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どっちが使いやすい? 「バリアングル」と「チルト」のメリット・デメリット

どっちが使いやすい? 「バリアングル」と「チルト」のメリット・デメリット

画質や本体サイズなどとともにデジタル一眼カメラ選びの重要なポイントとなる操作性。なかでも、ライブビュー映像や撮影画像などを表示する背面モニターは、カメラの使い勝手を分けるポイントになります。本記事では背面モニターの可動方式である「バリアングル式」と「チルト式」の違いを詳しくご紹介。それぞれのメリット・デメリットを押さえて、カメラ選びの参考にしてください。

左がバリアングル式を採用するキヤノンのフルサイズミラーレス「EOS R」、右がチルト式を採用するニコンのフルサイズミラーレス「Z 6」

ハイポジション・ローポジションでも撮りやすい可動式モニター

国内カメラメーカーが2020年4月15日時点で現行モデルとしてラインアップしているデジタル一眼カメラは計93モデル(※旧モデルや発売予定モデルを含む)。そのうち、背面モニターの角度を調整できる可動式モニターを採用しているのは77モデルで全体の約83%になります。高い堅牢性が求められるフラッグシップ一眼レフや、富士フイルムやシグマが手がける趣味性の高いミラーレスは別として、モニターを動かせるのはデジタル一眼カメラの標準的な機能になっています。

可動式モニターが便利なのは、目線よりも高い位置にカメラを構えるハイポジションや、腰よりも低い位置で構えるローポジションでも、ライブビュー映像が見やすくなるようにモニターの角度を調整できること。結果、無理のない体勢から自由なアングルで撮ることができます。固定式モニターはボディの堅牢性や小型化にはメリットがありますが、ライブビュー映像を見ながらの撮影のしやすさでは可動式モニターに分があります。

可動式モニターの種類は大きくバリアングル式とチルト式に分けられます。次項目以降でそれぞれの方式のメリット・デメリットを紹介していきましょう。

左がバリアングル式モニターを使ってハイポジションで、右がチルト式モニターを使ってローポジションで撮影している様子。バリアングル式、チルト式のどちらもライブビュー映像が見やすくなるようにモニターの角度を調整して撮影ができます

横開きで可動範囲が広い「バリアングル式」

バリアングル式は、背面モニターをカメラの左側に開いて上下方向に回転できる方式です。オリンパスのミラーレス「OM-Dシリーズ」の上位モデルや、キヤノンのフルサイズミラーレスなどが採用しています。過去には下側に開くタイプのバリアングル式がありましたが、最近は左側に開く横開きが主流になっています。

バリアングル式のメリット
・アングルの自由度が高く、自撮りも可能
・縦位置でもモニターの角度を調整できる

バリアングル式のデメリット
・2段階の操作が必要
・光軸からモニターが外れるため視線のズレが生じる

バリアングル式のメリットは、モニターを開いた状態のまま上下方向に回転できるのでモニターの可動範囲が広いことです。最新モデルではほとんどが上方向約180°/下方向約90°(もしくはその逆)まで動かせるので、アングルの自由度が高く、地面すれすれのローポジションから頭の真上で撮るようなハイポジションまで、モニターを見やすい角度に調整できるようになっています。180°可動に対応しているので、モニターをくるっと回転して自分撮りをすることも可能。加えて、左右方向の角度も調整できるので、横位置だけでなく縦位置でもハイポジション・ローポジションに対応できるのもバリアングル式のメリットです。

デメリットは、横に開いてからモニターの角度を調整するという2段階の操作が必要なこと。モニターを閉じた状態からだとシャッターボタンを押すまでにどうしてもワンテンポ必要になり、撮りたいと思った瞬間にすぐに対応しにくいところがあります。

また、モニターを横に開く構造のため、レンズの光軸からモニターが外れてしまうのもバリアングル式で知っておいてほしい点です。モニターを開いてカメラを構えた際に、モニターの映像を見る撮影者の視線と光軸が揃わないため、フレーミングが少しやりにくいところがあります。

キヤノンは、中級機やエントリー機を中心に、ミラーレスや一眼レフの両方でバリアングル式を多く採用しています。画像はフルサイズミラーレスの「EOS R」

オリンパスは中上位機でバリアングル式を採用。画像はOM-Dシリーズの中級機「OM-D E-M5 Mark III」

オリンパスは中上位機でバリアングル式を採用。画像はOM-Dシリーズの中級機「OM-D E-M5 Mark III」

モニターをくるっと回転させて自分撮りに対応できるのもバリアングル式のメリット。画像はキヤノンのAPS-Cミラーレス「EOS Kiss M」

バリアングル式は左右方向の角度も調整できるので、縦位置でも自由なアングルで撮ることができます

バリアングル式は左右方向の角度も調整できるので、縦位置でも自由なアングルで撮ることができます

上下方向に素早く動かせる「チルト式」

チルト式は、背面モニターを引き出すように操作して上下方向に動かせる方式です。エントリー向けのミラーレスでは上方向のみというものもありますが、多くのモデルは上方向・下方向の両方に角度を付けられるようになっています。ニコンやソニーのミラーレスが採用していて、2020年4月時点ではバリアングル式よりもモデル数が多くなっています。

チルト式のメリット
・モニターの角度を素早く調整できる
・光軸上にあるため視線のズレがない(少ない)

チルト式のデメリット
・バリアングル式に比べると可動範囲が狭い
・縦位置での角度調整に非対応(※3軸チルトなどを除く)

チルト式の使いやすいところは、モニターを閉じた状態からワンアクションで操作できることです。いったん横に開く必要があるバリアグル式と比べると、モニターの角度を素早く調整することができます。ファインダーとの相性もよく、ファインダーを覗いていてカメラのポジションを変えて撮りたいと思ったら、モニターを引き出すだけですぐに対応できます。さらに、レンズの光軸上でモニターを動かせるのもチルト式のポイント。撮影者の視線と光軸にズレがない(少ない)のでフレーミングがしやすく、特に被写体に正対して撮る場合に構図を追い込みやすくなっています。

デメリットは、バリアングル式と比べてモニターの可動範囲が狭いことです。自分撮り対応のモデルは上方向もしくは下方向に約180°動かせるものがありますが、多くのモデルは可動範囲が上方向約90°/下方向約45°までになっていて、バリアングル式ほどの自由度はありません。エントリー向けの一部モデルには上方向のみというものもあります。また、構造上、縦位置では角度を調整できないのもバリアングル式とは異なる点です。

ただし、チルト式の中でも、3軸チルト式を採用する富士フイルム「X-T3」や、フレキシブルチルト式を実現したリコーイメージング「PENTAX K-1 Mark II」などであれば、縦位置でも光軸上でモニターの向きを変えることができます。

ニコンはフルサイズミラーレスや一眼レフの最新モデルでチルト式を積極的に採用。画像はフルサイズミラーレスの「Z 6」

ソニーはフルサイズミラーレス、APS-Cミラーレスの両方でチルト式を採用。画像はフルサイズミラーレスの「α7 III」

オリンパスのエントリー向けミラーレス「PEN E-PL10」は、下方向に180度モニターを動かして自分撮りが行えます

3軸チルト式を採用する富士フイルムのAPS-Cミラーレス「X-T3」。縦位置でも光軸上でモニターの角度を調整できます

リコーイメージングのフルサイズ一眼レフ「PENTAX K-1 Mark II」は、光軸上で自由にモニターの向きを調整できる、斬新なフレキシブルチルト式を実現しています

パナソニックのフルサイズミラーレス「LUMIX S1H」は、バリアングル式とチルト式を組み合わせたチルトフリーアングル構造を採用しています

まとめ

バリアングル式はモニターの可動範囲の広く、横位置・縦位置の両方でモニターの角度を調整できるのが魅力です。縦位置でもポジションやアングルを工夫して撮りたいのであればバリアングル式のほうが便利に使えるでしょう。自分撮りを含めてあらゆる角度から撮れるので、静止画だけでなく動画の撮影にも向いた方式となっています。

チルト式はバリアングル式よりもモニターの可動範囲は狭いものの、素早く操作でき、かつレンズの光軸上でモニターを動かせるのがいいところです。フレーミングに違和感がないので、静止画撮影に向いた方式と言えるでしょう。ハイエンド向けのモデルでは縦位置でもモニターを調整できるものが増えています。

どちらかといえば、動画撮影重視ならバリアングル式、静止画撮影重視ならチルト式のほうが使いやすいところがありますが、撮影するうえで明確な差はありません。画質や機能、そのほかの操作性なども考慮しながら、自分の撮影スタイルに合ったカメラを選べばいいでしょう。

価格.comマガジン編集部

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