※以下に掲載する作例は、Loxia 2/50とα7Sを使って、JPEG形式の最高画質(エクストラファイン)で撮影したものになります。いずれも、撮影後に画像編集を行っていない撮影写真(JPEG撮って出し写真)になります。なお、α7Sのレンズ補正機能については、周辺光量と倍率色収差はすべての作例で「オート」を選択。歪曲収差については、作例によって「切」と「オート」を選択しています。
※サムネイル画像をクリックすると、撮影写真を長辺960ピクセルに縮小した画像が開きます。リサイズを行なっていない撮影写真は、サムネイル画像下のテキストリンクをクリックすると開きます。なお、撮影写真は開くのに時間がかかる場合があります。
4240×2832(撮影写真)
α7S、ISO640、F2、1/60秒、EV+0.7、測光:マルチ、ホワイトバランス:オート、高感度ノイズリダクション:標準、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:スタンダード、周辺光量補正:オート、倍率色収差補正:オート、歪曲収差補正:オート、JPEG
4240×2832(撮影写真)
α7S、ISO100、F2、1/100秒、EV0.0、測光:マルチ、ホワイトバランス:オート、高感度ノイズリダクション:標準、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:クリア、周辺光量補正:オート、倍率色収差補正:オート、歪曲収差補正:オート、JPEG
4240×2832(撮影写真)
α7S、ISO100、F2、1/1250秒、EV0.0、測光:マルチ、ホワイトバランス:太陽光、高感度ノイズリダクション:標準、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:ビビッド、周辺光量補正:オート、倍率色収差補正:オート、歪曲収差補正:切、JPEG
4240×2832(撮影写真)
α7S、ISO100、F2、1/500秒、EV+0.7、測光:マルチ、ホワイトバランス:太陽光、高感度ノイズリダクション:標準、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:ビビッド、周辺光量補正:オート、倍率色収差補正:オート、歪曲収差補正:切、JPEG
4240×2832(撮影写真)
α7S、ISO100、F2、1/400秒、EV+0.3、測光:マルチ、ホワイトバランス:蛍光灯(昼白色)、高感度ノイズリダクション:標準、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:ライト、周辺光量補正:オート、倍率色収差補正:オート、歪曲収差補正:切、JPEG
4240×2832(撮影写真)
α7S、ISO100、F2、1/250秒、EV+1.0、測光:マルチ、ホワイトバランス:太陽光、高感度ノイズリダクション:標準、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:夕景、周辺光量補正:オート、倍率色収差補正:オート、歪曲収差補正:切、JPEG
4240×2832(撮影写真)
α7S、ISO100、F2、1/320秒、EV-0.7、測光:マルチ、ホワイトバランス:太陽光、高感度ノイズリダクション:標準、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:ビビッド、周辺光量補正:オート、倍率色収差補正:オート、歪曲収差補正:切、JPEG
4240×2832(撮影写真)
α7S、ISO400、F2、1/50秒、EV0.0、測光:マルチ、ホワイトバランス:日陰、高感度ノイズリダクション:弱、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:ビビッド、周辺光量補正:オート、倍率色収差補正:オート、歪曲収差補正:切、JPEG
2832×4240(撮影写真)
α7S、ISO100、F8、1/1250秒、EV-0.7、測光:マルチ、ホワイトバランス:太陽光、高感度ノイズリダクション:標準、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:スタンダード、周辺光量補正:オート、倍率色収差補正:オート、歪曲収差補正:切、JPEG
4240×2832(撮影写真)
α7S、ISO100、F8、1/200秒、EV0.0、測光:マルチ、ホワイトバランス:太陽光、高感度ノイズリダクション:標準、Dレンジオプティマイザー:オート、クリエイティブスタイル:クリア、周辺光量補正:オート、倍率色収差補正:オート、歪曲収差補正:切、JPEG
今回、Loxia 2/50をα7Sと組み合わせて撮影・検証してみてが、カールツァイスらしくコントラストが高く、色描写に特徴があるレンズだと感じた。有効画素数を約1220万画素に抑えることで広いダイナミックレンジを実現したα7Sの性能も大きいのだろうが、豊かな階調の色が得られると思う。特に青色の表現力が高く、深くて印象的な色に仕上がる印象。非常に魅力的な色描写を楽しめるレンズではないだろうか。
また、開放F値をF2に抑えていることもあってか、絞り開放からシャープな特性を発揮するのも特徴。開放でも気になるような色収差はほぼなく、ピント面では高い解像感が得られる。開放だと周辺部の光量がやや落ちるが、周辺でも流れるようなことはなく、全面にわたって安定した描写を発揮する。逆光にも強く、フレアやゴーストも発生しにくい。標準レンズとしてはもう1段明るいF1.4のスペックが欲しいという意見もあると思うが、開放から問題なく使える高い描写力は大きな魅力だ。
ボケについてはやや独特な感じで、ピントが最短撮影距離の0.45mから3〜4m程度の位置にある場合、近距離でのボケ量が多く、やわらかなボケが得られる印象。特に、0.8〜1.5mくらいのピント位置で得られる、なめらかな背景ボケがすばらしいと感じた。スナップで近距離の被写体を撮影していると、立体的な描写が得られることが多かった。また、光芒が出やすいのもこのレンズの特徴だと思う。ただし、絞り羽根は10枚と多いのだが、F2.2〜F4くらいだと、背景の光源が多角形のボケになることがあった。被写体や背景の距離などの条件にもよるのだが、開放から少しでも絞ると真円ではなくなることが比較的多いような印象を受けた。
また、α7シリーズにマッチするデザインとコンパクトサイズも、このレンズの魅力。操作感も上々で、特にフォーカスリングのトルク感が絶妙だ。もう少しトルク感が強くてもよいという方もいるとは思うが、軽すぎず、重すぎない感じで、均一でなめらかなリング操作が行えた。絞りリングも扱いやすくなっているが、DeClick機能を搭載していることもあってか、クリック感が少し弱いのが気になった。バッグからカメラを取り出す際などにリングがどこかに触れてしまい、不意に絞り値が変わってしまうことがあった。
なお、カメラ側のレンズ補正機能は有効に働くようになっている。α7シリーズでは周辺光量、倍率色収差、歪曲収差を補正することが可能で(オートもしくは切を選択できる)、初期設定ではそれぞれ「オート」「オート」「切」が選択されている。それぞれをオートと切で撮り比べてみて特に気になったのが周辺光量落ち。周辺光量補正を切にすると、オートと比べて周辺光量落ちがやや目立つ結果となる。また、被写体によっては歪曲収差が気になる場合もあった。気になるようであればオートに変更したほうがよいだろう。
・電子接点を持ち、Eマウントカメラと連動して利用できる
・カールツァイスらしい色描写が楽しめる。シャープな描写特性にも注目
・α7シリーズに最適化したマニュアルフォーカスレンズ
フランジバックが18mmと短いEマウントを採用するα7シリーズでは、マウントアダプターを使ってさまざまなメーカーのレンズを装着することができる。実際、マウントアダプターを活用して、オールドレンズを含めたマニュアルフォーカスレンズを使っているというユーザーも少なくないはずだ。そうしたマウントアダプターを使う場合と比べて、Loxia 2/50のメリットは2点ある。1つは、電子接点を持っているので、カメラと連動して絞り値をExifに記録したり、MFアシスト機能を利用できることだ。もう1つは描写力。カールツァイス独特の色描写を楽しめるだけでなく、α7シリーズとの組み合わせを考慮して設計されており、最新のデジタル設計でシャープな描写が得られるようになっている。
また、重量約320gとけっして軽量なレンズではないのだが、α7シリーズに装着すると重量バランスがよいことも付け加えておきたい。α7シリーズとデザインのマッチングも取られており、装着してみるとなかなかに高級感のある組み合わせになる。
このようにLoxia 2/50は、使い勝手、描写力、デザインなどでα7シリーズに最適化されたレンズとなっている。オートフォーカスレンズが全盛ではあるが、α7シリーズユーザーにとって、魅力的なマニュアルフォーカスレンズが登場したと言っていいだろう。
α7シリーズに装着すると重量バランスがよい