交換レンズ図鑑
【交換レンズ図鑑】カールツァイスらしい描写を楽しめる“Makro-Planar”

カールツァイスのミラーレス用マクロレンズ「Touit 2.8/50M」

実写作例を交えて注目の交換レンズをレビューする新連載「交換レンズ図鑑」がスタート。連載1回目は、カールツァイス「Touit」(トゥイート)シリーズのマクロレンズ「Touit 2.8/50M」を取り上げる。等倍撮影に対応するコンパクトなマクロレンズで、Xマウント用とEマウント用の2種類が用意されている。

マクロ撮影に必要な機能を備えたコンパクトモデル

今回紹介する「Touit 2.8/50M」は、カールツァイスのミラーレス一眼カメラ用交換レンズ「Touit」シリーズの製品。「Touit」シリーズは、ドイツのカールツァイス本社が直接手がけるブランドで、第1弾製品として、APS-Cサイズのセンサーに対応する「Touit 2.8/12」と「Touit 1.8/32」の2本が2013年6月に発売されている。いずれも、カールツァイスらしい写りのよさで高い評価を受けているレンズだ(※価格.comマガジンでは、新製品レポート『色描写に注目! カールツァイス初のミラーレス用レンズ「Touit」』で「Touit 2.8/12」「Touit 1.8/32」の両方をレビューしている)。

シリーズ3本目のラインアップとなる「Touit 2.8/50M」は、オートフォーカス対応の単焦点マクロレンズだ。カールツァイス伝統の対称型レンズ構成のPlanar(プラナー)をベースにしたMakro-Planar(マクロプラナー)レンズで、第1弾製品の「Touit 2.8/12」「Touit 1.8/32」と同じく、APS-Cサイズのセンサーに対応。富士フイルム「Xシリーズ」のXマウント用と、ソニー「α」シリーズのEマウント用の2種類がラインアップされている

カールツァイス「Touit」シリーズのマクロレンズ「Touit 2.8/50M」。写真は、富士フイルムのAPS-Cミラーレス一眼「FUJIFILM X-E2」に装着したもの

こちらは、ソニーのAPS-Cミラーレス一眼「α6000」に装着したイメージ

こちらは、ソニーのAPS-Cミラーレス一眼「α6000」に装着したイメージ

レンズの名称からもわかるように、レンズ焦点距離は50mm(35mm判換算の画角は75mm相当)で、開放F値はF2.8。レンズ構成は11群14枚。非球面レンズと特殊低分散ガラスレンズをそれぞれ2枚使用し、収差を徹底的に排除する構成となっている。さらに、どの撮影距離でも光学収差を最小限に抑えるフローティング機構も採用している。

絞り羽根は、カールツァイスのレンズらしく9枚構成。レンズの透過率を上げ、内面反射を抑える、カールツァイス独自の多層膜コーディング「T*(ティースター)コーディング」も採用している。ちなみに、「T*」は、カールツァイスとして総合的な光学性能を保証する「T*レンズ」であることも意味する。高コントラストですぐれた色再現が得られる「カールツァイスレンズの証」でもあるのだ。このほか、出荷前に実測値でのMTF検査を行う品質管理も実施されている。このあたりは、「Touit」シリーズの共通した特徴となっている。

「Touit 2.8/50M」のマクロレンズとしての特徴は、マクロ撮影に求められる機能をしっかりと搭載していること。撮影倍率が等倍(1:1)であることはもちろんのこと、レンズ繰り出しのないインナーフォーカス方式を採用。ピントを合わせる際にレンズが伸縮しないため、被写体に近づいての撮影がしやすくなっている。さらに、最短撮影距離(撮像面から被写体までの距離)は15cmで、ワーキングディスタンス(レンズ先端から被写体までの距離)は5cmと、ワーキングディスタンスが適度に確保されているのも高ポイント。マクロ撮影時に、被写体がレンズ先端に干渉しにくくなっているのだ。しかも、「Touit 2.8/50M」は、Xマウント用が全長108mm×最大径65mm、Eマウント用が全長104mm×最大径65mm(いずれも、全長はレンズキャップを含む)と、コンパクトサイズにまとまっているのも魅力だ。

外観デザインは、第1弾製品の「Touit 2.8/12」「Touit 1.8/32」の2本と共通のイメージ。APS-Cサイズのセンサーを採用するミラーレス一眼カメラのコンパクトボディとの相性を考慮した、シンプルなデザインとなっている。

Xマウント用は、絞りリングを装備。ボディサイズは全長108mm×最大径65mmで、重量は約290g

Xマウント用は、絞りリングを装備。ボディサイズは全長108mm×最大径65mmで、重量は約290g

絞りリングがある分、全長はEマウント用よりも4mm長い

絞りリングがある分、全長はEマウント用よりも4mm長い

Eマウント用のボディサイズは全長104mm×最大径65mmで、重量は約290g

Eマウント用のボディサイズは全長104mm×最大径65mmで、重量は約290g

フォーカスリングは大きめの設計で操作しやすい。「Touit 2.8/12」「Touit 1.8/32」と同様、モーター駆動でトルク感は十分だ。ただ、フォーカスリングを回したときのモーターの駆動感はそれなりにある

細かいところでは、本来であればレンズ前面に刻印されるはずのモデル名は、マクロ撮影時に文字が被写体に写り込まないように外されている

代わりに、レンズの裏側に刻印されている

代わりに、レンズの裏側に刻印されている

専用のレンズシェードが付属

専用のレンズシェードが付属

高品位なパッケージを採用

高品位なパッケージを採用

作例から描写力をチェック

※以下に掲載する作例は、富士フイルム「FUJIFILM X-E2」とソニー「α6000」を使って、JPEG形式の最高画質で撮影したものになります。いずれも、撮影後に画像編集を行っていない撮影写真(JPEG撮って出し写真)になります。なお、「α6000」のレンズ補正機能については、周辺光量:オート、倍率色収差:オート、歪曲収差:切(いずれも初期設定値)となっています。

※サムネイル画像をクリックすると、撮影写真を長辺960ピクセルに縮小した画像が開きます。リサイズを行なっていない撮影写真は、サムネイル画像下のテキストリンクをクリックすると開きます。なお、撮影写真は開くのに時間がかかる場合があります。

FUJIFILM X-E2、ISO200、F2.8、1/280秒、EV-1.3、測光:マルチ、ホワイトバランス:オート、ノイズリダクション:スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、フィルムシミュレーション:PROVIA(スタンダード)、絞り優先、JPEG
4896×3264(撮影写真)

FUJIFILM X-E2、ISO200、F2.8、1/750秒、EV0.0、測光:マルチ、ホワイトバランス:オート、ノイズリダクション:スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、フィルムシミュレーション:Velvia(ビビッド)、絞り優先、JPEG
4896×3264(撮影写真)

FUJIFILM X-E2、ISO200、F5.6、1/420秒、EV-0.7、測光:マルチ、ホワイトバランス:オート、ノイズリダクション:スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、フィルムシミュレーション:PROVIA(スタンダード)、絞り優先、JPEG
4896×3264(撮影写真)

FUJIFILM X-E2、ISO200、F2.8、1/3000秒、EV0.0、測光:マルチ、ホワイトバランス:オート、ノイズリダクション:スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、フィルムシミュレーション:PROVIA(スタンダード)、絞り優先、JPEG
4896×3264(撮影写真)

FUJIFILM X-E2、ISO200、F2.8、1/105秒、EV-1.7、測光:マルチ、ホワイトバランス:オート、ノイズリダクション:スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、フィルムシミュレーション:Velvia(ビビッド)、絞り優先、JPEG
3264×4896(撮影写真)

FUJIFILM X-E2、ISO200、F2.8、1/320秒、EV-0.7、測光:マルチ、ホワイトバランス:オート、ノイズリダクション:スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、フィルムシミュレーション:Velvia(ビビッド)、絞り優先、JPEG
4896×3264(撮影写真)

FUJIFILM X-E2、ISO200、F2.8、1/1800秒、EV+0.7、測光:マルチ、ホワイトバランス:オート、ノイズリダクション:スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、フィルムシミュレーション:PROVIA(スタンダード)、絞り優先、JPEG
4896×3264(撮影写真)

FUJIFILM X-E2、ISO200、F2.8、1/320秒、EV-0.7、測光:マルチ、ホワイトバランス:オート、ノイズリダクション:スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、フィルムシミュレーション:Velvia(ビビッド)、絞り優先、JPEG
4896×3264(撮影写真)

FUJIFILM X-E2、ISO200、F2.8、1/2200秒、EV+0.3、測光:マルチ、ホワイトバランス:オート、ノイズリダクション:スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、フィルムシミュレーション:PROVIA(スタンダード)、絞り優先、JPEG
3264×4896(撮影写真)

FUJIFILM X-E2、ISO200、F5.6、1/950秒、EV-0.7、測光:マルチ、ホワイトバランス:オート、ノイズリダクション:スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、フィルムシミュレーション:PROVIA(スタンダード)、絞り優先、JPEG
3264×4896(撮影写真)

FUJIFILM X-E2、ISO200、F2.8、1/750秒、EV-1.0、測光:マルチ、ホワイトバランス:オート、ノイズリダクション:スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、フィルムシミュレーション:PROVIA(スタンダード)、絞り優先、JPEG
4896×3264(撮影写真)

FUJIFILM X-E2、ISO200、F8、1/480秒、EV0.0、測光:マルチ、ホワイトバランス:オート、ノイズリダクション:スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、フィルムシミュレーション:Velvia(ビビッド)、絞り優先、JPEG
4896×3264(撮影写真)

FUJIFILM X-E2、ISO200、F4、1/400秒、EV-0.3、測光:マルチ、ホワイトバランス:晴れ、ノイズリダクション:スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、フィルムシミュレーション:Velvia(ビビッド)、絞り優先、JPEG
4896×3264(撮影写真)

FUJIFILM X-E2、ISO400、F5.6、1/80秒、EV0.0、測光:マルチ、ホワイトバランス:オート、ノイズリダクション:スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、フィルムシミュレーション:PROVIA(スタンダード)、絞り優先、JPEG
3264×4896(撮影写真)

FUJIFILM X-E2、ISO200、F2.8、1/480秒、EV+0.3、測光:マルチ、ホワイトバランス:オート、ノイズリダクション:スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、フィルムシミュレーション:PROVIA(スタンダード)、絞り優先、JPEG
4896×3264(撮影写真)

α6000、ISO100、F6.3、1/200秒、EV0.0、測光:マルチ、ホワイトバランス:オート、高感度ノイズリダクション:標準、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:スタンダード、絞り優先、JPEG
6000×4000(撮影写真)

α6000、ISO100、F5.6、1/80秒、EV0.0、測光:マルチ、ホワイトバランス:オート、高感度ノイズリダクション:標準、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:ビビッド、絞り優先、JPEG
4896×3264(撮影写真)

今回は、富士フイルムの「FUJIFILM X-E2」を中心に、ソニーの「α6000」も使用して、「Touit 2.8/50M」の実写テストを行った。

その描写力については、“すばらしい”の一言。カールツァイスのレンズらしく、コントラストが高く、独特の色乗りが得られるレンズだ。スペックを重視するだけでは得られない描写特性だと思う。カールツァイスレンズを使用する醍醐味は、カールツァイスでしか得られない色表現を楽しめることだが、このレンズも、そうしたカールツァイスらしさを存分に味わえる。今回テストした中では、ビビッド系の画質設定との相性がよく、「FUJIFILM X-E2」であれば、高彩度でメリハリのある発色が特徴の「Velvia」と組み合わせることで、すばらしい発色が得られると感じた。

さらに「Touit 2.8/50M」は、マクロレンズらしく、解像力にすぐれるのも見逃せない特徴。極端にシャープ感が強いわけではないのだが、キレのある描写で、マクロから遠景までディテールの再現性が非常に高い。撮影距離によってクセが変わるような印象もあるが、近接撮影時に性能がしっかりと出るのがポイントで、最短撮影距離でもピント面では非常にシャープな描写が得られる。加えて、絞り開放でも色収差が少なく、シャープさを発揮するのもすばらしい。こうした単焦点レンズの場合、性能の高さを伝えるために「絞り開放から使える」と表現することがあるが、「Touit 2.8/50M」は、本当に絞り開放から使えるレンズだ。シビアなピント合わせが必要で難しい撮影になるが、最短撮影距離付近で絞り開放で撮影しても、しっかりとした描写が得られる。非常に頼もしいマクロレンズだ。ボケ味も比較的自然なので、ポートレート撮影にも使える1本ではないだろうか。

なお、オートフォーカスについては、それほどスピーディーではない。フォーカスの駆動距離が長いマクロレンズであるため、致し方ないところなのだが、マクロ撮影時に合焦するまで時間がかかったり、迷いが出る(合焦まで至らない)のが少し気になった。ただ、「Touit 2.8/50M」は、レンズが繰り出さないインナーフォーカス方式のレンズで、5cmのワーキングディスタンスも確保されているので、マニュアルフォーカスでの置きピン撮影は比較的やりやすかった。遠景撮影だとオートフォーカスの迷いが減るので、マクロはマニュアルフォーカス、それ以外はオートフォーカスといったように使い分けるのが無難ではないだろうか。

以上、カールツァイス「Touit」シリーズのマクロレンズ「Touit 2.8/50M」の特徴と描写力をレビューした。最大の特徴は、コンパクト設計のレンズながら、カールツァイスらしい色表現力を持っていること。解像力も高く、マクロレンズとして非常に高い描写力を発揮する1本だ。高価なレンズだが、その写りに不満を感じることはないはずだ。

さらに、インナーフォーカス方式や、適度なワーキングディスタンス(5cm)など、マクロ撮影で扱いやすい設計になっているのもポイント。花など寄って撮影したい被写体に向いている。小型・軽量なミラーレス一眼との組み合わせの相性もよく、三脚を使ってじっくりと撮影するだけでなく、手持ちでのマクロ撮影を気軽に楽しむこともできるマクロレンズとなっている。

なお、「Touit 2.8/50M」は、2014年5月30日時点で、Xマウント用としては唯一の「等倍マクロレンズ」となっている。富士フイルムのミラーレス一眼カメラ「Xシリーズ」で本格的なマクロ撮影を楽しみたいのなら、選択肢に入れてほしい製品である。

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