ソニーは2023年11月7日23時30分、グローバルシャッター方式の撮像素子を採用したフルサイズミラーレスカメラ「α9 III」を発表した。市場想定価格は約88万円前後(税込)で、2024年1月26日の発売が予定されている。
グローバルシャッター方式を採用した世界初のフルサイズミラーレス「α9 III」
※2023年11月8日に「α9 III」の速攻レビュー記事を公開しました。こちらもあわせてチェックしてみてください。
「α9 III」の最大の特徴は、一眼カメラとして世界で初めてグローバルシャッター方式によるフルサイズ積層型CMOSセンサーを搭載したこと。グローバルシャッター方式は、ラインで読み出すローリングシャッター方式とは異なり、すべての画素を同時に読み出すのがポイントで、高速に動く動体を撮る場合や、カメラを素早く振りながら撮る場合でも、ローリングシャッター方式のような画像の歪みは原則的に発生しない。これが最大のメリットだ。
ローリングシャッター方式とグローバルシャッター方式の違い
有効画素数は約2460万画素で、感度は静止画・動画ともにISO250〜25600に対応(※静止画は拡張でISO125〜51200に対応)。グローバルシャッター方式は速度性能に特化しているため、使用可能な感度領域はローリンシャッター方式よりも狭くなっているとのことだ。
背面
連写はAF/AE追従で最高約120コマ/秒(ブラックアウトフリー)という超高速連写に対応。もちろん、メカシャッターは非搭載だ。画像処理エンジンは最新の「BIONZ XR」。
連写関連では、シャッターを切る直前を最高1秒までさかのぼって撮影するプリ撮影機能を「αシリーズ」として初搭載。カスタムボタンに機能を設定することで、連写速度を素早く変更できる「連写速度ブースト」という新機能も用意されている。速度は120コマ/秒〜10コマ/秒の間で、5段階で設定できる。
上面
シャッタースピードは最大1/80000秒に対応(※連写時は最大1/16000秒)。グローバルシャッター方式によって、シャッタースピード全速でのフラッシュ同調が可能になったのもすごいところだ。すべてのシャッタースピードで通常発光かつ最大光量で撮影できるので、ハイスピードシンクロよりも大光量で日中シンクロが行える。
さらに、グローバルシャッター方式は、ローリングシャッター方式とは異なり、フリッカー光源下で縞模様のムラが発生しないのもポイント。RAW画像を4〜32枚撮影し、パソコンで合成することで低ノイズな画像を生成する新機能「コンポジットRAW撮影」も搭載している。
動画は6Kオーバーサンプリングでの4K/60p記録に対応。クロップなしでの4K/120p記録も可能だ。もちろん、グローバルシャッター方式によって歪みのない映像記録が行える。
このほかの主な特徴は以下のとおり。
・759点位相差AF(95.6%の範囲をカバー、-5.0EV対応)
・AIプロセッシングユニットによる被写体認識AF
・エルゴノミクスを改善したグリップ
・240fps対応の電子ビューファインダー(約944万ドット)
・4軸マルチアングル液晶モニター
・補正効果8段分のボディ内5軸手ブレ補正
グリップの形状も改善されている
「α9 III」は、グローバルシャッター方式を採用した画期的なカメラだ。歪みが発生しないだけでなく、1/80000秒の超高速シャッタースピードに対応し、かつ全速同調が可能。これまでのどのカメラにもない新機能をいくつも実現しており、まさに“ゲームチェンジャー”である。「これまでにできなかったことができるカメラ」として、特に動体撮影や動画撮影をメインとするプロ・ハイアマチュアから熱狂的な支持を集めるのは間違いないだろう。
縦位置グリップも用意される
「FE 24-70mm F2.8 GM II」を装着したイメージ
同時発表の「FE 300mm F2.8 GM OSS」を装着したイメージ