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ニコン歴20年の写真家が厳選した「NIKKOR Zレンズ」必携の3本はこれだ!

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高性能なフラッグシップモデル「Z 9」やそのDNAを継承した「Z 8」など、魅力的なミラーレスカメラをラインアップする、ニコンの「Zマウントシステム」。同システムは、カメラ本体だけでなく、光学性能にすぐれた「NIKKOR Zレンズ」を選べるのも大きな魅力です。

本特集では、ヘビーなニコンユーザーである写真家のJimaさんが、実際に使用したなかで「これはスゴイ!」と感じた「NIKKOR Zレンズ」3本を厳選して紹介します。ぜひレンズ選びの参考にしてみてください。

写真家のJimaさんが自身の経験をもとに、おすすめの「NIKKOR Zレンズ」をご紹介します

写真家のJimaさんが自身の経験をもとに、おすすめの「NIKKOR Zレンズ」をご紹介します

すべての「NIKKOR Zレンズ」を使用した経験からセレクト

皆さん、こんにちは。写真家のJimaでございます。

私はニコンの一眼カメラを20年ほど愛用しています。過去には、歴史的な銘玉と言われるようなオールドレンズを含めて、いろいろな一眼レフやレンズを愛用してきました。その大きな理由は、やはりニコンだからこそのすぐれた光学性能と使い勝手のよさに尽きます。特に光学性能については実際に使用してみて驚くことが多かったです

時代は進み、今や一眼カメラの主流は、一眼レフからミラーレスに移行しました。家電量販店のカメラコーナーを訪れると、各メーカーの高性能かつ多機能なミラーレスが売り場を埋め尽くしています。私のメインカメラも、今はニコンのミラーレスです。

愛用のフルサイズミラーレス「Z 8」。今回の作例はすべてこのカメラを使って撮影しました

愛用のフルサイズミラーレス「Z 8」。今回の作例はすべてこのカメラを使って撮影しました

ただ、いくらカメラが進化しようとも、カメラの役割(時の流れを切り取る、写し取る)において「レンズ」が最も重要なことは変わりません。使用するレンズによって撮影できる写真が大きく変わります。

「NIKKOR Z 85mm f/1.2 S」と「Z 8」の組み合わせ

「NIKKOR Z 85mm f/1.2 S」と「Z 8」の組み合わせ

本記事では、私が長年ニコンのカメラやレンズに触れ続け、リアルタイムで感動や憧れを抱いた経験、すべての「NIKKOR Zレンズ」を使用した経験から「今、 Zマウントシステムで押さえておくべき3本」として以下のレンズをご紹介します。

・NIKKOR Z 85mm f/1.2 S
・NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
・NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S

先に言い訳をさせていただくと、「NIKKOR Zレンズ」から3本を厳選することは本当に難しく悩みました。

悩んだ理由は、性能や携帯性、コストパフォーマンスなどさまざまなことを考慮すると、「NIKKOR Zレンズ」のすべてのモデルがすばらしく、それぞれに必要な役割を感じる点があるからです。

そこで今回の3本は、「Zマウントだからこそ」という視点を意識しました。つまり「このレンズは過去のレンズでは代用できない」という基準で選んでいます。

一眼レフでは味わえなかった85mm/F1.2を堪能できる1本!
「NIKKOR Z 85mm f/1.2 S」

最初にご紹介するのは、焦点距離85mm/開放絞り値F1.2の大口径・中望遠レンズ「NIKKOR Z 85mm f/1.2 S」です。

ポートレートをはじめとしたさまざまな撮影で活躍する1本で、ピント面の高い解像感と、奥に向かってやわらかく大きくなっていく滑らかなボケのグラデーションの対比が立体感のある表現を生み出します。「臨場感」という表現が適するレンズですね。周辺光量の低下が少ないため隅々まで均一に明るく、シーンの雰囲気を効果的に伝えることが得意なレンズとも言えます。

「NIKKOR Z 85mm f/1.2 S」と「Z 8」の組み合わせ

「NIKKOR Z 85mm f/1.2 S」と「Z 8」の組み合わせ

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、F1.2、1/200秒、ISO64、WB:オート0、ピクチャーコントロール:ポートレート、トリミング調整、フラッシュ利用撮影写真(7606×5071)

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、F1.2、1/200秒、ISO64、WB:オート0、ピクチャーコントロール:ポートレート、トリミング調整、フラッシュ利用
撮影写真(7606×5071、トリミング調整)

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、F1.2、1/4000秒、ISO64、WB:オート0、ピクチャーコントロール:ポートレート、フラッシュ利用撮影写真(5504×8256)

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、F1.2、1/4000秒、ISO64、WB:オート0、ピクチャーコントロール:ポートレート、フラッシュ利用
撮影写真(5504×8256)

ポートレート撮影では画像のストロボのほか、可変NDフィルターも組み合わせて撮影しています

ポートレート撮影では画像のストロボのほか、可変NDフィルターも組み合わせて撮影しています

「NIKKOR Z 85mm f/1.2 S」が発売された2023年3月頃は、ニコン製品を愛する利用者の間で「開放F1.2の85mmが出た!」と大変盛り上がりました。ただ、その後2023年10月にPlenaの名を冠した135mmレンズ「NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena」が登場したこともあって、最近は「NIKKOR Zレンズ」の中で少し目立っていない印象もあります。

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、F1.2、1/10000秒、ISO64、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、F1.2、1/10000秒、ISO64、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド
撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、F1.2、1/10000秒、ISO64、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、F1.2、1/10000秒、ISO64、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド
撮影写真(8256×5504)

そんな「NIKKOR Z 85mm f/1.2 S」は、私の中では「NIKKOR Zレンズだからこそのスゴイ1本」の筆頭です。

その理由は、まず描写力の高さです。光学系にEDレンズ1枚と非球面レンズ2枚を使用しており、開放F1.2からピント面はシャープで、絞らなくてもすぐれた画質が得られます。間違いなく、このレンズだからこそ体験できる写りがあります。

そして、もうひとつの理由は、撮影のしやすさです。これは「Zシリーズ」のミラーレスとの組み合わせであることが大きいのですが、中望遠85mm/開放F1.2という、これまでであれば高い撮影スキルが求められたピント合わせが、非常に優秀なAF性能を誇る「Z 9」や「Z 8」であれば簡単に行えるのです。「3D-トラッキング」や「瞳AF」を使うことで、動く被写体でも想像以上に快適に撮影できることに驚きました。

これは一眼レフでは味わうことのできなかった体験です。一眼レフの光学ファインダーでは、中望遠域での開放撮影は正確なピント合わせに相当な労力が必要でした。それが、「Zシリーズ」では一気に開放されたのです。

高性能な「瞳AF」によって開放F1.2でも問題なく、簡単に瞳にピントを合わせ続けられます

高性能な「瞳AF」によって開放F1.2でも問題なく、簡単に瞳にピントを合わせ続けられます

開放F1.2だけあって大柄なレンズですがその価値は十分にあります

開放F1.2だけあって大柄なレンズですがその価値は十分にあります

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、F1.2、1/20000秒、ISO64、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、F1.2、1/20000秒、ISO64、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド
撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、85mm(35mm判換算127.5mm相当、DXクロップ)、F1.2、1/250秒、ISO64、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド撮影写真(5392×3592)

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、85mm(35mm判換算127.5mm相当、DXクロップ)、F1.2、1/250秒、ISO64、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド
撮影写真(5392×3592)

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、F1.2、1/3200秒、ISO64、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、F1.2、1/3200秒、ISO64、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド
撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、85mm(35mm判換算127.5mm相当、DXクロップ)、F1.2、1/320秒、ISO64、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド撮影写真(5392×3592)

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、85mm(35mm判換算127.5mm相当、DXクロップ)、F1.2、1/320秒、ISO64、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド
撮影写真(5392×3592)

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、F1.2、1/3200秒、ISO64、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、F1.2、1/3200秒、ISO64、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド
撮影写真(8256×5504)

「Zマウントシステム」の汎用ズームとして欠かせない1本!
「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」

2本目は直球ストレート、人気の標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」です。

一眼レフ用では“神”ズームとして人気を集めたレンズのミラーレス用として登場した「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」

一眼レフ用では“神”ズームとして人気を集めたレンズのミラーレス用として登場した「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」

私は、フルサイズ一眼レフ「D750」の相棒として、同じ焦点距離をカバーする「AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR」を仕事や旅行などで利用することが多かったです。このレンズは、広角端24mmから望遠端120mmまで幅広い焦点距離をカバーし、DXクロップなら35mm判換算で最大約180mm相当の画角で撮影が可能。しかも開放F4通しで使いやすく、描写性能も優秀で、利用頻度の多いレンズでした。

そのため、2022年1月にミラーレス用(Zマウント用)の「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」が登場したときは「ついにZマウント用が登場した!」と大変うれしく思いました。

Z 8、NIKKOR Z 24-120mm f/4 S、120mm、F4、1/125秒、ISO200、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 24-120mm f/4 S、120mm、F4、1/125秒、ISO200、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド
撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 24-120mm f/4 S、68mm、F4、1/1600秒、ISO640、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 24-120mm f/4 S、68mm、F4、1/1600秒、ISO640、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド
撮影写真(8256×5504)

ズームレンズの中でも特にユーザーから厳しい目で評価されるのは、商業撮影で活躍する開放F2.8通しの広角/標準/望遠ズームの3本、いわゆる大三元レンズだと思います。その点、「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」などの開放F4通しのズームレンズは、そこまで厳しく見られないかもしれません。ただ、「ニコンの24-120mm」は一眼レフ用の出来がよすぎたため、ミラーレス用ではかなり厳しい目でチェックする(した)という人もいるのではないでしょうか。

私は、実際に使用する前は、「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」に対して以下の3点が気になっていました。

・利便性の高さから人気の一眼レフ用をどう上回るのか
・「Zマウント」発表時に登場した標準ズーム「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S 」と比較した際の魅力は何か
・「NIKKOR Z レンズ」の中で、動画撮影を含めて「鉄板ズームレンズ」として君臨し続けることが可能なのか

「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」の製品発表当時は、「カタログスペックは一眼レフと大差ない」という印象でした。一眼レフ用はEDレンズや非球面レンズが採用された光学系に、「ナノクリスタルコート」も施されており、十分な性能を持っていると感じていました。MTF曲線を比較しても、広角端・望遠端の低周波・高周波が多少は改善されているものの「驚くほどの差ではないのでは?」と感じていました。

Z 8、NIKKOR Z 24-120mm f/4 S、120mm、F4、1/125秒、ISO200、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 24-120mm f/4 S、120mm、F4、1/125秒、ISO200、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ビビッド
撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 24-120mm f/4 S、61mm、F4、1/125秒、ISO200、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:モノクローム撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 24-120mm f/4 S、61mm、F4、1/125秒、ISO200、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:モノクローム
撮影写真(8256×5504)

ところが、実際に「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」を使って撮影してみると「これは一眼レフ用と比べて別次元」と大変驚きつつ感動しました。確かに一眼レフ用も優秀なのですが、ミラーレス用では、さらに写りが向上していたのです。

「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」は、光学系を見ると、EDレンズや非球面レンズに加えてED非球面レンズが採用されています。さらに、コーティング技術では「ナノクリスタルコート」に加えて「アルネオコート」も採用。逆光撮影時でも広角端でも安心して利用することが可能です。

また、最短撮影距離がズーム全域で約0.1m短い0.35mになった点や、重量が約90g軽量化され約630gとなった点も使用するなかで違いを大きく感じました。

Z 8、NIKKOR Z 24-120mm f/4 S、62mm、F4、1/400秒、ISO640、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:モノクローム撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 24-120mm f/4 S、62mm、F4、1/400秒、ISO640、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:モノクローム
撮影写真(8256×5504)

そして何より感動したのがサイズ感です。ニコンの一眼レフとミラーレスでは、モデルにもよりますがカメラ本体が100〜200g程度軽量化されているため、それぞれ12-120mmレンズを装着した状態で比較すると300g程度の差が生まれることになります。これは長時間の撮影で“差”を明確に実感しました。

「NIKKOR Zレンズ」では標準領域をカバーするズームレンズがいくつか用意されていますが、焦点距離120mmまで対応しつつズーム全域で高品質な点を考えると、「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」は今後も汎用ズームレンズとして人気を集めることでしょう。

「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」は、「Zマウントシステム」の汎用ズームとして必携の1本と言えます

「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」は、「Zマウントシステム」の汎用ズームとして必携の1本と言えます

小型・軽量でスナップ撮影にも活用できる超望遠レンズ!
「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」

3本目は、焦点距離400mmの単焦点レンズ「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」です。本レンズは400mmの超望遠対応ながら、全長約234.5mmで重量約1245g(三脚座を含む)という小型・軽量設計なのが最大の特徴です。

「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」と「Z 8」の組み合わせ

「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」と「Z 8」の組み合わせ

このレンズを紹介する前に、そもそも「Zマウントは何がスゴイのか」についてまとめたいと思います。

Zマウントは内径55mm、フランジバック16mmという大口径・ショートフランジバックを採用しています。これによって、一眼レフのFマウントに比べて光学設計の自由度が増し、ニコンが持つ光学技術を余すことなく投入できるのが最大の特徴です。

実際、「NIKKOR Zレンズ」は、超広角から超望遠までよりコンパクト、より高画質なレンズが多数用意されています。Fマウントではフロントヘビーになりがちなレンズであっても、設計の自由度が増したことで、重心をカメラボディ側に寄せた重量バランスを実現することが可能となりました。

Z 8、NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S、F4.5、1/1600秒、ISO360、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S、F4.5、1/1600秒、ISO360、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景
撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S、400mm(35mm判換算600mm相当、DXクロップ)、F4.5、1/2000秒、ISO400、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景撮影写真(5392×3592)

Z 8、NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S、400mm(35mm判換算600mm相当、DXクロップ)、F4.5、1/2000秒、ISO400、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景
撮影写真(5392×3592)

超望遠レンズは光学性能を求めるとどうしても大きく重くなってしまいます。ニコンの場合、回折現象を利用して色収差を補正する「PFレンズ」を用いることで小型・軽量化を実現していて、「NIKKOR Zレンズ」でも「NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S」や「NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S」など「PFレンズ」を採用したものが用意されています。ただ、「PFレンズ」を用いた場合、強い光源の中心にリング状の色つきフレアが出てしまうことがあるのがデメリットです。

「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」は、「PFレンズ」を用いずに、VR(レンズシフト方式の手ブレ補正)を搭載しながら小型・軽量化を達成しているのがポイントです。

今回セレクトした3本のレンズのサイズ比較。いちばん右の「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」は容量2Lのペットボトルと同じくらいの高さに収まっています

今回セレクトした3本のレンズのサイズ比較。いちばん右の「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」は容量2Lのペットボトルと同じくらいの高さに収まっています

Z 8、NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S、400mm(35mm判換算600mm相当、DXクロップ)、F4.5、1/640秒、ISO1000、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景撮影写真(5392×3592)

Z 8、NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S、400mm(35mm判換算600mm相当、DXクロップ)、F4.5、1/640秒、ISO1000、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景
撮影写真(5392×3592)

Z 8、NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S、F4.5、1/400秒、ISO220、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S、F4.5、1/400秒、ISO220、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景
撮影写真(8256×5504)

携帯性を重視するとどうしても光学性能が落ちてしまいがちですが、「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」は心配ありません。色収差を高度に補正する「SRレンズ」やスーパーEDレンズ、EDレンズを採用しつつ、「ナノクリスタルコート」を施していることが安心と信頼につながります。

私自身、このレンズでは絞り開放で撮影することが多いですが、画像全域で色にじみを徹底的に抑制されていることを実感しています。ピント面の高い解像力と単焦点ならではのやわらかく大きなボケ味が立体感のあふれる描写を実現してくれます。

また、サイズ感を考慮すると開放絞り値がF4.5と比較的明るく、より速いシャッタースピードや低感度で撮影ができるのも押さえておきたい点です。

Z 8、NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S、F4.5、1/2000秒、ISO640、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S、F4.5、1/2000秒、ISO640、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景
撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S、F4.5、1/2000秒、ISO800、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S、F4.5、1/2000秒、ISO800、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景
撮影写真(8256×5504)

野鳥撮影で被写体を大きく写し取りたい場合、焦点距離800mmなどに慣れていると、正直なところ、焦点距離400mmでは物足りないと思います。そう感じる場合は、撮影対象との距離と大きさにもよりますが、DXクロップで600mm相当の画角にすると意外とこと足りる場面も多いです。

被写体を大きく写すのではなく、「生存する環境」として背景情報を含めつつ撮影する場合は400mmやDXクロップの600mmで必要十分だと感じています。

Z 8、NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S、F4.5、1/2000秒、ISO800、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景撮影写真(5504×8256)

Z 8、NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S、F4.5、1/2000秒、ISO800、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景
撮影写真(5504×8256)

Z 8、NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S、F4.5、1/640秒、ISO500、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S、F4.5、1/640秒、ISO500、+1.0EV、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景
撮影写真(8256×5504)

個人的には、日常使いの超望遠撮影は「このレンズがあればいい」という感覚です。超望遠レンズというと野鳥や飛行機、スポーツなどの撮影で用いることが多いですが、私は、「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」をそうした被写体・シーンだけでなく、スナップ撮影でも活用しています。

「400mmでスナップ?」と思うかもしれませんが、本レンズは三脚座を除くと重量は約1160gで、約910g(バッテリー、メモリーカードを含む)の「Z 8」や、約705g(同)の「Z 7II」「Z 6II」と組み合わせると総重量を2s程度に抑えられます。強力な手ブレ補正もありますますので、これなら十分に手持ちスナップ撮影が可能です。

ちなみに、大型の超望遠レンズを使う際は撮影地から帰る際、その都度カメラバッグにレンズを収納しておりましたが、「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」では帰り道でも歩きながら、超望遠の圧縮効果を生かした「400mmスナップ」を楽しむことが増えました。

心境としては、「D500」や「D7500」に「AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR」を組み合わせてDXクロップ450mmで撮影している感覚に近いです。

まとめ

いかがだったでしょうか? 今回はニコンのカメラやレンズを20年ほど愛用している私の経験から、過去のレンズや類似製品と比較しつつ「NIKKOR Z レンズだからこそ」の視点で3本を厳選しました。

「NIKKOR Z 85mm f/1.2 S」は、85mmという焦点距離で開放F1.2を実現し、ポートレートを中心にその世界を楽しめるレンズです。「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」は標準領域を高画質にカバーしており、静止画・動画を問わず鉄板ズームレンズとしてフル活用できます。「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」は、Zマウントらしさを強く感じる小型・軽量・高画質な超望遠レンズで、超望遠を身近に楽しめる1本です。

冒頭で、「カメラはあくまで写真や動画を記録する道具」という表現をしましたが、カメラは「こんな世界があったのか」と私たちの感覚を確実に広げてくれる相棒でもあります。長年続いている歴史あるレンズマウントも大事ですが、いっぽうで新たな可能性を光で開拓する「Zマウントシステム」の今後にも注目したいところです。

今回紹介した、私の中で印象深い3本の「NIKKOR Z レンズ」が、皆さんのベストマッチな機材との出会いに役立つことができれば幸いです。

Jima
Writer
Jima
撮影の楽しさを学べるYoutubeチャンネル カメラ塾【JimaTube】を運営するフリーの写真家。JimaTubeでは、フォトスタジオでプロカメラマン兼ディレクターとして活動した知識・経験を生かし、カメラや写真に関する情報を精力的に発信している。
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真柄利行(編集部)
Editor
真柄利行(編集部)
フィルム一眼レフから始まったカメラ歴は、はや約30年。価格.comのスタッフとして300製品以上のカメラ・レンズをレビューしてきたカメラ専門家で、特にデジタル一眼カメラに深い造詣とこだわりを持っています。フォトグラファーとしても活動中。パソコンに関する経験も豊富で、パソコン本体だけでなく、Wi-Fiルーターやマウス、キーボードなど周辺機器の記事も手掛けています。
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