けられたハイスペック機

ソニーは、「α7Rシリーズ」の第5世代モデル「α7R V」を、「ミラーレスカメラのターニングポイントになるモデル」と位置付けている。2022年10月26日時点でフルサイズミラーレス最高画素数となる有効約6100万画素をキープしつつ、多彩かつ高度な被写体認識が可能な「リアルタイム認識AF」、8段の補正効果を持つボディ内5軸手ブレ補正、8K/24p動画撮影機能などを見ると全方位で隙がなく、確かに、そう評してもおかしくないハイスペックモデルだ。

2022年10月26日時点では、間違いなく、フルサイズミラーレスとして最高性能を誇るカメラのひとつだ。特に、風景やポートレートなどの静止画撮影で違いを生み出すカメラになりそう。市場想定価格は560,000円前後(ボディ単体、税込)。発売は2022年11月25日。価格.comマガジンでは、このカメラの実機レビューを続報でお届けする予定だ。

真柄利行(編集部)

真柄利行(編集部)

フリーランスから価格.comマガジン編集部に舞い戻った、カメラが大好物のライター/編集者。夜、眠りに落ちる瞬間まで、カメラやレンズのことを考えながら生きています。

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