富士フイルムは2025年1月21日、インスタントカメラ「instax“チェキ”」シリーズの新製品「instax WIDE Evo」を発表した。より大きなチェキフィルム「ワイドフォーマット」を採用するモデルとしては初のハイブリッド機だ(※ハイブリッド機=チェキプリント機能を搭載する1台2役のデジタルカメラ)。外観画像を交えながら、本機の注目すべき5つの特徴を紹介しよう。
「instax“チェキ”」シリーズ”の新モデル「instax WIDE Evo」が登場
「instax WIDE Evo」には大きく4つの特徴がある。そのうちのひとつがデザインだ。ブラックとグレーのツートンカラーを採用したスクエア形状のボディは、クラシックな雰囲気を強く感じる高品位な仕上がり。同じハイブリッドタイプでは「instax mini Evo」に似た雰囲気と言えるが、「instax WIDE Evo」はよりソリッドで本格的なたたずまいだ。非常に印象的な見た目に仕上がっている。
スクエア形状のボディに、ブラックとグレーのシックなカラーリングを採用。ボディサイズは138.7(幅)×125(高さ)×62.8(奥行)mm(突起部を除く)で、重量は約490g(フィルムカートリッジ、記録メディア、レンズキャップを含まず)
背面に3.5型液晶モニター(約46万ドット)を搭載。デジタルカメラなのでモニターの映像を見ながら写真が撮れ、撮った写真はデータとして外部記録メディア(microSDメモリーカード)もしくは内蔵メモリーに記録される
付属のレンズキャップを装着したイメージ。キャップ前面にinstaxのロゴが刻印されている
ボディ左側面にmicroSDメモリーカードスロット(microSDHC対応)を搭載。この位置にUSB Type-C端子(充電専用)も備わっている。カードスロットとUSB端子の間にあるのはカメラ本体のリセットボタンだ
「instax WIDE Evo」のスペックではレンズに注目してほしい。35mm判換算で焦点距離16mm相当の広角レンズを搭載している。これは「instax“チェキ”」シリーズとしては最もワイドな画角。景色を広く撮ったり、被写体に近づいて遠近感を強調したりと、広角ならではの効果を生かした写真撮影が楽しめる。
焦点距離16mm相当(35mm判換算)/絞り値F2.4の広角レンズを採用
画角が少し狭い通常モードと、フル画角の広角モードを選択できる。各モードの切り替えはボディ前面のスイッチで行う
最短撮影距離10cmのマクロ機能も用意されている
AFに対応しており、人物の顔検出にも対応。顔にピントと露出を合わせてくれる
露出補正はメニュー画面から機能を呼び出して設定できる
撮像素子には1/3型CMOSセンサーを採用。記録画素数は、広角モードかつmicroSDメモリーカード記録時が4608×3456ピクセルで、それ以外が2560×1920ピクセルと、選択するレンズモードや記録先によって異なっている。
「instax“チェキ”」シリーズのハイブリッドモデルは、さまざまなエフェクトを使って印象的な写真を撮れるのが面白い。「instax WIDE Evo」は、このエフェクト機能が非常に充実している。
具体的には、10種類の「レンズエフェクト」、10種類の「フィルムエフェクト」を搭載するうえ、6種類の「フィルムスタイル」も選べる。しかも、「レンズエフェクト」は100段階という非常に細かい単位で効果の度合いを調整可能。これらのエフェクト/スタイルを重ね合わせることで、無数とも言えるパターンの表現を楽しめるのだ。
「レンズエフェクト」の設定画面。この画面では新エフェクトの「ソフトグロー」を選んでいる
こちらは「フィルムエフェクト」の「ウォーム」を選択している画面
「フィルムスタイル」はノーマルを含めて計6種類。「フィルムストリップ」などユニークなスタイルが用意されている
アナログの操作感を大事にしているのも「instax WIDE Evo」の特徴だ。具体的には、先に紹介した「レンズエフェクト」「レンズエフェクトの度合い調整」「フィルムエフェクト」「フィルムスタイル」はすべて専用のダイヤルとボタンで操作できるように設計されている。
左側面に「レンズエフェクト」の専用ダイヤル、右側面に「フィルムエフェクト」の専用ダイヤルを装備。クルクルと回転させることでエフェクトを変えられる
レンズ部のダイヤルは「レンズエフェクトの度合い調整」用。ダイヤルを回して効果の度合いを調整できる
上面に「フィルムスタイル」専用のボタンを搭載。このボタンを押すたびにスタイルが変わっていく操作性だ。ボタンのLEDはオン/オフを設定できる
メーカーのこだわりを感じるのがシャッターとプリントの操作。シャッターは、ボタンではなくレバーを採用しており、レバー半押しでAFのピント合わせ、押し込むことでシャッターが切れるようになっている。プリントは、側面のクランクを時計周りに回すことで実行される仕組みだ(※メニューからのプリント操作も可能)
レンズ部の近くにあるシャッターレバー。AFの半押し動作にも対応している
右側面のプリントクランク。フィルムを送り出しているような操作でプリントを楽しめる
最後に触れておきたいのが、「instax WIDE Evo」の楽しみを広げる専用のスマートフォンアプリだ。専用アプリでは、以下の4つの機能を利用できる。
・ダイレクトプリント:スマホ内の画像をカメラでプリントする機
・リモート撮影:スマホからのリモート操作でカメラのシャッターが切れる機能
・プリント画像保存:カメラでプリントした画像にチェキフレームを付けてスマホに送れる機能
・「Discover Feed」:カメラで撮影した写真を公開し、ほかのユーザーと共有できる機能。使用したエフェクトの確認・転送も可能
このなかで特に注目なのが新機能の「Discover Feed」。端的に言うと写真のギャラリー機能で、#instaxwideevoというタグを付けて、「instax WIDE Evo」で撮影した写真をインスタグラムに投稿すると、アプリ内のギャラリーに写真が自動的に公開・掲載される仕組みだ。ユニークなのは、ギャラリーに掲載された写真のエフェクト設定をアプリに保存し、カメラに転送できる「お気に入り登録転送」が可能なこと。ほかのユーザーが撮った写真を見て、その設定を自分のカメラでも試すことができるのだ。
「instax WIDE Evo」専用アプリの画面。カメラ本体が表示されるホーム画面から左にスワイプすると、「instax WIDE Evo」でプリントした画像が順々に表示される仕組み。各画像で使用したエフェクトも確認できる
「Discover Feed」の画面。ホーム画面を右にスワイプすると呼び出せる。ほかのユーザーが投稿した写真のエフェクトを確認し、カメラ本体にお気に入り設定として登録することが可能だ
三脚穴は底面右手側に配置されている
フィルムをセットしている様子。通常のカードサイズと比べて2倍の大きさを誇る「ワイドフォーマット」フィルム(86×108mm)でプリントできる
「instax WIDE Evo」は、本格的なクラシックデザインのボディに充実したエフェクト機能を搭載するのが最大の魅力。エフェクトとスタイルの重ね合わせを追求してこだわりの1枚を撮って、そのままチェキプリントできるのが面白い。焦点距離16mm相当(35mm判換算)の広角に対応しているのもこれまでの“チェキ”にはなかった点で、多彩な写真表現をとことん楽しめるカメラと言えるだろう。
「人とは違った写真が撮りたい」と考えているスマホユーザーやSNSユーザーだけでなく、写真の仕上がりにこだわる写真愛好家からもユニークなカメラとして注目を集める存在になりそうだ。2025年2月6日の発売が予定されている。市場想定価格は55,000円(税込)。