旅とカメラは人生を彩るスパイスのようなもの。そして、旅とカメラは相性も抜群。旅を楽しむ、カメラを楽しむことをコンセプトに、フォトグラファーの河野鉄平(通称テッピー)が、カメラ片手に旅に出る連載企画。今回は家族で夏休み! 東京から船に乗って24時間の距離にある小笠原諸島の父島をカメラ片手に訪れました。
今回の旅のお供は、アウトドアでの撮影にピッタリの「OM-SYSTEM OM-5」(以下、「OM-5」)。小型・軽量で高画質なうえ、防塵・防滴のスペックも頼もしいです。このサイズ感に合うレンズとして、キットレンズの高倍率ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II」をメインに使用しました
※掲載する写真作例について
写真はすべてJPEG形式(最高画質LSF)で撮影。一部、RAW現像ソフト「OM Workspace」を使ってRAW現像を行っています。
こんにちは、テッピーです。
今回は夏休みを利用して家族で訪れた小笠原諸島の父島をレポートします。
父島へは“おが丸”の愛称で親しまれている定期船の「おがさわら丸」で24時間かけて向かいます。小笠原諸島の有人島、父島と母島には空港がありません。そのため、週1便程度で運行している「おがさわら丸」が唯一の交通手段となるわけです。
でも、”船で24時間かけないと行けない場所”というのは何ともロマンがあります。ロンドンやニューヨークに行くよりも時間がかかりますから!
現在の「おがさわら丸」は3代目! 東京・竹芝桟橋から乗船します。本船は人だけでなく、島の生活に欠かせないあらゆるものを運ぶ重要なライフラインです
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO、17mm(35mm判換算34mm相当)、IF4.5、1/1000秒、ISO200、+0.7EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid
撮影写真(5184×3888、10.6MB)
出発の日は快晴。東京湾を気持ちよく南下していきます
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、14mm(35mm判換算28mm相当)、F5、1/1250秒、+0.3EV、ISO200、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid
撮影写真(5184×3888、12.3MB)
レインボーブリッジをくぐる!
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、14mm(35mm判換算28mm相当)、F8、1/500秒、ISO200、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、14mm(35mm判換算28mm相当)、F5、1/5000秒、ISO200、-0.3EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:カラークリエーター、手持ちハイレゾショット
撮影写真(5184×3888、23.5MB)
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、22mm(35mm判換算44mm相当)、F4.5、1/60秒、ISO400、+0.7EV、ホワイトバランス:オート、アートフィルター:ジェントルセピア
夕暮れ時。船内はレストランやラウンジ、キッズルームなどが完備。外を眺めたり、早々にビールを飲み始めたり……、みなさん、思い思いの時間をすごします
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、14mm(35mm判換算28mm相当)、F5、1/320秒、ISO200、+0.7EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:カラークリエーター
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、14mm(35mm判換算28mm相当)、F22、1/10秒、ISO200、-0.3EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:カラークリエーター
撮影写真(5184×3888、10.0MB)
今回使用したマイクロフォーサーズ規格のミラーレスカメラ「OM-5」について少し解説します。
本機は、雄大な島の情景や動植物たちを写すのに最適なアドベンチャー向きのカメラです。まず、手にすっぽり収まる小型・軽量が大きな魅力。414g(バッテリーとメモリーカードを含む、アイカップなし)という軽さは、登山など移動の多い場合でも疲れにくく、どんな場所にも連れていけてありがたいです。
そして、ボディ内5軸手ぶれ補正やIP53対応の防塵・防滴設計も頼もしいスペック。暗所や望遠域を使う場面でも手ぶれをおそれずに撮れますし、夏場の天気の急変や海辺で水がかかりそうなときでも撮影に集中できそうです。
軽量コンパクトなフォルムとあわせてデザインもかっこいいです。ファインダー部分は、「OM」の伝統を受け継いたデルタカットのデザインを採用
上面右側のボタン類。撮影モードダイヤルとリアダイヤル、そしてシャッターボタンが配置されたフロントダイヤルが並びます。利用頻度の高いムービーボタンと露出補正ボタンもこちら側に搭載。ボタンのサイズが大きくて操作しやすいです
上面左側のボタン類。この中で利用頻度が高いのは連写/セルフタイマーボタン。連写やセルフタイマーだけでなく、「プロキャプチャー」や「ハイレゾショット」もここから選択できます
モニターはバリアングル式で自由なアングルから撮影できます
個人的に非常に重宝する操作性だと思うのが、ファインダー右横にあるFnレバー。AF方式やAFターゲットモード、AFターゲット位置を自由に組み合わせて登録でき、被写体に応じてAF内容を直感的に切り替えられます。モードダイヤルのカスタムモードとともにうまく活用したい機能です
今回使用した「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II」は、35mm判換算で焦点距離28〜300mm相当の画角をカバーする高倍率ズームレンズ。その機動力とコンパクトなフォルムが「OM-5」にピッタリ。沈胴式で、ズーミングすると鏡筒が前に繰り出すので取り扱いに注意したいです
父島の二見湾に24時間掛けて到着。やや揺れましたが、とても快適な船旅でした。
到着した日はどんよりとした曇り空。この後、雨が降り出しました
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、15mm(35mm判換算30mm相当)、F9、1/250秒、ISO200、+0.7EV、ホワイトバランス:くもり、仕上がり設定:Vivid
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、14mm(35mm判換算28mm相当)、F8、1/250秒、ISO200、+0.7EV、ホワイトバランス:オート、アートフィルター:ラフモノクロームI
撮影写真(5184×3888、13.8MB)
島に到着した記念に、港近くにあったクレープ屋さんでクレープをいただく。カラフルな壁を背景に、「アートフィルター」でビビッドに。父島にはおしゃれで今風のお店がたくさんありました
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、25mm(35mm判換算50mm相当)、F5、1/60秒、ISO400、+0.7EV、ホワイトバランス:オート、アートフィルター:ポップアートII
撮影写真(5184×3888、8.8MB)
初日は天気もいまいちだったので、ウミガメを見に小笠原海洋センターへ。体験プログラムに参加しました。小笠原諸島は日本で最大級のアオウミガメの繁殖地なのだそうです
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、56mm(112mm相当)、F5.5、1/125秒、ISO5000、+0.3EV、ホワイトバランス:くもり、仕上がり設定:カラークリエーター
撮影写真(5184×3888、11.4MB)
コガメの甲羅磨きも体験させてもらいました
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、F5.6、1/250秒、ISO6400、+0.3EV、ホワイトバランス:くもり、仕上がり設定:Vivid、150mm(300mm相当)
撮影写真(5184×3888、10.8MB)
小笠原諸島の魅力は、何と言っても雄大な大自然に間近で触れることができることでしょう。絶海の孤島という地形的な特徴もあって、この島でしか見ることのできない動植物を数多く目にすることができます。2011年にはユネスコの世界自然遺産にも登録されました。もちろん海の中も魅力的。ザトウクジラやマッコウクジラ、イルカなどに出会えます。
2日目は天気もよかったので、島内をゆっくり巡ってみました。
2日目は青空も見えました。宿近くの町並み。泊まったのは扇浦と呼ばれる地区で、「おがさわら丸」が到着する二見湾からはバスで10分ほどの場所にあります
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、15mm(35mm判換算30mm相当)、F4.1、1/1250秒、ISO200、+0.3EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid
撮影写真(5184×3888、12.2MB)
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、80mm(35mm判換算160mm相当)、F5.5、1/400秒、ISO200、-0.3EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid
向こうに見えるのが扇浦の海岸。とても静かで居心地がよいです
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、14mm(35mm判換算28mm相当)、F4、1/2000秒、ISO200、-0.3EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid
扇浦の海岸では、野鳥と遭遇。ちょっと距離が離れていましたが、こんなに小さな鳥にもしっかりAFが追従し、ピントを合わせてくれました。このあたりはさすがです
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、150mm(35mm判換算300mm相当)、F5.6、1/1250秒、ISO1600、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid
撮影写真(5184×3888、10.5MB)
小さな花々もかわいらしいです
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、56mm(35mm判換算112mm相当)、F5.5、ISO200、1/640秒、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:カラークリエーター
撮影写真(5184×3888、8.7MB)
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、52mm(35mm判換算104mm相当)、F5.5、1/200秒、ISO200、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Portrait
村営バスに乗って二見湾からほど近い大村海岸へ向かいます
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、14mm(35mm判換算28mm相当)、F5、1/800秒、ISO200、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Natural
撮影写真(5184×3888、7.2MB)
大村海岸に到着! 父島の中では最も気軽に行けるビーチですが、ほとんど人もいなくて独り占め状態です
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、F5、1/1250秒、ISO200、+1EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid、14mm(28mm相当)
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、80mm(35mm判換算160mm相当)、F8、1/320秒、ISO200、+1EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid
撮影写真(3888×5184、12.1MB)
ここでも野鳥に出会えました。ややシャッター速度が遅めですが、止まっていてくれたのでしっかりぶらさず撮影できました
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、135mm(35mm判換算270mm相当)、F5.6、1/250秒、ISO320、+1EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:カラークリエーター
撮影写真(5184×3888、9.6MB)
野鳥を撮っていて実感しましたが、「OM-5」のAFは速くて正確です。今回使ってみて特に驚いた点です。連写性能は、メカシャッター時で最高約10コマ/秒、電子シャッター時で最高約30コマ/秒。約30コマ/秒連写時は、シャッターボタンの全押し前からさかのぼって画像を記録できる「プロキャプチャー」も利用できます。決定的瞬間を逃さない機能が満載です。
「プロキャプチャー」は連写/セルフタイマーボタンから選択します。プロキャプチャーHは最大約30コマ/秒で、プロキャプチャーLは最大約10コマ/秒で連写できます。いずれもシャッターボタンを全押しする前の画像を最大14コマ記録できます
さらに重要なポイントとして押さえておきたいのが、小型・軽量なのに簡単に望遠撮影が行えること。「OM-5」と「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II」の組み合わせなら、軽量コンパクトなのに35mm判換算で300mm相当の望遠撮影が行えます。
重量は「OM-5」が414g(バッテリーとメモリーカードを含む、アイカップなし)、「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II」が約285gで、組み合わせても700g程度の軽さ。旅行でスナップを撮る感覚の延長線上で、本格的な野鳥撮影ができてしまうのです。
横位置で撮影した野鳥を、RAW現像ソフト「OM Workspace」を使って縦位置(2700×3600ピクセル)にトリミングしました。画質も申し分ないので、寄り切れない場合は、撮影後にクロップするのもおすすめです
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、150mm(35mm判換算300mm相当)、F8、1/800秒、ISO2000、+0.7EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid
クロップした撮影写真(2700×3600、2.8MB)
父島には、絶景が見られる展望台が数多く点在しています。今回は、父島の中心地・大村地区にある大神山公園の展望台に上ってみました。
展望台までは、それほど距離はないのですが、この日は大変な暑さと湿気で汗だくだく。何とか展望台まで上りましたが、早々に下りてきました。私たち以外、誰ひとりすれ違う人もなく、ヘトヘトになりました。
展望台への行き方にはいくつかありますが、今回は大神山神社に向かう長〜い階段を上るルートを選びました。これがつらかった……
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、39mm(35mm判換算78mm相当)、F8、1/160秒、ISO200、+0.7EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、90mm(35mm判換算180mm相当)、F5.6、1/200秒、ISO400、-0.3EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid
植物を撮りながら上がっていきます
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、22mm(35mm判換算44mm相当)、F4.5、1/250秒、ISO200、+0.3EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid
撮影写真(5184×3888、11.5MB)
「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II」はそれほど明るいレンズではありませんが、望遠側を使うことで背景をぼかしながらドラマチックに描写できます。ちなみに、本レンズはレンズ先端から約33cmの近接撮影が可能です
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、90mm(35mm判換算180mm相当)、F5.5、1/250秒、ISO200、+1EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid
撮影写真(5184×3888、10.7MB)
風景を眺めながら、ひたすら階段を上がります
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、14mm(35mm判換算28mm相当)、F5、1/1000秒、ISO200、+0.3EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid
トカゲを発見。どこにいるでしょう?
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、120mm(35mm判換算240mm相当)、F5.6、1/250秒、ISO640、-0.7EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid
撮影写真(5184×3888、11.1MB)
上の作例のトカゲと対峙。AFが瞳にしっかりピントを合わせ続けてくれました
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、150mm(35mm判換算300mm相当)、F5.6、1/320秒、ISO1000、-0.7EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid
撮影写真(5184×3888、10.3MB)
上ってきた甲斐あって、とても気持ちのよい風景が堪能できました
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、58mm(35mm判換算116mm相当)、F10、1/400秒、ISO200、+0.3EV、ホワイトバランス:オート、アートフィルター:ジオラマI
撮影写真(5184×3888、6.3MB)
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、22mm(35mm判換算44mm相当)、F10、1/320秒、ISO200、+0.3EV、ホワイトバランス:オート、アートフィルター:ヴィンテージIII
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、42mm(35mm判換算84mm相当)、F8、1/200秒、ISO200、+0.3EV、ホワイトバランス:オート、アートフィルター:ジェントルセピア
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、150mm(35mm判換算300mm相当)、F5.6、1/800秒、ISO200、+0.3EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid
撮影写真(5184×3888、12.0MB)
設定を間違えてISO2500で撮ってしまいましたが、言われないとわからないほど高画質です。「OM-5」の常用感度はISO6400でそれほどの高スペックではありませんが、常用感度の範囲内であれば、それほどノイズを気にせずに撮れそうです
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、135mm(35mm判換算270mm相当)、F6.3、1/8000秒、ISO2500、+0.7EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid
撮影写真(3888×5184、10.2MB)
今回のようなアウトドアの撮影でぜひ有効に使いたいのが「コンピュテーショナルフォトグラフィー機能」です。これはOM SYSTEMが名付けたカメラ内で実践できる先進のデジタル表現の総称。「OM-5」には、数多くのコンピュテーショナルフォトグラフィー機能が搭載されていて、どれも今回のようなアウトドアでの撮影で重宝します。
コンピュテーショナルフォトグラフィーを代表する機能です。同時に複数枚の写真を撮影・合成して高解像度な画像を生成します。「OM-5」の有効画素数は2037万画素ですが、ハイレゾショットを使うと約5000万画素の写真を撮影できます。
「ハイレゾショット」は連写/セルフタイマーボタンから設定します。「三脚ハイレゾショット」と「手持ちハイレゾショット」の2種類から選択できます
「手持ちハイレゾショット」で撮影。拡大するとよくわかりますが、非常に高解像に描写されています。「手持ちハイレゾショット」は静止した被写体であれば、基本的にどのシーンにも対応します。美しい情景をより高解像に描き出します
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、14mm(35mm判換算28mm相当)、F5、1/1000秒、ISO200、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid、手持ちハイレゾショット
撮影写真(8160×6120、22.2MB)
複数枚の写真を撮影して合成し、長秒撮影したかのような効果を演出できる機能です。最大で4EV分シャッター速度を遅くできます。この機能がすぐれているのは、実際の効果を反映しながら撮影に臨めること。たとえば、海の波をぶらす描写を目指す場合は、そのぶれ具合を実際にライブビューやファインダーで確認できるのです。
4EV低速で「ライブND」を利用しました。朝方の明るいシーンでしたが、波間をぶらして幻想的な仕上がりに。なお、これは手持ち撮影。手ぶれ補正効果を存分に利用したカットでもあります
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、14mm(35mm判換算28mm相当)、F22、1.3秒、ISO200、ホワイトバランス:オート、仕上がり設定:カラークリエーター、ライブND(ND16)
撮影写真(5184×3888、4.3MB)
「ライブND」にはまってしまって、次の日の朝も何度も撮ってしまいました。これも手持ち。だいぶ明るい環境だったため、ここでは「ライブND」に拡張感度ISO64を併用してブレ感を演出しました
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、14mm(35mm判換算28mm相当)、F22、1秒、ISO64、+0.7EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:Vivid、ライブND(ND16)
撮影写真(5184×3888、4.6MB)
タイムラプス動画の自動生成自体は珍しい機能ではありませんが、初心者にも気軽に試せる簡易な操作性はやはり魅力です。旅の情景をタイムラプス動画で残しておくのもいいですね。
二見湾の灯台の情景を、日が暮れる直前からインターバル撮影し、カメラ内の自動生成機能を使ってタイムラプス動画にしました。およそ20分間、3秒おきに520枚撮影して動画にしています
旅行中、夜はほとんど晴れなかったのですが、一日だけ星空の撮影ができました。ここで超絶便利だったのが、星を自動で検出してピントを合わせてくれる「星空AF」です。かなりの暗所でも的確に星を検出してくれます。星を撮る際は、絶対利用したほうがいい機能です。
ライブコンポジットはほかの機能と同じように操作が非常に簡単なのがいいところ。加えて撮影中の光跡の状態をライブビューに確認しながら撮れるのがすばらしいです。
「星空AF」はAF方式の中から選択します
カスタムメニュー内の「星空AF」の設定では、精度優先と速度優先のいずれかを選択できます。三脚にカメラを固定して撮る場合は精度優先に設定しましょう
「ライブコンポジット」や「ライブバルブ」は撮影内容に応じて細かく設定できます。メニューでもこんなにたくさん項目が。「OM SYSTEM」のカメラならではだと思います
星空AFを使って天の川を撮影。星はピント合わせが非常に難しくシビアですが、この機能を使えば、いとも簡単にピントを星に合わせられます。なお、星景写真は明るいレンズのほうが撮影しやすいため、ここでは「M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」で撮っています
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO、17mm(35mm判換算34mm相当)、F1.2、13秒、ISO3200、ホワイトバランス:白熱電球、仕上がり設定:Vivid
撮影写真(5184×3888、13.3MB)
同じく「星空AF」で撮影。手前に建物などが入ってもしっかり星にピントを合わせてくれています
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO、17mm(35mm判換算34mm相当)、F1.2、13秒、ISO3200、ホワイトバランス:白熱電球、仕上がり設定:Vivid
撮影写真(5184×3888、12.9MB)
上の作例に対し構図を変えず、「星空AF」も有効にしてそのまま「ライブコンポジット」で撮影しました。348コマを比較明合成しています。こうした描写も「OM-5」ならば簡単に表現できてしまいます
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO、17mm(35mm判換算34mm相当)、F1.2、5秒×348コマ、ISO1600、ホワイトバランス:白熱電球、仕上がり設定:Vivid
撮影写真(5184×3888、13.6MB)
本当は父島に1週間程度滞在する予定でしたが、台風が急接近してきたため、泣く泣く一便早めて帰ることに。そのため、クジラやイルカを見にいくドルフィンツアーや南島に行くツアーに参加できなくなってしまいました。
母島にも行きたかったし、実は台風の影響で波も高く、あまり泳ぐこともできなかったのでした。しかし、これで再訪する理由ができました。必ずまた季節のいいときに家族で訪れたいと思います。
再び、「おがさわら丸」に乗船。24時間かけて戻ります。お見送りのシーンはジーンときます
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、14mm(35mm判換算28mm相当)、F8、1/250秒、ISO200、+0.3EV、ホワイトバランス:オート、アートフィルター:ジオラマII
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、14mm(35mm判換算28mm相当)、F8、1/250秒、ISO200、+0.3EV、ホワイトバランス:オート、アートフィルター:ジェントルセピア
撮影写真(5184×3888、11.0MB)
お見送りの船。「また来てね〜」という声に「また来るよ〜」と返し続けるのでした
OM-5、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II、14mm(35mm判換算28mm相当)、F4、1/1600秒、ISO200、+0.3EV、ホワイトバランス:オート、仕上がり設定:Vivid
小笠原諸島は実は今回2回目で、初めて行ったのはおよそ20年前でした。当時、ボートに乗ってイルカやクジラを見たのですが、高波で船が揺れ、激しく酔って、ここではとても書けないような悲惨な記憶しかなく、今回はそれをリベンジできたらいいなと思っていたのでした。しかし、見にいくことすらできなかったのが少し残念! また次回、3回目の訪問を楽しみにしたいと思います。
「OM-5」は速写性にすぐれ、確実にきれいな写真が撮れる、まさしくタフなアウトドアに最適なカメラでした。バッテリーの持ちはもう少しあるとよいですが、ボディの小ささを考えると妥当かなと思います。標準モードで約310枚の撮影が可能ですが、多機能でさまざまなモードを利用することを考えると、500枚前後撮影できるのが理想的でしょうか。なお、低消費電力撮影モードであれば約660枚の撮影が可能です。
今回の旅では「OM-5」のユニークな撮影機能を利用することで表現の幅が広がりました。アドベンチャーカメラとしての高い機能性はやはり大きな魅力だと感じます。従来機から搭載されている「アートフィルター」や「カラークリエーター」もやはり画作りのアクセントになって面白いです。
マイクロフォーサーズ規格のミラーレスはレンズも含めてコンパクトで本当にむだがない。アクティブに動くときはこれほど重宝するカメラはないでしょう。画質もよく、機動性にあふれています。もっと評価されてもいい名機だなと感じます。
では、また次の旅でお会いしましょう!
フォトグラファー。写真家テラウチマサト氏に師事後、2003年独立。ポートレートを中心に活動。2022年1月に新著『上手い写真は構図が9割』(玄光社)発売。ポーラミュージアムアネックス(2015年/銀座)など写真展も多数。Profoto公認トレーナー。
Instagram:teppei_kono_eye
Twitter:@teppei_kono